ドラゴンボールF   作:月日火

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悪を貫く黄金の光

悟空、そしてターレスはついに自らの殻を破りさり超サイヤ人へと

変身を遂げた。

 

その姿を見たクウラは僅かな動揺を覚えたが

次の瞬間、彼に謎の光が直撃し彼の気の纏う気が禍々しく変化し

目は赤く光る。

 

クウラはその自身の変化に気づく事無く獰猛な笑みを浮かべ

 

「良いだろう!!ここで貴様らを倒し!この俺が真の宇宙最強だという事を死をもって味わわせてやろう!!キェェエ!!」

 

自分の真下へと気弾を放ち、ナメック星の核が熱を帯び始める。

その狙いは自分と相手の退路を断ち切り、この残り少ない時間の中での

決着をクウラが望んだわけではない。

 

これはトワの狙いだ。

本来ならばここで無様に敗北するクウラを敢えてお膳立てし

決戦に相応しい舞台を作り上げ、最期までキリの収穫に役立って貰えれば

それでいい。

ならば、盛大に狂わせるのもまた、愉悦なのだ。

 

「オメェ!!」

 

「ハハハハハ!!これでこの星は滅びる!元々この星は滅ぼす運命だったのだ!寧ろ後五分も残してやったのは慈悲だろう!!」

 

怒る悟空を何処までも嘲笑うクウラだが、彼もそして悟空やターレスですら

トワにとって、最早踊るだけの人形に過ぎない。

 

その為か。

その光は直ぐに消え去り、クウラの禍々しさが元に戻る。

 

しかし、

クウラの言うことに嘘は無い、戦闘の中でそれを嫌と言う程感じた悟空は

直ぐさま悟飯とピッコロ、ベジータに逃げる様に告げる。

 

「オメェら…この星が爆発する前にオレが乗ってきた宇宙船でサッサと脱出しろ!」

 

悟飯とピッコロは自らの力が既にクウラに通じない事を解っており

ベジータもまた、先程の戦闘。

そして目の前の光景にプライドはズタズタ。

故に彼らは拒否する事も反論する事も無く

そのままその場から全速力で退避する。

 

「ハァア!!」

 

そんな彼らをクウラが待つはずもなく

彼の拳は悟空の頬へと突き刺さる。

 

しかし、悟空はその状態から顔色1つ変えずクウラの拳を掴み取り

そのまま握る力を強めていく。

 

「貴様…一体幾つの命を犠牲にすれば気がすむんだ……!罪も無いものを次から次へと殺しやがって…!」

 

「ぬぅ!くっ……くっ!ば、馬鹿な!?ちぃ!!」

 

クウラはそれを解かんと必死に抵抗するも外れない。

ならばと膝で悟空の腹を蹴り上げるも。

 

「そして……クリリンまで……!!」

 

悟空にダメージは無い。いや正確に言えば悟空とクウラの差は

先程よりは無いとは言え魔術の効果もあり未だクウラの方が上だ。

しかし、その差すら上回る悟空の純粋な怒りがダメージすらも

無視していた。

サイヤの力の源である細胞が奴を倒せ、殺せと更に活性化し

悟空の力を底上げしているからだ。

 

それでも必死に抵抗するクウラをさっきまで動かなかったターレスが全力で殴り抜く!

先程とは全く違う、完全にダメージが入った拳はクウラの頬を抉り飛ばし

ターレスの拳にクウラの千切れた頰肉が飛び散る。

 

「……。」

 

その静かなままターレスは飛び散った頰肉を消しとばし

自らの怨敵へとその視線を向ける。

 

殴り飛ばされたクウラは暫く地面を転がった後に立ち上がり

自らの頬を触り笑う。

 

「ク、クククククククッ!なるほど流石は伝説というだけある…だが!」

 

クウラはそのまま地を蹴り悟空へと疾走。

そのまま、あえて悟空が放った拳を受け止め、顔を掴んで叩きつける。

更にそこからエネルギー波を至近距離で発射しようとするも

悟空の両足の蹴りで腕を弾かれ、更にターレスが背中を蹴り飛ばす。

 

更に悟空が起き上がって追撃、クウラを横殴りし

その上をターレスが横回転により威力を増した裏拳。

顔面に二発、水月に一発殴り込み、反撃の拳をしゃがんで躱せば

今度は上から悟空が顔面に蹴り抜き、蹴り上げ、蹴り飛ばして後方へ

回転。

拳に気を溜めたターレスが防御がガラ空きになった腹を殴り抜けば

クウラはそのまま吹っ飛んでいく。

 

2人はその姿に追いつき吹き飛んでいくクウラに横蹴りを喰らわせ。

 

「「くたばれクウラーーー!!!」」

 

2人の青と紫の気が混じりあって1つになった強力なエネルギー波が

クウラに迫る。

 

「舐めるなぁ!!」

 

だが、そこは帝王たる所以か。

しっかりとバリアを張り、攻撃を完全に防ぎきる。

 

「付け上がるなよ下等生物がぁ!!」

 

それだけでは無く、そのバリアのままクウラは突進。

2人のエネルギー波を弾き飛ばしながら、間近まで到達。

真空波で2人を分けさせ、悟空の方には踏みつけで真空波を起こし

僅かに吹き飛んだ悟空にボディブロー、そのままダブルスレッジハンマーで

叩きつけ

 

「キェエエエ!!」

 

片手で気弾を連射。

ある程度まで撃ちきれば、次はターレスの背後からの攻撃を避けながら

反転し、痺れ効果のある気弾でターレスの動きを封じて

全力で殴り飛ばし、高速で回り込んで殴り飛ばそうとするも

ターレスが背後に高速移動して逆にクウラを蹴り飛ばす。

クウラも飛ばされる瞬間に一撃ターレスの腹へと裏拳を突き刺していく。

 

「ぷっ!!」

 

突き刺した裏拳はターレスの骨を砕き、血反吐を吐かせるに至るほど

凄まじい一撃。

しかし、ターレスはそれを意にも介さず、復帰した悟空と共に

体勢を立て直したクウラへ迫る。

 

「キエエ!!」

 

そんな2人を撃ち落とさんと極細の気弾を連続で撃つも当たる前に

高速移動で避けられ、顔に膝蹴りを腹にブローをモロに喰らってしまう。

更にターレスは蹲るクウラの足を掴んで高速のジャイアントスイング。

クウラの姿が何重にも見えるような超高速スピードで振り回してぶん投げ

悟空が背後へと回り込んで鯖折り。

苦痛に悶えながらも両腕を悟空の首に回して締め上げそのまま急降下!

悟空の力の入らない抵抗は気にもせず

自らの全力で落下していき地面ギリギリで悟空を放つ。

悟空はそのまま地面へと亀裂を走らせながら激突。

 

急接近したターレスのラッシュを途中で片手を掴み

反対の手でラッシュ!

ターレスがふらついた所を今度は両手と膝でラッシュし

脇を両手で掴んで放り投げ

 

落下していくターレスは元気玉の穴で停止するもクウラが追撃してくるのを

確認して回避し、大振りの横薙ぎを掴んで反対の手を掴んで手四つに。

 

「ぐっ……!!」

 

「おおおお……!!クッ、掛かったな!」

 

だが、クウラがターレスの両手と共にその場で腕を開き

そのまま腹へと膝うち。

 

「ぐぉぅ!!?……ぺっ!こんな程度か……?」

 

ターレスは呻き声を出すが直ぐに表情は無に戻り

クウラを挑発する。

 

クウラは激昂し、言葉を返そうとするが。

 

「調子に……な、なんだ!?空が急に……!!あ、あれはまさか!!」

 

突如暗くなった空、最初は惑星崩壊の時間切れかと思ったソレは

直ぐに近くに現れた龍の存在により打ち消され、クウラの頭脳があれこそが

願いを叶える龍だと確信する。

 

何故、今になってなどは最早どうでもいい!

不老不死さえ手に入れれば宇宙最強は俺の中に!

 

そう考えたクウラはターレスを無視しポルンガの元へと向かおうするが

悟空がそれを阻み、それに追いついたターレスのラッシュを

捌き、避け、反撃し。

僅かな連携の隙を見逃さずに2人の腹を蹴って加速する。

 

(遂に……遂に!!この俺に!!)

 

だが、クウラは見た。

己が確かに殺した筈のナメック星人の餓鬼が何故か生き返り

今正にポルンガへと願いを言おうしている姿を。

 

「邪魔をするなぁぁぁぁぁ!!!」

 

そうはさせじとクウラは気弾を放つもターレスが先回りして弾き

彼の前には悟空が立ち塞がる。

 

そして。

 

「ポルンガ クウラ ポット ソンゴクウ ポット ターレス!!

トピリット ドンロンパ タペスポ パロ!!」

 

デンデがナメック語で願いを言えば

 

「いいだろう。」

 

それに応じるようにポルンガの目が赤く光りその場からデンデが

宇宙船にいた悟飯、ピッコロ、ベジータ。ついでに何処かにいたブルマも

更に復活したナメック星人とカカオを除いたクラッシャー軍団は

ナメック星から姿を消し

無事に地球へと転移する事に成功する。

 

その効果が終わればドラゴンボールは宙に浮き、7つの星となって

その姿を消す。

 

「な、な、なん……だとぉ…!!」

 

「へっ…ざまぁみやがれってんだ。」

 

自らの野望が星と消える姿を認められず唖然とするクウラ。

そして、転移する前に仲間の気を感じ取ったターレスは

いつもの調子を取り戻し

今までの憎しみを込めて嫌味ったらしくクウラを罵倒する。

 

その直後。

クウラの気が再び禍々しさを増し全身から気を放出。

 

ターレスと悟空は目を細めたのを確認し

クウラは上空へ跳躍。

虚空に手を向け、ナメック星を軽々と破壊できる

否、ナメック星を含めた近隣の星ですら巻き込む程の威力の気弾を生成し

自らの最強の技であるスーパーノヴァで全てを破壊せんとかかる。

 

「もうここまでだ!!!この星ごと……消えて無くなれぇぇぇぇ!!!」

 

そして、無慈悲にも放たれたそれを。

悟空達も迎撃せんと力を込める。

 

「か………め………は……め………!!」

 

悟空は自らの使い慣れた最も自分が熟知した

少年の頃からの技。

 

「消えるのは……!!」

 

ターレスは片手に己の全て、超サイヤ人となって爆発的に成長した

全部の気をこの一撃に込める。

 

「波ぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「てめぇだぁぁぁぁ!!!」

 

 

放たれた3人の奥義はぶつかり合い、均衡していたが

魔術によりクウラの目の光は更に増す。

 

「ハハハハハ!!ソォラァ!!!」

 

その増大した気を更に込め

悟空とターレスはギリギリまで追い込まれてしまう。

 

「ぐぎぎぎぎ……!!」

 

「ぐぉぉぉぉ……!!」

 

そしてクウラは勝利を確信し叫ぶ。

 

「俺のか……!!」

 

しかし、その言葉は横から届いた決して無視できない一撃がクウラへと

直撃する。

横を見れば、そこにはあの時にいたサルがまだ傷が残った状態で

浅い息を吐きながらクウラを睨む。

 

「貴様……あの時の!!」

 

そこで気を取られたのがクウラの敗因。

僅かな気の緩みを見逃さず。

 

悟空とターレスは最後のパワーでスーパーノヴァを押し返す。

 

「し、しまっ……!!」

 

クウラもまた自らの技を抑えながら再び押し返そうとするが

勢いは止まらない。放たれた黄金の光とともに

クウラは空を成層圏を超え、刹那、背後に熱さを感じる。

 

「こ、こんな事でやられ………なっ!?」

 

クウラの背後にあったのはナメック星にある太陽の一つ。

それに向かってクウラは自らの技ごと突っ込んだ形となってしまった。

 

「あ、甘かったのは……!!」

 

摂取6000度の業火の中で焼かれ続けるクウラの脳裏には

ある日の過去が思い起こされる。

 

惑星ベジータが滅ぶ時、クウラは確かに知っていたのだ。

奴を、孫悟空という存在を……そして、サルが未だ残っていたという事も!!

 

『放っておけ。自分で蒔いた種だ。自分で刈らせろ。

フリーザも……まだまだ甘い』

 

そうだ、甘かったのはフリーザだけでは無かった。

甘かったのは……。

 

後悔と憎悪の思考の中、悪の帝王は最後まで己が舞台の演者とは

気づかぬまま彼の肉体は消滅した。

 

その遠く、遥か遠い惑星でとある一室。

ある人物が薄っすら笑い、自らの兄が無様に死ぬ場面を見て。

 

「中々面白かったですよ?クウラ(負け犬)?」

 

そう切り捨てた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




・下級戦士
遂に打ち倒した。

・地球帰還組
これから各々の行動へ戻る。

・帝王
…………!

・タイムパトローラー
美味しいとこだけ取ってった。

・歴史改変者
キリ吸収終了。

・フリーザ
お迎え。

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