極光が晴れた先にベジータ達の姿は無かった。
「フハハハハハ!!!シンダ!シンダ!!」
サイヤ人が死んだ事を歓喜し嘲笑を上げるベビー。
「……なんだ、あの…威力は……!!?」
「……危なかった…!!」
だが、実際にはベジータ達はギリギリのところで何とか上空へと回避し、気を消していた。
2人がいた位置へと通過したベビーの極光は地を焼き、その熱量により地面が紅く溶けている様子を目視しベジータ達は戦慄する。
もし、あの一撃が直撃していたら。
その結末は言うに及ばないだろう。
ベジータはふと隣のトランクスを見る。
別の未来から来た自分の息子だと精神と時の部屋で明かされてからあの部屋で
1年修行してからどうにも、己の調子を狂わせるガキ。
しかも、そいつの目的は未来を救う事だと言う。
…馬鹿馬鹿しい。守る、救うはサイヤ人のすることでは無い。
サイヤ人とはただ戦い、滅ぼし、そして死ぬ事こそが生きる意味に等しい
人種だ。
だが、ベジータはどうにもトランクスを嫌悪する気にはなれなかった。
どうみても自分とは反対の思考を持つ、このガキが。
…あのやかましい女と重なり、自身の嫌悪感を払っていく。
ムカつくガキだ。だが、それ以上にムカつくのは。
…トランクスを息子と認めている自分がいる事だ。
「おい、トランクス。」
「な、なんでしょう。」
「貴様はさっさとあっちに戻れ。戦いの邪魔だ。」
「……その体じゃ、いくらなんでも無茶だ。」
トランクスは自らを追い払おうとする父の体を見る。
体は真っ赤な血に染まり、いくつかの骨が砕けているのかその体勢には危うさがある。
対する自身も骨は砕けさえすれ、明らかに父よりは軽傷だ。
なのに何故、父は自らを追い出そうとするのか。
悩みこむトランクスをベジータは訝しむが直ぐに元の態度に戻る。
「……おい、何を思っているのか知らんがさっさと消えろ。」
「……できません!」
ベジータの通告にトランクスははっきりと否を唱える。
それにベジータは静かに激昂する。
「…トランクス。貴様は何のためにここにいる?」
「それは、この現代の手助けになればいいと……。」
「貴様の戦場はここだったか。…貴様が戦うべき相手はあのバケモノか?」
「そ、それは……。」
トランクスは僅かに動揺する。
何故、父が怒っているのかが分からない。
どうして今になってそんな事を言い出すのか、しかしトランクスはベジータの言葉にあの未来を思い浮かべた。
その動揺は確実にベジータに伝わる。
「違うだろう…ならさっさとここから失せろ。あのバケモノはこの俺1人で倒す。」
「……出来ません!!」
「聞き分けのできんガキめ……!!このベジータ様の実力が信じられんのか!?それに貴様には元々ヤツは無関係な存在でこれはサイヤとツフルの問題だ!!本来ならば貴様が戦う相手では無いのだ!」
「出来ません!!」
「何故だ…!!」
ベジータはトランクスを追い出そうと必死になるが、トランクスはその全てに否を唱える。
その目にはいつのまにか涙がたまっていた。
それに気付きながらもベジータはその理由を問う。
「……もう、俺は置いて逝かれるのはごめんです!」
トランクスは2人の師を思い出す。
ブロリーから逃がすために身を犠牲にした最初の師匠であるピッコロ。
自分に希望を託し、その身を散らした兄弟子であり、第2の師匠である孫悟飯。
2人とも自分を生き残らせるために犠牲になった。
そうして、今も確証は無いがベジータもまた己を逃がそうと下手な芝居まで使って追い出そうとしている。
…それがトランクスのトラウマを確実にえぐった。
トランクスは思う、もう何かを託されたくは無い。ましてや命まで使ってくれる相手からもう無様に目を背けたくない。
トランクスとて、大きくはなっても父を知らなかった子ども。
それが更にトランクスが必死になって止まろうとする楔になっているのだ。
ベジータはその目を見て、やはりこいつはサイヤ人ではないと確信する。
同時にこいつはてこでもここから動かそうにもない事も。
ベジータは溜息を吐き、自分の甘さに反吐を吐きながら
トランクスに諦めとともに吐き出す。
「……勝手にしろ。だが、俺はお前が死んでも何も思わんぞ。」
「……はい!」
そして、ベジータ達は未だ笑い続けるベビーに向かって気弾を放ち、それはベビーに直撃する。
「グゥゥ!!?マダ、イキテイタカ!!?」
ベビーは当てられた方向を目視しベジータ達を発見する。
そして超スピードでベジータ達へと接近し、殴りかかるが
ベジータ達はそれを悠々と回避し、今度はラッシュでは無く堅実にしかし
確実にベビーの肉体にヒビを入れ続ける。
当然、気に入らないのはベビーだ。
ベビーのラッシュは先程ベジータ達を苦しめた速度へと変化していくが
それはベジータ達の気弾が視界を潰すことによって阻止される。
「ガァァ!?」
そして、ベジータ達は二手に分かれ
纏めてでは無く今度は個人で多方向から攻め始める。
トランクスが殴り、ベビーに掴まれればベジータが気弾の乱射によって阻止。
ベビーが今度はベジータの気弾の嵐を潜り抜け接近すれば、トランクスが背後から蹴り飛ばし、ベジータが追撃する。
「どうした!?動きがのろいぞ!バケモノめ!!」
ベジータが挑発するとベビーの怨嗟が体から漏れ出し、それと同時にベビーは
腕をクロスさせる。
先程と同じように光が集約しはじまる。
ベジータはあえてそこから動かず、ベビーのタメ時間を数え始めた。
(1.2.3.4.……13!!)
「オオオオ!!」
ベジータの計算通りの時間でベビーは自らの大技を繰り出す。
当然、ベジータは回避し隙が生じたベビーの背後に回って蹴り飛ばす。
そこにはヒビが入るが、ベジータが見る限りではそのヒビは完全に直るのは通常に比べて遥かに遅かった。
その情報をベジータは見逃さない。
「なるほど…貴様はあの技を撃った後一瞬だが、再生力が衰える訳か!」
「サイヤジンンンン!!!」
その事を知られたからなのか否か、ベビーはトランクスを無視しベジータのみを執拗に狙い始める。
しかも、先程とは違い動きに一切無駄が無い。
ベジータの傷ついた場所や骨折部位だけを的確に狙い撃ち、ベジータの傷は着実に増えていきそれに比例するように出血量も増える。
「父さん!!」
トランクスがそれを阻止しようとベビーの背後を何度も殴りつけるもベビーが怯む事は無いままベジータへ攻撃を続け、出血と骨折の痛みでベジータの意識はどんどん暗闇へと堕ちかける。
「サイヤ人を……舐めるなぁ!!」
だが、サイヤ人のプライドがベジータの力と意識を押し上げベビーの猛攻を少しずつだが押しのけられるようになっていく。
つまり、戦いの中での極限状態においてベジータは更なるステージへと足を踏み入れつつあるという事。
ベビーは段々と確実に自身の攻撃を防ぎ始めるベジータに怒りを覚え、怨念の力により更にその気は禍々しくなるが、ベジータの成長は確実にベビーへと近づき始めていた。
やがて、完全にベジータはベビーの攻撃を捌き、その成長に驚くトランクスも
ベビーへの攻撃へ改めて転じる。
ベビーの攻撃が全く当たらなくなると同時にベジータ達の攻撃は着実に通じるようになりベビーのヒビの直るスピードが少しずつ長くなっていく。
ベビーはその事に理性なくとも大層怒りを覚える。
何故、自身よりも下等生物で実力も劣るサルがここまで食い下がっているのか。
ここでベビーに理性があったならば、話は違ったが最早彼は狂気だけで
復讐するモンスター。
そんな理由よりもサイヤへの怒りが勝り、遂にベジータとトランクスの腕へ全力の拳がヒットする。
ベジータは骨が飛び出して剥き出しになるのを見ながらも余裕の笑みを見せ
苦悶の声も漏らさず、ただ傲慢に不敵に笑いながらベビーを睨みつけ挑発する。
「貴様のパンチなどこの俺には効かん……さっさと自分の星にでも帰ったらどうだ?」
「……コロスコロスコロス!!!」
ベビーはその言葉に完全に激昂。
空高く舞い上がり、腕をクロスさせる。
「……来たか。おい、トランクス!俺の息子ならわかっているな!」
「はい!」
ベビーの腕に気が集約されていく。
その気は今まで撃ってきたのとは格が違い、ベビーの体が気に負けてひび割れるほどに増大していく。
それは、文字通りの全身全霊。
ベジータ達も来るべき、その時の為に気を高め続けある体勢を取る。
それはかつてベジータがこの地球を滅ぼすために使った技。
「チキュウゴトキエロ!!リベンジャーカノン!!」
「「ギャリック砲ーーー!!!!」」
リベンジャーカノンと2人のギャリック砲がぶつかり合り、閃光があちこちで爆発を起こす。
「ぐぅぅぅ!!」
だが、ベジータ達の力ではベビーの怨念には敵わないのかジリジリとリベンジャーカノンはギャリック砲を押し返し始める。
「このままでは……!!」
「もっと……気を上げやがれ!!」
ベジータ達は残された力の全てを出しきりながらもしかし、ベビーのエネルギーの前では未だ足らず、ついにリベンジャーカノンはベジータ達の目先にまで追い詰められしまう。
しかし。
「……やはり、ですか。仕方ありませんねぇ。」
そんな声がベジータの耳に入った瞬間、ベジータ達の気が更に増幅する。
「こ、これは!?」
「……ちっ!!」
思わぬ相手からの助太刀に苛立ちを隠せないベジータだったが、与えられた気は想像以上であり、ベジータ達を更なるステージへと押し上げる足場となる。
その溢れんばかりの気を全身に巡らせ、リベンジャーカノンを押し返す。
「ガギギギ!!?」
「くたばり……やがれぇぇぇ!!!」
「はぁぁぁ!!!」
一瞬、ベジータ達の周りに紫電が走ったかと思えばベビーのリベンジャーカノンは完全に破られ、そのまま宇宙へと放り出される。
「マ、マダ……オレハ!!オレハァァァ!!!」
ベビーはギャリック砲に巻き込まれながら、怨嗟の声を吐き続ける。
しかし、その声も長くは続かない。
なぜならば、ギャリック砲はそのまま太陽へと直撃。
ベビーは太陽とギャリック砲との板挟みとなったからだ。
「オオオオ!!?サ、サイヤジンンンン!!!」
元々が機械の体であり、全身全霊の攻撃によって外面がボロボロだったベビーはその太陽の熱とギャリック砲に耐えきれず、バラバラになった挙句一欠片も残さずこの世から完全に、クウラのように復活する事も無い形で消滅した。
それを気で感じ取ったベジータ達は超サイヤ人が解け、そのまま倒れこむ。
「……礼は言わんぞ、くそったれ…。」
そう吐き捨てベジータは気絶。程なくしてトランクスも気絶する。
…そして、悟空とセルの気が地球から無くなったのはそれと同時だった。
この顛末を監視し、データを送り続けたメタルフリーザはベジータ達に簡易的な治療を施した後。
地球からそのまま惑星フリーザへと帰還せんと宇宙空間へと飛び出す。
その後、程なくしてセルが復活。自らの最強を証明せんと己に害する者全てを
地球ごと消し去る事を宣言。
悟飯を庇ってトランクスが犠牲となり、怒りに震えるベジータが再び超サイヤ人の壁を超えた事でセルにダメージが入ったものの傷だらけのベジータではセルを殺す事は叶わず、吹き飛ばされ。
「消えてろ!ベジータ!!」
セルからの追撃の気弾を間に入った悟飯が喰らい、左腕が使えなくなってしまう。
そして
「地球ごと消えて無くなれ!!」
「だぁぁぁぁ!!!」
超特大のかめはめ波同士がぶつかり合い、一時はセルが圧倒的に優位に立つものの、仲間達、そしてタイムパトローラーの援護もあり悟飯はなんとか耐えしのぐ。
だが、セルの力はより究極になった上でトワの魔術が込められたもの。
容易く、それらを跳ね除けるが。
「ビッグバンアタァァァクッ!!!」
ベジータの一撃がセルに直撃。
セルが一瞬だけ怯んだその瞬間、父の声で悟飯の気が爆発。
「そ、そんな……馬鹿なぁ……。」
セルのかめはめ波を容易く粉砕、セルは今度こそ核すら残らずに消滅。
ここにセルというの名の未曾有の恐怖、そしてサイヤとツフルの因縁もまたここに終結した。
皆が喜びに満ちてる中、ベジータとピッコロは疲弊するタイムパトローラーの前へと立つ。
「いい加減聞かせてもらうぞ…キサマは何者だ。」
「…いつも、ある時になっては突然現れ消えていく。…答えろ、一体何を追っていやがるのかをな。」
「………。」
黙り込む、タイムパトローラーだが、その時ベジータとピッコロの脳内に声が響く。
『それは、私から説明するわ。』
「…何者だ。」
その女の声は厳格に自らの正体を明かす。
『私の名前は時の界王神。全ての歴史を知る者よ。』
紹介コーナー
・セル
結局、届く事は無かった。
・悟空
次世代に後を託した
・悟飯
託された父の想いを決して忘れない
・ベジータ
地球に毒されている自分に嫌気が差す反面、息子と嫁に対して複雑な感情を抱き始める。そして、真相究明。
・トランクス
死亡、後に復活し未来へと帰還する。
・ピッコロ
同じく、真相究明。
セルが言った最後の謎をここで明かさせる。
・時の界王神
もう、限界。
・フリーザ
上記の元凶。