例えエースと呼ばれても   作:丸亀導師
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第8話 選択肢

急ぎ艦橋へ、走る走る。

この目で波動砲の発射を見てみたい。

あの画面の向こう側でしか見たことのなかった、とてつもない力を。

 

 

「おい、どうしたんだ。岩本君!説明してくれ。それと、きちんと検査を受けなさい!!」

 

「佐渡先生!急いでるんです。ガミラスが来たんですよ!艦橋へ行くので、検査は後日お願いします。」

 

「お前は大丈夫そうだなぁ。」

 

佐渡先生を後ろに見ながら、艦橋へ。

 

間に合ったか。

 

「間に合いましたか。」

 

全員が何に?という感じの顔をしているな。大丈夫俺もそう思う。

 

「岩本戦術補佐、緊急時です。ふざけないでください。」

 

「わかってるさ。それより、ガミラスから攻撃があったそうだが。」

 

「それならば心配はない。君が来る前に戦闘は殆ど終わっている。」

 

艦長、早いよ初戦闘も見たかったな。

 

「艦長、意見具申。波動砲の試射を兼ね、この大陸に対して攻撃を行いたいと思います。」

 

真田君良いよーそのままいっちゃえ。

 

その後トントン拍子に進み波動砲が発射された。

見事に大陸は消滅、しかし凄い衝撃と閃光だった。

艦橋内では浮かれているもの、浮き足立つもの、呆けているもの。

 

艦長は、『勝って兜の緒を締めよ。』といわんばかりだ。

 

戦術科の南部にちょっと言っておかなきゃならないことがあるから、この場で言わせてもらうか?

 

「南部君や、その他浮かれているクルーに言うがこれは戦争だ。例え波動砲を持っていたとしても、戦術的勝利に過ぎない。

我々の勝利は、イスカンダルからの帰還までだ。

今回の一部の勝利に受かれて良いものではない。」

 

周りからの視線は痛いけど、俺の役回りはこんなもん。

艦長が直々に言えば、艦長へのヘイトが高まってしまうからな。それが、当初からの予定通りだ。

 

それに、一時の勝利に受かれて第一次火星沖海戦みたいになるのは、真っ平ごめんだな。

 

そして、これからの航海、波動砲にだけ頼るということは出来ない。

 

 

時は進み、航路選択の場へとなる。

 

古代は後顧の憂いを断つという名目で冥王星を叩くべきだ。という。対して航海長の島は、短期コース。

つまり冥王星へ行かないコースを選択するという、戦術と航海の対立となった。

 

副長である真田は、最短コースを進むつもりだろうが、俺は反対だな。

 

「私は、古代戦術長の意見に賛成だ。後顧の憂いを断つのは重要だ。更に言えば我々が、太陽系外に出てから奴等が本格的に地球進行を考える可能性だってあるわけだ。その点からみて、古代戦術長の肩を持つ。」

 

古代が驚いている。てっきり反対されるかと思ったのだろう。

 

「しかし、我々の計算よりも日数が減れば地球を救うことも出来なくなるが?」

 

「たが、このまま放置すると遊星爆弾の影響が深刻化するだけだ、遊星爆弾が無くなれば計算上の日数は減らせるのでは?」

 

真田が唸っている。きっとすさまじい速度で計算しているのだろう。少し考えれば分かると思うがな。

 

それにしても、島という男は非情になることが出来るのか、船の操船、航海術、そして決断力が有るのだから、イズモ計画派になったら厄介この上ないな。

 

「貴方の言ったことは分かるが、戦闘の時間がわからないのだ。我々には時間はないのです。」

 

「我々は、占領しなくて良い。陸戦が無いのなら、最悪1日もかからないと経験上思うのだが。」

 

このままいっても議論は平行線を辿ると思うな。

完全に古代の肩を持つ展開で尚且つ、真田、島と意見が完全に反対だな。

 

だが、沖田艦長はどちらかと言えばこちらよりだろう。だいたい、冥王星と逆にいっても結局は期間はそんなに変わるものじゃない。

 

なら、せめて人類の寿命を延ばすのが最善じゃなかろうか。

 

そんな事もあり、古代との接点ができた。

結局航路も沖田艦長の一言で、古代の案に決定された。

俺のせいで乗組員の溝が深くならない事を祈ろう。

 

そして、船は土星へと近付いて行く。

本来の航路を無視して。通常とるべき航路とは逆方向であるが、それでも光年単位からしたら塵にすぎない。

 

もっとも、ここまでの航行で亜光速で進んでいないから、これ程時間がかかるのだが。

 

そろそろ救難信号が来るはずだが…。

それにしても、展望デッキに来てるのに何で声を掛けないのか、こちらもそっちが声をかけてくれねば動き出すのは大変だぞ?

 

「それで?いつまで隠れているつもりだ?南部君。」

 

「バレていましたか。」

 

「君は非番だろ?休まなきゃダメじゃないか。」

 

「そういう一佐も、休まないのですか?」

 

「俺は航空隊みたいなもんだから、だいたい非番みたいなもんだよ…。起きているということは、何か不安なことが有るのか?それとも聞きたいことが?」

 

少し考える素振りをした後に

「はい、波動砲のことです。」

 

波動砲か、あのことか。

 

「戦略的な勝利と、一時の勝利か?

そのことなら気にしなくて良い。少々浮かれすぎに見えたので言っただけだよ。」

 

「では、なぜあのようなことを言えたのですか?」

 

「奴等のワープを見たことがあるか?俺は、この目で見た。非情に洗練されていて、我々のワープとは大違いだったよ。

だが、連中のワープと俺達のワープは、似ているんだ。」

 

「似ているとは。」

 

「そのままの意味だよ。だからこそ、波動砲のみに頼ってはいけない。連中も技術的に作ることは可能なはずだ。なんせ、我々よりも進んでいるからな。」

 

「だから浮かれすぎるなと」

 

「そうだ。たった一隻の船に出切ることはたかが知れている。」

 

そう言って宇宙空間に目をやる。彼もまた、私と同じように、宇宙を見ていた。

 

 




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