たとい、エースと呼ばれても   作:丸亀導師

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第14話 恒星の恐怖

航海が続き各々の想いを載せて艦は、前へと進んでいく。

艦橋内に全員が揃っているなか、沖田艦長は最後に地球の姿を見せてくれた。あの子がかつて住んでいた美しかったあの星を。

 

そして、瞬く間にグリーゼ581星系へとワープした。

グリーゼは、かつてのイズモ計画での対象星系だった。そんな星に来たら必ず新見君は取り乱すだろうな。

だが、そんな事よりもワープ。一瞬であるが地球方面に何か光るものが見えた気がした。

気のせいであれば良いが。

 

艦長が艦橋から離れた。

どうやら何事も起こらなかったようで良かった。

だが、新見君が席を外し艦長の後を追うように艦橋から退室する。それを横目で見つつ。

 

「副長、周囲の警戒を大に引き上げてくれないか。」

 

「どうして、それが必要なのか。」

 

「嫌な予感がする。ここまであまりにも順調すぎるんだ、一波乱起きるぞ。俺達は網にかかったのやもしれん。」

 

古代がこちらを向いて言った。

 

「岩本一佐、どうしてそう言いきれるんですか?

この宙域には隠れる場所など何も無いというのに。」

 

「いや、巨大なものがある…!」

 

艦が傾斜する。

副長が、直ぐに建て直すよう命令を出し事なきを得たが、強化された太陽風に煽られた形となっている。

 

真田が艦の建て直しをするのなら俺は、

 

「全員これは、第一波だ。まだ何か来るぞ!!警戒を厳となせ!真田、これはどういう現象だ。」

 

「太陽風ですね。だが、これは明らかに人為的な数値であるというところです。」

 

「何があった!!」

 

艦長が上から降りてくる。

先程よりも更に、事細かく説明している。

そりゃ艦長が一番正しい判断を言う確率が高いからな。

俺は、だいたい三番目位だろう。

 

「後方から重力波反応!!ワープ反応です!!」

 

ということは、ガス生命体か。

 

艦長の容体が思わしくないな。

「艦長!!意見具申」

 

「何だ。」

 

「ワープアウト同時攻撃の可能性があります。現時刻から数時間程、古代への兵装使用の一任を願いたい。」

 

艦長と目が合う。

 

「わかった。古代自分の判断で攻撃を行え。たとえ私の許可が無くとも、兵装の使用を可能とする。良いな。」

 

これで少し時間が稼げるか?

 

そして、ガミラスの艦がワープから出てくると同時にミサイルを発射する。

まっすぐ、こちらへ突き進む中、古代が迎撃の指示を行い見事に撃破して見せた。

 

しかし、それだけでは終わらなかった。

破壊した後から巨大なガスのような物体が意思をもってこちらへと接近して来る。

 

それに対して艦長が下した結論は唯一の逃げ道、恒星へ突入することだ。

恒星への降下を初め艦の外部温度が急上昇し、それにともないガス生命体も巨大化していく。

 

「真田、艦は何度まで耐えられるんだ?」

 

「理論上、波動防壁での制限温度はない。しかし、…。」

 

「俺達は人間は耐えられないか。最低でも宇宙服が必要か。」

 

そう言うや真田が艦長へ、全乗組員へ宇宙服を身につけさせる許可をとり、実行に移した。

艦内の温度はどんどん上昇していく。

クルーにも何人か倒れたものがいるようだ。

 

非常に暑いのだが、それでもガス生命体から逃げる道はほかになしなのだが、正面の恒星何か変だ。

 

更に逃げるために前へと進む。ガスはすぐ後ろまで迫っているというのに、なんだろうか、暑さのせいでもガスのせいでもない、この背筋が凍るような気配はなんだ。

 

前方に巨大なプロミネンスが出来る、だが背筋の気配はこれではない。

波動砲で蹴散らすことが出来るから正直な話怖くなど無いのだ。

 

「後方から熱源!!ガミラス艦からの攻撃です。」

 

嘘だろ?原作には無かっただろ?まさかプロミネンスに飲み込まれなかったのか?

 

モニターを見ていると森君に目が行く。なにやら顔が青ざめてないか?

 

「ほ、報告します。ガミラス艦の真下に、巨大な生体反応です!!」

 

生体反応?それがこの悪寒の答えか。沖田艦長も少し恐怖の色が見える。

 

ガミラス艦の真下に出現したのは巨大なワームのような生命体。それが太陽の内部から突如として出現しガミラス艦を呑み込んでいった。なんと巨大な生物であろうか。地球なんかよりも巨大かもしれない。

 

ワームは、我々には目もくれることなく再び恒星の内部へと消えていった。我々の危機はこうして、去っていったのだ。

 

後日思い出したのだが、あれはフリーの創作サイトに出てくる太陽を蝕む存在ではないだろうか。

ということは、やつはただ口を開けて上に登ろうとしただけなのだろう。

 

数日後俺は艦橋にいた。艦長は休憩中、副長兼技術長である真田はガミロイドの解析に没頭し、新見に関してはあの巨大なワームの研究と仮説をたてているため役職と階級の関係上私が艦長代理を勤めていた。

 

現在のローテーションでは、俺が艦長代理を勤めている間、古代が完全にヤマトの兵装の管理を行っている。

と同時に古代への、戦術のレクチャーや足りない経験を教える教師のようになっている。

 

本来であれば艦長がやるべきであるが、南部君は少々判断力が足らない、経験が古代以上に少ないためでもあるからそこは、致し方ないだろう。艦長が南部君の世話をしているということだ。

だが、安心してほしい

伊達に士官候補生の教官をやっていた訳ではないのだ。

(直ぐに前線へとんぼ返り)

 




評価、感想、誤字等有りましたらよろしくお願いします。

今回登場した生物は某創作サイトのさる生命体です。
気になるかたはscp-2682で検索してください。

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