家具も何もない家に何時間いても仕方ないので外に出てみる。
転生したとはいえ、ここを離れて13年ぐらい。この世界に来た時点で俺は18歳だったため、精神年齢はすっかりアラサー。なので妙に懐かしく感じてしまう。久々に実家に帰ってきた感じっていうのはまさにこの事なんかな。
「お、ここって」
アフグロメンバーやリサゆき達と遊んだ公園に着いた。今の時刻は17時という夕方なため、人は誰一人もいなかった。
「いやぁ、懐かしすぎてハゲそうだわ」
公園にあるベンチに腰掛ける。
「にしても誰もいない公園って落ち着くなぁ」
やべぇ。寝ちゃいそう。
「え?ケン?」
「んぉ?」
ケン?その呼び方、まさか...
「リサか?」
そう。まさにバンドリでよく知る今井リサの姿がそこにあった。ついに実物を見てしまった。
「やっぱり、ケン!!」
「うぉ!」
真正面から抱きついてきた。
「ケン、ケン、ケン」
ずっと俺の名を呼んで、顔をすりすりしてくる。やべぇゾこの感触。
「なぁリサ一回落ち着こうぜ?」
「だって、すごい久々なんだよ?」
一回離れてくれた。よく見ると涙目で切なそうな表情で見ている。
「必ずまた会うって言ったのに、一回も会ってくれなかったし」
「今会ってんじゃん」
「遅すぎ!!」
「ごめんなさい」
さすがに今会ってんじゃん作戦は無理があった。
「もう、でもアタシたち夫婦なんだからもう離れないよね?」
「...へ?」
「あーごめんね。正確には婚約相手同士だったね。これからはずっと一緒にいようね?ダーリン」
「いや、待って」
リサはきょとんとした顔でこっちを見る。
「俺たち付き合ってないでしょ。そのダーリンってのも昔友希那と「ねぇ」ん?」
「なんでアタシがいるのに友希那の名前が出てくるの?それにアタシ達付き合ってる。これは誰が言っても変わらないから」
リサはなんと目の光をなくして、こんなことを言いやがった。
「は?お前大丈夫?」
「ケンこそ大丈夫?そうだ!仙台にいた間、他の女にうつつ抜かれて、おかしくなっちゃったんだ。仕方ないよね、13年も離れてたんだし、でももう大丈夫だよ。今すぐアタシの家に行って、アタシの部屋でたっぷり癒してあげるから」
ヤバイ。いわゆる、ヤンデレってやつだ。察してはいたがここまでとは。ここで大人しく家に行けば監禁調教まっしぐら、しかし逃げてもいつかは捕まって同じルート、いや下手すればもっと悪化するだろう。こうなったら大人しく家に行くか。もし貞操奪われそうになったら、逃げる!!!
「じゃあ行こうかな。せっかくだし」
「うん☆そうこなくちゃ!」
リサは嬉しそうにしながら腕を絡めてきた。さっきもそうだったけど、おむねさんが...
「リサ、そのなんつうか...当たってるんやが」
「ん?当ててるに決まってるでしょ☆ケンも嬉しいでしょ?」
「...うれしいです!」
「ははは!何その顔、ウケる!!」
某ザブ●グルのアイツの真似をしてみたら、見事にばかうけもらった。やったぜ。
「はぁ、ケンって相変わらずだね。ほんとに面白い」
「ありがとナス」
「さすがアタシのダーリンってとこだね」
「...」
ヤバイ、反応に困るわ。
「え?なんで無視するの?ねぇ」
ヤバイ!!また目の光が消えた。
「照れてた」
「なんだ照れてたのかぁ。かわいい♡ あ、ここがアタシの家」
こんなやりとりをしていたうちに、リサの家に着いた。
「さぁ上がって、あ、間違えた。おかえり、ダーリン♡」
さぁ、俺氏、生きて帰れるか。
次回もお楽しみに!