ドラゴンボールF   作:月日火

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極寒の決戦

北の氷河地帯、13号によって連れて来られた悟空は今、小手調べにと14号そして15号のタッグと戦っていた。

 

悟空は始めこそ攻撃を与えられていたがDr.ゲロのコンピュータが次第に悟空の動きを予測し始め、今では防戦一方どころかまともに攻撃を捌くことすら出来ていない。

 

「くっ…!!」

 

更に悟空は戦闘が続くにつれ胸の辺りに違和感を覚えるようになっていくが

悟空はそれを気にしている場合では無く注意深く観察し反撃の糸口を探していた。

 

だが、悟空が反撃に転じる前に14号と15号は何処からかきた気弾に吹っ飛ばされ氷壁に激突する。

 

「な、なんだぁ!?」

 

驚く悟空が放たれた方向を見ると、そこにはベジータとトランクスの姿が

ありベジータは心底イライラした表情で、トランクスは一瞬ベジータの方を向いたが直ぐに悟空へ向き直り笑みを浮かべる。

 

 

「なんてざまだ!カカロット!貴様を殺すのはこのサイヤ人の王子であるこのベジータ様だという事を忘れたか!」

 

「すみません!お待たせしました悟空さん!俺も戦います!」

 

2人を見た13号は、2人のデータをコンピュータへと転送し演算を開始。

演算データを立ち上がった14号と15号へと送信する。

そして、13号は余裕の笑みを浮かべ悟空へと近づく。

 

「ふん…孫悟空への死の土産が増えたか…丁度いい。14号、15号。こいつらの相手をしてやれ。」

 

「調子に乗るなよ…ガラクタ共!」

 

「こい!」

 

13号は悟空に14号はトランクス、15号はベジータへと接近した瞬間。

 

…戦いが始まった。

 

♠︎

 

15号は小柄である事を利用し、目にも留まらぬ速さでラッシュを繰り出す。

だが、ベジータはそれを余裕そうに避けていく。

 

「……!!」

 

15号の目は随時演算によって戦術を変え、攻撃方法を変えながら戦うがベジータとて戦闘の天才。

その全てをセンスによって看破しカウンターで15号に一撃を加える。

 

「はぁ!」

 

ラッシュの僅かな間を見逃さずにボディブロー、そこから気の刃で15号を貫こうとするが腕を弾かれる。

 

「ちっ!」

 

ベジータはすかさずに反対の手で貫こうとするが15号は身を屈んでそれを回避しベジータの体へ無造作に拳を叩き込みながら地面へと降下していく。

そして雪を引きずりながら近くの小さな氷壁にベジータは叩きつける。

その間にも15号はラッシュを繰り返す。

 

 

「ぐっがっ……ふん、その程度か?」

 

ベジータにとって最早そんな攻撃は通じない。

彼はこんな雑魚に苦戦している程、立ち止まっている暇など無いのだ。

ベジータは即座に15号の腕を掴んで放り投げる!

 

「そぉら!!砕け散れ!」

 

そして2本の指を飛ばされていく15号に突き出す。

すると、15号の身体は内側からベジータの不可視の気弾によって爆発し

パーツがそこら中に散らばっていく。

その様子を見てベジータは鼻で笑う。

 

「ふん!きたねぇ花火だ。」

 

 

14号はその巨漢でのパワーを生かし攻撃するがトランクスは悠然とそれを避ける。

14号の攻撃はどれも大振りで攻撃は容易であり、トランクスの攻撃は面白い様に当たる。

しかし、ダメージが通っている様子は全く無い14号はトランクスが突き出した拳を掴み取り、ボディブローからの肘打ちでトランクスを叩きつける。

 

「ぐぅぅぅ!!」

 

叩きつけられたトランクスはそのまま数メートル吹っ飛び、煙が立ち込めるが平然とした様子で立ち上がる。

 

しかし、その煙の中から14号が現れトランクスに頭突き。

倒れ込んだトランクスを馬乗りになって両腕で頭を掴んで数発頭突きをかまし

そのまま顔面を何発も殴り込んでいく。

 

何発も貰い続けていたトランクスだったが、殴り終わり僅かに硬直した14号の腕を掴み取り

 

「……はぁ!!」

 

そのまま力の限り引き千切り、気弾で14号を吹き飛ばす。

トランクスはただやられていたのではない。

敵の力を間近で観察し、反撃のタイミングつまりは相手が油断するのをずっと待っていた。

そもそも14号よりも遥かに強いブロリーを撃退する為に何度も彼の攻撃を見て、そして経験していたトランクスにとっては最早14号など相手にもならない。

 

再び走り出し突っ込んでくる14号を迎え撃ち、剣で横に真っ二つに切断。

頭から多少血が流れるが、その背後で14号はパーツを撒き散らして爆発を起こした。

 

一方、13号と悟空の勝負は13号が常に優位に立っていた。

それもそのはず。14号、15号はいわば13号の合体用のパーツのようなものであり戦闘力で言えば13号が圧倒的に高く、その演算力の早さも折り紙付き。

 

「だりゃりゃりゃ!!!」

 

「ふん!どうした孫悟空!動きが止まって見えるぞ!」

 

悟空のラッシュをまるで予期していたように鮮やかに躱しながら反撃していく13号は悟空の僅かなラッシュの間をぬって人差し指を悟空に突き出し巨大な気弾を放つ。

 

「うぁぁあ!!」

 

悟空はそのまま吹っ飛ばされ地面に激突するが

すぐに巨大な氷の塊とともに浮上しそれを投げつける。

 

「だりゃあ!!」

 

13号は容易く受け止めて破壊し上へと上昇する悟空の足を掴む。

 

「っく!」

 

「流石だな…俺の一撃をまともに喰らってまだ生きているとは…。」

 

13号はニヤリと笑うと悟空を掴んだまま共に氷の砕けた湖の中に入っていき

そのまま放して攻撃に転じる。

一撃目の右ストレートを悟空は腕でガードするが2撃目を腹に3撃目を背中

4撃目を頬を喰らって最後にボディブローからの気弾で再び空中へと打ち上げられる。

 

悟空は僅かに距離を保とうとするが

 

「無駄だ!S.S.デットリーボンバー!!」

 

13号のどこまでも追跡してくる気弾が放たれ、それを避け続ける悟空であったがついに壁に追い込まれ、悟空は両手を前に突き出し受け止める体勢をとる。

 

「受け止める気か?その技には星なんぞ簡単に破壊できるだけのエネルギーがあるのだぞ?」

 

13号のその言葉に嘘はなく、ジリジリと悟空は追い詰められていく。

更に悟空は自らの力がうまく入らなくなっていくのを感じ取る。

同時に心臓の違和感が痛みへと変わり、その気弾に押し潰されそうになる。

それもそうだろう。ただでさえ寒い気温であるのにも関わらず駄目押しに冷たい湖の中に入り大幅に体温が変化したのだ、体温を取り戻そうと心臓は更に活発化しその結果、ウイルスが増幅し心臓病が発症したのだ。

 

(こ、こんな時に……オラの心臓…もうちっとだけ我慢しててくれ……!!)

 

しかし、悟空は次第に追い詰められ、いよいよ限界になった瞬間。

 

「はっ!!」

 

ベジータがその気弾を弾き飛ばし、上空で爆発させる。

 

「どうしたカカロット!!貴様はその程度の技で……ちっ。」

 

ベジータは悟空を叱責しようとするが悟空の顔があまりにも青ざめている事から何かただならぬ事があった事に気づく。

 

「へ、へへ…すまねぇ、ベジータ。」

 

程なくしてトランクスも悟空に合流し、その顔を見て最悪の予想が当たった事を感じとる。

トランクスは苦い顔をしながらも悟空を安全な場所に連れて行こうとする。

ベジータはそんな悟空を見ることをせずに13号と対立する。

 

「貴様はもう下がっていろ、俺の戦いの邪魔だ。」

 

「14号と15号はやられたか……。」

 

「ふん!あんな雑魚、このベジータ様の敵じゃない!…そして貴様もこのベジータ様の手によって始末されるのだ。」

 

「くっ……クッハハハハハ!!」

 

ベジータが啖呵を切ると13号は突然笑い出す。

その笑いにつられるように14号と15号のあるパーツが空中に浮かび13号へと

取り込まれようとする。

 

「!させるか!!」

 

それに気付いたトランクスが反射的にそのパーツを攻撃するが、謎の赤い光に包まれたそのパーツはトランクスの攻撃を完全に無効化し13号の脳、そして胸付近に飲み込まれていく。

 

「ハハハッ……グッ!?ナ、ナンダ……オオオオオ!!!」

 

笑いながらそのパーツを取り込んだ13号だったが突然その場所を掻き毟り始める。

その間にも13号の身体は青に染まり、目は赤くなり、体格は更に強靭となっていき上着はバラバラになる。

 

やがて掻きむしるのをやめた13号から白と黒が混ざったおぞましい気の奔流が流れ出す。

 

「……ソンゴクウ……ソン!ゴクウゥゥゥゥ!!」

 

そして、13号は暴走したかのように気を解放させる。

 

「ちっ!!はぁぁぁぁぁ!!!」

 

ベジータはその気の大きさから出し惜しみをしている場合ではない事を本能で悟り、超サイヤ人へと変身。そのまま13号へ殴りかかる。

だが、その拳の連打を合体した13号は物ともせずにベジータの両肩を掴んでそのまま降下する。

 

「なっ…!!くっ……!!」

 

ベジータはなんとかそれを振り解こうとするも抜け出す事が出来ない。

 

「ベジータさん!!」

 

悟空を運んだトランクスがベジータを救出せんと超サイヤ人となり剣で斬りかかろうとするも、合体13号は見向きもせずにエネルギー波でトランクスを吹き飛ばし、トランクスはそのまま氷壁へ。ベジータはそのまま地面へと激突。

追撃と言わんばかりのエネルギー波で別の氷壁に吹き飛ばされる。

 

が、そこはサイヤ人。

フラフラになりながらも両者起き上がる。

 

「くそったれ……!!なんだ、奴の急激なパワーアップは……くっ!」

 

「くぅ……つ、強い。あの時以上に……!!」

 

だが合体13号は2人のトドメを刺そうとはせずに真っ直ぐ悟空の元へ向かっていく。

悟空はそれを痛む心臓に耐えながら、ぼやける視界の中で認識するが体が言う事を効かない。

 

「悟空さーーーん!!」

 

トランクスが咄嗟に悟空を守ろうと飛ぶがもう間に合わない。

悟空がこの豪腕を喰らいそうになった次の瞬間。

 

「………!!」

 

「グゥ!!?」

 

「はぁぁぁぁ!!」

 

「ッ……!!?」

 

何者かが横から合体13号の顔面を蹴りぬき、トランクスより先に追いついたベジータが全力で怯んだ合体13号の顎を殴り抜けそのまま転がっていく。

合体13号はそのまま体勢を崩して倒れこむが直ぐに起き上がり再び悟空へ迫るがその間を男が立ち塞がる。

 

「オ、オメェは……?」

 

その男の正体はタイムパトローラー。

彼は街を歴史よりも早くに襲おうとしたある人物を撃退した後。

トワの魔術によって強化された19号をピッコロと共に倒し、そのままこの戦場へ参戦したのだ。

 

「っ!!」

 

タイムパトローラーはそのまま超サイヤ人……否、正確には超サイヤ人と超サイヤ人2の間…簡単に言えば超サイヤ人1.5へと覚醒し合体13号に向かって構える。

 

「オ、オオオオオ!!!!」

 

合体13号は暴走する中、最も孫悟空殺害の障害となりうるのが眼前に立つ男だと判断しそのまま襲いかかる。

 

「くそったれ…カカロットは……俺のものだ!勝手に手を出すなぁぁぁ!!」

 

「……貴方が誰とは聞きません!今は共に戦いましょう!」

 

「……。」

 

トランクスの言葉にタイムパトローラーが頷き

その突進をタイムパトローラー、ベジータ、トランクスが迎え撃つ。

 

その様子を見た悟空は彼らの為に自分が何を出来るかを本能で感じ取り

 

「……奴を倒せるのはアレしかねぇ……!!頼む、オラの身体……もうちょっとだけ動いてくれ……!!」

 

心臓の痛みに苦しみながら這う這うになりながらも体を動かして少し離れた場所で無理矢理立ち上がり両手を上に上げた。

 

♠︎

 

合体13号とタイムパトローラーの拳がぶつかり合う。

 

「ウ、オオオオオ!!」

 

「……!!!」

 

少しのせめぎ合いが起きるが更に気を増した合体13号が勝り、タイムパトローラーはそのまま後方へと殴り飛ばされる。

 

「だだだだだだだだだ!!!」

 

「ヌゥ……!」

 

それを追撃しようとする合体13号だったが、ベジータの気弾の連射によって視界と同時に地面の氷を破られ現れた水面に落下する。

しかし、水中からベジータへと接近し背後に立つ。

 

「なっ!し、しまっ……うぉぁぁぁ!!?」

 

そして、ベジータの両肩を掴んで力のままに締め上げ、更に背骨をへし折らんと自らの膝にベジータの背中を叩きつける。

 

「ァァァァ!!?この……ガラクタがぁ!!」

 

背骨と両肩をやられたベジータだが、超サイヤ人になっていたお陰で意識ははっきりしており爆発波で合体13号を弾いた後、超サイヤ人が解除されそのまま気絶する。

 

「だぁぁぁ!!!」

 

弾き出された合体13号をトランクスが突進し剣を振り下ろすが2撃防がれ

3撃目で剣先が折れてしまい、そのボディブローをまともに喰らってしまうが

 

「魔閃光ーーー!!」

 

合体13号が追撃に腕を伸ばしてエネルギー波を放とうと超近距離になった瞬間魔閃光を放つ。

が、晴れた先には無傷の合体13号。

唖然としたトランクスに追撃のエネルギー波が直撃する。

 

「ハァァァァァ!!」

 

そのまま叫び声を上げながら飛ばされていくトランクスを確認しベジータを始末せんと下を向いた合体13号はふと巨大な影がある事に気付く。

 

だが、それを確認する前にタイムパトローラーが背後から合体13号の腰を掴んでジャーマンスープレックス。

 

「ヌゥ!??」

 

「……!」

 

頭から激突した合体13号ではあったが無理矢理起き上がって、肘打ち。

そのまま両腕で叩きつけようとするが、それはタイムパトローラーの両腕の防御で塞がれる。

だが、ここで合体13号はフェイントをかけていた。

あえて、この攻撃をガードさせる事で腹への膝うちを防御できなくしていた。

その攻撃を喰らったタイムパトローラーはもう一度繰り出される両腕の攻撃が首に直撃し倒れ込んだ所、顔面を踏みつけられる。

 

合体13号はそのまま踏み潰そうとするが、先程の影が比べ物にならない程

大きくなっているのに気付き咄嗟に上を向く。

 

そこには、クウラの時よりと同等とはいかないもののそれでも充分な元気玉を創り終えた悟空の姿。

 

だが、何を思ったか悟空はそのままの状態で超サイヤ人化する。

その瞬間、悟空の心臓の痛みは更に増し、まるで心臓に剣でも突き立てられているような痛みにまで増幅する。

 

だが、悟空はそれでも襲いくる激痛に耐え抜き、元気玉の気を自らの体に取り込み始める。

元気玉は青から金へと変わりそのまま、悟空の体内へと流れこんでいき

やがてその気は大きくなり周りを呑み込んでいく。

 

その光景を見た合体13号はタイムパトローラーを蹴り飛ばし、そのまま悟空へ向かっていき右腕で殴ろうとするが。

 

「オ、オオオオオ!!?」

 

逆に右腕が崩壊し、今度は左腕で殴ろうとするも再び崩壊していく。

 

「ククククゥ……!!!」

 

合体13号が見上げればそこには鬼神のような表情で怒る悟空。

完全に圧倒された合体13号は後退るが

 

「ソン、ゴクウ……!!」

 

「うぁりゃあぁぁぁぁ!!!」

 

全てを込めた悟空の一撃が合体13号の心臓を貫通させ

 

「ソンゴクウゥゥゥゥゥゥ!!!」

 

そこから流し込まれた悟空の気により合体13号は発光。

その後、完全消滅した。

 

それを確認した悟空は気絶しそのまま落下するが

 

「……。」

 

タイムパトローラーによって回収され、暖かい毛布が掛けられる。

そのまま、ベジータ、トランクスも同じ場所に置きその時空から消え去る。

 

そして、悟空達は駆けつけたピッコロとクリリンによって直ぐさま安全な場所へと運ばれ、悟空は特効薬を飲んで穏やかな眠りにつき

トランクスは念の為この時代に残る事にし、ベジータは目を覚ますとピッコロに状況の説明を求めた。

 

そこで聞かされたのは人造人間17号と18号の起動。

完成されていなかったはずの13号達。

そして、僅かしか感じ取れなかったが複数の気が複合した謎の気。

 

ーー何が裏にいる。

 

そんな予感をベジータはどうしても拭えなかった。

 

そして、数日後。

 

ジンジャータウンの人間が丸ごと居なくなったのを機にナニカが動き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




紹介コーナー

・悟空
原作よりも酷い条件の中辛勝を抑えたのち
心臓病の治療の為先ずは体の治療中

・ベジータ
合体13号の件以来、何かの存在を感じ取っている。

・トランクス
狂い始めている今を見捨てる事が出来なかった。
現在へ残り、尽力する。

・ピッコロ
決意を固めた。

・人造人間17号、18号
今作では18号は未戦闘、代わりに17号がまとめて蹴散らしたものの服がだいぶボロボロになったので行き先は変わらない。

・??
行動開始。

・タイムパトローラー
これから更なる激務が待っている。頑張れ。

・トワ
キリが大分集まった、今回も勝利。

・フリーザ
部下の大特訓実施中。

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