艦橋へ戻ったつかの間、ガミラスからの攻撃が船体を揺らす。
ミシミシと魚雷の衝撃が艦橋まで伝わってきている。
だが、レーダー員は誰一人としてそれを察知できていないようであった。
突如としての魚雷攻撃は、一種の恐怖とでも言えるものだ。姿が見えなければ攻撃など出来ないのだから。
きっと潜水艦が船舶への攻撃に使われ出したときも、こんな心境だったのだろう。
そんな中沖田艦長の判断の早さは正直驚いた。
真田や古代たちが判断をくだす遥か前に、現状最適解を導き出すその手腕。
成る程、艦隊を指揮する司令長官になれるわけだ。
理論だけでなく直感と経験による動きは、この艦で真似できるやつはいないだろう。古代は素質はあるが、まだまだ経験不足だ。
それよりも現状の問題として、恐らくは潜水艦による攻撃であろう予測は付くが、それに対して有力な方法を未だに導き出せない艦橋員だろう。艦長におんぶに抱っこかよ。
小惑星帯の内部に行くことによって、こちら側は完全に防戦一方となった。
だが、それだけではない。四時間もの過度の緊張そしていままで長いこと体を酷使していたのか、沖田艦長は病に倒れた。
さあ大変だぞ、俺を含めた乗員の中で対潜戦術を教わったのは極少数だ。真田は勿論のこと俺よりも数年遅れた世代は、潜水艦の運用停止によって戦術を完全に破棄された後の世代だ。判断を誤る可能性がある。
そんな中、副長である真田が艦の指揮をとるのだが、何処か不安を感じる。真田は理論的だ、それは良いことだが、軍人として非情さが足りないと、個人的に思う。
そして、そこに新見と古代の全く異なる対ガミラス艦戦術を提出されれば、真田は自ずと非情ではない方法を選ぶ。
艦長が倒れてから更に一時間の時が流れた。艦橋では、皆殺気だっていた。動こうにも動けないこの我慢比べ。
先に本体が動いた方が確実に殺られる。わかっていようが、若いものには特に辛抱が足りなくなることもある。
そこで、新見と古代が現状の打破を目的とした作戦を立案して、真田へと持ってきた。
新見の作戦は、艦本体による亜空間ソナーを利用した対潜哨戒。(現代で言ったところのアクティブソナーだ。)
正直このデカイ艦でやるべき方法ではない。
古代がシーガルによる対潜索敵を行うことを具申しているが、この小惑星帯の中で飛ぶことは自殺行為だと言われているところだ。ここで俺が出れば、死なないやつが出てくる筈だ。
「では、私がシーガルの操縦を担当しよう。小惑星帯なら飛びなれているからな。」
三人の会話に俺が水を指す。いつものパターンだ。
「ですが、その場合貴方の身に危険が及ぶ可能性があります。第一、シーガルに乗るのは貴方だけではないのです。」
「だがな副長、いや真田。リスクを恐れては前には進めないと思わないか?新しいソナーは言わば、アクティブソナーだ。発した場合こちらの位置を相手に気取られる可能性が高すぎる。相手の大まかな場所が予測出来ているならともかくな。」
それに新見が返答する。
「それでは、一佐は戦術長の肩を持つと言うことですか?ですが、亜空間ソノブイの効果半径自体、ソナーよりも、効果範囲は短いものです。」
「だからこそだ、まずはシーガルでソノブイを投入その後、敵が見つからない場合はソナーで探索範囲外を限定し索敵を行う。その方が確率的に見つけ易いんじゃないか?それに、陽動にもなる。どうする?副長」
結果として相法を行うことに決定したのだが…。
「なんで俺だけ零式丙に載らなきゃならんのだ?」
「そりゃ、あんたデブリ帯を高速で駆け抜けることが出来る唯一の人間だからだよ。」
榎本が言うには、やるならば徹底的にと言うことで、真田が二機編成でソノブイを投下するということだ。
こっちについてるやつは、シーガルに繋がっておりデータをヤマトへ送信することになっている。
そして、それによりに大まかな位置情報を把握した上で、ガミラス艦へソナーはをぶつけるという事らしい。
これなら確実だけどさ。
「戦闘機でデブリ帯を飛ぶのは結構大変だぞ?」
「そこは、我々整備にお任せあれ。新品同様にしてあるからさ。」
「何言ってんだ榎本曹長。お前らもシーガルに載るんだよ。」
「わかってますよ。」
「古代を頼むぞ。」
戦闘機に搭乗し、艦後部のカタパルトから放出される。このとき、エンジンを最低限の出力にすることによって
ヤマトの情報を最小限にした。
ガラス越しの眼前に広がるは、小惑星群。ヘルメットバイザーに進路が表示される。
それとは別に、いつも潜在意識が勝手に敵へ場所がマーカーされるのだが、敵の場所がわかれば紙飛行機マークが表示されてそこまでいくのだが、今回は写ってないから潜在意識でも場所がわからないようだ。
指定された位置に到着したらソノブイを投下する。
慣性によって小惑星に当たらないよう慎重に。
あと一つ。順調だこれなら…?
なんだろうか、小惑星にはあり得ないかくかくと動く物体がある。それが止まりヤマトの前へ…まさか。
「ヤマト!直ちに発進しろ!魚雷来るぞ!!」
言葉と同時に空間が揺らぎ、ヤマトへ魚雷が飛んでいく。
「畜生め!だったら」
魚雷の後方へ追いすがり、機銃で一本迎撃に成功したが、もう一本がヤマトへ向かっていく。
ヤマトが前進を初めなんとか反らすことに成功したが、もはや油断できない。早く見つけなければ。
『岩本一佐何がありました!』
「奴っさん、ドローンも使ってやがる。ヤマトは丸見えだ。」
畜生がそうやって修正していくってのか?死人を減らせないってか?冗談じゃねぇ殺ってやる。
一瞬だが、魚雷が出現した瞬間空間が揺らめいた。機の行動半径10秒までなら艦を防空出来る。
最後のソノブイを投下し、急ぎヤマトへと帰路に付く。
発射地点はわからないが、揺らぎは見える。
三本か、なら直撃コースを真っ先にそして上へ行くコースを次か。
出現箇所まで魚雷の後方を付いていく。そして、出現した瞬間に機関砲をお見舞いして全て叩き落とした。
その時、ヤマトの主砲が仰角を上げ左旋回し始めた。
どうやら発見したようだ。
その後、ヤマトは潜望鏡を破壊して俺と、シーガルを収容しワープ航法で逃げた。
終わった。無事被害を最小限にして。
スーツを脱ぎ体を洗って艦橋へ戻る。
パイロット連中からの眼差しがウザいくらいに輝きを持っている。
途中、医療室に立ち寄って艦長の見舞いをした。
佐渡先生と艦長の容態に対して話し、より艦長のフォローを厚くしなければと心に決めた。
艦橋のドアの前にたっていたら新見君が中から現れた。
なにやら悔しそうなそんな表情で、けれども何か嬉しそうなそんな笑顔だ。
艦橋でも眼差しが俺を待っていた。
「副長、迅速な判断感謝する。お陰でヤマトの被害は最小限だ。」
「いや、私の方こそお礼を言わなければなりません。あのとき、機体を出していなければ我々は一方的にやられていたでしょう。」
とにかく乗員の命が助かって良かった。
「副長、艦長へ見舞いに行ってこい。指揮は任せろ。
さあ、状況は一応警戒体制だ。気を抜くなよ?」
sideメルダ
私は未だ本星から出立出来ないでいた。
きっとこれも父の権力によるものなのだろう。全く権力の乱用にも程があるというのに、娘を止めるためだけにそれほどのことをするとは。
今日も総統府の軍司令部でデスクワークをするはめになっている。全くこれでは体が鈍ってしまう。そんな中でもやはり食事は欠かせない。だが、ヤマトの中で食べた食事の方がこちらよりも数倍美味しいのだ。
食文化で我々は負けているな。
そんな中会話が聞こえてきた。
『銀河方面のフラーケン中佐が、テロンの船を仕留め損なったんだって。』
『嘘だろ。あのフラーケンだぜ?どんだけテロンの船は優秀なんだよ。』
「すいませんが、その話もっと詳しく教えていただけないでしょうか。」
「うん?君は…。ディッツ提督のご息女の。」
「はい、メルダ・ディッツ少尉です。」
「ほう、それでどうしてその事が気になったのかね?」
「はい、以前私は銀河方面に勤めておりました。
その時テロンの艦が我々と戦闘を行っておりました。かつての敵が今どうなっているのか知りたくなった所存です。」
「そうか、俺の同期のフラーケンという実験艦の艦長がいるんだが、先日やつがテロンのヤマトとか言う艦と、戦闘状態となり仕留められなかったそうだ。
あいつは、かなり癖があったが優秀なやつなんだ。
それが倒せないとなると、ヤマトはとてつもない艦だな。一個分艦隊に相当する戦力だろう。」
「ありがとうございます。」
話を聞いて安堵する自分がいる。ヤマトが沈められなくてと。あの人が死んでいないと。
何故、ここで彼らの顔が出てくるのだろうか。わからない。
「では、我々は仕事に戻るよ。君も前線に戻ったらヤマトに気を付けるんだ。
私はエルマー・ヴァイセンベルク中佐だ。何かあったら訪ねてくると良い。」
「話はしなかったが、私はブルーノ・アインハルト中佐だ、互いに同期さ。よろしくな。」
いい人で良かった。ここでもし詮索されたら私など収容所送りだろう。
最近あのような光景が多くなってきている。この国は何処かおかしくなっているのだろうか。
何はともあれ、私はヤマトの所在を突き止めておく必要がある。テロンとガミラスの架け橋となるためにも。
全く何を考えているのだ。
感想、評価、誤字等よろしくお願いします。
作品が序盤から中盤に移行し終盤に行くまでどれ程かかるでしょう。
序盤、中盤、終盤。隙がないものは絶対に作れないと思う。むしろ透きだらけなのだろうか。