たとい、エースと呼ばれても   作:丸亀導師

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第4話 パレードの始まり

遂にこのときが来たか。

イズモ計画選抜メンバーが一ヶ所に集められ、イズモ計画の凍結とヤマト計画の始動を言い渡され、それぞれが家族との別れを惜しむ。

 

私も簡易仏壇の前で、この世界での両親へと行ってくる旨を伝へ一人しかいない寮を出る。出発予定まで後数時間か。

送迎のバスの如く87式兵員輸送車に揺られ、一路ヤマトの下へと向かう。輸送車の中は非常に静かだ。

多くのものがいるが、私が載っているせい静かになっているであろうことは明白であるが、もう少し話をしても良いだろうに。

 

道中そんなこともあったが、事故等はなくヤマトへ到着した。

 

「第3艦橋。確かに狙われやすい形だな。」

 

私が喋ると周りがビクつく。怖がるなよ、軍人だろ?

それともなにか?私は悪魔か、はたまた鬼か?

周囲の事を少し気にしつつも、上がろうとしたとき後ろから声をかけられた。

 

「岩本教官でありますか。」

 

振り向くと。おー、山本玲 三等宙尉がいた。

 

「山本君も選抜メンバーだったのか。あの日広場にいなかったから選ばれなかったと思ったよ。」

 

2199なら絶対にそう言うことはないのはわかるけどね。

 

「教官こそ、そのようなこと毛頭も考えていらっしゃらないのに、私が選ばれたのは既に知っておいでの筈では?」

 

不服そうな顔をしながらこちらに眼差しを送ってきている。教官と言っても二月位しかいなかったが。

その後、また艦隊に招集されて、直ぐに

『バトルオブマーズ』で出撃して惨敗したんだよなぁ。

航空隊だけであんな長大な距離飛ばす馬鹿は誰だったんだか。

 

「君がまさか主計科に行くとは思っても見なかったよ。それより、ここで立ち話をしていたら皆の邪魔だ。

なかに入ってからでも良いはずだろ?」

 

初めて会った時、彼女は兄の事をしつこく私に聞いてきた。自慢の兄が今どうしているのか、唯一の身内の事が心配だったのだろう。

 

 

場所は移動して、ヤマトカタパルト下のコスモゼロ格納庫。先に自分の部屋へ行っていたから少々時間が経ってしまったな。

そんなことより、コスモゼロは良い機体だな。こんなにも折り畳めるんだ。空母があったらさぞ多くの載っただろうに。

 

「それで?私に話があるとは?」

 

「改めまして、山本 玲 三等宙尉であります。

岩本一佐にお尋ねします。私はなぜ主計科配属なのでしょうか。」

 

やっぱりこの質問か。おおかた、加藤にはぐらかされたから、知り合いで話し掛けやすく事情を知っていそうな、ある程度上の立場の人間を探していたらたまたま私がいたのだろうな。

 

「君が主計科に配属になった理由かね?

そうだな、君はガミラスに明生君を殺されて私呪に走る可能性があったらか、というのはダメだろうな。

君の性格上そんなことはしない。

選抜したのは加藤君だよ。それ以上は考えればわかるとおもうよ。」

 

「貴方が航空隊の指揮官では、無いのですか?」

 

そりゃそう思うよな、最年長でトップエースが指揮官でない筈がないと。

 

「残念だが、私は『戦術科戦術長付きアドバイザー』 という形式上の役職だ。だから、加藤君に選抜は一任していた。しつこく加藤君に聞けば答えてくれるとおもうよ。それ以上の話は取り敢えず今は無しだ。いいな?」

 

そう言うと、私は格納庫を後にした。これ以上ばらすと不味い気がするからだ。私の権力を使う訳にはいかないしね。

少々遅れたが、着任の挨拶を沖田艦長へ言いに行かねば(使命感)。

 

艦長室に到着すると、中から声が聞こえる。この声は、古代君か。耳をそばたてて聞いてみると、どうやら話が順調に終わりそうだな。

このタイミングで良いかな?

 

「お話し中失礼します。入ってもよろしいでしょうか。」

 

「誰かね。」

 

「岩本 一佐であります。」

 

「入ってくれ。」

 

やはり古代君がいる。話は終わっているから別に影響はないはず。

 

「本日付けでヤマト戦術長付きアドバイザーに就任しました。岩本 鉄郎です。今後ともよろしくお願いします。古代戦術長もよろしくお願いします。

階級は私の方が上ですが、艦内順位は古代戦術長の方が上ですので、命令には従います。

何か分からないことがあれば頼って頂ければ幸いです。」

 

「岩本君。古代君は実戦経験がまだあまりない。

君の経験と彼の戦術眼によってこのヤマトの行く末を決めてほしい。」

 

「フッ。失礼、いや可笑しいですね。こんなにも多くの命を預かるなんて私でも初めてですよ。まだまだ、沖田艦長には頑張ってもらいますよ?」

 

古代君からすれば何を言っているのか。という感じだろうか?だが、それで良いんだ。

沖田さんの事に含みを入れることで、彼には全力を出してもらって覚醒してもらわなければ。

 

「私は、戻ります。どうです?艦長と古代戦術長もご一緒しませんか?」

 

結果として断られた。仕方ないよね。でも、これで彼の肩の荷が少しでも軽くなれば良いんだがなぁ。

 

第1艦橋に降りると、島君が森専務長にちょっかいを出そうとしていた。森くんはもっと柔く出来ないものかねぇ。

 

私が目に入ったのか、島君はこちらに敬礼をしてきた。そんなに固くしなくて良いのに。

 

「ここでは、島君君の方が立場上上だよ。そう固くならずにリラックス、リラックス。」

 

「そうですか。では、遠慮なく。」

 

古代君と違って固くないな。

 

少しすると第1艦橋要員が揃った。

副長である真田君が、号令を出しいつでも抜錨出来るようにしている。

 

「真田君。いや真田副長。岩本一佐です。よろしくお願いします。」

 

「こちらこそよろしくお願いします。」

 

愚直だが、判断は間違えないだろう。

 

 

船員の経験は不足しているがそれを補うのが、私と沖田艦長。そして、船内の年配組の務めだ。

 

多くの船員の命を預かるこのパレードは果たしてイスカンダルに到着出来るのだろうか。


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