Sleeping Legend ~もしSAOにユウキがいたら~ 作:ジンクルタニ
更新がこれ以上遅れると不味いので、書き上がっている分を投稿させていただきます。
「うわー、綺麗ですねー」
47層に転移した瞬間、目の前に広がる花園にシリカが歓声をあげる。
通称、フラワーガーデンと呼ばれるこの層は町やフィールドのいたるところに花が咲き誇っている。
シリカが小走りで花の前に行き、花をつついたりして見とれ始めた。
邪魔するのも悪いので後ろから見守っているとシリカが気まずそうにこちらに戻ってきた。
「こんなこと、してる場合じゃ無かったですよね。早くピナを生き返らせないと」
「じゃあ出発しようか。転移結晶の準備は大丈夫?」
「はい」
:ボクが脱出って言ったらすぐに脱出してね」
「でも…」
シリカが心配そうな表情でこちらを見つめる。
「大丈夫、ボクはシリカよりもレベルが高いからね。この辺なら1人になっても問題ないよ。じゃあ行こっか」
「はい!」
それでもやっぱり町のいたるところに咲いている花が気になるのか、シリカがキョロキョロしている。
「気になるんだったらもう少し花を見てても良いんだよ?」
「あ、いえ、そうじゃなくてですね。…ここってカップルの人が多いなぁって」
「SAOの中でもあんまりない観光がメインの層だからね。時間があったら色んな場所に案内してあげられたんだけどなぁ」
キリトが花に興味無かったし、出てくるモンスターが厄介だったからさっさと次の層の攻略を始めちゃったんだっけ。
実はボクもちょっと観光してみたい。
「それはまたのお楽しみにしておきます。それでなんですけど、2人でここに来たりとかするんですか?」
2人とはボクとキリトのことだろうか。きっとシリカはボク達が付き合ってると思っているのだろう。
「あー…ボクとキリトはそういう関係じゃないよ」
ボクとキリトはそういう関係じゃない。…そういう関係になっちゃいけないんだ。
「そうなんですか?お二人共凄く仲が良さそうでしたけど」
「1層からの付き合いだからね」
「最初からずっと一緒なのって素敵ですね」
ずーっとじゃないけどねとは言わずに、そうだねと返しておく。
それから話題はキリトへと移っていった。
キリトのことを話しながらフィールドに出る。
フィールドは広い草原になっていて、ピクニックでもしたら気持ち良さそうに見えるけど…圏外なので当然モンスターが出る。
「そこでキリトがビックリして落っこち…。シリカ!そっちにモンスター!」
ヴうシリカがいる方向に敵の反応があった。
そこから出てきたのは歩く花。もっとも花といっても可愛らしいものではない。
太い茎は下で何本にも枝分かれした地面を踏みしめながらうねうね動き、茎のてっぺんに乗ったひまわりの花のような部分には牙を生やした口がぱっくりと開いてピンクがかった赤を晒している。
…そう、見た目が気持ち悪いのである。
「やだってばー…」
そう言ってシリカが目をつぶりながら短剣をブンブン振り回しているので取り敢えず落ち着かせようとする。
「大丈夫、そのモンスターは花の下にある白い部分を攻撃すればすぐに倒せるよ」
「だ、だって気持ち悪いんですぅぅぅ…」
「あはは…、それはまだましな方だよ。奥に行くにつれてうねうねネバネバぬるぬるって感じですっごく気持ち悪くなるんだ」
想像してしまったのかシリカの体が一瞬強ばって…ソードスキルを放った。
勿論距離が遠くて当たらないが、技後硬直に陥る。隙をさらしたその瞬間、モンスターから伸びた2本の蔓がシリカに巻き付き逆さまに吊り上げた。
初めて見るその行動にポカンとしてしまう。
シリカが咄嗟にスカートを押さえつけると、そのモンスターはまるで楽しむかの様にシリカをぶら下げたまま左右にゆらゆら揺らし始めた。
「シリカ!着地してね!」
さすがに見ていられないのでソードスキルを放って助け出す。
シリカはうまく着地したものの、スカートを押さえつつ恥ずかしそうにこちらを伺う。
「見えてました…?」
励ますには、えーっと…。
「…大丈夫だったと思うよ!」
「見えてたんですね…」
「えーっと、その、モンスターしか居なかったしね?」
「ううっ、でもこんなんでへこたれてたらピナを蘇生できないし…。切り替えていきます!」
シリカが立ち直ってくれた事に安堵し、もう少し索敵に気を付けようと思った。
それからは複数体現れた敵は1体になるまでボクが倒し、残った奴をシリカが倒す形で少しだけレベリングをかねた実戦を行ってもらう。
もしも次に花が必要になったときでも、戦闘の経験があればボク達が居なくても大丈夫だろうと思う。
道は途中から林に変わり、次々と出てくるモンスターを倒して進むと木々の無い開けた場所に出た。
「うわぁ…!」
そこには色とりどりの花が一面に咲いていて、空中の花畑と言われている理由がよく分かる。
「ここに、花が…?」
「えーっと、確か真ん中にある岩のてっぺんに…」
シリカはそれを聞くなり、中央で白く輝いてる岩の元へ駆け寄っててっぺんを覗く。
「ない…ないよ、ユウキさん!」
剣を納めて白い岩の元に着くと、シリカが振り返り涙目になりながら叫んだ。
「え、キリトが間違え…いや、芽が出てきてるよ!」
2人で見つめている中、その芽は伸びて葉を開き、先端にぷっくりとした蕾をつけた。
内側から光を放つ蕾の、その先端が段々と綻んでいき…光の粒を宙に撒きながら開いた。
2人でしばらく眺めていたが、シリカがこっちを見てきたので安心させるようにゆっくりと頷く。
ゆっくりと差し出された手に花が触れた瞬間、茎が消えて白い花だけが残った。
「これで、ピナを生き返らせられるんですね」
「中に溜まっている蜜を心アイテムに垂らせば良いんだって。でもこの辺はまだ強いモンスターが多いし、蘇生は町に帰ってからの方がいいかな」
シリカがうずうずしているので、早めに帰った方が良いだろう。
「よーし、じゃあ急いで町に帰ろっか!」
「はい!」
帰り道は運が良いことにあんまり敵と遭遇しなかったので、行きの倍近くのペースで丘を降りられた。
帰る途中でキリトから受け取ったメッセージによると、途中にある橋で待ち伏せが行われているらしい。
橋についたので少しだけ集中して索敵をしてみると、数ヵ所が一瞬揺らいだ。その隙に襲撃者の大体の位置を把握しておく。
「そこに隠れてる人、出てきなよ」
1番後ろに1人で隠れている人が居たので、ロゼリアだとあたりをつけてそこをじっと見つめ続ける。すると木の輪郭が揺らいでいき1人の女性の形をとった。
「アタシのハイディングを見破るなんて、なかなか高い索敵スキルね、侮ってたかしら?」
キリトは…あ、ロゼリアのすぐ後ろに隠れてるのか。
ロゼリアがシリカの方に視線を移す。
「その様子だと、首尾よくプネウマの花をゲットできたみたいね。…じゃあ、さっそくその花を渡してちょうだい」
「な、何を言ってるの…!?」
驚いているシリカに、ロゼリアの正体を明かす。
「そうはさせないよ。ロゼリアさん、ううん、オレンジギルド、タイタンズハンドのリーダーさん」
「でも、ロゼリアさんのカーソルはグリーン…」
この世界では犯罪を犯したプレイヤーのカーソルはオレンジ色に染まり、そんなプレイヤーの集まりをオレンジギルドと呼んでいる。
「オレンジギルドでも全員がオレンジじゃないことが多いんだよ。グリーンの人が町で獲物を見繕ったり、パーティーに入って待ち伏せしているポイントに誘導したり…レストランで聞き耳をたてるとかかな?」
「じゃ、じゃあロゼリアさんが居たのは…」
そんなシリカの問いに、ロゼリアが笑みを浮かべながら答える。
「パーティーの実力を見ながら狩り時になるのを待ってたのよ。1番の楽しみだったあんたが抜けた時はどうしようと思ったけど、プネウマの花を取りに行くって言うじゃない?あれ、旬だから結構良い値で売れるのよねぇ。それよりそこの剣士さん、そこまでわかっていてその子に付いていくなんて、馬鹿?」
「馬鹿でもなんでもないよ。だって、ボクたちはあなたを探していたんだから」
そこまで言うと、ロゼリアの顔が少しだけ険しくなった。
とっても中途半端に終わってしまい、すいませんでした。
来週からは少しだけ暇な時間が作れると思うので、なるべく更新のペースを戻せたらなと思っています。
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