たとい、エースと呼ばれても   作:丸亀導師

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第2話 メ号の成就

艦隊と共に帰還の途に付き、地球へと帰って来た。

宇宙から見える地球には今はもう海など、見る影もなく大地は焼け爛れ、生物が生きて行ける環境では無くなっていた。

 

これ程までにガミラスの力は強大だ。原作通りに艦隊の損害が多くなったことにより、完全にアウトレンジ爆撃に切り替えて、近くに来るときも必ず強襲空母を随伴してくるようになっている。

 

本土防空隊は対処するが、如何せん技術的に劣っているが故に大きな損害を与えられずにいた。

そんなに折に今回の艦隊戦があった。

間違いなく、艦上機隊は防空隊に吸収されるだろう。

もはや、載せる船もなく人員もいなければ、確実にこの壊れた地球に配属となるだけだ。

 

そうして、およそ一月の航海の後、船が地球への侵入コースへ乗る。その後は、偽装ドックへ二隻で共に入った。

 

 

帰還後まず最初にやるべきことは、負傷兵の救護、戦闘に参加した兵員の確認。それから、帰還機の整備等々かなり豊富にある。

 

特に戦闘に参加したものたちの健康管理には徹底的に行われている。

昨今、艦上機載りたちに宇宙放射線病の患者が出始めていた。

これは、船よりも壁が薄く長時間の間外へと出されるために起こった事例だ。

そのため万が一を考え、私も含め多くの艦上機パイロットには、帰還後の定期検診が義務付けられていた。

 

そして、私の主治医はあの佐渡先生だ。あの先生は腕は超一流でたよりあるんだが、酒ばかり飲んでいるからな、いずれ体を壊さないかこちらが心配になる。

 

診察室に入るといつも通りの佐渡先生だ。

 

「次はおお、君かねエース君か。君は診察しなくても健康体だと思うんだがなぁ。」

 

「義務ですから、それはそうと精密検査の結果はどうです?変わりありませんか?」

 

「ああ、宇宙放射線病の兆候も観られないし、むしろ人間離れした耐久力を持っているよ。

しかし、たいした耐久力だなあ。どうやったらあんな無茶な動きが出来るんだ?」

 

「それは、生まれつきですから。(小声)そう言えば、沖田提督の体調はいかがですか?」

 

「うむ、あまり良いとは言えないな。正直に言えば艦隊運用を辞めて治療に専念して欲しいくらいだ。」

 

「そうですか、あの人も変に英雄にされていますから、録な休暇を取っていませんし、何よりもはやそれを言っている場合ではありませんから。

先日、艦隊が事実上の壊滅となりました。もはや我々に戦う力はない。ヤマト計画以外は。」

 

「君にもその話が来たのか。」「ええ、航空隊の司令だそうです。長旅になりますよ。」

 

「では今のうちに酒をたらふく買っておかねばな。」

 

そう言って笑っている。流石だなぁ。

 

診察室を出て帰宅する。帰宅と言っても実際の家は遊星爆弾によって破壊されているから、無いんだけどね。

だから、寮に寝泊まりする。

 

おお?明かりがついているな、と言うことは奴ら非番かな?こっちは生死をかけて戦ったのに、防空隊は呑気だな。

 

ちょうど彼等もいたか。

 

「やあ、加藤くん今日はローテーションで休みの日だったかな?」

 

「ハッ!これは岩本一佐、いつ帰還されたのですか?」

 

「ついさっきだよ。それにしても、勢揃いだな。いいか?これからは、君たちが防空を担う要となる。油断は絶対にするなよ。

どんなエースでも一瞬の隙が命取りとなる。山本くんのようにね。」

 

そう言うと、加藤はイラついたように私に対して言葉を発した。

 

「その話しは辞めてもらえませんか。死人に対してのそう言うのは、それにやつは、山本はそんな慢心をするようなやつじゃなかった。」

 

こういうやつは、嫌いじゃないな。友人のためなら上官とすら殴り会える気迫があるやつは。

 

「そうか、君は彼の親友だったか?悪かったね正直言い過ぎたよ。今は気が立っているのかな。今回も惨敗だよ。」

 

そう言って、彼らから離れた。きっと哀愁漂う背中だったろう。

明日は基本的に何もないし、ちょうど良いから山本君の墓にでも行ってみるかな。

 

しかし、そんな中でも戦争はあるわけで、結局のところ厳戒体制のまま出撃待機命令だ。非番なんて無かった。

 

 

そこで私は防空隊の格納庫へ集合となり、防空隊格納庫に待機となるが、私の機体が見当たらない。これで戦えと言うのか?

よし、そこの知り合いの整備長に聞いてみるとするか。

 

「お久しぶりです。私の機体が見当たらないのですが、どこにあるのですか?」

 

「あー、これは岩本一佐あなたの機体はここにはありませんよ?(小声)あなたの機体は、既にヤマトに積み込み作業中とのことです。この事は他言無用ですよ?」

 

「では変わりの機体を貸してくれ。必ず戻ってくる」

 

「駄目です。あなたが乗る機体は必ずどこか不具合が出ますので、載せることは出来ません。」

 

それでも諦めずに周囲を見渡すと、あった。コスモゼロ

だ。しかもご丁寧なことに2機ある。

 

「あれはダメなのか?」

 

整備長が、コスモゼロをみてこういった。

 

「あれですか?まだ駆動試験をしてない未完成の52型ですよ。

戦いなんてとんでもない、飛ぶのがやっとですよ。うん?何だ?おい!!そこのやつ降りろ!!ったく人の話を聞かないで発進しやがった。

加藤二等宙尉!!とめろよ!!あ、すいません。」

 

あー主人公と、島君かこう見るとほんとうに無鉄砲だな。しかし、整備長すごい怒ってるなぁ。

 

「いやいや、私のことを気にせずに無断出撃した二人を心配してください。

それに加藤くんは悪くないよ。

あの二人どこかで見たことがあると思ったら、火星の二人か。腕は確かだと思うのだが、しかし若すぎるな。」

 

「あんたも充分若いと思いますが?」

 

「お世辞を。それでは、待機室に戻ります。ご迷惑をおかけしてすいません。」

 

格納庫を後にする。余談ではあるが、周囲のパイロットたちの目はまるで、動物園へパンダを見に来た子供のような眼差しだった。

 

後日聞いた話だがあのあと、原作通りコスモゼロは墜落して二人は無事生還したそうだ。

そして、本来選抜されていた者たちは、ものの見事にガミラスの攻撃の直撃を喰らったようで全員が戦死。

 

今度こそ山本君の墓参りだ。今日中に終わらせるぞ。

 

 


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