Sleeping Legend ~もしSAOにユウキがいたら~ 作:ジンクルタニ
お気に入り30人突破!本当にありがとうございます。
今回で原作に戻ります。
パーティーをの後をつけ始めてから2日目、ロゼリアを含むパーティーは迷いの森と呼ばれるマップに入っていった。
「迷いの森か…。地図は持ってきたけど追跡は厳しそうだな」
迷いの森は数百ものエリアに分けられていて、1分毎に隣のエリアが入れ替わるために地図を見ながらでないと迷ってしまう。
マップが切り替わる前に同じエリアに入らなければならないのだが、そこまで近づいたら気づかれてしまうだろう。
「今日襲撃されるかもよ?」
「うーん、迷いの森で遭遇できる確率ってかなり低いし逃げるのも簡単だろうから大丈夫…と思う」
「じゃあどうしよっか?1回前線に戻る?」
確かに一度前線の様子を見ておきたいが…万が一を警戒した方が良いだろう。
「それでも良いけど敵の視察をしておこうぜ。万が一レベルが高かったら俺達でも危ないかもしれないからな」
「そっか、偵察しておくに越したことはないもんね」
2人で並んで圏外の洞窟へと歩きだした。
「うーん、出てこないな」
「見張りの人しかわからないね」
実際に洞窟まで来たものの、まわりでも中でも活動が行われている様には見えない。
「目立たない様に夜に活動してるのか…。大体のレベルは把握しときたいんだけどな」
「ここで待っててもしょうがないけど…」
この層では特にやることがないのでこれからどうするか悩んでいると、目の前をモンスターが通りすぎて行った。
「あ、良いことを思いついた」
ユウキがジト目でこちらを見ている。
「キリト、ろくなこと考えてないでしょ」
「まあ、少し待っててくれ」
そう言って森のなかへ入っていった。
1分後、洞窟の前では戦闘が始まっていた。
「もしやって思ってたけど、モンスター擦り付けるのはあんまり良くないんじゃないかな…」
「このエリアでもそんなに強くない奴だし死にはしないだろ」
俺が連れてきたのは狼系のモンスター。相手が追ってこれるギリギリを走り、洞窟が近くなったら一気に加速してターゲットを切りハイディングスキルを発動。後は気取られないようにユウキのところまで戻って来たところで見張りが仲間を呼んで戦闘を始めたというのがここまでの流れである。
「あんまりレベルが高い訳じゃない…かな?」
狼相手にソードスキルを放っているが3割程しか削れていない。何をメインで上げているかによるが、レベルとしては大体45~50位だろう。
「そこまで警戒する必要はなさそうだな」
「多分だけど、10人越えてもバトルヒーリングスキルで回復しきれるんじゃない?」
「そうなると気をつけるのは毒とか麻痺だけど…アクセ付け替えれば完封できそうだ」
狼を倒しきり、男達が洞窟に入りだしたので1度町に戻ることにした。
夕方になり、夕焼けが出始めたところでロゼリアのいるパーティーが帰って来た。
しかしそこにはシリカの姿がみられない。近づいて話している事に聞き耳をたてる。
どうやらロゼリアとシリカが喧嘩をし、シリカがメンバーを抜けて1人で行動を始めたらしい。
「ねぇ、迷いの森で1人って事は…」
「地図を持ってたのはあのリーダーだけだろうから、今頃迷子になってるだろうな」
「あの森ってドランクエイプが出てくるよね。2~3体出てきたら危ないんじゃないかな」
「確かに…。このまま帰ってこなかったら寝覚めが悪いし探しに行くか」
「そうだね。地図は2枚有ったっけ?」
「ユウキの方がAGIが高いし、これを渡すから先に行っててくれ。俺は地図買ってから別のところ探してみる」
地図をオブジェクト化してユウキに渡す。
「了解!見つけたらメッセージ入れるね」
「わかった」
迷いの森へとユウキが走り出したのを見てから地図を売っているNPCの元へと駆け出した。
すっかり暗くなり、木の根っこに気を付けながら森を走り回っていると、マップの切り替わりと共にポリゴンが砕け散った時の音が聞こえて来た。
急いで向かうと3体のドランクエイプが棍棒を振り上げて、今にも誰かを攻撃しようとしているところだった。
背後から近づいてホリゾンタルを放つ。それだけで3体いたドランクエイプのHPが0になった。
ドランクエイプと戦っていたのはシリカだった。
目が合うなり1歩後退りされて少し傷つくが、さっきまで苦戦していたモンスターを一撃で倒すプレイヤーは怖いのかもしれない。
シリカちゃんの側にいつもいた仔竜がいない。最初に聞こえてきた音は仔竜が死亡した時の音だった みたいだ。
「ごめんね、君の友達を助けてあげられなかった」
少し緊張が解けたら、今度は悲しくなってきたみたいで形見であろう長い羽根を胸元に持ってきて泣き出してしまった。
取り敢えずキリトにメッセージを送り、シリカの使い魔が死んでしまっていた事を伝える。
帰ってきたメッセージを読んでびっくりする。
(ボクが蘇生を手伝おうとするってよくわかったね。それにプネウマの花の事覚えてたんだ。うろ覚えだったから助かるなぁ)
第47階層フローリア。その層にある思い出の丘という場所で、プネウマの花という使い魔蘇生用のアイテムが採取できる。
「そのアイテムの名前を教えてくれる?」
「ピナの、心って書いてあります」
「最近わかった事なんだけど、心っていうアイテムが残っていたら47層に咲いてるプネウマの花っていうアイテムで蘇生できたはずだよ」
「本当ですか!…47層に…」
一瞬上がった顔は希望に満ちていたが、再びうつむいてしまう。今いる層は35層。きっとレベルが足りていないのだろう。
「代わりにボクが行ってきても良いんだけど、使い魔が死んじゃったビーストテイマーがいないと花が咲かないらしいんだよね」
こっそりキリトからのメールを見ながら答える。
「いえ、蘇生できるっていう情報だけでもとってもありがたいです。頑張ってレベルを上げればいつかは…」
「1番の問題は、3日以内じゃないとアイテム名の心が形見に変わっちゃって蘇生できなくなっちゃうことなんだ」
時間制限。ボクが手伝いたいと思ったのはこのためだ。
「そんな…」
メニューを開いてトレードウィンドウを出し、ドロップしたから持っていたものの結局使わなかった装備品を次々に放り込む。
「これがあったら5、6レベルは底上げできるかな。ボクも一緒に行くからきっとなんとかなるよ」
「えっ…」
あからさまに警戒した表情で見つめられる。
「なんで、そこまでしてくれるんですか…?」
「うーん、救える命は全部救いたいって思ってるから…かな?」
「でも、ピナはモンスターですよ?」
ボクが助けたいと思う理由か…。
「プレイヤーはもちろんだけど、モンスターだってNPCだってHPが消えたら死んじゃうでしょ」
「モンスターを倒すのに、ですか?」
「うっ、そ、それは…」
返事に困っているとシリカが吹きだした。
「ぷっ、ふふふ、面白いことを言うんですね」
「ボクは本気でそう思ってるんだけどなぁ…」
笑ったことで警戒が解けたようだ。肩から力が抜けているのがわかる。
「よろしくお願いします。助けてもらったのに、その上こんなことまで…。こんなんじゃ全然足りないと思いますけど」
中層プレイヤーにとってはかなりの額であろうコルがトレードウィンドウに表示される。シリカが持っている全財産かもしれない。
「いや、お金はいいよ。それってボクが結局着なかった物だし」
お金を受け取らないでOKボタンを押す。
「すみません、何からなにまで…。あの、あたし、シリカって言います」
知ってるよなんて言えるわけもなく、あたかも初めて聞いたかのように返事をする。
「ボクはユウキ。しばらくの間だけど、よろしくね!」
キリトに合流するのは難易度が高いので別々に町へと向かうことにした。
最近なかなか忙しくて更新できない…。
次の話がいつになるかわからないですが、待っていて頂けると嬉しいです。