ドラゴンボールF   作:月日火

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揺れ動く情勢

ベジータとナッパが地球へと侵略を開始。

その知らせは当然フリーザの元へと伝わる。

どうやらベジータは自らを不老不死とすべく

地球に存在するドラゴンボールを利用する腹らしい。

 

失敗する事など既に予想済みのフリーザは

完成済みである惑星リゾートにてある考え事をしていた。

未だ惑星バンパにいるであろうブロリーについてだ。

 

ハッキリ言えばブロリーは是非フリーザ軍に組み入れたい。

伝説の超サイヤ人の名は伊達ではなくその実力さえあれば軍の地位は不動のものとなる。

ならば何故今までずっと放置をしていたのか。

 

答えは簡単。

制御できる自信がなかったからだ。

もっと言えばアレはチライやレモが比較的善人であったからである。

絶対的な悪人であるフリーザが果たしてブロリーを制御できるか。

しかし、今のフリーザの実力を正確に把握できるのもまたブロリー以外に

存在しない。

そのまま、バンパに放置し続けて早二十数年。

 

そろそろ決める時が来たのではないかと揺れる波を見ながらフリーザは

そう考えていた。

ターレスの修行も既に最終段階であり

星の商談も少なくなった今だからこそ、フリーザに決断する余裕を生ませた。

 

その矢先に起こったベジータの地球襲来。

フリーザはこれを運命だと確信した。

 

故にフリーザはブロリーの気を探りだし惑星バンパに向かって瞬間移動。

惑星リゾートにはあいも変わらず美しい海が揺ら揺らと揺らめいていた。

 

♠︎

 

惑星バンパに瞬時に到着したフリーザは

その荒廃ぶりに先ずは驚いた。

その後砂嵐が巻きあれ視界は全く無いものとなり詳しくは観察出来なかったが

フリーザはこの星の価値を既に確定していた。

 

「これは…随分と酷い星です。商品価値などありはしない。」

 

そしていきなり目の前に現れたフリーザに対し近くにいたこの男

パラガスもまた驚いていた。

 

「フ、フリーザ様!!?」

 

「おや、私をご存知でしたか。貴方、お名前は?」

 

「サイヤ人のパ、パラガスと申します!」

 

「そうですか。戦闘力は?」

 

「…なにぶん戦場を離れて久しく、今では6500程度かと。」

 

「まぁいいでしょう。私がここへ来た理由は貴方の息子さんです。」

 

「…ブロリーに何の用で?」

 

パラガスはフリーザに対し少しだけ警戒心を上げる。

未だ息子は道具ではない

最近ではバアとかいう友達まで作り修行をサボっている。

今、ブロリーをフリーザに勧誘される訳にはいかない。

 

己の復讐の為、ブロリーは最強の兵士になって貰わなければならないのだ。

 

「まぁ、今回は軽い顔見せです。

ベジータ王が何故彼を恐れ追放したか。それを確かめに来ました。」

 

その言葉を聞き、パラガスは少しだけ気分が高揚する。

やはり、ベジータ王は我が息子を恐れていたのが己の勘違いでは

無かったからである。

 

「そ、そうですか!なら存分に見てやって下さい!」

 

「ええ、ですが生憎の砂嵐。顔を見ようにも見れませんので。」

 

パラガスはその言葉にニヤリと笑い

 

「あぁ、御安心を。これはそのブロリーの仕業ですので。おい!ブロリー!」

 

その瞬間、一瞬にして砂嵐が消え去り中から多少は強い気が現れる。

その筋肉は明らかに実践でのみつけられたもの。

そして何か底知れない力が彼の気からは感じられる。

瞬間移動した時に近くにいないと思ったらこんな所にいるとは。

フリーザは改めてブロリーの気を察知し

その有用性をやはりフリーザ軍へと転用させたいと考えた。

 

「……お父さん。どうした、の?」

 

「お前にお客さんだ!挨拶しろ!」

 

ブロリーは首を傾げながら地へと降り立ち、フリーザの目の前へ来る。

やはり身長は大きく、フリーザが見上げる程度には差があった。

だが、そんな事をフリーザが気にすることは無い。

いつもの笑顔を浮かべブロリーへと自己紹介する。

 

「はじめまして、ブロリーさん。私の名前はフリーザといいます。よろしくお願いしますね?」

 

そういい、手をブロリーの元へと出すが

握手という事すらブロリーは知らされておらずその意味を理解できないのか

特に何かを反応する事はしない。

 

だが、その事実を確認したフリーザは既にチェックメイトに入っていた。

変わらず、笑顔のままブロリーへ握手という事を教える。

 

「ブロリーさん、私の手を握りなさい。…あぁ、両手ではありませんよ。」

 

「…そうです。これが握手です。覚えましたね?」

 

「……握手。」

 

「そうです、ではブロリーさん。私は貴方にお願いがあってきました。」

 

「……?」

 

「私の部下になる気はありませんか?」

 

パラガスはそれに反応し、声を出そうとしたが片手間の念力により

口を塞がれてしまう。

 

「…部下。」

 

「そうです。部下…私の元で働く気はありませんか?勿論お父様もご一緒にね?」

 

「……。」

 

ブロリーは一度に流れてくる情報を何とか理解しながら

フリーザの話を聞く。

とはいえ、知識など殆ど存在しない彼はフリーザにとってただの鴨でしかない。

 

「美味しいご飯もあります。ゆっくり眠れる施設も私が手配しましょう。

ですのでこの星を離れて……。」

 

この星を離れる、その言葉にブロリーは反応する。

 

「ダメだ!!」

 

「……何故です?」

 

勝った、そうフリーザは確信した。

 

「…ここには、友達のバアが、いる。置いては、いけない。」

 

「……友達想いですね。わかりました。

今回は諦める事にしましょう。次は貴方のお友達にも会わせてください。」

 

残念そうな演技をし、フリーザは惑星を手配する。

ここに生息している獣の生息できる環境を持っていた検査機で調べ

開発班へと指示を送る。

 

「……!わかった!」

 

「ええ、約束です。」

 

そう言ってフリーザは再び瞬間移動で

惑星バンパから離れていった。

 

 

♠︎

 

『この星ごと!!宇宙のチリになれぇぇぇ!!!』

 

『4倍だぁぁぁぁ!!!』

 

「まぁやはりこんなものでしょう。…大した事もありませんね。」

 

ブロリーとの邂逅後、自らの執務室へと戻ったフリーザはベジータの戦闘服に

仕込んでおいたドローンカメラで彼らの対決を見物していた。

カメラを別に向ければ両者ボロボロになった2人のサイヤ人。

 

そしてその後、大猿となって大暴れし

両者とも尻尾を切断されて元に戻され。

 

ナッパは件のサイヤ人によって死亡。

ベジータは命からがら宇宙ポッドに乗り込み、地球から脱出した。

 

その光景を見たフリーザは治療ポッドの準備を手配し

ある所へと連絡をとる。

 

 

「……あぁ、私です。

もしも何でも願いが叶うと言われている

あのドラゴンボールが実在していたらどうします?」

 

「ええ、私の方で調査した所

どうやらナメック星の方でその存在が確認されているようで。」

 

「やはり向かいますか。…はいはい、私の方で惑星の範囲一星間の閉鎖指示を出しておきます。思う存分蹂躙して結構です。」

 

「ええ、それでは失礼しますよ。」

 

 

ーー兄上。

 

 

 

♠︎

 

ベジータ帰還。

惑星フリーザNo.79へと着陸したベジータはその重症の為

直ぐさま治療ポッドへと運び込まれた。

 

そして、2時間後。

傷が全快し、支給された新型の戦闘服を身に纏ったベジータは

ライバル視されているキュイを無視し、更にはキュイから伝えられた

フリーザへの謁見すら無視してそのままナメック星へと飛んだ。

 

その二度目の命令無視は当然フリーザへと伝わり、フリーザはターレスにベジータ討伐令をある任務と共に与えナメック星へと向かわせた。

 

更にそれから39日後、身元不明の宇宙船が警備を敢えて(・・・)手薄にした所を通過したという

報告を受ける。

フリーザはそれを地球から来たものと断定。

執務室の中で笑みを浮かべナメック星の惑星図をウィンドウに表示する。

 

「さぁ、素敵なショーの始まりですよ。ホッホッホ。」

 

ここに、クウラ軍、ベジータ、フリーザ軍、そして地球人

四つ巴の戦いが幕を開けたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




紹介コーナー

・惑星リゾート
前話で話した、レジャースポットの名称。
命名、コルド。

・ブロリー
首輪付け開始。

・ベジータ
負けを経験し、サイヤの力でパワーアップ。
だが、フリーザ軍未だ最弱。

・クウラ
不老不死獲得の為ナメック星へ侵攻開始

・地球人達
ある惑星の悪意の協力により(アニメ版参照)
デッドレースへと参戦。

・ナメック星

「帰って。」


・フリーザ様のスケジュール。(通常編)

5時 起床。朝食等を済ます。

6時 朝の訓練(自主制)

7時〜9時 各部署巡回、各仕事伝達。

9時〜12時 各惑星の状態、情勢の確認。並びに討伐指示。

12時〜13時半 惑星商談。最近はトワとの会合も追加。

14時〜17時 部下の訓練(幹部、下級も含め)

17時〜18時 給料明細作成などの雑務。クウラの機嫌取り

18時半 部下に仕事の終了命令。

19時〜20時 新たな部下の発掘。裏切り者の排除。

20〜24時 トレーニング

25時半 就寝


これがいつもの生活。
激務だとこれがかなりギッチギチになる。






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