ドラゴンボールF   作:月日火

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チーム・オブ・サイヤン

ナメック星上空では今正に命を賭けた逃走劇が行われていた。

 

「くそぉ!もう追いつかれちまったのかよぉ!!」

 

クリリンと悟飯の背後には既にサウザーがおり

その差はどんどんと無くなり続けている。

 

「逃がさんぞ!!そのドラゴンボールはクウラ様のものだぁ!!」

 

再び太陽拳を思いつくクリリンだったが、既にドラゴンボールによって

両手が塞がっている為出来ず。

更に追い付いてくるスピードからして恐らく間に合わない。

 

だが、クリリンには希望があった。

逃げている最中に感じとった親友の気。

 

「目一杯飛ばすぞ!悟飯!」

 

「はい!お父さんの所まで!」

 

孫悟空というヒーローならば必ずこの敵だって倒してくれる。

親友だからこそそれを確信したクリリンとは全速力で加速し

それを悟飯が追従する。

 

だが、そう簡単に出来る程運命は甘くはない。

サウザーが遂にクリリンを追い越して前へと立ち塞がる。

 

「ようやく追い付いたぞ…!!さぁ、ドラゴンボールを渡せ!そして死ね!」

 

手に気を巡らせブレード状にしゆっくりと迫ってくるサウザー。

しかし、サウザーのスカウターは新たに迫る存在をキャッチした。

 

「なんだ…新しい奴がこっちに向かってくる。」

 

クリリン、悟飯もまたその気を捉える。

 

「これは…これは!!」

 

「はい!」

 

次の瞬間。

その存在は、クリリンと悟飯の前に立つ。

 

「よぉ!待たせちまったな、クリリン!よく頑張ったぞ、悟飯!」

 

英雄、孫悟空がその姿を見せた。

サウザーは悟空を視界に捉えられなかった事に焦りを覚え

クリリンと悟飯はその様子をみて安心する。

 

ーーやはり、悟空(お父さん)なら勝てる!

 

「ば、馬鹿な…この私が奴の姿を…!!?」

 

「おめぇじゃオラには勝てねぇ!」

 

「戯言を!!かあああ!!」

 

悟空の言葉に激昂したサウザーはそのまま突進し悟空に斬りかかる。

だが、怒りのせいもあり攻撃は単調に過ぎず悟空に容易く躱される。

 

「くそ!なぜ当たらない!!くそぉ!!」

 

「言ったろ!おめぇじゃ…!」

 

横薙ぎの大振りをしゃがむ事で回避

瞬時に界王拳10倍となりそのままボディブロー!

 

「だりゃあ!!」

 

ついで、顔面に蹴りの三連撃!

その威力の高さにサウザーは吹っ飛んでいく。

そして吹っ飛んでいくサウザーに悟空は更に追撃する。

 

「オラには勝てねぇ!か…め…は…め…波ぁぁぁ!!」

 

「ぐはぁぁぁあ!!!ク、クウラ様ぁぁぁあ!!」

 

界王拳10倍のかめはめ波はサウザーに直撃し、爆発を起こす。

そして、その煙の中からボロボロのサウザーが落下していく。

 

「ご、悟空?」

 

「心配すんな、まだ生きてる。オラ、無駄な殺しはしたくねぇからな。」

 

「は、はは…お前らしいよ。それにしたっていつのまにこんなに強くなって…。」

 

「詳しい話は後ですっからさクリリン、悟飯。オラについてきてくれねぇか?」

 

「お、おう?」

 

「は、はい。お父さん。」

 

悟空の珍しい真剣な表情に困惑する2人だったが

そのまま悟空の後を追っていく。

 

 

暫くして、2人は謎の宇宙船のもとに辿り着き、そのハッチを開ける。

 

そこには…

 

「おう、帰ったか…そいつらがお前のお仲間か?」

 

「あぁ!クリリンと悟飯!オラの大切な仲間さ!」

 

「……俺を踏むな!クソッタレエエエ!!」

 

悟空にそっくりな人物が

少し前に自分達を恐怖の底に陥れたベジータを足蹴にしている所だった。

 

「なぁ悟飯…これ夢かなぁ。」

 

「……いいえ、夢じゃないですよクリリンさん。」

 

♠︎

 

一方、最長老の家から少し離れた草原では。

 

「ハァ…ハァ…!!!」

 

「………っ!!」

 

「ふん、所詮はたかだか戦闘力42000と150000…いくら雑魚が集まった所

でこの俺に勝てるわけが無いだろう?」

 

片手でスカウターを持ちながら、呆れた様子で見下ろすクウラ。

そして、傷だらけの状態に今にも倒れそうなネイルとタイムパトローラーの姿があった。

 

何故こうなったかというならば、話は至って簡単だ。

最長老に負担をさせんとしたネイルがクウラに対し、自らを倒せば

ドラゴンボールの使い方を教えると宣言。

そして更に最長老を殺せばドラゴンボールも二度と使えなくなるという事も

教えクウラをこの草原にまで誘導した。

 

だが、ネイルとクウラの戦力差は正に天と地以上の差でありながら

歴史改変の魔術によりクウラが更にパワーアップ。

改変ならばとタイムパトローラーが送り込まれるも精々が川に小石を投げ入れた程度。

 

戦闘力ならば億を超えるクウラの前には文字通り手も足も出なかったのである。

更にいうならば、クウラはこの戦いにおいて片手を使っていない。

 

これが帝王、いくら盤上の駒とはいえクウラの実力は宇宙でも屈指なのである。

 

 

「さて…何故ここにサルの生き残りがいるのか…そんな事はどうでも良い。」

 

クウラはネイルへと近づきその首を掴んで持ち上げ

タイムパトローラーに指先を向ける。

 

「さて、宣言通りドラゴンボールの使い方を教えて貰おう。

さもなければ、このサルが死ぬ事になるぞ?」

 

「す、すまない…青年。助けて貰ったのにも関わらず…。」

 

「……。」

 

横に首を振り、責任は貴方には無いと伝えるパトローラー。

彼は喋れはするものの、この揺れ動く歴史の中では部外者のたった一言で

改変が起き得る事を時の界王神に指摘された彼は、

返答すらする事は許されないのだ。

 

「……くくっ!サルだからか?ろくに言葉も喋れんとはな!こいつは傑作だ!!」

 

(いや…この青年もまた何らかの使命を背負ってきたもの…私にはわかる…あの哀しみの目を見れば…!!)

 

タイムパトローラーの目を見て、ネイルは苦渋の表情を浮かべ空を見上げる。

そして、笑みを浮かべる。

 

「…わかった教える…と言いたい所だがな…空を見ろ。」

 

「な、なんだ?急に空が…!?」

 

空は急に暗雲に満ち、その様子にクウラは驚く。

ネイルはそんなクウラを見て皮肉たっぷりに告げる。

 

「生憎と…方法はデンデが知っていてな…今頃は願いを叶える所だろうさ。

…諦めろ侵略者。お前の願いは叶わん!

そして、お前が言っていたサルだが…私にはそんな奴は見えんな?」

 

クウラは立て続けに起こる屈辱に怒りを震わせ、激昂し、ネイルを投げ飛ばし

直ぐさま空に浮かび猛スピードで加速する。

そしてスカウターで確認し、その反応の多さに

クウラは自らの失態を悟る。

 

(あの餓鬼ども……協力者がいたのか!!………どこまでこのクウラ様をコケにして生きて帰れると思うな!!下等生物ども!!)

 

「願いを叶えるのはこの俺だぁぁぁぁ!!!!」

 

だが、そのクウラに立ち塞がる者達が現れる。

 

「悪いがここは行き止まりでっせい、クウラ様よぉ?」

 

「ンダ!」

 

「……雑魚どもが邪魔をするなぁぁぁ!!」

 

 

♠︎

 

時は少し遡り、クラッシャー軍団の宇宙船にて

 

先ずはターレスが口を開く。

 

「さて、俺がお前達を集めたのは他でもねぇ。この星で踏ん反りかえってる

バケモノを倒すのに協力しろ。」

 

「それってクウラちゅう、とんでもねぇ奴の事か?」

 

「ふん!サイヤ人が協力とはな。」

 

「俺の部下すら倒せなかった奴は黙ってな…お坊ちゃんよ?」

 

「………。」

 

悟空が確認をし

ベジータはいつもの傲慢さを出そうとしてターレスに咎められる。

今回ばかりはベジータも反論出来ずに黙り込む。

それもそのはずベジータが感じている悟空とターレスの気は己を超えていたからである。

 

(超エリートのこの俺が下級戦士に負けているだと?馬鹿な!この俺は超エリートだ!たかが下級戦士にごときに負けていい筈が無い!!)

 

「ってもよぉ。オラ1人でそのクウラっちゅうのと闘いてぇぞ。」

 

悟空は協力に異を唱えるが、ターレスはそれを嘲笑う。

 

「無駄死にしてぇなら構わねぇ。だが奴の戦闘力は俺やお前が倒した

機甲戦隊程度では比べ物にならねぇ強さだ。オススメはしねぇぜ。」

 

「どれくらいだ。」

 

ベジータがどれ程なの力なのか尋ねる。

 

「少なくも4億は確実に超えてるな。…もしかすれば5億すら超えてるかもしれねぇ」

 

「な、なんだと!?」

 

ターレスのその回答にベジータは声を荒げる。

そして、確信する。

今のままでは勝てない。

今の自身の戦闘力は一度死の淵からのパワーアップを果たしたとはいえ

精々が40000程度、例え大猿化した所でクウラとは最低でも約1000倍の差が

あるということになる。

 

「…その様子なら理解してくれたみてぇだな。なら、もう一度聞くぜ。

協力する気になったかいベジータ王子さんよ?」

 

「…ふん、認めてやる。今の俺では確かに奴には勝てん。だから今回だけは貴様と組んでやる。だが、俺の足を引っ張るなら容赦せずに殺してやる。」

 

「おうおう、それでこそだぜ。…それでカカロット、貴様はどうする。」

 

ベジータの協力を得たターレスはうんうんと悩んでいた悟空に声をかける。

 

「…オラ、戦闘力ちゅうのは良く分かんねぇけんどクウラちゅうのが

とんでもねぇ事だけはわかった!…それにおめぇも悪い気してっけど、

クウラを倒すって事には嘘はねぇんだろ?なら、協力すっさ!」

 

「そいつはどうも。…さてここから本題だ。」

 

ターレスは宇宙船の近くに置いてありクリリンが警護している

7つ揃ったドラゴンボールを見る。

 

「このドラゴンボールを誰が使うか、俺としてはクウラの為になるべく駒が欲しい、あいつらは別件でどうしても抜きでやらなきゃならねぇからな。

…で、どうなんだカカロットの息子さんよ。」

 

「え、えっと…僕はピッコロさんを生き返らせたらなって…。」

 

「…あの雑魚のナメック星人を復活させてた所で何の役にもたたんだろうが…!」

 

「ひっ!…で、でも!ピッコロさんが生きかえれば地球のドラゴンボール

も復活するし……。」

 

「…地球にもドラゴンボールがあるのか?」

 

「は、はい。…あ、でも叶えれる願いは3つですし!あ、それと…」

 

悟飯は既にデンデから聞かされた情報を全て伝える。

今ここで、秘密にしていても勝つ見込みが無いということは

幼いながらも悟飯は直感していたのだ。

 

「いや、そのピッコロとやらがあの世にいて死んだのは地球。って事はこっちに引っ張ってくるにも願いを使うんだろ?」

 

「あ!そ、そっかぁ。」

 

ターレスはその情報から願いをたった1人に2つも使う事に気付き

内心、頭を抱える。

 

(ちっ!万能の玉ってもそう上手く出来てねぇか。まぁ仕方ねぇ。背に腹は変えられねぇからな。)

 

「…仕方ねぇ、そろそろ使うぞ。…どうやらあちらさんも限界みてぇだ。」

 

ターレスがそう言い、他の人達も一斉に気を探る。

感じるのは邪悪な気。ターレスが言った通り1人では絶対に勝てないと

思わせる程の絶対的な気である。

 

「す、すげぇ気だ…!!こりゃあオラだけじゃきちぃかもな…。」

 

「それじゃあ直ぐに取りかかれ!」

 

 

宇宙船から飛び出し、デンデにクリリンは指示を出す。

そして

 

「タッカラプト ポッポルンガ プピリットパロ!」

 

デンデが呪文を唱えると空は暗雲に包まれ、ドラゴンボールが輝き

光の中から巨大な龍が現れ

 

「ドラゴンボールを7つ揃えし者よ…さあ願いを言え!どんな願いも三つ叶えてやろう。」

 

そう告げるのだった。

 

 

ーー滅びの時は近い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




紹介コーナー

・サイヤ地球連合

クウラへの共同戦線発足。
なお、最大戦闘力はターレスの模様。

・クウラ
プライドを破茶滅茶に刺激され大激怒。
恐怖の帝王降臨。

・クラッシャー軍団
決死の時間稼ぎ開始。

・タイムパトローラー
ボコボコにされ帰還、次に現れるのは直ぐ近く。

・歴史改変者
キリが溜まっていってにっこにっこ。

・フリーザ
兄の無様さに笑いすぎて腹をやられた。

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