惑星ベジータ。
かつて惑星プラントと呼ばれたその星はそのあり方を変えベジータ王を中心とした地上げ屋の拠点である。
その惑星ベジータに巨大な宇宙船の一団が来襲する。
王座からその宇宙船を見たベジータ王は即座に歓迎の準備、そして暗殺の準備を指示し宇宙船の着陸位置へと向かっていった。
ベジータ王がついた時には既に宇宙船のハッチは開かれようしており
その中から何度も苦汁を飲まされた元凶であるコルドとクウラ
そして、その隣には見た事も無い奴が降りてこようとしていた。
ベジータ王はコルドに近づき握手をしようとする。
「これはコルド大王にクウラ様!よくぞ参られた!」
「……フッ。」
だが、コルドはこれを無視し自らの重大な発表をする。
「皆の者!儂は引退する事にした!そして紹介しよう。こやつが貴様らの新しい主人だ。」
フリーザは父からの紹介を受け、前に出る。
ベジータ王は名も知らない新しい主人と言われた者から出る謎の圧に圧倒されていた。
「初めまして。これから貴方がたの指揮を執らせていただくフリーザと申します。よろしくお願いしますね?」
「……っ!!」
ベジータ王は得体の知れない何かに呑まれると同時にサイヤの本能すら捨て去り臣下の礼を取っていた。
背後に着く部下達も我先と取り始める。
その顔からは大量の汗が吹き出し恐怖が滲み出ていた。
「おや?返事が無いようですが?」
「あ、あぁ。こちらこそですフリーザ様…!」
フリーザはそれを見て蔑むような笑みを浮かべ、コルドは満足そうな顔をし
クウラは心底呆れた顔をする。
ベジータ王は自らが何をしでかしたのかをようやく自覚でき
下げた顔には憤怒が籠っていた。
コルドは更に宣言する。
「これからはこの儂の息子であるフリーザが貴様らの指揮をとる!…なぁに貴様らのやる事は変わらん!今まで通りに従ってさえいれば良いのだ!」
そう言い、高らかに笑うコルド。
その間ベジータ王は腕につけてあったブレスレットが反応するのを確認した。
これはフリーザ達を暗殺する準備が整ったという合図。
ベジータ王は意を決し射撃の合図を送りに入る。
「そ、それでフリーザ様。他にはどんな御用件で……?」
「あぁ、そうでした。実は貴方がたにこれを差し上げようと思いましてね。」
フリーザは指を鳴らし、部下を呼ぶ。
その部下が持ってきたトランクを開けると中には目につけるであろう機械が仕舞われていた。
「これは、私達の軍が新しく作り出した新しい戦闘力測定装置です。
名前はスカウター。これは以前の粗悪機から大幅に性能が上がったものです。
一先ずは…50個支給しておきましょう。
また必要になった場合は随時報告を。
…勿論、有料ですがね?」
「では、今回の私の用件は終わりましたので失礼します。これから貴方がたといい関係を築ける事を祈っていますよ?」
ベジータ王は部下にそれを受け取らせ、フリーザが背を向けた瞬間に腕を上げようとして。
「あぁ、それから私の暗殺など貴方がたの戦闘力では不可能だと伝えておきましょうか。…聞いていますか?これは慈悲で言っているのですよ?
私も駒を無意味に減らしたくはないのでね?」
…結局、フリーザが宇宙船へと乗り
そこを立ち去るまでその腕が上がる事は無かった。
「……くそったれが。」
知らずして出た若い頃の口癖と共にベジータ王とその部下達もその場から去るのだった。
♠︎
フリーザがサイヤ人を指揮し始めて少し。
彼はDr.ミューからベビーが完成したとの報告を受け、彼のラボへと向かっていた。
だが、ミューのラボへと入り辺りを見回してもベビーらしき人物が見当たらない。
「……ふむ。」
フリーザはその事に疑問を抱きつつも今はミューの知らせに集中せんと
彼を待っていた。
「おお、来たかフリーザよ。」
そうして直ぐにフリーザの来訪を察知したミューがやってくる。
しかし彼の背後にもベビーらしい存在はない。
「ミューさん。私は貴方がベビーを完成させたという報告を受けてここへ来たのです。さっさとそのベビーを見せていただけると嬉しいのですが。」
「まぁ、そう焦るなフリーザよ。私とてようやく完成した我が最高傑作に歓喜しておった。このぐらいは勘弁してくれると嬉しいのだが?」
「…まぁ、いいでしょう。それで肝心のは?」
その言葉を聞いたミューの周りの空気が一変する。
そうして彼は邪悪な笑みを浮かべて。
「あぁ……見せてやるとも……」
「お前が見る事は無いがな!!!」
ミューの顔が決壊し、何者かの腕がフリーザに向かって迫る。
「何!?くっ…!」
フリーザは驚きはしたものの前方に張った気のバリアによってこれを弾く。
だが、その腕はその弾かれた衝撃を利用してフリーザの背後を取る。
「しまっ……!!」
「終わりダァ!!貴様の肉体はこのオレが頂く!」
そしてその腕は容易くフリーザの腹を貫いた。
「……ごぷっ!!」
フリーザの吐血と共に腕は引き抜かれ、背後を振り向く
そうする事でその何者かの姿がその全容を明かす。
「あ、貴方がま、まさか……!!?」
「クックック……そうさこのオレこそが貴様の言うベビーだ。…尤もその名前を聞くたびどんなに腑が煮えくり返った事か……!!」
その姿はフリーザが知る幼少体では無く、既に青年体。
ここで、フリーザは自らの失態を悟った。
そしてベビーは下衆な笑みを浮かべ、フリーザの前へと立つ。
ベビーはフリーザの傷をみて彼が動く事は不可能と判断。
その笑みを勝ち誇ったものへと変えてフリーザへと告げる。
「な、何故……何故貴方がもう既に……!!」
「ククク……冥土の土産に教えてやろう。
オレはエイジ731にはもう完成していたのだ。他ならぬ貴様のお陰でなぁ。
そして貴様を騙すため、オレはこのガラクタになりすましオレの強化パーツをオレ自身と偽りながら貴様を乗っ取る機会をずぅっと待っていたのさ!!」
「そ、そんな…まさか…こ、このフリーザが…こんなと、ところでぇ…!!」
「フハハハハァ!!!安心しろ!貴様の肉体はこのオレが乗っ取り全宇宙ツフル化計画の最高の肉体として使ってやるさ!!」
ベビーの笑い声がラボ内に木霊する。
フリーザはその顔に苦渋の顔を浮かべ断末魔の叫びを上げる。
「ち、ち、ちくしょおおおおお!!!!」
ベビーはその顔を見て更に笑い声を増し、フリーザへと寄生しようとして
「なんてね。」
そのフリーザの正体に気付いた。
「な、こ、これはま、まさか……!!」
そして、ポチという音が聞こえると同時にそのフリーザは爆発し
ベビーはその血をモロに喰らうことになった。
「ぐがっ…!め、目が見えん…!」
ベビーは顔にベッタリとついた血液を拭おうとしながら辺りを一心不乱に見渡す。
その背後から先程まで聞いていた声が鼓膜へと響く。
「まぁ、そんな事だろうとは思っていましたよ。」
フリーザはやれやれと首を横に振りながらベビーの背後へと立っていた。
ベビーは血をぬぐいフリーザの姿を目撃し驚愕の声を上げる。
「き、貴様何故……!!?」
「アレはライチーさんに一体だけ作らせた私のクローンです。…まぁ他の方の血をも混ぜた所為か随分と弱体化していましたがね。」
「い、一体いつからだ!!」
「ラボに入った瞬間ですね。」
「何故わかった!!?」
フリーザは溜息をつきながら。
「……そんな事を貴方に言う必要がありますか?」
「お、おのれこのオレを騙しやがってえええ!!」
フリーザの言葉にベビーは激昂。
振り向きざまに拳を放つが、あっさりとフリーザに捕まえられ
首を尻尾で絞められていく。
「ぐが……い、いぎが…。」
それを解かんと抵抗するものの今のベビーの実力では解く事すら出来ずに
尻尾は更に力を増していく。
フリーザはその姿に欠伸を漏らしながら気になっていた事を聞く。
「さてと、私からも一つ質問があります。それさえ答えてくれればこの尻尾をどうにかして差し上げましょう。」
顔がどんどん真っ赤になっていき思考力が低下しているベビーにそれを断る選択肢は無い。
「わ、わがっだ!!は、話す!」
「では、遠慮なく。貴方はいつから意識があったのです?」
それこそがフリーザの気になっていた事。
フリーザは、ベビーという生物がミューによって生み出されていたのは知っていたが反対にミューの完成時期を把握してはいなかった。
その穴が今回の事態を引き起こした事を悟り、反省していたのだ。
「き、貴様が初めてガラクタのラボへき、きたいぢねんまえのどぎがらだ!!」
これにはフリーザも驚いた。
そしてやはりベビーは本当に必要な人材である事を再確認したフリーザはベビーに首輪をつける為ある行動に出る。
「なるほど……そして貴方は一年間を使ってミューさんを建造したと。一つ謎が解けた気分です…では死になさい。」
「!!!?な、なぜ!!?」
「おや?私がいつ
「!!し、しまっだ!や、やめでぐれ…こ、このオレがこ、こんな所でぇ…!!」
「では私に永遠の忠誠を誓うと、今この場で約束なさい。…それともこのまま…!!」
フリーザは尻尾の力を更に加え首をへし折らんとかかる。
ベビーはジタバタと抵抗を繰り返すが効果はない。
遂にベビーはフリーザに従う屈辱よりも己の命を選択する。
「わ、わがっだ!!じだがう!!」
「その言葉…確かに聞きましたよ?」
フリーザは悪辣な笑みを浮かべてベビーを尻尾から解放する。
ベビーは首を絞められた所為か大量に咳き込み、そしてフリーザを睨みつける。
「お、おのれぇ……!!」
フリーザはそれを意にも介さずにこう告げる。
「まぁ、安心なさい。貴方にはとっておきの肉体を用意して差し上げますからね。」
それにベビーはピクリと反応する。
「……本当だろうな?」
「ええ、勿論ですとも。」
フリーザの即答に疑惑の目を持ったものの今の自分では確実にコイツには勝てないと判断したベビーは本当に業腹だがフリーザへ従う事に決め首を縦に振った。
それを確認したフリーザは笑みを浮かべ、大量の書類をドン!とベビーの目の前に置く。
「あぁ、ではこの仕事をお願いしますね?ベビーさん?ホッホッホ!!」
そして上機嫌のまま立ち去っていくのだった。
その姿にベビーはワナワナと震え。
「アイツ……いつか殺してやるっ……!!」
そう誓ったのだった。
♠︎
そんな騒動から1年が経過。
順風満帆だったフリーザの下に遂に彼自身が最も警戒していた人物が現れる。
「へぇ〜これが次のサイヤ人のねぇ。」
その猫のような姿からは想像もつかない程の気の奔流をその一言だけで感じ取る。
そしてフリーザは直感する。
――まだ、勝てない。
そう思わせてしまう程の人物。
「はい、そのようですよ。」
「ビルス様」
破壊神ビルスがここに降臨した。
フリーザは息を飲む。
それこそ父がヘーコラしている情けない姿を忘れてしまう程に。
だが、ここで後退りなど己のプライドが許さない。
故に。
「あぁ、貴方があの破壊神ビルス様ですか。初めまして。フリーザと申します。」
いつも通りの笑みを浮かべ、されど決して従順する事はない。
あるがままで彼に臨んだのだ。
その仕草にビルスは目を細める。
「へぇ…僕の事を軽視しているわけでもなくかと言って己を過信していない…君のような奴に会うのは随分と久し振りな気がするよ。」
――見破られている。
やはり、まだ格の差があるとフリーザは確信し
内心で笑みを浮かべる。
いずれ超える相手だ。今の内に観察しておくべきだとフリーザは判断した。
「おや、お気に召したのですか?」
隣に立っていたビルスの付き人であり師匠でもあるウィスが主人の珍しい反応に興味を示す。
「んーまぁね。彼、僕とまでは行かないけど結構な力を持ってる。今の彼で…僕の5…いや4割に匹敵してる。こりゃあ思わぬ掘り出し物だよ。」
目の前にいる彼が思わぬ力を秘めている事にビルスは興味を示す。
同時にこれならばとビルスは自らの仕事の押し付け先を彼にする事に決めた。
一方、それを聞いたウィスはおや、と驚きはしたものの
フリーザのまだ秘められている力を見抜き品定めを始めていた。
それと同時にビルスが次に言おうとしている言葉に溜息をついた。
「…そうだ、フリーザ…でいいんだよね君。」
「え、ええ。」
「本当はコルドにやらせる予定だったんだけど……君でいいや。」
「僕さぁ今とっても眠いんだよ。予言魚さんからある予言が来たもんだから早く寝なくちゃならないんだよ。わかるかい?」
予言。その言葉をフリーザは知っている。
恐らくだが超サイヤ人ゴッドの事だ。
では、この後39年という中途半端な眠りにつく事だろう。
それまでに力をつけなければとフリーザは思考する。
尤もその思考はビルスの落とす爆弾に中断させられる事となる。
「だから、惑星ベジータの破壊は君に任せるよ。」
…荒れ狂う時代が遂にフリーザの下へと到来した。
紹介コーナー。
・ミューとベビー。(長いので注意。)
今作の彼らの流れは。
フリーザが来る一年前にベビーの意識が覚醒。
その場にいたツフル人の科学者を改造してミューを一年かけ製造。
フリーザが来た際にはベビーはフリーザの肉体に目標を定めミューに指示を入力。
ミューが簡単に堕ちたのもこの為。
そんでもって731に完成したベビーはミューに寄生。
新たに自らの強化生体パーツを製造開始。この時にリルド将軍のM2軍団、ルードがちゃっかり誕生。
8年という長い年月をかけ、遂に完成しフリーザへと強襲。
という流れです。
ぶっちゃけ、粗がありすぎますが作者の戦闘力じゃこんなもんですのでお許しを。
・破壊神ビルス
第7宇宙最強の神にして、破壊神内でも上位な神様。
今のゴールデンフリーザでもボコボコである。
これで、ウィスやジレンとかいう更に強いのがいるからドラゴンボール世界は本当に魔境だ。
ブロリーは正直分からない。