たとい、エースと呼ばれても   作:丸亀導師

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第10話 襲撃

side岩本

 

上空から猛進する土煙が見える。

なんだ?いや、まてよ。確か本来はここで古代たちが敵に遭遇して、『森 雪』が拐われそうになったはず。

だが、今回はそれが起きていない…。だとすると、遅れてこちらに来たか!

 

「古代!!ガミラスの地上部隊がこちらに向かっている。至急迎撃に向かうが、もしもの場合がある。最善の選択をし、船へ帰還せよ。」

 

『待ってください。シーガルでの帰投は困難です。そのため我々はユキカゼ船内での防衛に勤めます。』

 

「わかった。くれぐれも用心しろ、こちらも全力はつくすが武装の搭載は対艦使用じゃないから、そちらに撃ちもらすかも知れない。そのときは、君が守ってくれ。」

 

『はい、二人を全力で守ります。』

 

二人?そうか、シーガルにはもう一人載っていたんだっけか?忘れてた。

それよりも、どうして駆逐艦が来るかなぁ。確かいなかったよな?やっぱり俺がいるから戦力が増強されているのか?素直にヤマトの方へ行けば良いのに。

 

「かかってこい、相手になってやる。」

 

 

side 山本 玲

 

敵の襲撃が始まった。ヤマトはエンジンの不調により動くこともままならず、補助エンジンで進もうにも乗員の収容が終わっていない。

それどころか、収容ハッチと99式の発艦システムが同じという欠陥により航空機すら飛ばせない始末だ。あの二機を除いて。

 

私は今かけている。主計科からちょうど艦尾へと移動中に起きた今回の襲撃で、パイロットとしての経験があり、真っ先に出撃できるのは私しかいない。

 

コスモゼロの格納庫に到着した。

耐Gスーツに着替えコスモゼロに搭乗しようとすると、整備員にとめられた。

 

「何をしているんですか?発進許可は出ているんですか?」

 

「今は有事です。それに岩本一佐からの有事搭乗権限をいただいております。沖田艦長もわかっています。(嘘)

今すぐに出撃体勢を整えていただきたい。」

 

少し、考えたのち

 

「わかった、健闘を祈る」

 

と言ってコスモゼロをカタパルトへと移動させていく。

横目で加藤さんがわたしの事を見て叫んでいた。どうやら急いでこっちに来て事情を聞いて激怒しているようだ。

だが、まだばれた訳じゃない。

 

私を追って加藤さんが発艦したようだ。

無線で文句を言われたとしても今は有事だ、だからこそ急ぎガミラスの戦車隊並びに強襲揚陸艦だったか?を落とさなければと、説得し戦闘に入っていった。

 

 

 

いったい誰に似たのだろうか、山本 玲が誰かさんと同じ様なことをやってることを露ほども知らずに、岩本は戦闘を行っていた。

 

side岩本

 

いやーやっぱり対空ミサイルじゃ効かないな。

いくらクリピテラだからって、対空ミサイルで沈んでちゃ船としてどうなのかなと思ってたところなんだが、

さて、じゃあ本格的に沈めようじゃないの。

 

やつの上へ急上昇をかける。本来やつのミサイルは対艦用のためこちらの機体へのホーミング性能は高くない。だからこそやつのミサイルを全て、正面から回避する。

 

そして、ダイブするかのように敵艦の後方に備え付けてあるミサイル発射管へ無誘導のロケットのように対空ミサイルを叩きつけた。

 

あの船はそこが弱点だ。前回の戦闘でも今回の戦闘でもやはり、弾薬庫へと爆発が浸透し艦橋下部が見事なまでに吹き飛んだ。

 

それでも動き続けているため、エンジンを完全破壊すべく残り4発の内2発をまた無誘導で行い、破壊に成功した。

 

ここで、下の状況を確認する。

戦車はクリピテラを叩く前にあらかた片付けたと思っていたが、隠れていたものがあったらしく、古代君が必死に戦闘を行っていた。

 

おっ、なんと独力でかたずけやがった。と思うと、森君と抱き合っているではありませんか、互いに気付いていない様子だが、『応答願います。ハヤブサ応答願います!!』通信が回復したか。

 

「こちらハヤブサ。通信が回復したようだ。」

 

『良かった。(小声)現在ガミラスからの攻撃を受けそれを撃退しました。そちらにもガミラスが行った可能性があります。油断せずにすぐさま離れてください。』

 

「心配はいらない。既にガミラスを全滅させた。それよりもシーガルをもう一機こちらに寄越してもらえないだろうか。先程の戦闘で、破壊されてしまった。私の機体へ搭乗させることは出来ない。至急救援を頼む。

ああ、負傷者は無し、ただ重要な案件ができた。

案件はそちらへ到着後に話すとする、以上通信終わる。」

 

『ちょっと待って…。』

 

ふう、良かったか。存外信頼されていないのか、それとも俺の実力を知らないのか。ただ心配してくれているのか。わからないなぁ。

 

そんなこともあったが、二人を生暖かい目で見ながらおっと。

 

「原田くん、救援がすぐに来るそうだ二人に負傷箇所が無いか調べておいてくれ」

 

『え?りょ、了解しました。』

 

居たことを忘れていたが、原田くんが確かこのときに加藤との関係が深くなっていくんだったか?

しばらくすると、コスモスファルコン隊とヤマトが直々に現れた。収容人数を考えれば妥当だな。

 

 

収容された後、エンケラドゥスを出立した。古代は艦長への報告へ私は、無断出撃したという山本君のもとへ行った。

そこには加藤君が山本君へ説教を行っている、航空隊の面々が私の存在に気が付きまた敬礼をしている。

どうしてそんなに固いんだよ。

 

「敬礼は良い、各自の作業に戻ってくれそれと、今は非番だ。階級を気にしないでくれ、こっちも肩が凝ってしまうよ。」

 

そして、山本君の方へ行く。

 

「スゴいパンチだな、ヤマトの備品を壊さないでくれよ?手に入れるのは難しいからな。

さて、無断出撃をしたそうじゃないか。命令を待たずに出撃することは軍法会議ものだが、今回は最善だったとおもう。

だが、次同じことをしたら君の階級を降格し、独房行きになることを覚悟せよ。だから、今回は不問とする。

それと、君が航空隊になってくれたら個人的には嬉しいよ。」

 

「待ってください、玲を航空隊に入れるつもりですか。」

 

怒りの形相だな。

 

「私はただ、嬉しいと行っただけだよ。では、玲君持ち場に戻りたまへ。」

 

敬礼をして自分の持ち場へ戻って行く背中を見る。

ああ、明生君が生きていればきっとあんな感じなのだろうな。

 

「なぜ、玲を不問としたのですか。」

 

「彼女は私を真似ただけだ。私は無断出撃が常態化していたからな。強くは言えんよ、特にこういう時はね。

だから、君が航空隊の隊長なんだよ。私では、自分自身の制御が難しいからね。」

 

それに、話の本筋から逸れすぎるとこっちの記憶とずれてくるからな。

 




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