俺たちはスターシャの元へと馳せ参じた。
コスモリバースシステムへと、ヤマトを改造する条件として、波動砲の封印を約束させられた。
本来その後あまり接点もないものなのだが、俺がいる性であろうか。いや、十中八九そうだろう。
現在俺は、彼女の座る玉座へと対面しているのだ。
いるのは俺だけじゃなく、ヴィリーも一緒だ。
「それで?どうして俺たち二人をここに呼び寄せたんだ?流れ人の話でもするつもりか?」
「おい!イスカンダルの姫にそんな事言っちゃ駄目だ。本当にすごい人たちなんだからな!」
おお、ヴィリーよお前はそんなキャラだったのか?
まるで、ドイツ帝国のヴィリーみたいだぞ。
「貴殿方二人をお呼びしたのは他でもありません。貴殿方に『流れ人』と私達イスカンダル、そして『アケーリアス』の対立の歴史を一通りお話ししなければならないと考えましたので、当事者である貴殿方をお呼びしました。」
そこから始まったのは、映像を交えた昔話である。
今より数万年前のこと、イスカンダルは波動エネルギーによって一大帝国を築いていた頃、ちょうど同時期に栄えていたアケーリアスと血を血で洗う骨肉の争いが永遠と続くかと思われた頃。
始まりは一隻の艦であったという、突如として艦隊戦に乱入し、イスカンダル・アケーリアス関係無しに無差別に攻撃を行った。その艦を皮切りに、イスカンダル・アケーリアス双方の被害が拡大して行った。
彼等は自らの事をティカーティケ(見放されたもの)と自称していた。各々多種多様な特殊な能力を持ち、私たちが争うのを調停すると、宣い見事なまでにそれをなした。
最後はなんともあっけない巻く引きであった、アケーリアスと徒党を組、決戦を挑んだが、彼らのうちのたった一人。全身が青く光輝く存在が手をかざした瞬間、全ての兵器。はたまた艦が、人員が瞬く間に分解され塵となっていた。
それにより、力を失いし二つの文明は滅びの道を歩いていこうとした。
その後、ティカーティケという存在が別宇宙からの流民では無いかと、学者たちが結論をつけたがあまりにも遅かった。と。
その後、その勢力は忽然と姿を消し二度と現れることはなかった。
要するにだ、俺やヴィリーが現れるずっと以前から、この世界はぐちゃぐちゃに掻き回されていたということだ。だから、俺が現れても物語の方向性は変わることはあまりないし、死んだやつが生きてるなんて事もあまり無い。
どんなに掻き回されていても、世界は辻褄が会うように修正力を発揮し、起こした出来事を無かった事すらできる。そして、余計な人物は姿を認識することすら出来なくなるのだ。
であるならば、俺がやらなければならないことは決まっているだろう。
sideメルダ
まさか、イスカンダルに来て海で泳ぐことになろうとは思わなかった。私は付き人として来ただけなのだが。
たが、楽しかった。これから我々と彼等は戦争状態から、休戦となり、イスカンダルの仲介の元、終戦へと至る。
らしい。どうも政治とかに私は弱いから、これから軍を担っていくというのに、勉強不足も甚だしいな。
そんな事を考えつつも、今はこの時を楽しもうとしている自分がいる。
そう言えば岩本は、まだ来ていないようだ。少し探しに行ってみるのも良いかもしれない。それに、この姿を見たら驚くかな?
そうしたらなんと、玲たちも付いてくるという。大所帯となってしまったがまあ良いか。
艦内の休憩室付近で彼の声が聞こえた。
『艦長、私はここに、ガミラスへとどまる所存です。』
『何故だ。君がいたから我々は今まで戦えた。その柱が無くなってしまったら我々は直ぐにでも瓦解してしまう。』
『いえ、現在の彼らを見ていると私は必要ありません。それよりも今は、後の事を考えガミラスにとどまり、一時的でも協力関係を築くために、誰かが留まらなければならないと、愚考しました。それに、私情ですがまだ答えを聞いていませんので、命令違反は覚悟の上です。』
『ふっ。わかった。皆には私が伝えておこう。だが、私と再び会うまで絶対に死ぬんじゃないぞ。』
『わかりました。ありがとうございます。』
あいつがガミラスへ残るのか?
形式上連絡将校の体であると思うがそれにしたって急すぎるのではないか?
ガミラスでは、今まで同盟関係を築いた国との連携を取った試しがない。どうしてこうも勝手なのか。
「失礼する!」
気が付くと室内へ突撃していた。
「お話しを聞いていましたが、貴方はどうしてそう勝手なのか。一人で全てを抱えようとしている。少しは私に相談くらいしても良いのでは無いのか!!」
私は何を言っているのだろう、これではまるで相談してこなかったことへ怒っているだけではないか。
「ちょっとまて落ち着け、何処から聞いてた?まさか最初からか?」
聞いていた内容を話しそれでも、相談に乗るくらいはしたいと、そう言ってしまった。そこで、艦長は薄すら気が付いたのであろう。彼が重要な事を隠していると。
そこで彼が話した内容は艦長を驚かせた。
彼の素性、そして今までの違和感の正体を。
それでも彼は、それを受け入れたらしく彼を快く送り出した。
そして、私も艦長の目の前で有ることを話すことを決心した。
「私は、貴方と夫婦となることは出来ない。少なくとも今は。だが、恋人からなら了承しよう」と。
我ながらなんて不器用なのか。
それでも彼との約束は果たした。きっと良いことが起こると信じて。
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