たとい、エースと呼ばれても   作:丸亀導師

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始まりへ至る道
Fast battle


西暦2191年4月2日 火星沖機動艦隊 駐留基地

 

俺達は今日の朝、突如として特別ブリーフィングルームへと召喚された。それも、大隊長である三佐だけでなく小隊長である三尉の私、果てはその部下の新人まで全員が参加することとなった。

 

会場に到着すると俺の部隊の直属の上司である、坂之上三佐がいた。

 

「三佐おはようございます。」

 

「ああ、おはよう。」

 

「いったいなんなんですか?こんな仰々しい催し物今まで行ったことなんて無いですよ?」

 

「俺にもわからないな。今から説明するとはぐらかされたよ。」

 

暫く整列して待っていると、放送が入った。

なんと国連宇宙軍本部からのダイレクト通信だ。

 

内容は、未確認の知的生命体によるコンタクトの艦隊が近付いているということ。それにともない機動艦隊は、遊撃艦隊から、連合艦隊に組み込まれ艦隊を編成するという内容であった。

 

そして、それにともない特別攻撃隊の編成を行うことが発表された。通知は明日早朝には届くものとなった。

 

艦隊は数日前に地球への帰還が命令されていたために、艦内の多くは落胆の色があった。

そして、俺も家族にあう約束を果たせないことを連絡し、戦場への準備を取っていたところ通知が届いた。

皆この事を楽観視していた。

 

そして、特別攻撃隊の編成員に俺は配置転換されていた。編成員は、一隻の空母に移乗となった。これが後に最後の空母と呼ばれる翔鶴であった。

 

そして、更に選抜メンバーにはとある特別任務が与えられた。

ガミラス艦隊への無通告攻撃命令である。

聞いたとき初めてこの出来事の重大性を理解した。

それほどまでにガミラスが驚異だと言うことだ。

逆に言えば原作では機動艦隊が存在しなかったからこそ、イソカゼが先制攻撃をさせたのだろう。

 

第一次防衛線と設定された土星から、火星まではデブリベルトによって進路の障害とすることが出来るが、そうなった場合、戦略物質であるコスモナイトを奪われることとなる。

それを見越しての第一次防衛線であった。

 

 

 

西暦2191年4月29日 天王星、土星中間領域

 

国連主力第一艦隊は天王星からガミラス艦と並走するように地球への道を進んでいた。

内惑星艦隊の第二艦隊は遅れて土星へ向け前進を続け、中間領域で第一艦隊と合流し、そこでガミラスを叩くのが作戦である。

 

俺が載っている翔鶴は、第一艦隊から外れ土星の影から航空隊を発艦、ガミラスに攻撃を仕掛ける。

単艦とするのは少しでもレーダーに写らないようにするためであり、これによりガミラスを挟み撃ちするという完全な奇襲の意味を持つ。

 

そしてこの日運命の火蓋が切って落とされた。

 

作戦序盤我々は計画通りに土星裏側から発艦し、ガミラス艦隊へ向け進んでいった。

(当時ガミラスは我々と同じ

光速のレーダー《以後旧レーダー》

を使用していたのだと後々わかったが、本来ガミラスが使用していたレーダーであればこの作戦は失敗していた。敵の慢心によって作戦は一時的に成功となる。)

 

土星の発する電磁波の影響により通常、この空間では

旧レーダーは使用不可の状況に陥る事によって、我々の

存在は秘匿されるものとなった。

それによりガミラスへの接近は比較的容易となっていた。

 

編隊がガミラスに近付くにつれて徐々にガミラス艦隊の全容が明らかになっていく。

戦艦?を中心に巡洋艦?が上下にサンドイッチするように配置され、その前方後方へ駆逐艦?が展開している。さらにその後方では、ヒトデのような艦艇を守るように駆逐艦?が球体を造るように取り囲み、一種の輪形陣を形作っている。

 

ということは、ヒトデが空母である可能性が高い。

しかし、周囲に航空機を確認できないため発艦をしていない。もしくは航続力に難があると見ていた。

 

ガミラスの戦力はざっと見ても50隻ほどある艦隊であった。

それに対して国連軍は200隻は下らない大艦隊だ。

普通であるならば、負ける要素はない。だが、相手は恒星間航行が可能な艦隊。普通ではない。

だからこそ、この攻撃隊だった。

 

しかし、我々が攻撃体制に入った直後、国連宇宙軍からの攻撃命令が沖田艦隊に通達されたのか、突如として発砲を行った。これでは奇襲の意味が無いではないか。

 

我々も遅れ馳せながら対艦ミサイルをガミラス艦へと、発射する。数瞬後、ミサイルが着弾した。

各々無線を入れ勝利を分かち合おうとした。

その時、一隻の地球艦が一撃で葬り去られたのだ。

 

戦慄した。レーザーもそして、我々の放った対艦ミサイルもガミラスには通用していない。

それどころか、ガミラスのレーザーは地球軍の艦をまるで紙切れのごとく破壊していく。

 

こちらも黙ってみていた訳ではなかった。

ミサイルは破壊力が足りない、その影響でガミラス艦へあまり通用していないが、それでも艦隊が撤退する時間は稼ぐことが出来る筈だ。

 

「全機!散開して敵艦隊への攻撃を続攻せよ。少しでも時間を稼ぐぞ!」

 

航空隊長の命令により全機が迅速に行動を開始する。

各機散開し、地球軍へ追撃するであろう駆逐艦を中心に攻撃を始める。

 

駆逐艦は装甲が薄いため今回のミサイルでも撃沈が狙えると考えていた。そのときだ、何処からともなく、未確認の戦闘機が出現した。ガミラスのヒトデ型から出てきた戦闘機がこちらを猛然と追ってくる。

 

攻撃体制に入っていた味方は突然の出来事になす統べなく一機また一機と落とされていく。

そのときだ、自分の肉体の異常さに気が付いた。まるでロボットにでもなったかのように異常な旋回でも全く苦しくない。むしろ心地よく感じていた。

 

暫くすると景色すら緩やかに流れていくようになる。まるで時を操るがごとく視界が曇りひとつない、敵機がこちらを撃とうとする軌道が見える。それを糸でも手繰るかのように、するすると避けていく。

 

いつの間にか敵機と自機の場所は入れ替わり、相手が混乱するうちに引き金を引いた。

ミサイルは撃てない、ロックオンすら遅すぎる。

 

そうして、撃ち落とすと別の目標に向け動き始める。

体が脳が敵を殺す。

自分の無双が始まったかのようだった。

一機、また一機と葬り去っていく。

 

余裕が出てくると、さらに敵の駆逐艦にさえ攻撃箇所がピンポイントで見え初め、そこに向けミサイルを叩き込む。すると先程のようにミサイルが弾かれることがない。むしろ効果的に破壊を行っている。

 

だが、弾が無い。駆逐艦4、巡洋艦1、おそらく敵機を30ばかし落としただろうか。

それでもまだまだ敵はいる。

第二艦隊から発艦した増援が、第一艦隊の後退を支援するため合流した。

 

翔鶴が合流をはたしているが前線へ出てきている。いや、こちらが押し込まれているのか。

ガミラスの駆逐艦の突撃をイソカゼ型がどうにか押さえている。艦対艦ミサイルは結構効くようだな。

 

やっと落ち着いてきた。隊長や僚機に通信を行うも雑音と、砂嵐の音しか聞こえない。

どうやら特別攻撃隊の生き残りは俺だけのようだ。

だが、仲間が死んだというのに、心がとても晴れやかだ。まるで自分のいきる場所を見つけたかのように。

 

時を置くごとにガミラスからの攻撃が止み始めた。

特に第二艦隊が出てくると同時にガミラスが潮のように引いていった。航空戦力ではこちらが優位にたったからだと、本能的に気づいた。

 

だが見ろ、第一艦隊はおよそ3割が撃沈され、残存艦ですら攻撃を受けていないものは少なかった。

ガミラスによる追撃が起こらなかったのは、不幸中の幸いであった。

 

この戦闘によりガミラスとの正面からの戦いは、こちらが圧倒的不利ということが明らかとなり、戦闘の影響により土星までの制空権、制海権を損失することとなった。大敗北である。

 

第一次防衛線から、第二次防衛線である火星までの後退を余儀なくされた。

また、損耗の著しい第一艦隊は地球へと帰還し第二艦隊が火星の守りを固めることとなった。

 

この後、散発的な戦闘が継続される事となる。

 

私は第一艦隊とともに地球へと帰還し、戦闘での表彰と、偽りの英雄とする報道をされた。

数ヶ月、軍大学で対ガミラス用戦術の研究がなされ

アドバイザーとして呼ばれた。

 

そんな時だ華奈にであったのは。




誤字 感想 評価 お願いします。

本当に戦闘描写って苦手です。
何より文章の構成力が欲しいです。


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