神の駒   作:海苔 green helmet

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物資護衛

 ???「わたくし、嫌いなのですよ。進化の袋小路に迷い込んだ生物は..」

 

 そう言い放った物体は幼い少女の姿をしていた。血のように赤い布を羽織る反面、体にはまるで血の通っていないようで、冷たい漆喰の様に白かった。

 その不気味極まりない肉体で、カウチに深く腰かけ、黄金の瞳を目の前のジャージを着込んだ男へ向ける。

 神と名乗る男はその視線を前に、表情一つ変えず口を開いた。

 

 神「人間は別に進化をしなくなったのでは無い。進化から進歩へ、成長の方向性を変えただけだよ。」

 ???「その進歩を歩んだ結果生まれた者が、突然変異の超能力者とはお笑い草ですわね」

 神「笑い話。確かに。かもしれんな。

 まあ、世界の制御プログラムの一部でしか無いあなた達に、笑いが理解出来ればの話なのだがね。」

 

 黄色い瞳は一切動かない。表情が変わらず、彫刻の如く硬い。

 

 ???「上位存在に対する口の利き方ではありませんね。

 まあ仕方ありませんか。仮にも神を名乗っているのです。思い上がるのは当然でしょう。」

 神「ふむ?...何か勘違いをしていないか?」

 

 神と名乗る男は椅子から立ち上がり、目の前の少女を見下ろす。少女は逆に体勢を一切崩さず、男をその黄金の瞳だけで捉え続ける。

 

 神「俺は神という存在を位の高いものとして認識していない。

 寧ろ逆だ。いいか?神とは人の製造した道具だ。人が人を操り安くする為の道具なのだよ。

 時に人へ教育を施す為、時に人へ裁きを与える為、時に人へ悪事を働く為...

 そして俺も同様。俺は半人前以下の人でなしなんだ。人にああして、こうしてと頼むことしか出来ない。故に神なんだ。

 また、同様に...」

 

 神と名乗る男は少女の両肩を掴み顔面向き合わせる。

 

 神「貴様ら天使を上位存在と認識した覚えもない。

 実際貴様らは自らを制御機構と語りつつも、やる事は問題のデリートばかり。原因究明や修正や対策も行わない。

 全くもって、自信過剰故己が見えてない。」

 

 神と名乗る男は少女の脚を引っ掴み、持ち上げた。

 

 神「その結果がこの通りだ」

 

 剝れた脚は紫色に変色していた。

 

 

 神「せっかく人間を完璧に再現した人形をぶら下げていても、使い方を知ろうともしない。

 心臓は止まったまま放置。血液は重力に飼い慣らされ、脚へ留まる。

 目もそうだ。さっきからまばたき一つしない。お人形さんかてめぇは。

 この程度のお粗末な擬態でよくもまあ[人様]の前に出てこれたものだ。」

 

 神と名乗る男は少女の脚を捨てるように放し、自分の席にもどる。

 

 ???「少々無礼が過ぎるぞ」

 神「敵に礼儀は要らん。貴様もそれは承知の上での先の発言であろう?」

 ???「敵か・・・」

 

 少女は暫し口を噤む。数秒経った後、わざとらしく三回まばたきをした。

 

 ???「ならば抗え。好きなようにな。」

 

 少女はカウチから立ち上がる。

 

 

 ???「それと...」

 

 少女は布を捲り、片脚を上げる。むくみは無くなり、肌も健康的に色合いになっている。

 

 ???「満足か?」

 神「星三つだな。」

______________________

 

 輸送課のトレーラーに側車付きの二輪車が近づく。

 

 ナガレ「さぁてぇ!またまた登場おじゃま虫!悪夢を売るセールスマン役、毎度お世話になってる哀洞 流で御座いまーす!」

 

 深緑色のネクタイがバタバタと風に煽られる。クラシカルなゴーグルと革手袋を付けたその風貌が洒落た雰囲気を匂わせつつ、ヘルメットを被らないことでナガレの狂気を露わにしていた。

 

 ナガレ「ケーラケラと笑ってるうちに追いついちゃったわけですけども?準備は整っちゃっているのかいバニラ・バニー?」

 

 側車にはバニーガールの衣装を着込んだ少女が乗っていた。顔はかろうじてウサギと分かる仮面が覆い、表情は分からない。腰に巻いたベルトからは携帯電話がぶら下がり、イヤホンが耳へと伸びている。

 

 ナガレ「全く、全く、ウランダリンゴの小娘は、帽子の兄ちゃん怖がって欠席なんだからさ!お二人共頑張っておくんなせい。」

 

 ナガレはミラー越しにパッセンジャーシートにしがみつく亜凛華へ視線を送る。

 

 亜凛華は深くため息を一つ吐き出すと、バニラ・バニーの肩を叩く。バニラ・バニーは何処からか取り出したフックガンをトレーラーに撃ち込んだ。

 コンテナにフックが刺さる。ナガレはバイクを減速させ、ワイヤーを張る。

 

 ナガレ「んじゃ行ってらっしゃい」

 

 亜凛華がワイヤーを伝い、コンテナに上がろうしたその時だった。破裂音と共にバイクの右ミラーが砕け散る。

 残った左ミラーを覗くナガレ。ミラー内に秋塚のスバル360カスタムを捉える。

 

 秋塚「あっちゃ〜、外しちった」

 

 大型のリボルバーから煙が上がる。

 

 神奈美「警戒されるわ!何か案ある?」

 秋塚「もう面倒くさくなってきた!強行突破で良いんじゃない?」

 R「案、あります...!」

 

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