Sleeping Legend ~もしSAOにユウキがいたら~ 作:ジンクルタニ
今回は色々と考えた結果、完全にオリジナル展開になりました。ユウキの性格が変わってきているのが伝わると良いなぁ。
早朝に出発し、シリカというプレイヤーが居る階層まで移動する。
シリカの名前を出すと、パーティーを見つけるのはかなり簡単だった。
「ここまで簡単にいくと怖くなってくるね…」
「取り敢えずアルゴに感謝だな」
物陰からパーティーを見てみると女性が2人。片方は見るからにもふもふとしていそうな羽毛を生やした小さな竜を連れている少女で、もう片方は赤髪で背の高い女性だった。
これからフィールドに出る様なので取り敢えず広場のベンチに並んで腰かける。
「あの背の高い方がロゼリアって人で間違いないかな?」
「そうじゃないか?あの男が言ってた特徴にも一致してるしな」
「これからどうしよっか?」
まだ1番怪しい人物にたどり着いただけで本当に彼女が犯人と決まったわけではない。
「う~ん、マナー違反だけど昼夜ずっと張り付いて誰かと接触するのを待つしか無い…と思う。取り敢えずフィールドから帰ってくるまでは町で待機かな」
「じゃあ食べ物とか買わないとね!」
「ユウキって食べるの好きだよな」
「この世界での唯一の娯楽みたいな物だし、楽しまないと損だよ。そういうキリトだってこの間大量に買い食いしてたじゃん」
「まあ俺も食べ歩きは好きだけどな。どうせ夕方までは帰ってこないだろうし、店巡りでもするか」
現在、中層と呼ばれている30~50層辺りはサクサクと攻略されてしまい、観光など殆ど出来ていない。
「だったらさっきの通りに有ったお店に行こうよ!」
「りょーかい。そこから回ってみようか」
2人で並んで町へ歩きだした。
ひととおり町を巡りきると日がだいぶ傾いてきたので、フィールドと町の境目にある門の前まで移動する。20分ほど食べた料理について話し合ってるとシリカのパーティーが町に入ってくるのが見えた。
「よし、追いかけるぞ」
「スパイみたいでちょっとわくわくしてきちゃった」
「モンスター相手にさんざんスニーキングしてきただろ。それに相手に気づかれた時に万一があるんだから気を引き締めてくれ」
よっぽどのことが無い限り俺もユウキもやられることは無いが、相手はPKかもしれない。気を付けるに越したことはない。
10分ほど歩いた食事処でアイテムの分配をするらしい。
「中に入っちゃったね、ボクたちも入る?」
「うーん、あんまり顔を見られたくないんだよな。よし、あっちの空き家に入ろうか」
そう言って食事処の反対側にある無人の家を指差す。アインクラッドでは、基本的に無人の家はただのオブジェクト扱いとなっていて、鍵などがかけられない代わりに誰でも入れるようになっている。
ユウキがうなずいたので早速家に入り、食事処の出口が見える部屋を陣取る。
「それじゃあさ、さっき買ったあれ早速食べてみようよ!」
「さっきまでずっと食べてたろ…まあ食べてみるか」
「なんだかんだ言ってキリトも気になってるんじゃん」
大通りからかなり外れた位置にポツンと屋台が置かれていて、中を覗くとおでんに似た何かが売られていたのだ。
取り敢えずおでんを取り出す。
「じゃあ、ボク大根みたいな奴貰う!」
「じゃあ、卵を貰うかな」
まだ熱いそれを一口齧ってみる。口の中に広がる味は…
「うん、あれだな」
「うん、そうだね」
その一言で伝わったらしい。どうやら思った事は同じな様だ。
「「醤油が足りない」」
「やっぱりそうだったか。美味しかったら有名になってるはずだもんなぁ」
「あの店よりは美味しいけど、やっぱり物足りないなぁ…」
実は上の層にラーメン屋の暖簾を発見した俺達は早速食べに入ってみたのだが、そこで出されたラーメンの味が醤油を抜いた醤油ラーメンみたいな物だったのだ。
2人で渋々おでんを食べきると、店での話し合いが終わった様で店からシリカ達が出てきた。
どうやら拠点の宿はバラバラらしく、店の前で解散となったらしい。
「ロゼリアの後を追うぞ」
「わかった」
空き家を出て慎重に後をつける。隠蔽、索敵は両方とも俺の方が高いので前を歩いている。歩き始めて20分ほどたった頃、突然ロゼリアが立ち止まって辺りを見回し始めた。
すぐさま近くの木にユウキを押し付けて隠蔽スキルを発動する。
「ねぇキリト、キリトってば」
小声でユウキが話しかけてくるが、会話が漏れると隠蔽がとけるかもしれないので静かにするようにジェスチャーで伝える。
まだ何か言いたそうだったが我慢して貰う。
ロゼリアはどうやらただの空き家に入っていった様だ。
「何しに入ったんだ?」
思考をめぐらせていると
「キリト、そろそろ離れても大丈夫じゃないかな?」
すぐ近くで声が聞こえて、ユウキをずっといわゆる壁ドンの姿勢で木に押し付けていた事に気づく。
「え、ご、ごめん」
「咄嗟の事だったみたいだから良いけど…、何しに入ったんだろ?」
「圏外に居る奴らへの連絡役があの家の中に居るって可能性はあるけど…」
「連絡役…?」
ユウキが小首を傾げていて、よくわかっていない様なので説明する。
「拠点がダンジョン内に有ったらメッセージが使えないだろ?ロゼリアと連絡できないから1人が拠点と圏内を行ったり来たりしてるんだろうな」
そこまで聞いてユウキがはっとした顔になる。
「じゃああの家から誰かが出てきたら…」
「そいつをつけてけば拠点の場所がわかるだろうな。まぁ、まだそうと決まった訳じゃないけど…」
「てことは…」
「また張り込みだな」
ユウキが少しうんざりしたような顔になる。
「一応宿の場所は知っときたいから、ロゼリアが出てきたらそいつの後をつけてくれないか?」
「キリトはどうするの?」
「俺は他に出てくる奴がいないか見張って後をつけてみるよ」
俺が退かない事がわかっているのだろう。ユウキが渋々といった感じで頷く。
「絶対に無理はしないでね」
「わかってるさ」
そうして見張ること10分ほど。ロゼリアが出てきたのでユウキが後を追いかけていった。
少し寂しい気持ちになるが、そんな事は言ってられないと気を引き締める。それから5分たった頃、男が1人家から出てきた。
「どうやら当たりみたいかな」
そう呟いて後をつける。男に見つからないように索敵スキルの範囲ギリギリを保ってついていくと、洞窟形のダンジョンについた。
カーソルがオレンジ色になっているプレイヤーが見張りをしているのが見えたので情報としては充分証拠になるだろう。中に入るのは危険なのでマップにマーキングをして宿へと戻ることにした。
宿に戻るとユウキが1階の食堂に居たので向かい側に座る。
「ユウキはどうだった?」
「宿の場所がわかったよ。ここの宿に泊まってるみたい」
ユウキがマップを可視化して1つの宿を指差す。
「そっちはどうだったの?」
「ああ、拠点を見つけた。ここだな」
「乗り込んで捕まえる?」
「そうしたいけど、それじゃあロゼリアや連絡役の奴までは捕まえられないだろうな。関係がないって言い張られて終わりだ。だから次に襲撃が行われた時に全員捕まえよう」
俺の発言にユウキが固まる。
「ということは…」
「また明日からシリカが居るパーティーの見張りをすることになるな」
心底疲れた顔でユウキが机に倒れ込んだ。
「うう…、もう追跡はもうこりごりだよ…」
それは非常に同意なのだが、言い出しっぺの俺がそんなんではいけないだろう。
「後もう一踏ん張りだ。頑張ろうな、ユウキ」
「うん…。これ以上殺人が起こらない様にしないとだもんね」
その後は明日の予定を軽く打ち合わせして解散となった。
不定期更新のタグをつけるか悩んでいます。
次回からおそらく原作軸に戻ると思います。
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