ドラゴンボールF   作:月日火

16 / 52
たったひとつの秘策

ピッコロ達がクウラと闘っている場所から少し離れて所で悟空は両手を

上げて、ある技の準備をする。

 

「空よ…海よ…大地よ…近くの星達よ…!頼む…!オラに元気を分けてくれ!」

 

これが悟空の最後の切り札。名を元気玉。

ナメック星にある全て、そしてナメック星の近くにある星の全て。

そこから少しづつ気を分けて貰い完成する

界王が伝授した最強の技である。

 

その気を溜めている時は悟空は完全に無防備になってしまうものの

悪に対して無類の威力を誇るこの技は正に悟空達において起死回生の一手。

 

故に悟空は一時離脱し

ピッコロを始めとした3人が時間稼ぎを引き受けたのだ。

 

だが、ここで思わぬ幸運が悟空に降りかかる。

元気玉の溜まりが予想以上に早く、既にベジータに使った時よりも大きくなり始めているのだ。

しかし、これでもまだクウラを倒すには足りないと感じた悟空は完成するまで

仲間達が無事である事を祈るのだった。

 

「頼むぞ…ピッコロ、ベジータ、ターレス…!オラの元気玉が出来るまで

持ち堪えてくれ…!!」

 

 

♠︎

 

そして、クウラと再び相対する3人は時間稼ぎの為とはいえ悟空という抜けた穴の為もあってか先程までの勢いは無いにも等しかった。

 

「はっ、どうした!さっきまでの威勢は何処にいった?」

 

「サイヤ人を舐めるなよバケモノめ!」

 

ベジータが威勢良く突撃し、ターレスとピッコロがそれに続く。

 

「はぁぁぁあ!!」

 

ベジータがクウラにラッシュし

ピッコロが気弾で視界を塞ぐ。

ターレスは両手を合わせ今度は全力のキルドライバーを撃つ準備をする。

 

ピッコロのサポートもあってかベジータの攻撃は的確にクウラへと直撃するも

それに怯む様子は無い。

 

「その程度か!」

 

それどころかラッシュと気弾を受けながらもベジータとピッコロの頭を

掴みとり、投げ飛ばし

 

「キエァ!!」

 

両手でエネルギー波を撃ち追撃する。

 

「くっ!」

 

「ちっ!!」

 

2人は何とか避けきり、ターレスの目の前には両手を広げたクウラ。

 

「くたばれ!!キルドライバー!!」

 

その好機を見逃さず今ある全力のキルドライバーを最高のタイミングでクウラに放つ!

 

「馬鹿め!!そんなものが俺に効くかぁ!!」

 

だが、その一撃もクウラの皮膚を軽く切断するに留まり片手で弾き飛ばされる。

 

「くそっ!」

 

悔しがるターレスをクウラは嘲笑う。

 

「どうした…さっきの威勢は何処へいった?」

 

そして、ベジータもまたこれだけの攻撃を喰らわせたのにも関わらず

未だ大したダメージを受けていないクウラを見て

自らの強さは本当は超サイヤ人では無いのかという疑惑を持ち始める。

 

(ま、まさかこの俺は未だ超サイヤ人では無いというのか…!!それともクウラの野郎は超サイヤ人ですら倒せないというのか!!…違う!!)

 

だが、その思考を超エリートとしての誇りで薙ぎ払い

ベジータは己の全てを込めて最大のギャリック砲を放つ!

 

「この俺は…超サイヤ人なんだぁぁぁ!!くたばれクウラァァァァ!!」

 

ベジータのこのギャリック砲は間違いなく人生で最も威力のある物だったろう

 

しかし。

 

「ふん!」

 

クウラは避けるどころか

そのギャリック砲の中を何ともなしに突っ込んで行く。

 

「ば、馬鹿な!」

 

「ふん!」

 

そしてベジータの下までたどり着きそのままアッパー

ふらついたベジータを膝蹴りからの肘打ちで再び岩場へと叩きつける!

 

「がぁ!!」

 

更に岩場に激突したベジータをその巨大な足で岩場へと押し潰す。

 

「く、くそぉ…がぁ!!」

 

ベジータはその圧倒的な実力差に悔し涙を流すもクウラは更にベジータを

踏み抜き。

その威力にベジータは気絶する。

 

「ふん!つまらん!やはり超サイヤ人はただの伝説だった!」

 

そして、残りの2人を始末せんと次はピッコロへと迫る。

 

「くそ!!うわたたたたぁ!!」

 

迫るクウラに連続で気弾を放ちながら距離を離すピッコロ。

 

「パワーは上でもスピードはこの俺だ!」

 

だが、クウラはそのスピードのギアを上げピッコロの目の前に立つ。

 

「くく…スピードがどうしたって?」

 

「くそっ!魔貫光殺…」

 

「遅い!」

 

咄嗟に貫通性のある魔貫光殺砲を撃たんとしたピッコロの背後に立ち

ダブルスレッジハンマーで地面へと叩き飛ばし更に追撃。

 

「く…は…」

 

ふらつくピッコロの腹に拳を突き刺しながらまたも岩場に叩きつけながら

上と持ち上げ、今度は地面に叩きつける!

 

「ごぁぁぁ!」

 

地面は容易く割れ

先にあった川すらもまた割れていく。

そして、その衝撃にピッコロは気絶し

 

クウラは最後の1人であるターレスへ迫る。

 

「くそっ!来やがれクウラ!はぁぁぁ!!」

 

ターレスは己の残った全ての気を解放し、クウラへと向かっていく。

戦闘力が劣るターレスがクウラにできるのは最早、間髪入れない怒涛の攻め

の一手のみ。

 

「そらぁ!!」

 

その攻めをクウラはまるで遊戯のようにただ避けるのみ。

そして、ターレスに僅かな隙ができればそこにエネルギー波を撃ち込み

辺りを爆風で包む。

 

その爆風の中、ターレスとクウラの気弾の応酬。

だが、ターレスはクウラの気を察知して放つのに対しクウラは唯がむしゃらに

撃ちまくるのみ。

 

「やはりか…奴はフリーザと違って気が読めねぇ。ならば!」

 

ターレスは小型のキルドライバーを爆風の中に仕込み

クウラが出てくるのを待つ。

 

程なくして爆風が止み、クウラがターレス目掛けて突進する。

それをギリギリで回避し、ターレスはクウラの背後にキルドライバーを仕込ませ、そのまま尻尾を切断する。

 

「んぐっ!!貴様ぁ!よくも俺の尻尾を!!」

 

激昂したクウラは更にそのスピードを上げ、ターレスの顔面を膝蹴り。

のげぞったターレスの首をその巨腕で握り込みその背中を殴り続ける。

 

「ぎゃぁぁあ!!!」

 

「サルごときが良くも!良くも!」

 

プロテクターは容易く砕け、バキリと骨が折れる音がしようとも

クウラはその怒りのままにターレスを殴り続ける。

 

だが、そんなクウラに5つの気弾が炸裂。

僅かに緩んだ腕からターレスは逃れる。

 

気弾の正体はクラッシャー軍団とクリリンと悟飯。

腕を無くし、足を無くそうとも彼らは一矢報いた。

そして、その一矢はクウラを更に激昂させ

 

「貴様ら…何処までもこのオレを侮辱しやがって!いいだろう!この星ごと消えてしまうがいい!下等種族が!」

 

クウラは全力を込めようと空に浮かび自らの最大の技。

スーパーノヴァを放たんと気を指先へと集めようとするが

 

「やれぇ!孫!!」

 

「だりゃぁぁぁぁ!!!」

 

気絶から復帰したピッコロの言葉。

そう、彼らの必死の抵抗が身を結び

ついに悟空の元気玉はナメック星の上空から小惑星の様な大きさとなって

クウラへと振り下ろされる!

 

流石のクウラも超巨大な気弾には驚き、咄嗟に受け止めようと両手で更には全力で抵抗を試みるが

 

「こんなもの…こ、こんなもの……!!」

 

元気玉は悪人には決して弾き返す事は出来ない。

ピッコロや悟空達が地面へと伏せる中、クウラはその元気玉に呑まれていく。

 

「こんな……ぐわぁぁぁぁ!!!」

 

抑える事が出来ないまま、クウラはそのまま元気玉と共に水場へと沈んでいく。

 

その瞬間元気玉は水場で大爆発を起こし

その場には元気玉のサイズの穴が空く。

 

「へ、へへ…や、やったぞ。」

 

悟空はその光景に気を探らせクウラの気を感じないと確認すると

そのまま地面へとへたり込む。

そんな彼の元にピッコロやクリリンや悟飯。

彼らに支えてもらっているクラッシャー軍団。

そしてベジータに腕を貸しながら歩いてくるターレスが集まる。

 

「やりやがった…あのクウラをよ。」

 

「……ふん。」

 

周りが勝利に沸く中

クリリンは悟空を立ち上がらせようと抱きつく形で持ち上げる。

 

 

ーーその横を二本の光線が走った。

 

「…………へ?」

 

クリリンが後ろを振り返れば、そこにはターレスを突き飛ばしたダイーズ。

そしてベジータを突き飛ばしたラカセイとレズンが

目の光を失い、そのまま地面へと崩れ落ちる姿。

 

「……………は?」

 

ターレスは突然の出来事にただ放心する。

だが、他の人はそれをやった正体は嫌でも把握できた。

 

「ヒュー!ヒュー!い、今のは危なかった……こ、このオレがほんの僅かな

間死を感じた……!!このクウラが死にかけたのだぞ!!」

 

そう、あれだけの威力を喰らってもまだクウラは生きていた。

角は折れ、マスクは半分千切れ飛び、全身から血が滲みだしていても

未だクウラはその生命力の強さをもって元気玉を耐えたのだ。

 

「……ふん!」

 

そして、クウラは唖然とする皆を差し置き、次の標的を。

 

「うわぁ!うわぁぁぁぁ!!」

 

そもそもの原因となったクリリンへと定めた。

右手に集めた透明な気をクリリンへと送り込み、体の支配を奪い取り。

空へと浮かせ。

 

「っ!やめろクウラァァァァ!!」

 

右手を握る。

 

「悟空ぅぅぅぅぅ!!!」

 

それだけで内部の気は爆発し、クリリンの体は文字通りの木っ端微塵。

彼の姿はこの世から完全に消失した。

 

その姿を悟空は見て。彼の中でナニカがプツリと切れた。

 

「ゆ……ゆ……許さんぞ。よ、よくも……よくも……!!!!」

 

悟空の気が次第に金色へと変わっていく。

彼の中で眠っていたサイヤの細胞が今、覚醒の時を迎える。

戦闘力、穏やかさ、そして激しい怒り。

ここに彼の枷は全て外れ、彼はサイヤの歴史を超えた更なるステージへ

 

「ーーーーー!!!」

 

大凡、人が発する事無い正に獣の雄叫び共に彼の髪は金に染まる。

 

更にこの人物もまた、全ての鍵を揃える。

彼はあと1つだけここに至る為の鍵が無かった。

条件となる戦闘力は充分にあった。

奴の部下となってからの部下達との交流で穏やかさも手にした。

だが、激しい怒りは備えていなかった。

 

ターレスは自らを呪う。

カカオが死ぬ前に、アモンドが死ぬ前に、ダイーズがレズンがラカセイが。

その前に辿り着けなかった自らの愚かさを。

呪って、呪って、呪って。

その自らへの紅蓮の怒りが彼の姿を金へと変える。

悟空とは対照的に彼は叫ぶ事は無い。

唇から血を流しながら。それはまるで涙のように

彼は焼け焦げそうな怒りの中で静かに次のステージへと到達した。

 

 

ベジータは、その姿を見て確信する。

 

「奴らが奴らこそが……真の超サイヤ人……!!くそっ!!」

 

悟飯はその金の姿に最大の希望を見る。

 

「なれたんだね…!お父さん達は超サイヤ人に!!」

 

 

「な、なんだ!何が起こったというのだ…!!あ、あの変わりようは…!」

 

クウラは2人の姿を見て、確信する。

 

ーーこいつらこそが、あの伝説の超サイヤ人なのだと!!

 

 

 

「貴様はもう謝ってもゆるさねぇぞ!このクズ野郎ーーー!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




紹介コーナー

・下級戦士
遂に次のステージへ。

・超エリート
屈辱。ただその一言。

・地球組
2人の変身に勝機を見た。

・帝王
最強崩れる時。

・真の帝王
もう見るものは見た。

・歴史改変者
準備完了。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。