更新が遅れて申し訳ありませんでした。リアル事情と暑さにやられて執筆する意欲が湧かず……すみませんでした。
今回は、前回言っていた番外編になります。その1とは着いていますが続くかどうかは未定です。
――腕前拝見――
地下道の一件から数日後。遊撃士協会に届いた依頼に、ダーゼフは表情を曇らせていた。細い瞳をさらに細め、ふぅっとため息をつき、肩をすくめている。
「全く……大変ですね」
届いた依頼書には、「合同訓練への参加」と達筆で書かれていた。依頼人は――依頼した集団は帝都近衛士とある。皇居、及び帝都を守護する近衛士から届いた、訓練に参加して欲しいという依頼である。
――我ら近衛士は帝都をお守りするのがお役目である。そこで市民の守護を掲げる誇り高き遊撃士達との交流は、それぞれ刺激になる物であろう。故に、合同訓練への参加を依頼する――とは、実際に協会にやってきた近衛士が言っていた言葉である。
当然ダーゼフはそれが表向きの理由であることは察していた。民間人の守護を名目に、至る所に出張ってくる遊撃士は軍人からすれば疎まれる存在だ。故に、釘を刺しに来たのだろう。
――飾らぬ言葉で身も蓋もない言い方をすれば、「最近遊撃士の連中調子に乗っているから締め上げようぜ」である。これにはダーゼフも呆れるほかない。とはいえ依頼は依頼、下手に軋轢が生まれるよりも穏便にやり過ごした方が得策だろう。
「……若手近衛士の訓練でもある以上、こちらも若手に絞った方が良さそうですね」
若手で、かつ優秀な遊撃士となれば、かなり絞られる。複数名の名前を挙げて、ダーゼフは彼らに依頼の受注をお願いしに行くのであった。
「――そういう経緯でアニーさん達が選ばれたの?」
合同演習当日。二十代半ば頃で、金髪の遊撃士の護衛の元、訓練場所である帝都郊外の開けた場所にやってきたナギサは、訓練参加者であるアニーに問いかけていた。色白の彼女は長い髪をポニーテールにまとめている。頷きに合わせて揺れる髪の毛が羨ましい。
「そうらしいよ。……といっても、私はあまり優秀じゃないけれどね。今のランクなんてサラのおこぼれみたいな物だし……」
「まさか。無理、出来ない、なんて泣き言を何度も言いながらも、しっかりあたしの動きに付いてきてくれたじゃない。ちゃんとランク相応の実力はあるわよ、貴女は」
苦笑するアニーに対し、自信を持ちなさいと告げるサラ・バレスタイン。話を聞く限りでは、アニーは一時期サラの相棒を務めていたことがあるそうだ。若くしてB級遊撃士に至ったサラに必死に付いていった結果、いつの間にかC級に昇格していたとは本人談。そのためか、高位遊撃士としての実感があまりないらしい。
「そうだぜ。アニマの嬢ちゃんが新人の頃は、俺でも楽に制圧できたのによ。いつの間にか俺が楽に制圧されちまうんだぜ?」
「あんた護衛する子の前でそんな頼りないこと言っちゃダメでしょ」
「それにトヴァル先輩は後方支援で輝くタイプですし」
ナギサの護衛のためについてきた遊撃士――トヴァル・ランドナーの自虐に、サラからは呆れた眼を、アニーからは苦笑されつつもフォローを入れられていた。
ちなみにそのトヴァルも合同訓練の参加者である。――だがダーゼフからは、あくまで護衛を優先して欲しいと言われており、実質彼は名前貸しに近い。ナギサには協会にいて欲しいのだが、ダーゼフも外せない用事で協会を開けることがある以上、自分達と一緒にいた方が安全という判断だろう。
「…………あの、皆さん……お腹空いてません?」
「へ? いや、大丈夫だけれど……」
「そうね。あたしも空いていないわ」
「そ、そうですか……」
恐る恐る、といった様子で告げたナギサの言葉に、アニーとサラは首を横に振る。彼女達の反応にお腹を押さえたナギサは視線を逸らした。その視線は、ダーゼフから渡された籠に向けられている。――彼女の意図を察したトヴァルは苦笑し、
「あー、俺は少し小腹が減ったな。ナギサさんや、悪いんだがサンドイッチ半分――」
「わかりましたっ」
途端に眼をきらきらさせて食い気味に頷くナギサ。早速とばかりに籠――弁当箱からサンドイッチを一つ取り出し、半分にしてトヴァルに渡す。残された半分に関しては――
「……し、仕方ないですね。もう半分がもったいないので、私が貰います」
「あらあら」
「ふふっ」
ぱくぱくと、トヴァルよりも早いペースでサンドイッチを平らげていくナギサ。――意地を張って素直に空腹を訴えられなかった彼女を、どこか微笑ましげに見やるお姉さん方。そんなやりとりを、どこか満足げな表情を浮かべながら頷くトヴァルと、何とも和やかな雰囲気が流れていた。
「そういえばナギサちゃんって、ダーゼフさんから料理を教わっているわよね」
「もぐもぐ……そうですけど」
サンドイッチを食べながらサラの問いかけに答えていく。他の人よりも”少しだけ”食べる量が多く、その分を作って貰うのが申し訳ないためダーゼフの手伝いをしているのだが、その時に料理を教えて貰っている。
――教え甲斐があります、とはダーゼフの言葉。彼から受け取った料理手帳はすでに半分以上が埋められていた。
「ナギサちゃんって料理上手だよね。もし良かったらなんだけれど、今度お手伝いを頼んでも良いかな? もちろんお給料は出すし」
アニーは実家のレストランの手伝いに彼女を誘っている。実際、人前に出しても充分なほどに味も良い。アニーの誘いを受け、ナギサは少し悩むような素振りを見せて、
「……その……気持ちは、嬉しいけど……」
「……そっか。でも気が変わったらいつでも言ってね」
申し訳なさそうに頭を下げてきた彼女に、アニーは頷く。興味はあるが、何か気がかりなことがある――そう言わんばかりの態度に、アニーはそれ以上誘うことは出来なかった。
その気がかりなことに思い当たることがあった。例の空賊団とブレイツロックの存在。アニーもいる上、伯父もあれで強かであるため大丈夫だと思われるが、だからといって危険性は零ではない。
それにきっと、店側に迷惑をかける可能性を考えてしまったのだろう。別に気にしなくても良いのだが。やはりどこか一線を引いている節のある彼女の城壁を崩すのは難しそうである。
唯一彼女の城壁を崩せているのは――と、そこでようやく近衛士と手合わせを行っているエルガへ視線を向ける。そこでは、若手近衛士との一対一での模擬戦――手合わせがちょうど終わりを告げたところであった。
跳ね上げた短槍が、近衛士の持つ銃剣付きのライフルをはじき飛ばし、近衛士本人に穂先を突きつけている。どこからどう見てもエルガの勝利――だというのに、審判役の見届け人が勝利宣言をあげるのが遅い。穂先を突きつけたエルガが視線を向けて、しぶしぶと言った様子で試合終了を告げる始末。
その光景を見たトヴァルははぁっと深くため息をついた。
「……やっぱ俺らは嫌われてるねぇ」
「それもあるんでしょうが、まだ子供のエルガに負けたことを認めたくないんじゃないの? 向こうにもメンツとかプライドとかあるわけだし」
ぼやくトヴァルに、サラは近衛士達を観察しながら呟いた。皇族を守護するヴァンダール家とは異なり、近衛士達は皇居を、帝都を守護する役割を担っている。その任に就くことは彼ら貴族からすれば最大の栄誉であろう。
――だからこそのプライド。だからこその体面、彼らの中ではそれらが重要視されているのだろう。最も大事なことは、それではないだろうに。
「…………革新派の考えと貴族主義、どっちがマシなんだろうね……」
こういう所で出てくる貴族主義の弊害を垣間見て、アニーは難しい顔をするのであった。どちらが”良い”のかではなく、どちらが”マシ”なのか――そこに彼女の心情が表れていた。
「………………」
訓練試合を終えてこちらに戻ってきたエルガは、先の審判役の者に何か言われたのか、もの凄く納得がいかないような表情で首を傾げていた。そんな彼を一目見て、サラは問いかけた。
「どうしたの?」
「さっきの試合……勝って……良かったんだよね?」
『……………当たり前じゃん』
どうやら相当嫌味を言われたらしく、恐る恐るといった様子で問いかけてきた彼を、一同は力強く肯定するのだった。
――レオン・オーガストの奇妙な一日――
――どうしてこうなった――
レオン・オーガストは現在自分が置かれている現状に頭痛を感じ、頭を押さえていた。目の前にはガタガタと振るえている黒い制服を着た女子生徒。彼女は怯えきった視線をレオンに向け、今にも泣き叫びそうな雰囲気を放っている。
そして、そのレオンの背後には導力拳銃を突きつけている、灰色の軍服に身を包んだ一人の女性士官。水色の髪が特徴的な、二十歳を一つ二つ過ぎた頃の女性が、透き通った声音で告げてくる。
「動かずに手を上げて下さい。妙な素振りを見せたら即座に撃ちます」
「……これは、誤解だ」
「弁解は後で聞きます」
言われたとおり手を上げてレオンは弁明するも、女性士官は取り合ってくれない。――今の状況を客観的に見れば、女学院生徒に暴行を働こうとしている現行犯に見えなくもないだろう。誠に不本意である。故にここは、早々に誤解を解くためにも指示に従うのが賢明であった。
――誠に不本意であるが。
はぁ、と深いため息をもう一度ついて、なぜこうなったのか、現実逃避の意味合いも込めてレオンは思い返していくのであった。
昼前の頃である。ちょっとした用事を済ませて自宅に戻ろうとしていたところ、かなり慌てた様子の男性とすれ違ったのである。その男性の慌て具合と来たら、真っ正面から歩いていたレオンに気づかず、彼とぶつかってしまうほどであった。
――自慢ではないが、自身が街中を歩いて行くと自然と道が開けていくのだ。通行人がレオンをちらりと一瞥するなり、関わり合いにならないように距離を取っていくためだ。そのためぶつかることなど滅多にないのだが、今回は違った。
「ひっ!? す、すみませんすみません!」
「いや、気にするな。……一体どうした? やけに慌てているが……」
ぶつかった男性はレオンの悪人面を一目見るなり、小さく悲鳴を上げて平謝りしてくる。幸いなことに彼はぶつかった程度でガンを付けるほど小さくはない。むしろ男を落ちつかせるように宥めつつ、その慌てぶりに首を傾げた。
「じ、実は……娘が、いなくなってしまいまして……」
「娘さんが……? ………」
「み、見ませんでしたか!? 聖アストライア女学院の制服を着た、リーシアという子なんですが……!」
聖アストライア女学院――サンクト地区にある貴族、もしくは裕福層の平民の女子達が通う学院である。どうやら男はその女子生徒の父親らしい。そしてその娘がいなくなったとのこと。
「いや、今日はあの黒い女子制服は見ていない。……家出か?」
「そ、そんなことはないですよ! さっきまで一緒にいたんですが、その……ちょっと目を離したら、いなくなっていて……!」
「迷子か。………どのあたりでいなくなったんだ?」
「へ?」
捲し立ててくる男の言葉に耳を傾けつつ頷き、レオンはさらに問いかけてみた。すると男は眼を瞬かせて、なぜ聞いてくるんですかと言わんばかりの表情を浮かべている。レオンは苦笑を浮かべ、
「――そんな話を聞かされたら、放って置くわけにもいかんだろ。そのリーシアって子を探すのを手伝うさ」
「…………」
強面の男から思いがけない言葉を耳にしたためか、男はぱくぱくと口を上下させて押し黙った後、レオンの手を掴み何度も上下させながら、
「ありがとうございます……ありがとうございます……!!」
何度も礼を言うのであった。
――放っておくわけにもいかねぇよなぁ……――
あれほど必死な表情と真剣みを帯びた様子で娘を探す父の姿に、思うところがあった。手伝う気になったのはそれが理由である。
とはいえ、どこから探すべきか。いなくなったのはオスト地区――帝都東部にある旧市街地であり、帝都内では比較的地価が低い。そのため庶民が多く暮らす地区でもある一方、やはり旧市街なだけあって比較的治安が悪い。
そんなところになぜ貴族が――と思ったが、どうやらオスト地区にある中古屋に用があったらしい。何でも絶版になったレコードが欲しかったらしく、親子で中古屋に赴き、店主と共にレコードを探していたらいつの間にかいなくなっていたそうな。
(……しかしオスト地区か……急いだ方が良いかもしれんな)
――当然、元若頭であるレオンにとって、“比較的治安が悪い”というのは、語弊がある言い方であることを知っていた。人通りの多い箇所はその程度で済むだろうが、逆に少ない場所――特に例の地下道へ繋がる行き止まりの場所などは“治安が悪い”だろう。
特に聖アストライア女学院に通う貴族の少女ともなれば格好の”得物”だろう――父親にはその辺りの事情を伏せ(試しに聞いたら彼自身は帝都住まいではないらしい。知らないのも無理はない)、念のため遊撃士協会か、もしくは鉄道憲兵隊へ行くように言っておいた。
「あぁ、女神よ、どうか……娘を獣からお救い下さい……っ!」
(……獣よりも質の悪い”ケダモノ”だがな)
――というブラックジョークも口にはしなかった。ともあれ、話を終えたレオンは即座に走り出し、オスト地区へと急行したのだった。
オスト地区にたどり着いたレオンが真っ先に向かったのは例の中古屋エムロッド。店内に入ると中古屋の店主は大量の本に埋もれていた。どうやらつい先程大量の古本を売りに来た客がいたらしく、その査定に追われているらしい。
忙しくしている中で申し訳ないが、迷子になった聖アストライア女学院の子について聞くと、店主も首を振るだけであった。まぁ分かっていたら父親にも伝えているだろうし、正直期待はしていなかった。
ただ店で働いていた少女ナージャが言うには、姿が見えなくなる直前、店の外を気にしている素振りを見せていたらしい。店から見て左側の方角――それを聞いて、レオンの嫌な予感はますます強くなる。何せその方角は――地下道への入口がある方角なのだから。
(行くしかねぇな……間に合ってくれよ)
店を後にし、少年少女達の話を盗み聞きしたりしながら地下道へ向かうレオン。入口を蹴破るようにして中に入り、階段を駆け下りて――思わず立ち止まった。
「……どういうことだ?」
そこにいたのは呆然としている黒制服の女子。通路の一角へ視線を向けたまま、尻餅をついてへたり込んでいるのであった。
彼女は呆然と辺りを見渡していたが、レオンを見るなりびくっと体を震わせ、いやいやと首を振りながら後ずさっていく。見るからに誤解している様子の彼女に対し、レオンは落ち着けと声をかけようとして。
「動かないで下さい」
――なんというタイミングでやってきたんだ。背後から導力拳銃を突きつけられたレオンは、そう叫びたい気持ちで一杯だった。
こうして話は冒頭へ戻るのであった。
――ちなみにその後、行方不明になった少女リーシアの話と、彼女の父がやってきてくれたおかげで、鉄道憲兵隊所属の女性士官の誤解はあっさりと解けたようだ。もっとも、その女性士官は残念そうな表情でレオンを見ていた。そんなに自分を逮捕したかったのか。元とは言え若頭だったことが関係しているのだろうが。
その鉄道憲兵隊は、オスト地区の住民の通報を受けこの場所へ急行したらしい――が、少々気になる点があった。その通報者が何者なのかわからない、という点。ただ名前も告げず、オスト地区の住人だが、とだけ先に告げた後、地下道で少女が危険な目に遭っているとだけ伝えてきたらしい。
そしてリーシアの話では、誰かに呼ばれた気がして中古屋の外に出た後、誘われるように地下道へ入っていくと、“真っ黒なオバケ”が現れたらしい。それも一体だけではなく、複数――少なくとも十体ぐらいはいたようだ。
突然のことに驚き、腰を抜かしたリーシアを襲ってきた真っ黒なオバケは――突然現れた、眼帯を付けた剣士が一方的に倒していったらしい。その後、リーシアを一瞥し無事を確かめた後、何かを話すこともなくその場から立ち去っていき――その直後、レオンが現れたということだった。
真っ黒なオバケ、という非現実的な存在を語るリーシアに、父親は嘘をつくなと怒りを露わにしていたが、女性士官とレオンが取り持って何とか落ちつかせた。――父親も心配していたのだろう、融通が効かなかった。
女性士官の方は知らないが、レオンには真っ黒なオバケに心当たりがあった。先日地下道で現れた死神、そしてガーゴイル――ほんの少し前までは信じられなかったことだったんだがな、と彼は苦笑気味に頷いた。
――ともあれ、誤解や(実質的に)職質を受けながらも、無事娘さんを無事見つけることが出来た。黒いオバケや謎の剣士などの疑問は残ったものの――レオンの勘が、すぐに分かると告げていたのだった。
――本棚整理の憂鬱――
「――お、戻ってきたな。お兄ちゃん、古本の鑑定終わったぞ」
「あぁ」
中古屋の外が騒がしくなり始めた頃、顔に傷のある大男と入れ違いで店に戻ってきた客に、店主は気安く声をかけた。
顔の左側を隠すような大きめの眼帯をつけた金髪の男。カウンターに近づいてきた彼にほいっと買い取り金額が記された書類を手渡した。
「中々珍しい古本があったから、それなりの額で買い取らせて貰うぞ」
「……ロスリック古伝、ダーム書、ロータム・シュテンの事件簿、イースの古本、霧の城の魔女、黒い鳥の物語……あぁ、アーシナ不死伝説もか。中々奇抜な内容だと思っていたが、珍しい品だったのか」
売り払った古本の中で、買い取り額が一桁ほど違う物の名称を読み上げていく男。聞く人が聞けば反応しそうな名がずらりと並ぶ中、男は肩をすくめて書類にサインする。
「はいよ。……あぁ、それとお兄ちゃん、外国の人かい?」
「……帝国外から来たが……それがどうかしたか?」
微妙に気になる言い回しだが、店主はそれに触れずに先に続けた。――何となく察してしまった、というのもあるが。
「まぁならしょうがないか。これ、うちでも買い取り不可な本。まぁ帝国じゃ取り扱い不可な本でね」
「……ヴェガ-ナの眷族、月墜ちる呪いの仮面……」
突き返された本を見て、内心でしまったと独りごちる男。これらは俗に言う“ヤバイ本”である。帝国でも規制を受けているのだろう、買い取れないのも無理はない。
「……本棚にあった本を無造作に箱詰めした弊害か……」
「……お兄ちゃんの本棚が気になるよ」
「本棚が意味をなさないほど溢れかえっていてな。床が軋む……どころか墜落……いや抜けそうだから売ってこいと怒られた」
「本の中で生活しているのかい? それはまた……」
苦笑を隠さない店主。男は肩を落としてため息をついた。いくら何でも自室の本のせいで船が墜落するわけないだろう、と言ったのだが、賛同してくれる仲間は誰一人としていなかった。それに、
『いや絶対床抜けるから、アレ。現に少し歪んでた』
と、真面目な顔と口調で言われれば対処しないわけにはいかない。そういう経緯があり、断腸の思いで読む頻度が少ない本を売り払いに来たのであった。とはいえこれで本棚に余裕が出来た。となれば――
「ところで店主。カーネリア全巻あったりしないか」
「……物好きだねぇ」
苦笑せざるを得なかった。
「あるよ。それに本の虫のお兄ちゃんにおまけだ。サラスバティーの復讐鬼の最新刊――」
「いらん」
――最近帝都で流行している没落貴族の復讐劇を描いた小説を薦めてみたが、なぜかもの凄く不機嫌そうな表情になった。
ちなみにサラスバティーの復讐鬼の最新刊は、男が出て行った後入れ替わるように入店してきた傷のある大男――レオンの手に渡るのであった。
ーー腕前拝見ーー
若手遊撃士達と近衛士による合同訓練の依頼。しかし近衛士側としてはかかし役になって欲しい(意訳)と言う依頼でしたが、そんなこと知るかと言わんばかりのダーゼフの人選。
挫折を知らない貴族達に経験を積んで欲しいというダーゼフなりの考えの表れでしょうきっと。決して彼らの態度と物言いに腹を立てたとかそういうことでは(目をそらしながら)
閃の軌跡2の終盤、カレル離宮攻略時の士官学生と拮抗していた近衛士達を見ると、トールズがすごいのか近衛士のレベルがアレなのか判断に困ります……。
ーーレオン・オーガストの奇妙な一日ーー
帝都の街中を歩いているとエンカウントするサブクエスト。モデルが〇が如くのあの人だから仕方ないのですが。
そして初登場の女性士官ーー三章では出番がある予定です。ちなみに原作の三年前なため、階級が下がっていたりします。さらに現れた真っ黒なオバケも後々正体が明かされます。
ーー本棚整理の憂鬱ーー
眼帯の男の本棚事情。本棚に本が入りきらない、という人はきっと分かってくれるはず。
ちなみにここで上がった本は一部原作、一部創作、一部オマージュになっています。そして「サラスバティーの復讐鬼」は原作における書物収集イベントですね。
全巻集めてブレイツロックの誰かに渡すと、ゼムリアストーンで武器を強化してくれます。しかしゼムリアストーンの加工法が確立していないため、歴代ゼムリア武器最弱という設定が。しかし腐ってもゼムリア、普通に業物だったり。