ドラゴンボールF   作:月日火

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複合した悪夢

住民集団失踪と題されたニュースが報道されてから少し。

ピッコロは件の街へとその足を延ばしていた。

報道通り人1人として存在しない街は木枯らしが吹き、辺りには服が散乱している。

 

「……。」

 

ピッコロはある場所から僅かな気を感じとり、それが前にも感じた不思議な気である事を察する。その方向へ振り向けば小太りの男の襟を掴んだ緑のバケモノの姿。

 

「何者だ。貴様は?」

 

「……。」

 

ピッコロがそのバケモノに尋ねるもそのバケモノは答える様子も無く

ただ、ピッコロを見つけた小太りの男が手をジタバタさせながら金を取り出し必死に助けを求める声だけが無人の街に響き渡る。

 

「…放してやれ、そんな奴でも命は命だ。」

 

ピッコロがそう告げると、バケモノはその男から手を離す。

だが、男が数センチ離れた瞬間。

 

「はう!!」

 

男の背中を尻尾で貫く、尻尾は何故か脈拍をうち

 

「あ……あ……。」

 

それに伴い、男の血液が、骨が、肉体が溶け落ち、やがてこの世から完全に消え去る。

 

「な……!?」

 

驚愕するピッコロにバケモノがようやく口を開く。

 

「…次はお前がこうなるんだ…ピッコロ大魔王。」

 

「…な、何!?」

 

「ヌオオオオオオオ!!!」

 

バケモノはそのまま、気を高め始めその街の大気が激しく振動する。

しかし、ピッコロが驚いたのはピッコロ大魔王をこのバケモノが知っている事では無い。

 

そのバケモノから感じる気に驚いたのだ。

バケモノが放っているのは、よりによって己の気。

それだけでは無い。悟空、悟飯、ベジータ、トランクス、コルド、クウラ、ターレスといったピッコロがよく知っている気に加えて

 

(だ、誰だ……!!誰なんだこの気は……!!)

 

この世界のピッコロが知るはずも無い気であるガーリックJr、ハッチヒャックといったそうそうたる気が複合し混ざり合った気がそこにはあった。

 

「な、何者だ貴様…。」

 

「はぁぁぁ……俺はお前の兄弟だ…ピッコロ大魔王よ…。」

 

「何!?」

 

そう告げたバケモノは更に気を高め始める。

その気は当然、カメハウスにいる悟飯やクリリン、そしてカメハウスで静かに眠る悟空。

その気を察して今まさに向かおうとしているトランクスとベジータもそれを感じ取る。

 

「……どういう事なんだ…何故、皆の気があんなにも……急がなくては!!」

 

「……どうなってやがる!この俺様の気だと…!?チッ!」

 

そうして彼らは更にスピードを上げ、ジンジャータウンへと急ぐ。

 

ピッコロはそんなバケモノへと尋ねる。

 

「おい!貴様の正体は何だ!話すんだ!詳しくな!」

 

「…その必要はない。お前は直ぐに私の食事になるからだ。」

 

「…なるほど、話すつもりは無いか。…ふっ。」

 

バケモノはその質問を殺害宣言によって答えるが、ピッコロはそれを聞いて口角を上げる。

 

「……何がおかしい。」

 

「いや、貴様が答えないならこちらも何も聞かずに貴様の息の根を止めてやろうと思ってな。」

 

「フハハ…ピッコロ大魔王が私を殺すつもりか?」

 

「貴様は何故だかピッコロを知っているようだが……はぁぁぁ……!!」

 

ピッコロが気を高め始める。だがそれは今までのピッコロとは遥かに格が違うもの。

そして気の質ですらも彼自身とはまるで別人のような洗練さ。

大気が揺れ動き、地面は歪み、空気が紫電を起こす。

 

最早、今の彼はピッコロであってピッコロでは無い。

 

「残念だったな……人違いだ。」

 

この場に立っているのは神と融合し、1人に戻ったただのナメック星人である。

 

そう、ピッコロはここに来る前に神の下へと出向き彼と同化を果たしていた。

つまりは今の彼こそが本当の意味での彼なのだ。

 

「何……貴様はピッコロ大魔王では無いという……そういう事か。」

 

だが何故かバケモノは彼の変化に納得し、笑みを深める。

それは己の得られるエネルギーがより素晴らしいものになったという歓喜。

 

だが、ピッコロはその全てを無視し右手の気を集約させ

 

「ハァァ!!」

 

そのまま放出。バケモノは咄嗟に両腕をクロスさせ防御の体勢となるがその気の奔流を受け止めきれずに吹き飛ばされる。

 

そのまま、その気の奔流は街を軽々と消し去り、ピッコロの身体からは紫電が迸る。

 

その気の圧は瞬く間に地球の戦士たちへと伝わり、その振動は遥か遠くをドライブしていた人造人間17号達にも伝わる。

 

そんな気の受けたバケモノだったが直ぐに立ち上がり、真っ正面を見つめる。

だが、バケモノが瞬きをした次の瞬間にはピッコロは己の眼前へと迫っており

咄嗟に拳を突き出すが、背後を取られそのまま背中に蹴りを喰らう。

 

「ヌオォ!!?」

 

飛ばされたバケモノは立ち上がりバックステップで後方へと退避するが

ピッコロはそのスピードの上をいき、三連蹴りからの蹴り上げでバケモノを打ち上げる。

 

回りながら落ちていくバケモノを追跡するピッコロだが

 

「ぶるぁぁぁぁ!!!」

 

バケモノの咆哮によりほんの一瞬だが停止して攻撃に移れず

そのままバケモノは空へと浮かび2本の指を額に当てて、気を集中させる。

 

その構えにピッコロは見覚えがあった。

 

「ま、まさか……!!」

 

「ぬぉぁ!!」

 

バケモノが放ったのはピッコロの技である魔貫光殺砲。

一瞬、それに硬直するピッコロだが

 

「ぬぇい!!」

 

右腕でそれを弾き飛ばし、飛ばされた魔貫光殺砲は近くのビルを貫通しそのまま爆発を起こす。

 

「あ、あれは俺の……むっ!」

 

一瞬思案するピッコロだったが、その暇も無くバケモノは接近し

空に浮かびながら両者は攻防を繰り返すも

その僅かな攻防はピッコロが制しバケモノの拳を躱してそのまま顎を蹴り上げ無防備になった胴体にエネルギー波を直撃させ地面へと激突させる。

 

ピッコロはそのまま地面へと着地しバケモノの前へ立つ。

 

「そんな程度か?貴様をとてつもないバケモノだと判断したのは勘違いでは無いはずだ。」

 

バケモノはそれにニヤリと笑い首を左右に倒す。

 

「やるではないか。いくら私が完全体では無いと言ってもな。」

 

「完全体…貴様その為に人間を襲って!!」

 

「生体エネルギーとして頂くのだ。」

 

バケモノの言葉に怒りを震わせるピッコロは声を荒らげる。

 

「答えろ!貴様をこの時代に送り込んだ協力者は誰だ!!」

 

「ぬぅ…?」

 

セルはその言葉に僅かに首を傾げるが直ぐに笑みへと変わる。

 

「貴様の仲間か!!」

 

「私を送り込むのに協力してもらったのはある女だ……といっても私も奴の正体は知らないがな…それにしても何故私が別の時代から来たとわかったのだ。」

 

「貴様のような特殊な気の持ち主なら、俺でなくても誰かが確実に気づく!だが、今まで貴様の存在など神殿からですら見る事は無かった!ならば貴様はどこか別の時代から来たと考えるのが妥当だろう!!」

 

「くく……なるほど。流石の洞察力だ、感心するぜ……だがぁ、こういう事まで見切れなかっただろう?」

 

バケモノはピッコロにとって、否この地球にいる戦士ならば誰でもわかる構えを取る。

 

「ま、まさか……!?」

 

「まさかこれは……カカロットの…!?」

 

そのバケモノの気の上昇を感じ取ったトランクスとベジータ

そして間近でその構えを見たピッコロもそれに驚愕する。

 

「か……め……は……め!!」

 

「なっ……!!?」

 

「波ぁぁぁぁ!!!」

 

バケモノが放ったのは、悟空の得意技であるかめはめ波。

迫り来るエネルギーと停止していたピッコロは咄嗟に上空へ回避するが

爆風に紛れたバケモノの四肢に体を拘束されてしまう。

 

「なっ……!!く、このっ!!」

 

ピッコロは必死に抵抗するが解けることも無く。

 

「命は貰ったぞ!!」

 

バケモノの尻尾がピッコロの心臓へと迫る。

だが、ピッコロは体を動かしその尻尾はピッコロの左腕へと突き刺さる。

 

「ぐぉぁぁぁ!!!」

 

「ちっ!…まぁ結果は同じだ。貴様の潤沢な生体エネルギーは貰っていくぞ!!」

 

バケモノの尻尾が脈動し、ピッコロの腕が次第に干からびていく。

その腕が完全に干からびる前にピッコロはバケモノへの顔面へと頭をぶつけよろめさせ、何とか脱出するもその腕は既に使い物にすらならない程に変色していた。

 

「ふっふっふ…!何とか脱出できたようだが…片腕を失ってはどうやら優劣が逆転してしまった様だな…そして!!」

 

バケモノの気がピッコロのエネルギーのお陰で更に増大する。

いや、寧ろ取り戻していっていると言った方が妥当だろう。

何がハマっていっているようなそんな感覚をピッコロは感じ取った。

 

「確かに!これではバランスが崩れてしまい優劣が逆転してしまった!残念だ……!!」

 

「クククッ!流石の貴様でも諦めざるを得ないようだなぁ。だが喜べ!貴様の僅かなエキスでこれだ!貴様を完全に取り込めば私は完全にかなり近くだろうなぁ!!」

 

「………完全体だと!?」

 

「この私の役に立つのだ、嬉しいだろぉ?」

 

「…そうか、貴様に完全に吸収される前に教えてくれ!貴様は一体何者なんだ!!」

 

ピッコロは苦悶の表情をしながらもバケモノの正体を尋ねる。

バケモノは多少、思案するもすぐに回答する。

 

「いいだろう。どうせ死ぬのだ教えてやろう!私の名はセル。人造人間だ。」

 

「人造人間だと!!……またDr.ゲロって訳か。」

 

「お察しの通り、私の製作者はDr.ゲロだ。…その昔、ゲロは多くの戦士達の細胞をかき集め合成させた究極の戦士を創ろうとしたが…そのあまりの難解さに断念し、途中で私の研究を打ち切った。」

 

「だが!コンピュータはなおも稼働を続け細胞を取り込み続けた。ベジータとの戦い、クウラとの戦い、そして……まぁこの先は説明は不要だろう。貴様らはどうやら私以外の未来の戦士を知っているようだしな。…大方、トランクスだろうが。」

 

「馬鹿な……!!あの戦いには怪しい奴などどこにも居なかったはずだ!!

それにトランクス…?何故貴様の口からトランクスの名が出る!」

 

「貴様らの行動は全て!スパイロボットが監視していたのだよ。そしてトランクスは私と同じ時空の戦士だ…貴様の時代という言葉が無ければ私も気付かなかったがな…。」

 

セルは背後を指差し、ピッコロはそれを見る。

すると、蜂のような小さなロボットが小さな電子音ともに見えてくる。

 

「そら、よぉく見てみるがいい。今もロボットはいて貴様と私の戦いのデータをコンピュータへ送っているぞ?いや、もしかすると貴様の細胞を欲しがっているのかもなぁ?」

 

「く、くそったれ!!」

 

ピッコロはその怒りのまま右手でエネルギー波を放ちスパイロボットを完全に消滅させる。

 

「グッフッフ…!今頃破壊しても遅いぞ…?既に必要な細胞を集めゲロのコンピュータにより私の研究は進められている筈だ。尤も私が完成するまでに後20年かそこらはかかるがね。」

 

「貴様をこの時代に連れてきた女というのは一体何者だ!!」

 

「さてな、私も詳しい事は聞いていない…ただ、私がここにいた方が好都合だとは言っていたな…さて、質問は以上だ。そろそろお前を頂くとしよう。」

 

「最後の質問だ!!女が貴様を連れてきたのは分かった!!だが、何故この時代に来る必要があったのだ!!」

 

「私の完成体には大量の人間生体エネルギーでは足りんのだ!2つの特殊生命体を吸収しなければなぁ。…そいつらのはゲロが創り出した人造人間17号と18号。…だが、私の時代では奴らはある奴に破壊され私の夢は潰えかけていた。しかし、その時女が現れ私をこの時代へと連れてきてくれたのだ…。」

 

「…そして、私を創り出したコンピュータはこう言った!私が完全体になれば想像を絶する究極のパワーが手に入るとなぁ!!」

 

「何故だ!!何故そこまで究極のパワーを手に入れようとする!」

 

「何故だと?つまらん事を聞くな…コンピュータは私を究極にしようとインプットされていたのだ!……奴以上の力になるように。それとも…私の中に流れる

サイヤ人やクウラ、ピッコロの血が私に強くなれと叫んでいるやも知れんなぁ……もういいだろう、そろそろ貴様を吸収し私は更なるパワーを手に入れるとしよう。」

 

「……ふっ。そうか、助かったぜ。お陰で謎は粗方解けた…ふん!」

 

セルの回答を全て聞いたピッコロは自らの腕を引き千切るとそのまま新しい腕を生やす。

 

「……し、しまった!!」

 

ピッコロは新しい腕の調子を確かめ悪どい笑みを浮かべる。

 

「随分と参考になった、貴様を完全体にさせる訳にいかん。しかし貴様、俺の血を引いている割には腕の再生に今まで気付かないとはドジだったな。…そして…ゲームオーバーだ、セル!」

 

ピッコロが指を上に向け、セルも上を見ると。

 

「なんだそのバケモノは…説明してもらうぞピッコロ!」

 

「な、なんなんだこいつは……。」

 

ベジータとトランクスが上空におり、それに続くようにしてクリリンや天津飯もこの戦場へと駆けつける。

セルは己の不利を悟るも余裕の笑みは崩れない。

 

「ふ、フハハ…!!どうやら今回はここまでらしいな。だが…貴様も私が誰の血を引いているのかもう忘れてしまったようだな?」

 

セルは地面へ気弾を叩きつけ、爆風をだして上空へ浮上。

セルの意図に気付いたのは天津飯。

 

「……!!み、皆目を……!!」

 

「遅い!太陽拳!!」

 

太陽の光がその場にいる全員の視界を奪う。

そして、視界が戻った先にはもうセルはおらず

セルは既に遠くへ離れ、そのセルの近くにいたラグビーチームの生体エネルギーを吸収していた。

 

(これは…少し急がねばならんかもな。)

 

一方でセルを逃してしまった事への怒りでピッコロの気が荒れ狂う。

 

ベジータはここへ来る際に感じた気がピッコロである事に気付き、驚愕する。

 

(ば、馬鹿な……奴のこの急激な戦闘力は一体なんだ!!この気は13号とかいう野郎の合体した時の圧と同じ……いや、それ以上か!?ど、どうなってやがる!!)

 

「おい、ピッコロ!!貴様のそれと今の奴!!どういう事がきちんと説明しやがれ!」

 

「良いだろう、全てを話そう。」

 

そうして語られる人造人間セルの正体と目的。

そして、背後につく謎の女。

 

ベジータはどんどんと抜かされていく超サイヤ人の姿を見て、怒りを滲ませる。

ピッコロとベジータの実力の差は前まではかけ離れたものだったが今ではピッコロの方がパワーは上。

更にそのセルという奴がサイヤ人の血を引く以上これからどんどん実力を伸ばしていくのだろう。

 

(頭にくるぜ……なぁ、カカロットよ…!!)

 

混沌とした地球はセルという存在により更なる展開を迎える。

 

――勝利は果たして誰に微笑むのか。それは誰にも分からない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




紹介コーナー

・悟空
夢の中

・ベジータ
人造人間13号戦のお陰もあり、実力はピッコロに僅かに劣る程度ではある。
が、セルとやらの存在が気にくわない。

・トランクス
未来にそんな奴がいたなんて思いもしなかった。
てっきり、ブロリーが破壊しているものかと。

・ピッコロ
新生神コロ様。
実力は更なる成長を遂げたが、果たして。

・セル
未来の細胞を粗方集めた究極の生命体。
因みにヒルデガーンの細胞はない。
というか、細胞があるのだろうか?
完全体となりある事を成し遂げるために現代へ。

・トワ
更なる暗躍へ

・フリーザ
自らのロボットは破壊されなかった。

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