ドラゴンボールF   作:月日火

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永遠の帝国

 第7宇宙史上の決戦から幾星霜。

第7宇宙はその姿を大きく変えていた。

 

その中でも特段変わったのは星の数だろう。

幾多の星が破壊。あるいは合併を繰り返した事により

宇宙全体の星の数は何と7つまで減少していた。

 

現在第7宇宙は中央にある巨大惑星を中心とし

6つの惑星がそれを囲むように回っており

そしてその全てがかつて地球と呼ばれていた星の環境と酷似していた。

 

6つの惑星にはそれぞれの役割がある。

それらは第7宇宙を維持するための重要な役割を担っており

星々の住民たちもそれを理解し、平和を維持するために努力する日々。

 

なんて事もない。

永い戦争の時代は終わりを告げ

宇宙はただ1人の王の手によって永遠の統治の時代を迎えたのだ。

 

その王がいるのは宇宙の中心に座する巨大惑星。

そのまた更に中心にある巨大な宮殿の王座である。

 

その王への報告のため、今日も1人。

昨日と変わらぬ現状と王へと告げにやって来た。

 

「それでは本日のご報告させて頂きます…フリーザ様」

 

「ええ、お願いします」

 

王の名はフリーザ。

戦争の時代を終結させた英雄であり。

宇宙全体を永き時に渡って統べる大王である。

 

♠︎

 

さて、その後の話をしよう。

 

あの爆発の後、立っていたのはフリーザだった。

右肩には龍に噛みつかれた跡が残されており

フリーザ自体ボロボロの死に体だったが

それでも彼は生きていた。

 

フリーザは残された悟空の胴着らしきものが風に吹かれて

何処かに飛んでいくのを見たことを

最後に意識を失い約1週間その目を覚まさなかった。

最新鋭の治療ポッドで治療してもなお

目を覚まさず龍の傷痕がありありと残ったことから

孫悟空がいかにフリーザの命に肉薄したのがありありとわかる。

 

まぁ、それはともあれだ。

 

フリーザが起きた頃には既に地球は完全に掌握され

人類はただの1人も残さず滅び去った。

地球はその名前を失い惑星フリーザNo.4としてその姿を変えたのだ。

 

そして、フリーザは自らの悲願であった宇宙の帝王として君臨し

同時に彼自身もまた孫悟空という最大の目標を排したのだった。

 

そこから数年後。

 

唯一の同盟惑星だったナメック星が突然フリーザに対し隷属宣言を発表する。

というのもあのメタルクウラの一件以降、長らく燻りを見せていたナメック星人同士の対立が地球での決戦をきっかけとして爆発。

 

ナメック星人は、地球派とフリーザ派の2つに分かれて戦争を開始。

結果、ナメック星人の数は半減。

戦士タイプのナメック星人が多く所属していたフリーザ派が勝利したのだ。

 

宇宙の中でも屈指のやさしき性格はどこへやら。

性格も好戦的になってしまったナメック星人達はフリーザへの隷属を宣言。

ナメック星もその名前を失い惑星フリーザNo.7として組み込まれる事となった。

 

 

ちなみにこの結果を見届けたビルスはちょくちょく寝て起きては

フリーザと戦いそして眠りにつくというサイクルが今現在まで続いている。

 

地球での決戦から100年後。

 

フリーザは第7宇宙の縮小を決定。

幾百もある惑星をビッグゲテスターの力によって統合し

その惑星の数を7つにまで減らした。

 

そして、その惑星の1つ1つに役割を設け

同時に自らがいつでも介入できるような制度を制定。

最後に自らの惑星をビッグゲテスターと完全に融合させ

超ドラゴンボールの力でフリーザの威光を子孫絶える時まで永遠のものとした。

 

こうして今の第7宇宙は完成した。

人間レベルは全宇宙でも屈指の高さへとのし上がった事で

行われた第2回の力の大会を免除。

 

その宇宙の権威を他宇宙までに響きわたらせ

遂には宇宙のモデルとまで評されるほどにまで成長した。

 

そして、現在。

 

フリーザの帝国は永久不滅のものとなった。

かつて覇道を共に歩んだ部下の殆どは子孫へと移り変わり。

21号は最後の決着を果たした後フリーザ軍の最高顧問へとなり。

 

戦争は小国規模を除けば無い。

そんな平和な世の中がそこにはあった。

 

誰もが、その世の中に感謝し安息を生きる。

独自の発展を遂げて進化し、それらを大王へと捧げる。

 

報告を聞き終えたフリーザはそれを王座から見渡して微笑む。

 

 

…まぁ、こんな日々も悪くないだろう。

 

と。

 

そうして、世界は続いていく。

時の輪廻からもかつてあった歯車さえ置き去りにして。

 

 

いつまでも。

 

いつまでも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 最後の紹介コーナー。

・フリーザ
全てを叶えた大王。
その道に最早障害はない。
甘ったるような平和と破壊神の挑戦という少しのスパイスと共に
永遠を生きていく。

・21号
いつか交わした約束を終え、フリーザ軍最高顧問に。
その顔にはあの時のような飢えた顔はない。
ただ、少しの寂しさがそこにはあったという。

・孫悟空
全力も全霊も何かもを出し尽くして負けた。
悔しさも勿論ある。
仲間や家族を守れなかった絶望もある。
それでも。
あの黄金と再び戦える日を願うのは
自らの性ゆえか。
それとも。

・ベジータ
逃げられなかった悲しき王子。
全てを失ってそれでもと戦って負けた。
いつか、その牙が届く時はあるのか。

・地球人の戦士
平穏は別の大きな平穏に塗りつぶされた。
ただそれだけ。

これにてフリーザの物語はおしまい。

最後までありがとうございました。
活動報告のほうにあとがきと次回予告みたいなものを載せておきます。

よろしければ是非。

それでは、またいつか。




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