Sleeping Legend ~もしSAOにユウキがいたら~ 作:ジンクルタニ
今回は少しというか大分短いのですが、生存報告を兼ねて投稿させていただきます。
「ユウキ、行くぞ!」
「うんっ!」
急いで立ち上がり店を出る。悲鳴が聞こえてきた方に向かって走ると、全身をフルプレートアーマーで武装した男が広場の教会らしき塔から首を縄で吊るされていた。しかし、SAOの中では窒息によって死ぬことはない。それだけではただのその胸には黒い短槍が刺さり、赤いダメージエフェクトを放出している。
「早く剣を抜け!」
恐怖で手が動かないのか剣を抜こうとしても中々抜けないでいる。
ピックを投げてロープを切ることは可能だが、万が一にも外れたピックが男に当たり、それが残った僅かなHPを削り切ってしまったら…?
そんな思考を巡らせていると、1つの人影が後ろから俺たちを追い越して塔の中に入っていった。
「君たちは下で受け止めて!」
どうやらアスナは階段を上って直接ロープを切ろうとしているようだ。
「「わかった」よ!」
男の元へダッシュして後半分くらいまで来たとき、男の目が空中のある1点を凝視した。
そこに有るのは恐らく男のHPバー。
「あっ…ダメだよ。そんな…なんで…」
後ろからユウキの声が聞こえた瞬間、男は青いポリゴン片となって宙に消えた。
男に刺さっていた剣が地面に落ち、広場に様々なプレイヤーの悲鳴が響き渡った。
「デュエルのウィナー表示を探してくれ!」
意図を理解したプレイヤーが即座に辺りを見回しはじめたのを確認して自分でも探す。
デュエルでは対戦者2人の間に必ず勝利者と試合時間がでかでかと表示されるため、それを見つけられれば誰がやったのかがわかる。
表示される時間は30秒。周りにそれらしきものは見つからない。外に無いなら教会の中か?アスナが教会の男が吊り下げられていた窓から顔を出した。
「アスナ!ウィナー表示は有ったか!?」
「無いわ!システム窓もないし、誰も居ない!」
おかしい、圏内でプレイヤーのHPを無くすにはデュエルを全損決着で申し込み、受諾されないといけないはずだ。
タイムリミットは後15秒も無い。数秒後、誰かが呟いた。
「…ダメだ、30秒経った…」
いつもより暗い表情のユウキと一緒に教会に入る。25層のボス攻略戦の時以来か。
教会の小部屋をひとつひとつ見て回るが索敵にも探知にも反応が無かった。ユウキが見た部屋も同じだったようで、視線を向けると少しうつむいて首を横に振った。
小窓の有った部屋に入るとアスナが眉間を強張らせて立っている。
「教会の中には、他に誰も居ない」
「隠蔽効果付きのマントで隠れている可能性は?」
「多分その可能性は無いよ。ボクたちの索敵スキルを誤魔化せるほどの装備なんて最前線でも見たことないしね」
「後、出口にはプレイヤーに隙間なく立って貰ってるし窓はこの部屋だけみたいだしな」
アスナも一応確認しただけだったのかそれ以上は言及してこない。
「ん…わかった。これを見て」
そこに有るのは座標が固定されていて動かせない机と、その足に結ばれた頑丈そうなロープ。ロープは男が吊り下げられていた窓から外に出ている。
「…どういうことだ、こりゃ?」
「普通に考えれば…あのプレイヤーのデュエルの相手がこのロープを結んで剣を胸に突き刺した上で窓から突き落とした…ってことになるのかしら」
ユウキも首をかしげて考え込んでいる。
「見せしめのつもりか…いや、それ以前に」
「ウィナー表示が無い、だよね。広場にいる数十人の人たちで見つけられなかったのはおかしいよ」
「でも…あり得ないわ!圏内でHPにダメージを入れるにはデュエルを申し込んで、承諾されるしかないのはあなた達だって知ってるでしょう!」
「ああ…」
「うん…」
3人で向かい合ったまま沈黙する。絶対にあり得ないことが目の前で起きたのに、誰が、何故、どうやって、その全てに見当がつかない。
沈黙を破ったのはユウキだった。
「このまま放置するのは良くないと思うんだ。圏内でPK出来る方法なんてものが広まったら…」
「対抗手段を早く発表しないと大変なことになるわね」
「俺も同意見だ」
「じゃあ決まりね。あなた達には解決まで協力してもらうわよ。言っとくけど、昼寝の時間はありませんから」
「あはは…」
「昼寝したのはそっちじゃないか…」
第1層以来組まれる事の無かった3人組がここに復活した。
バックレてしまい申し訳ありませんでした。休んでいる間にお気に入り登録、評価をして頂きありがとうございます。
最近ユウキさんが動かしづらいのが悩みです…。圏内事件長いんじゃぁ…。アニメ版を元にして書く量をへらそうかと考えている今日この頃。
感想、評価、お気に入り登録お待ちしています