たとい、エースと呼ばれても   作:丸亀導師
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第13話 光年の船出

あの戦いから十数時間後、国連からの最後の通信が入った。ヤマトがガミラスの冥王星基地を破壊し、遊星爆弾による壊滅的な破壊を完全に止めたことを、地球の民衆は非常に喜んでいるとかなんとかそういう内容だ。

 

途中で通信が切れてしまったが、致し方ないだろう。

超空間通信は、まだまだ我々には新しい技術だから調整が難しい。

更に言えばもうすぐへリオポーズ(銀河からの放射線を防ぐ太陽の強力なシールド)を抜ける。

太陽系の外縁部であるから、所々で電波障害が発生しているのだ。

 

へリオポーズに到達する前に、ささやかな祭りと称して太陽系赤道祭を開くことをここに、沖田艦長の立案で実現されることになった。

 

祭りというものに関して日本人は実に敏感に反応したのか、直ぐ様多くのものたちが祭の準備に取り掛かっていた。それとも、最初からそういう計画だったのかもしれない。そこは、わからないが。

 

ともかく、皆忙しい合間の精神的にリラックスできるこの時を思う存分楽しもうとしているのだ。

こっちもそれ相応に楽しまねば損というものだろうな。

だからこそ、いま艦橋下の廊下にいるのだがそこでコスプレをしている女性士官に何か言うことも無いだろう。

 

こっちを見て固まってやがる。正にヤバいやつに見つかったという顔をしているな。笑い返して、何も見なかったという風に立ち去るのが最善であろう。

後ろからため息なのかそんな音が聞こえるがキニシナーイ。

 

会場に到着すると既に多くの乗組員がグラスを片手に談笑している。そんな中に俺が入っていくと少し静かになる。これはショックだ。嫌われているのか、はたまた誤解されているのか、俺はそんな冷徹な人間じゃないのにな。

 

変に英雄としての型が着いてしまっているから話しかけずらいのだろうか。いつも階級付きで呼ばれてしまう。

このままだと一生このままなんじゃないか?

 

そうしていると、新見君がやって来て俺の横に並んだ。

 

「岩本さん、楽しんでますか?皆とってもあなたの回りに集まろうとしないようですけど。」

 

「そうなんだよ。皆遠慮しちゃってね、お邪魔虫かな?俺はそんなにお固い官僚みたいな人間じゃないからさ、もっと肩の力を抜いて欲しいものだよ。

それよりも新見君は良いのかい?こんな男の近くにいて、皆と混ざれば良いじゃないか。」

 

「いいえ、あなたがつまらなさそうにしていたので、助け船をと、思いまして。お節介でした?」

 

「いやいや、ありがとう。」

 

グラスを持ちながら二人で話をしていると主計科の隊員?の子が話をかけてきた。

 

「あの、岩本さん?とお呼びしても良いですか?」

 

「勿論良いとも。今は仕事中じゃないだ。リラックスするのが一番さ。むしろ階級で呼ばれたくないな。それで何かな?」

 

もじもじしながら何か話そうとしてるな。

正直美人が多いから皆かわいい。

 

「あの、昔からファンでした。それで、一緒に食事でもと思いまして。」

 

「食事かい?良いよ、後ろの子達も。

まあ、その前に艦長の話を聴かないとね。」

 

結構いるものだな。むしろ俺にファンがいたのが驚きだ。

 

食事を始める前に艦長から今回の赤道祭の話を聴き、これからの旅路の安寧を願うような話をしていたら、こっちにもマイクを向けてきた。

 

「あー、マイクを艦長から頂いてこうして喋るのですが、なにぶん始めてですので緊張しております。

さて、これから我々は遥かなる旅路が始まります。これから先どうなるか皆目検討が付きません。

だからこそ、今この時を楽しみましょう。今日は無礼講ですから、階級を気にせずやっていきましょう。さあ、艦長。お願いします。」

 

そして、艦長の話を少しして祭りが始まった。

周りからは談笑している声が聞こえる。

俺に声をかけた子や他の子達はコスプレをしているのだ。成る程そういう仲間か。

 

彼女たちからコスプレをしてほしいと言われたが丁重にお断りした。そうこうしていると古代君と山本君が出ていくのが見えた。

用事を思い出したと言って、彼女たちから離れると宇宙服に着替えいざ甲板へ。

 

と、二人とも既に話を始めているな?

 

「おい、こっちにも変わりになるやつはいるぞ?」

 

「おっ、こりゃあ英雄さんじゃないか。こんなところでどうしたんです?」

 

「英雄なんてもんじゃない。ただの敗残兵さ。ところで、人手が足りないだろ。地球と連絡とりたいやつと交代させてくれ、良いだろう?甲板長。」

 

「へぇ、了解しました一佐。おいっさっき話してただろ?有りがたく行ってこい。」

 

若い三人が礼を言いながら去っていく。

 

「俺は甲板長と共に作業するから、二人は別の作業をしておいてくれ、頼むよ。」

 

二人は突然の事で何を言っているんだという感じだが、了承したのだろう。作業に取り掛かっていた。

 

こちらも順次作業を始めていく。先程行った三人が帰って来て、交代で連絡をしに行っているようだ。そりゃ皆連絡したいだろうよ、変える場所に待ち人有りならな。

 

「本当に若い奴等は良いですねぇ。羨ましいですね。」

 

「ええ、そうですね。甲板長は、良いんですか?連絡をしなくても。」

 

「俺は、いいんですよ。後々連絡をしますので。それよりも、一佐は行かなくても?」

 

「私は、帰る場所に守るべき人はいないので。なにより、この船が無事に帰れるのならそれで充分です。」

 

「年のわりに、考えが歳とってますね。」

 

「よく言われますよ。だいたい、この戦争のせいですけどね。」

 

互いに笑いながら作業をした。甲板長とはそれなりに長い付き合いだったりする。俺が階級で呼ばれるのが嫌なのを知って言ってくるんだから、良いやつなのか俺が嫌いなのか。

 

作業を終えるとお祭り騒ぎも終盤といったところであろうか、幾人か酔いつぶれているものが見える。

思う存分に楽しんだと見えるな。

 

誰もいない休憩室に足を運ぶ

 

「星名准尉、調査の具合はどうだ?」

 

「彼等はまだ尻尾を出してきません。誰かも検討が付いていませんので。」

 

「こちらは一人だけ、新見一尉が恐らくはイズモのものだろう。彼女の周囲をマークしてほしい。必ず、連中は動く、そのときが最後だ。頼むよ?」

 

「はい。しかし、岩本一佐は本当にパイロットなんですか?」

 

「俺はパイロットさ。」

 

ここからが忙しくなるぞ、何せこっからガス状生命体に、ガミロイド、異空間、いろいろバリエーション豊かだな。




評価、感想、誤字等有りましたらよろしくお願いします。

明日からまた、仕事で更新が遅くなりますので、
どうかご容赦の程を。



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