例えエースと呼ばれても   作:丸亀導師
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第9話 ユキカゼ

波動エンジンの融解という事態が発生し、一路エンケラドゥスへ向け舵を切った。

波動エンジンの融解というイベントが会議中、出ることが無かったが、どうやら時間帯が本来より20分程早いようだ。

これでひと安心、かねがね原作通りに進んでいる。

 

 

土星の衛星、エンケラドゥスにコスモナイトの発掘をするという任務が加わり、技術部の連中は皆エンケラドゥスの廃鉱山へ行っている。

 

こういう時やはり航空隊は訓練をしている。ただし、機体を飛ばすような訓練はしていないが…。

VRでの訓練は実践並みの訓練だ。しかし、恐怖が足りない。あの刺すような敵意、背筋が氷る悪感、戦闘の高揚感。少し物足りない。

 

おっと、用事があるんだった。榎本先任伍長のいない間にやらなきゃそんそん。さて、若者を誑かしてあいつのセッティングを充分にしておかなきゃな。

俺の機体をいつも整備してくれてる彼なんか良いかもな。

 

「二等宙位、ちょっと良いかな?」

 

「はい?こっこれは岩本一佐どうしてこんなところへ」

 

ほほほ、有名人はこういう時役に立つ、新調してるからつけこみやすいぞぉ。

 

「折り入って頼みがあるんだが良いかな?」

 

「自分でよろしければ。」

 

「君の整備している機体で飛んでみたいんだ。できるかな。」

 

「わ、私の権限では難しいかと…。でしたら榎本先任へ話をしてみてはどうでしょうか。」

 

いやいや、それが嫌だから君にしたんだよ?とは、言えない。

 

「それなんだがね、先任伍長が本来、私の機体の調整を共にやる筈だったんだがね?それが、急遽出来なくなってしまったから、こうして君のところに来ているんだ。無論、艦長の許可はとってある。」

 

艦長の許可はある。ただし古代たちの護衛という形になるが。

 

「だからよろしく頼むよ。」

 

さて、更衣室に行って着替えてくるか。

 

更衣室に行くと…?なんで山本君がいるんですかねぇ。

ここ男子更衣室だよな。入り口で再度確認する。

これは、注意しなくてはな。

 

「こんなところで何をしているんだ?山本君」

 

「その声は、教官ですか。」

 

何だ何だ?暗い顔しちゃって。まさか、航空隊に配属されなかった事をそんなにも精神的に追い詰めていたのか?

 

「どうしたんだ?元気がないじゃないか。いつもの、ドスの効いた君は何処に行ったのかな?

やはり、航空隊になりたかったのか?」

 

「いえ、そうではなく。輸送機の操縦すらさせて貰えない事実にうちひしがれているだけです。」

 

確かに主計科じゃあのれないわな。

 

「もし、君を航空隊に入れることが叶うのだとすれば、有事の際のコスモゼロを、一機使ってみたらどうだ?

おっとこれは、オフレコだぞ?」

 

ちょっと顔が良くなったような。余計な入知恵をしてしまっただろうか。

さてと、気を取り直して早く着替えなければ。

 

更衣室を出るとちょうど二人が見えたので、急ぎ準備が終わった機体に乗り込む。

 

おっと先にいっちまったな?。こっちも発進スタンバイは出来ている。

 

「こちら岩本一佐発艦許可願う。」

 

『こちら第二艦橋。許可送る。くれぐれも事故のないように。コールサインはハヤブサだ。』

 

「了解、ハヤブサ発進します。」

 

まずは、二人とも緊張しているだろうから、なごませるとしようかぁ。

 

 

「古代戦術長、エスコートに任ぜられました、岩本鉄郎です。雪嬢共々どうか、星々の瞬きの旅を楽しんでください。曲芸飛行等も行いますので、どうかごゆるりと旅を楽しんでください。」

 

『何の冗談ですか?』

 

「え?二人とも緊張してると思ってね。それと、曲芸飛行については冗談で言ってない。」

 

向こうはちょっと和んだ事を祈ろう。

エスコート中はそれはそれは暇だから外を見る。

すると、基地以外の残骸が浮いている。土星沖撤退戦の名残か。あれも、ひどい戦いだった。

 

さてと、戦闘機動を試すか。

 

「これより航空ショーを始めます。」

 

シーガルの周辺を速度をあわせて旋回する。そこから一気に高度を上げエンジンを出力を下げて、重力の赴くまま降下、そこからエンジン出力を最大まで上げ、機首を上げて急旋回する。

 

そこからエンジン前回で急降下、上昇のダイブアンドズーム。インメルマン等を行い、機体の限度を確認した。

良い機体だ、俺のからだに付いてくる。

 

古代たちは見向きもしてないけど。

そろそろ、到着時刻か。

信号の発信源周辺をぐるりと旋回し続ける。

あぁ、編隊であったのなら追悼の意を込めて、ミッシングマンフォーメーションをしていただろう。

 

『ハヤブサ、こちらヤマト先程の機動は何か?繰り返す、先程の機動は何か?』

 

「別に意味はない、始末書ならあとで書く。それよりも、発信源に到着した。残念ながら生存者は絶望的な状況だ。船体があるだけでも驚きだよ。」

 

『もっと正確にお願いします。』

 

「ユキカゼが、発信源だ。生存者無し、ただ下の様子を見るに少々人数が少ないようだ。」

 

古代には相当ショックであろうに、唯一の身内を失う気持ちは痛いほどわかる。

ただ、そう時間が許してくれる訳もなく時間が来てしまった。

 

ユキカゼの乗組員の遺体は、埋葬され丁重に葬られた。

そうこうしていると、古代がやって来た。

 

『岩本一佐、兄の最後を聞かせてください。』

 

「沖田さんから聞いていると思うが、私から言えることは、彼は、守君は良い艦長であり、判断力も卓越したものもあった。彼がこの場にいればどれほど頼もしかったことか。

だが、死んだとは限らないのではないか?向こうも進んだ文明を所持している。捕虜は必ずとるだろう。」

 

以外な顔をされた。だが、事実は事実だそういうものだと思えば良いんだ。




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