Sleeping Legend ~もしSAOにユウキがいたら~   作:ジンクルタニ

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今回も中途半端に終わります。オリ展開だと字数がかかってしまって…
改行に3行開けているのがキリトとユウキの視点を交換する目安になってます。



決闘

キリトが転移したのを見届けて青竜連合の方へ向き直る。キリトが出てくるまで時間を稼ぐには…

 「ここを通りたかったらボクを倒してから…って言いたいけどそっちの方が人数多いからなぁ。代表者のデュエルで決着をつけようよ」

 すると青竜連合のリーダーらしき人物が前に出て発言する。

 「あんたのレベルの方が高いのは知ってんだよ。最近人気の狩場に1人でいるところをよく見かけるからな。え~っと風林火山だっけ?そっちのギルマスとならやっても良いんだがな」

 「おぉー良いさ、やってやろうじゃねぇか。オレ様を選んだこと、後悔させてやらぁ!」

 「それじゃあクラインさんの迷惑になっちゃうから、ボクが全員を相手にするよ。1人でもボクに勝てたらここを通してあげる。ルールは半減決着、ボクはアイテムの使用を一切しない。これでどうかな?」

 

 場の空気が一気に変わり、青竜連合のメンバーから野次が飛ぶ。それをリーダーが沈め、

 「初擊をいれて後は逃げるつもりだろ?結局3、4人とだけやってビーターが出てくれば目的を達成出来るもんなぁ」

 そんな指摘にクラインさんが納得したような顔をしたけど…

 「あぁ~その手が有ったか。考えてなかったなぁ」

 静まっていた場の空気が再び爆発した。今度はリーダーも怒りが抑えきれなくなったらしい。

 「なんだと…?クソッ舐めやがって。その勝負乗ってやるよ。3分だ。3分経ったらこっちの勝ちで良いな?」

 「もちろん良いよ。誰からやるのかな?」

 「俺がやってやる」

 そう言って出てきたメンバーにデュエルの申請を送る。

 30秒のカウントダウンが始まった。相手の武装、姿勢視線に気を付けながら息を整えて深く集中していく。0になった瞬間、お互いに駆け出した。

 キリトの元には絶対に行かせない!

 

 

 

 一年のSAOプレイを通して初めてHPゲージが危険域の赤になった。大量に買っておいた回復アイテムはストレージから無くなり、変わりにボスからドロップしたアイテムが詰め込まれている。

 ギリギリ勝ちをもぎ取ったが勝利への喜びは無く、むしろまた生き残ってしまったという失望に似たものが有るだけだった。

 

 いろんなアイテム名がごっちゃりと列挙されてる新規入手欄を慎重にスクロールして蘇生アイテムを探す。

 数秒後、それはあっさりと見つかった。<還魂の聖昌石>それがここ数ヵ月に渡って求め続けていたアイテムの名前だった。

 やっとサチを生き返らせ、最後の言葉を聞く事が出来る。嘘をついて自己満足に浸っていた事を正直に話して「君は俺が守る」と言おう。そして…

 「サチ…サチ…」

 声に出しながら宝石を一回タップし、浮かんできたメニューからヘルプを押す。

 

 『このアイテムのポップアップメニューから使用を選ぶか、《蘇生:プレイヤー名》と発声することで、プレイヤーが死亡してから効果光が完全に消滅するまでの間(およそ10秒間)ならばプレイヤーを蘇生することが出来ます』

 

 およそ10秒間。この取って付けたようなその一文がこれ以上無いほど明確に、そして冷徹にサチの魂が帰ってこれない場所へと行ってしまった現実を突きつけてくる。

 サチは死ぬまでの10秒間で何を考えたのだろう。

 「うああ…ああああ…」

 口から獣のような叫び声が漏れだす。宝石を実体化してそれを雪の上に叩きつけた。

 絶叫しながら何度も踏みつけたが割れるどころか傷1つ付くことが無い。

 これだけのことが有っても俺のアバターから涙すら出てこない。

 サチが怯えるように口にしていたこと。私のような弱虫がこの世界に来た意味が有るのか?

 その事に、いや、そもそも1万人のプレイヤーが閉じ込められた事自体に意味が無かった。それだけが唯一の真実だと、確信していた。

 

 

 

 青竜連合のメンバーを全員倒しきってしばらくした後、キリトが転移してくるのが分かった。キリト1人だけが転移してきた事が少し気になったが、とりあえず声をかけてみる。

 「おーいキリト。無事に勝てたようで…」

 そこで言葉に詰まった。キリトの顔から生気が完全に抜けていたのだ。

 キリトが何かをクラインの前に投げつける。

 「クライン、それが蘇生アイテムだ。過去に死んだ奴には使えなかった」

 そのまま歩き去ろうとしていくのを見て、心配と共にある感情が爆発した。具体的に言うとカッチーンときた。

 

 「キリト、ボク達に言うべきことが有るんじゃないかなって思うんだけど?」

 その声が聞こえなかったかのようにゲートへと歩いていく。もう抑えるのは限界だった。我慢なんてもうしてやらない。

 「キリト、デュエルしよっか。このままだとボク、ちょっとキリトのこと許せなくなりそう。」

 「何を言い出すんだよ…」

 キリトにデュエルの申請を送り、首もとに剣を突き付ける。

 「受けてくれないならオレンジに成るだけだけど…受けてくれるよね?」

 「…ユウキ?」

 「おいおい、ユウキちゃんよぅ」

 「貰ったクラインさんには悪いけど蘇生アイテムも有るからね、本気だよ。キリトに教えてあげる、ボクがこの数ヵ月どんな気持ちで居たのかを」

 「…分かった。受けるよ、その勝負」

 さっきまでのデュエルでもう倒れ込んで寝ちゃいたい位疲れてるけど、ここでキリトを止めないといけない気がする。だってあのキリトの目は、いきる意味を見いだせなくて悩んでいた頃の自分とそっくりだから。

 

 受諾されたメッセージが届いたので剣を離し、10メートルほど間を空ける。

 30秒のカウントダウンが終わったとき、動き出したのはボクだけだった。

 ソードスキルがキリトの体を掠めてHPゲージを2割程削る。

 「キリト、本気でやってよ。じゃないと…死んじゃうよっ!」

 キリトの体を剣で掠めるように切っていく。6割をギリギリ越えない位まで削り、そこで大技の片手剣単発突進ソードスキル、ヴォーパル・ストライクを放つ為のモーションに入る。

 

 剣が赤く輝き出した時、ようやくキリトの目に光が灯った。ソードスキルが発動され、剣を前に突き出した状態で一気に体が加速していく。

 キリトにギリギリのところでかわされ、技後硬直で動けない所に声が掛けられた。

 「こんなことして何になるんだ?さっきの一撃は避けなかったら俺が死んでたぞ。ユウキが人殺しに成るだけだろ」

 半減決着の形式では体力を半分まで削られると決着が付くのだが、最後の一撃のダメージはHPゲージが半分を割ってもそのまま計算される。つまり最後の一撃で体力を削りきった場合、システム内では犯罪者となる事なく殺人を犯せるのだ。

 

 「ボクが本気だって事は分かった?じゃあ、次は防げるかなっ?」

 またソードスキルを放ち、それをキリトが避ける。先手を取られたキリトに出来ることは時間いっぱいまで逃げるか…

 「距離を詰めてソードスキルを放つ隙を与えないようにするよね」

 ここでようやくキリトが反撃を始めた。ステップを踏んでわざと少しかするように避ける。キリトの大振りの攻撃が来たのでわざと当たって大きく後ろに飛ぶ。体力ゲージが大きく削れて大体6割程になった。

 「これで条件は一緒になったね。キリト、ここからが本当の勝負だよ!」

 挑発されたかのように感じたのかキリトの顔に少しだけ感情が見えるようになっていた。

 

 本気にさせることに成功したかな?さっきまでとは全然違ってキリトの構えに隙が見つからないや。

 ここからキリトに勝ってキリトの目を覚まさせてやる!




今回も少し短く、更新が遅れてすいません。
最近なかなかアイデアが出てこなくて書きづらい…
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