「あら…?気のせいかしら?」
コントン都。
そこは歴史を管理し、歴史改変といった意図的な物から正常な歴史を守護するための戦士達が集う都市。
その中でも最奥にあるのが時の巣。
ここには時の巻物と呼ばれる歴史の全てが書かれた書物が刻蔵庫に納められており、それを管理する時の界王神たるクロノアがその全てを管理している。
そんなクロノアの目には一瞬だけではあったが、時の巻物の色が一瞬だけ変わったように見えたが瞬きの内にそれは元の色に戻っていた。その為
クロノアはその事を不思議に思い、念の為その巻物を調べてはみたものの何の代わりも無いクロノアが覚えている通りの歴史であった。
その為、クロノアはそれを自らの勘違いと断定。
「…疲れているのかしらね。」
そうしてクロノアは休息の為、刻蔵庫から退出する。
それが、全ての始まりであり、終わり。
数刻後、クロノアが戻るといくつもの巻物にある変化が生じていた。
「な、何よ…これ……!!どうして…!?」
歴史改変…では無い。しかし、確かに歴史が変化している。
その特異点となっている存在は…フリーザ。
クロノアは戦慄する。
フリーザの存在はまるでタチの悪い伝染病のように歴史をどんどん変えていき
元の歴史とは段違いの速さで宇宙の星々を侵略、平定し。
遂にフリーザはこの歴史に無くてはならない存在となっていく姿。
そして。
「…嘘、トワに……トランクスも!!?」
ある歴史の中に歴史改変者である筈のトワだけでは無くタイムパトローラーである筈のトランクスさえ組み込まれていく。
最終的に全ての歴史がただ1人の存在の所為で完全に書き換えられ、修正は絶望的。
更に事態は加速し、時の巻物の1つに歴史改変が発生する。
よりによってそれは、フリーザとトワの会合にトランクスが現れなかったために起きていた。
歴史を守る者が歴史の改変の原因になるなど笑い話にもなりはしないとすぐ様トランクスをその歴史に派遣。
直ぐに歴史改変は収まったものの
「さてと、どうせこの会話も聞いているのでしょう?
何処かの誰かさん。今回は大目に見ますが次はありません。
よく覚えておきなさい。」
その一言でクロノアはフリーザの異常性に潔くというよりは漸く気付いた。
――フリーザに知られている。
何故?いつ、どこで知られたのか?直ぐ様巻物全てを漁るもののそんな情報
は何処にも無く、何を知られているのか全く分からずそれでも己を的確に認識したその底知れぬ恐ろしさと蛙を睨む蛇のような眼差しに心から恐怖を覚えたクロノアは滝汗と共にその場にへたり込む。
「……どうなっているの…。」
クロノアの声が刻蔵庫に響いた。
♠︎
それから数日。
クロノアは事態の究明を図ったものの解決策が見つかる事は無いまま
次の歴史改変が起きる。
それはラディッツの戦いでの事だ。
本来、孫悟飯の攻撃により弱体化する筈のラディッツがその攻撃を避けてしまいその影響で悟空達を倒してしまうというもの。
その背後には当然トワ達の姿があり、クロノアは直ぐに新たに歴史改変の修正に任命したタイムパトローラーを派遣。
事態は穏やかに収束したものの、ここからがクロノアにとっての地獄の始まりである。
ベジータ戦では、ベジータだけでは無くナッパまでも大猿化したり。
本来はフリーザ戦の筈がクウラ戦へと変わった挙句、その中でも歴史改変が起こった時には刻蔵庫が大地震を起こしたものだった。
更には歴史の僅かな部分の小競り合いですら歴史改変が発生する始末であり
クロノアとタイムパトローラーの疲労は溜まっていくばかり。
そして、最もクロノアが驚いたのは老界王神に尋ねた際の事。
何の問題も無く、歴史改変に赴く彼らの姿を見て疑問に感じたクロノアは
老界王神にこの歴史の変化を尋ねた。
「ねぇ…この歴史おかしいと思わない?」
「何を言っとるんじゃ…
「…………え?」
――自分以外がこの歴史を当たり前に見ていた事だ。
何度も尋ね直しても、誰に尋ねても同じ答えが返ってくるどころか疲れているのかと思われ休息を提案される始末。
しかも、歴史改変が起きるごとに刻蔵庫で大きな地震が起きているのを誰も不思議に思っていないというのだ。
――どう考えてもおかしい。
そう、おかしいのだ。
クロノアが知る歴史と今クロノアが閲覧している歴史は大いに異なっている。
にもかかわらず周りの人達は誰もそれを不思議に思わない。
しかも、歴史が進むごとに自分でさえもこの歴史に違和感を覚えなくなっている。
ずれていた認識が少しずつ戻っていくような感覚が起こり
明らかに間違っている筈なのに、それがあたかも正解であると思ってしまう
感覚は麻薬のように徐々にクロノアを蝕み始める。
そんな中、セルがトワ達によって現代の地球に訪れた際にクロノアは気付く。
この世界は人選が変わろうとも、人数が増えようが減ろうが確実に元の世界の流れを進んでいる。
ベジータ戦もクロノアが元々知っていた歴史と結末は大差なく。
クウラ戦も、フリーザがクウラになっただけで悟空が超サイヤ人に覚醒して
撃破したという事実は変わらない。
その影響でメタルクウラが発生したもののメタルクウラが滅ぶ流れは撃破された時間は違えどクウラが完全に死ぬというのは同じである事を。
更に、トワ達の行動を注意深く観察した結果。
「これ……ほんの少しなら歴史改変にならないレベルでこの世界に干渉できる…!」
元の歴史が完全に崩壊せず、今の歴史に影響しない内は此方側も歴史改変にならないという事をベビーの一件そして、
「この私がパーフェクトになった記念だ…孫悟飯、貴様も…そして私を足蹴にした奴もだ。確実に私の前から消してやろう。…もう容赦はせんぞ…覚悟すると良い。」
セルの言葉でクロノアは確信する。
「なら……伝えなくっちゃ…もう、なりふり構ってはいられないわ…!!幸いこの歴史は彼らだけではなく私たちも介入しやすい世界に創り変えられてる…ルール違反なんて気にしている場合じゃない!……フリーザ…彼を確実に止めなくっちゃ…!!」
そうして、クロノアが見た先の巻物はモザイクがかかって背景は見えないが
――悟空とフリーザが戦っている様子が映し出されていた。
かくして、クロノアはセルが死亡した後タイムパトローラーに尋問しているベジータとピッコロの脳内に語る。
歴史の事は未来の事や歴史崩壊に関わる事だけは避けつつも言及、もっとも重要である特異点であるフリーザがその結果、宇宙にどのような影響を及ぼしたのかやセルが言った女の正体。
そして……自分達の正体を彼らだけに伝える事を条件に明かしたのだった。
♠︎
事態を大抵把握したピッコロとベジータは話のスケールの大きさに
面食らうが、フリーザが与えた今の宇宙の現状を聞かされ戦慄する。
「ちっ……カカロットが死んだ以上俺はもう戦わんとさえ思っていたのだがな…そうも言ってられんらしい。…フリーザめ、厄介だとは思っていたがここまでとはな…。」
「…お前達の話を頭ごなしに納得するのは難しい…だが、嘘はついていない事はわかった。」
『ええ、でも私はあなたたちに今何かをしてほしいわけじゃない。ただ覚えておいてほしいだけ。…それとあなたももう喋っても良いわ、この事が分かった以上最低限は可能よ。…ごめんなさい。あなたには無理をさせてしまったわね。』
クロノアは事態を説明した後、タイムパトローラーに謝罪する。
「いいや、気にする事はねぇさ。界王神様。俺は強え奴と戦えて満足だったからよ!」
その言葉に陽気な声で返答するタイムパトローラー。
その声にクロノアは時の巣で破顔し、改めて感謝を告げる。
『ふふっ…あなたは変わらないわね…ほんとサイヤ人ってこんなのしかいないのかしら!ふふふ!!ありがとう!』
「おう!」
「それで?キサマはトワとやらが歴史改変をした時にまた現れるのか。」
ベジータがそう質問すればタイムパトローラーは是と答える。
「トワ…そしてミラか。俺たちも注意するに越した事は無いな。」
ピッコロは、戦いの後だというのに警戒心を高め更なる修行を決心する。
『じゃあ、私はもう戻るわ。…バイバイ!』
そういってクロノアは、念話を終了して
「さーて!今日も頑張りましょう!」
いつものようなにこやかな笑顔で刻蔵庫へと戻っていった。
一方、その頃フリーザは。
「それで、私に何の用で?」
「ふふーん!フリーザ、君を僕の手下にしてやるよぉ〜!」
「喜べ、貴様も暗黒魔界の王であるダーブラ様とともに偉大なる魔術師であるバビディ様の手下となるのだ。光栄に思うが良い。」
「生憎と私には先用がありまして…退きなさい。1度しか言いませんよ?」
ある惑星への出発準備中思わぬ来客と対峙していたのだった。
紹介コーナー
・この本作での歴史設定。
原作を下地に本作というテクスチャが貼られている感じ。
特異点であるフリーザ様がやった事が正規の歴史となる以外は人選、人数、死亡数問わずほぼ原作と同じように進行していく。
例としてはナメック星でのクウラ戦。
超サイヤ人に悟空が覚醒し、ナメック星のドラゴンボールで皆が地球に送られて、フリーザの立ち位置となったクウラが一時的とはいえ死に、ナメック星が崩壊する事が歴史成立の条件。
その事さえ崩さなければ介入が割と自由にできる。
正直言って作者の脳ではこれが限界ですので、お許し下さい!
・クロノア
胸のつっかえが取れて、心機一転。
・タイムパトローラー
ようやく喋れるように。
因みに、ちゃんと元ネタがある。
・ベジータ
「俺は…まだ、戦う。」
・ピッコロ
地球の守護により一層力を入れる事を決意。
・フリーザ
急に出てきた雑魚に手下になれと言われた。
・謎のチビB
ある者復活の為の犠牲に選んだ。
・ダーブラ
暗黒魔界の王、実は洗脳前の方が強いとの噂。