ドラゴンボールF   作:月日火

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戯れ

フリーザが悟飯とピッコロの前に現れる数分前。

 

上空で拳がぶつかり合う。

 

「はぁぁ!!」

 

「おぉぉ!!」

 

お互いの頬に直撃しようが、蹴りが腹に突き刺さろうが、気弾が直撃しようが

互いの方から手を離す事をしない。

超サイヤ人2になったタイムパトローラーと最強の兵士たりえるミラの

戦い…否、意地の張り合いは衝撃で空は裂け、近くにいるトワが目を開けられないほど凄まじいものであった。

 

拳を出せば拳が返され、膝を出せば同じく膝が返される。

血を吐き捨て、骨が砕け散らし。されども本能絶ゆる事なし。

タイムパトローラーは獰猛な笑みを絶やさず嗤う。

それはまるで、極限まで飢えた獣。

 

「へへ……!そうこなくちゃあなぁ!!」

 

「俺が……俺が最強だ……邪魔をするなぁ!!」

 

対するミラが抱くのは怒り。

ミラはここまでの歴史改変の中で大量にキリを吸収し力を高めてきた。

創造主の命に従い、ずっと。

自分はそうあれと産み落とされたモノ。

故に自分の最強は揺るがぬモノ…だと思っていた。

 

だが、現実はどうだ?

自身の前に現れたのは遥かなる壁。

帝王という名の絶対。

そして、今この瞬間ですら幾度となく打ち倒してきた雑魚ですら

僅かな時で自分に拮抗する力を手にしている。

 

――赦さない。赦してはいけない!

 

俺は最強なのだ!誰よりも!何よりも!

 

怒りの業火はそのまま気の増大に直結し今も燃え盛る。

ならば、ミラの戦闘力の方がタイムパトローラーの上を行く…そのはずなのだ。

互いに全力で殴り合い、ようやくお互いの肩から押さえつけられていた双方の

手が離れる。

 

「何故だ……!!何故貴様はそこまでの力を手に出来た…!!」

 

「当然だ!俺はお前より強え!」

 

「ふざけるなぁぁ!!」

 

あのサイヤ人から感じるのは絶対的な自信。

己の力をほんの少しも疑っていない。

その顔が、その笑みが憎い。感情の噴出が収まらない。

やめろ、その笑みは。

 

そばで見ていたトワはミラの感情値の異常な上昇を確認し

何度もミラに語りかける。

だが、もうトワに彼は止められない。

何故ならトワは何度もミラから奪ってきた故に。

 

「俺は……俺は!!」

 

ミラは頭を掻き毟り、その気は青黒く染まっていく。

極悪化。かつてトワが合体13号に与えたそれをミラは自力でやってのける。

だが、その負担は尋常ではない。

ミラのいまだ未完成の肉体では急激な上昇を受け止められる器は無い。

 

「やめなさい!やめて!ミラ!!」

 

いたる数値がオーバーフローを起こし、このままではミラが自滅すると判断したトワはもうなりふり構わない。

ミラの真正面に立ち、ミラを抑えんとするが。

 

「邪魔を…するなぁぁぁぁ!!」

 

暴走するミラには最早創造主たるトワの言葉は聞こえない。

真正面の邪魔者にもう加減すら出来なくなったエネルギー波を放つ。

 

「いやぁぁぁ!!!???」

 

予期せぬ攻撃に魔術で避難も防御も出来ぬまま、トワの肉体は高熱のエネルギー波により黒焦げになり、その生命活動を停止。

そのまま、真下の海へと物言わぬ骸となって落下していく。

 

「オ、オオオオオ!!!」

 

トワの野望も暗黒魔界も自分の産まれた意味すら最早忘却の彼方に消え

吠えるだけの理性のない猛獣は己の誇りと憎悪を以って

タイムパトローラーに迫る。

 

「…いいぜ、ならこっちもフルパワーだ!!」

 

サイヤの直感でもうミラの身体が限界を超えているのを察した

タイムパトローラーは自らの全力を解放していく。

 

「ハァァァァァ!!!!」

 

眉が消え、髪は長くなり、黄金の気は更にその純度を増す。

これこそが超サイヤ人の最大。

理屈を抜きにした正真正銘の全力にして究極。

 

「これが…超サイヤ人3だぁ!!!」

 

黄金と青黒の気がその荒々しさを滾らせぶつかり合って弾ける。

ミラの脇腹には拳で貫かれた痕ができ、タイムパトローラーは肋骨が数本粉砕する音がする。

 

「ぐぅぅぅ!!」

 

痛みすら怒りでかき消したミラはそのまま全力のエネルギー波を放ち

その腕は焼き切れる。

 

だが、それをタイムパトローラーは避け。

 

「これで終わりだぁぁぁぁ!!!」

 

黄金の気をその掌に滾らせ、ミラに向けて放つ!

これが彼の全力全開な技。

ただ、気を溜めて放つ。

それだけの単純で簡単な技は、彼から離れるごとにその威力を、大きさを

増しミラへと直撃。

 

「ぐ ぐぉぁぁぁぁぁ!!!」

 

ミラという存在を構成していたものが気で焼き切れる感覚を味わいながらも

ミラは最後の最後まで彼を睨み、そして…

 

(俺は……貴様と戦いたかった………!!!)

 

結局、その命が尽きるまで戦いの望みが許さなかった『最強』を幻視した。

 

消え去るミラを最期まで見つめるタイムパトローラー。

だが、爆炎の先に彼が見たのは塵芥のミラではなく。

 

「はぁ……やれやれ死にましたか。」

 

「なっ…!!てめぇは…!!」

 

 

その先に映る何かを一瞬捉え、超サイヤ人3に再度変身。

迎撃を取ろうとし。

 

「ふむ。」

 

まるで空気の割れたような音と共にタイムパトローラーの身体はその自由を失い海へと落下していく。

 

(え…?おれ、いったい……?)

 

背中の感覚が消失した事に痛みよりも先に困惑を覚えたタイムパトローラーは

そのまま意識を暗転させた。

 

それを見下ろし、彼…否、フリーザはダーブラの気が急激に低下した事を察知し、契約終了を確認するため瞬間移動した。

 

♠︎

 

そして現在。

 

「バ、バケモノめ……!!」

 

「失礼な、あなたが弱すぎるだけですよ。」

 

悟飯を出来るだけ離れさせ、たったひとりでフリーザに立ち向かうピッコロ

だったが、フリーザを一歩も動かす事すら叶わないどころか、フリーザは一度たりとも攻撃を回避しないにもかかわらず無傷。

 

足元が崩れ去るような感覚を味わいながらもピッコロは構えを解かず、フリーザを睨み続ける。

その殺意による爆風をフリーザは手を払うだけで消しとばし。

 

「そら。」

 

ピッコロが全く反応できない速さで背後に廻り、そのまま軽く裏拳でピッコロの後頭部を撃つ。

 

「がっ……!!」

 

頭蓋骨がミシリとヒビが入る音と共にピッコロは地面に崩れ落ちる。

 

「ピッコロさん!!……お前ぇぇぇぇ!!フリーザァァァァ!!」

 

「やれやれ、うるさいお猿さんです。」

 

倒れゆくピッコロを見た悟飯の怒りが爆発し、フリーザの背後へ高速移動。

ピッコロに当たらないように上空に向け全力のかめはめ波を放つ。

 

だが、そのかめはめ波の中をフリーザは物ともせずにその中を歩いていき

そのまま悟飯の首を掴んで胴体にエネルギー波。

 

「うわぁぁぁぁ!!!!!」

 

気の奔流に飲み込まれながら悟飯は吹き飛ばされていき

数100M離れた所で小規模の爆発。

悟飯は全身を気の灼熱で焼かれそのまま気絶する。

 

フリーザはその様子を欠伸をしながら見つめ次はある場所へ移動。

 

『な、なんだ……!!なんなのだ貴様……ha…』

 

雪の溪谷、太陽すら溶かせない永久氷壁を容易く砕き

眠っていたDr.ウィローの生命維持をしている機械をハッキング。

ビッグゲテスターがすぐ様ウィローの脳を解析し、改造。データを転写。

そのままその施設をまるごとビッグゲテスターの仮のラボへと作り変えていく。

 

そして、トワの魔術の技術を利用し旧ゲロの研究室とここの空間を接続。

コフィンや重要なコンピュータなどの機器をそのラボへと移していき

今までよりも作業効率が格段に上昇した事がデータとして表示されたのを確認しゲロの研究室を内部から爆破解体し、空間を閉じる。

フリーザはそれを確認した後地上へ浮上し、念力でその氷壁を戻していく。

 

「…これで、私たちの研究は誰にも確認は出来ないでしょう。」

 

フリーザは地球での用事は全て終了したのを確認し、後の研究をビッグゲテスターへと任せ惑星フリーザへと帰還。

 

コルド襲来時から変わらず稼働しているスパイロボへ接続し魔人ブウと悟空、ベジータの戦いをブロリーの星で取れた葡萄を使ったワインを嗜みながら見つめるのだった。

 

♠︎

 

悟空とベジータは魔人ブウとの戦いの中でその気の流れを感じてはいたものの

 

「ほほーい!!」

 

一向にダメージが与えられない上に向こうからは猛威を振るわれていき

その身が満身創痍の状態ではろくに気を探る暇すらない。

 

「はぁ…はぁ……。」

 

「く、くそ…不死身か奴は……?」

 

いくら強い奴が好きなサイヤ人でも致命傷を何度も与えても復活してくる

敵には流石にお手上げという他なく、疲れによりどんどん気が減っていく。

 

「ふ〜ん、ふんふ〜ん。」

 

しかし、ブウにとってこれはただの遊戯に過ぎず、それも楽しくなってきたようでテンションが上がるごとに動きは更に加速し、攻撃も過激化していく。

そんな中、何かを決断したベジータは悟空へと尋ねる。

 

「……おい、カカロット。何故貴様は力を温存してやがる。」

 

「…バレてたんか?」

 

「…やはりか。くそったれ…!!貴様はやはり気に食わん…気に食わんが理由は聞いてやる。」

 

「……オラの超サイヤ人3は変身した後のその膨大なパワーのせいでこの世に留まれる時間が大幅に減っちまうんだ。…多分、今やったらオラがいれるのは

ほんのちょっとしか残んねぇ…。」

 

超サイヤ人の新たな領域がある事を知ったベジータはその領域にいる悟空に未だに追いつけない事にイラつくも直ぐに次の質問にうつる。

 

「……ちっ。ならどうする。このままだと俺たちは全滅だぞ。」

 

悟空は思案する顔になるも何かを思いつく。

 

「フュージョンなら…けど、オラ達に今出来る時間はねぇし…。」

 

「…そのフュージョンとやらは知らんが、聞いてやる…それは打開策になるか?」

 

「…あぁ、フュージョンならあいつにだってぜってぇ負けねぇ。」

 

悟空の確信をもった表情にベジータは覚悟を決める。

……己の命を捨てる覚悟を。

 

「カカロット…仙豆はあるか。」

 

「仙豆…あったぞ!一個だけんど残ってたぞ!!これで…。」

 

悟空が仙豆を探し出し、見つけた瞬間。

 

「ふん!」

 

ベジータが背後から強襲。悟空はそのまま気絶してしまう。

 

「馬鹿が…貴様は一度死んだ身だ。その状態でもう一度死ねばどうなるかわからん程馬鹿では無いはずだ。」

 

ベジータは仙豆を拾って食べ、気を全快させそのまま悟空を遠くへと全力で放り投げる。

 

ブウはその後を追いかけようとするが

ベジータがそれに立ち塞がり、罵倒する。

 

「貴様の相手はこのベジータ様だ!この醜いフーセン野郎!!」

 

ブウはその言葉の意味は分からずとも目の前の存在が自分を侮辱していた事は

なんとなく理解できた。

怒りによりブウから蒸気のようなものが吹き出し、ベジータへと突撃する。

 

「怒ったもんねーー!殺しちゃおーー!!」

 

だが、突撃するブウを何者かが横から強襲する。

蹴り飛ばされたブウはそのまま地面を跳ねまわりながら岩場へと激突。

 

「パパ!!」

 

「おじさん!!」

 

現れたのはトランクスと悟天。

天下一武道会会場から大きな気のぶつかり合いを感じた彼らは魔人ブウみたさにこの場所に向かおうとしたものの、悟飯の気の消失や父であるベジータと悟空の気の減り方からただ事では無い事を感じとり、先ずピッコロを起こした後直ぐ様ベジータの下へとたどり着いたのだ。

 

だが、ベジータは既に覚悟を決めた身。

近づいてきたトランクスと悟天に厳しく伝える。

 

「お前達はさっさとここから立ち去れ…魔人ブウとは俺1人で戦う。」

 

その言葉にトランクスと悟天は反発するも、ベジータは聞き入れる事は無く

岩場から出てくるブウを見つめ、そして目を閉じて何かを思い出し

トランクスの方へとベジータを知る者からならば考えられない優しい笑みを

浮かべる。

 

「……お前は赤ん坊の頃から一度も抱いてやった事が無かったな……抱かせてくれ。」

 

そして、ベジータはそのままトランクスを抱擁し、そのまま気絶させ

悟天には少々手荒に気絶させ、子ども達を追ってきたピッコロに預け

離脱を促す。

 

「……ピッコロ。……トランクスを頼んだ。」

 

「……わかった。」

 

ピッコロはベジータの目からこれから何をするのかを察し

その場を全速力で離脱。

 

迫り来る魔人ブウを前にして自らの気を体の内側からゆっくりと増幅させていく。

どうせ、自分は1度目。

そう思っても込み上げてくるものがベジータにはあった。

 

「貴様の殺し方がわかったぜ…ようやくな。」

 

「んん?」

 

「貴様を殺すには二度と修復できないように粉々に消しとばすことだ!!」

 

それはかつてベジータ自身が無駄だと断じたもの。

今は自分の中で一番のもの。

甘くなっていく自分を受け入れ、手にしたもの。

それこそ……

 

(さらばだ…ブルマ、トランクス、そして……カカロット。)

 

 

家族

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




紹介コーナー


・ベジータ
守るべきものの為に。

・ミラ、トワ
ご退場。

・フリーザ
酒が不味い。

・フリーザ軍戦力ランキングベスト5

第1位、フリーザ
言わずもがなの帝王。

第2位、ブロリー
フリーザとの軽い手合わせだけでもあり得ないほどの戦闘力を獲得する
姿はまさに伝説。

第3位、ターレス
流石のサイヤ人、現在はとある事に挑戦中。

第4位、スラッグ
同化の影響と訓練により実力は折り紙つき。
なお。

第5位、ギニュー
忠誠心による努力の結果。
隊長としての威厳を保つ為日々努力の日々。



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