Sleeping Legend ~もしSAOにユウキがいたら~ 作:ジンクルタニ
システム外スキル
圏内事件が解決してから5日後、今日はユウキがアスナに連れていかれてしまったので今日は1人。
最近思い付いたシステム外スキルの練習をする事に決め、少し朝早いが宿屋を出る。本当はフィールドに出たい所だが前に1人で出たところユウキに怒られてしまったので辞めておいた方が良いだろう。
広場に設置された案山子に向かって抜刀し、そのままスラント、バーチカル、ホリゾンタルと単発系ソードスキルを重ねて打つ。
(単発ならフルでブーストできるな、次)
バーチカルアーク、ホリゾンタルアーク、スネークバイト。
(切り返しがやっぱり遅れるな…次)
シャープネイル、サベージフルクラム、バーチカルスクエア、ホリゾンタルスクエア、デッドリーシ…
やばいと思ったときにはもう遅く、案山子を切りつけるはずだった剣は案山子の土台を叩いていた。
案山子のうち人形部分はシステム的に圏内でも攻撃できるのだが土台は破壊不可のオブジェクトに含まれる。ようするに…
「いだっ!」
紫色の障壁が出現し、ズガァンと大きな音が鳴ると共に剣が大きく弾かれた。予期せぬ衝撃に剣がすっぽ抜け、手の感覚が無くなる。
(4連擊からはブーストされてないし、7連擊はブーストどこらかそもそも失敗か…実用性有るのか不安になってくるな)
手をプラプラと振って痺れを取っていると、突然索敵スキルが反応し広場にプレイヤーが居ることを伝える。
慌てて振り替えるとそこには見慣れたフードを被った女性がこちらに手を振っていた。
「悪いナ、驚かせるつもりはなかったんだヨ。たまたま近くを通りかかったら凄い音がしただロ?もしかして事件か?と思って様子を見に来たんダ」
「ああ、悪いな…。それじゃあ俺はもう少しここに居るから…」
話を切り上げ、練習に戻ろうとした俺の肩をアルゴが掴み…にんまりと笑った。これは何かお宝な情報があると嗅ぎ付けた時の顔。
・キリト は 逃げ出した。
・しかし、まわりこまれてしまった。
アルゴが逃がさないとばかりに俺の肩をがっちり掴む。
「ところでキー坊、どうして左手でソードスキルを打ってたんダ?」
「たまたまそんな気分だっただけだよ…」
俺の口から出たのはそんな誤魔化しの言葉。もちろんアルゴに通用するはずが無い。
「ふ~ん、左手でソードスキルを打っていたことは否定しないんだナ」
「あっ」
「とっとと何を検証してるのか言ってくれないとお前さんの恥ずかしい過去をユーちゃんにばらしちゃうゾ。例えば…そうだナ、昔むさ苦しい男性プレイヤーと1つのマントにく…」
「わかった!わかったから!!」
1人で練習していたのは他のプレイヤーに知られたくない…というか完成するまではばれたく無かったためなのだが、アルゴに見つかった時点で左手でソードスキルを打っていた事はばれるだろう。それなら情報を開示して口止めした方が良い。
「今のはシステム外スキル。スキルコネクトの練習だよ」
「ああ、体術スキルでソードスキルの隙を埋められるって奴カ。それならなんで左手で剣を振る必要があるんだヨ」
「そうじゃなくて、片手剣のソードスキルを繋げるんだ。うーん、説明するより見せた方が速いな。まあ見ててくれ」
メニューを開いて可視化してクイックチェンジで剣を右手に装備。そのまま左手の指でメニューを保持し、準備完了。
始めに3連擊ソードスキル、サベージフルクラムを発動。水平切りで案山子に埋まった剣が垂直に跳ね上がり、2連擊。最後の振り下ろしを決める寸前、意識を左手へと持っていく。
自分の右側と左側が別々に動く違和感をこらえ、メニューを保持したまま左手を後ろへと引き絞る。ソードスキルが終わった瞬間にクイックチェンジを発動すると、バーチカルスクエアの発動モーションが出来上がる。
左手に表れた剣を掴み、バーチカルスクエアを発動。本来ならサベージフルクラムの技後硬直で動けない所をバーチカルスクエアが無理やり身体を動かしていく。
垂直の4連擊が決まった所でソードスキルが終わり、今度こそ技後硬直に襲われる。
「これが片手剣のスキルコネクトだよ。現状2種類までしか繋げないし、左手でソードスキルを打っても自分で調節できないから…ってどうした?」
硬直が解けたので振り向くと、そこにはポカンと口を開けたアルゴがただ立ち尽くしていた。
「オレっちはとんでもない爆弾を拾っちまったみたいだナ…」
深々とため息をつくアルゴに言いたい事が無いわけではないが、グッと押さえて感想を聞くことにする。
「アルゴから見てどう思う?実用性があるのか微妙なところなんだよな」
「実用性の固まりじゃないカ!考えてもみロ。味方のソードスキルが終わった後の硬直時間を1人で、しかも攻撃しながら埋められるんだゾ。2発目のソードスキルを低位のにすれば硬直時間も短いだろうし、モブ1体なら2人でソードスキル乱発して勝てるんじゃないカ?」
「なるほど…参考になったよ」
硬直時間を稼ぐならダメージの量ではなく連擊数の多い技で繋がるものを探した方が良さそうだ。
「それよりもこれ、公開して大丈夫カ?結構な爆弾情報だと思うんだガ」
「うーん、絡まれるのもめんどくさいし情報元さえ出さないでくれたら良いよ」
「本来なら口止め料を貰うところだがこっちが情報を開示させた訳だしナ。りょーかい、その点は守るヨ。ところで適正な情報料はいくらだろうナ、これ…」
アルゴがうんうん唸っているが、これに関しては前から決めていた事がある。
「無料で良いよ。使えそうだったら公表するつもりだったしな。まぁ、公表の仕方は考えるつもりだったけど」
「良いのカ?オレっちとしてはありがたいが、数十万コル位の価値があると思うゾ」
アルゴが言うからにはそれくらいの価値があるのだろうが、実はこれが結構な疫ネタになりかねないのだ。
「実はそこまで価値が無いと思うんだよな」
「どうしてダ?」
「ソードスキル中に全く関係ない挙動をするのってかなり難しいんだぞ?ソードスキルをキャンセルしない範囲で動かさなきゃだし。それにクイックチェンジを使うタイミングがソードスキルが終わった直後じゃないといけないんだ。体感コンマ1秒以内」
アルゴも俺が何を言いたいのか察したのだろう。
「そんな曲芸みたいなこと戦闘中にとなると現実的じゃないナ。それに…あの感じだとミスったら結構ヤバイんじゃないカ?」
「実戦でミスると隙だらけになるし、最悪バランス崩して転ぶ」
「妙に実感がこもってるじゃないカ。…ユーちゃんの苦労が目に見えるヨ」
「ははは…」
二刀流の訓練の時はこっちがカバーしているのでトントンなのだが、まぁ言わない方が良いだろう。
「ソードスキル中に逆側でソードスキルの構えをとる。クイックチェンジで武器を左右入れ換えればソードスキルが発動する…って事で良いカ?」
「それであってるよ」
アルゴがメモ用紙を取り出して何行か書き込む。
「取り敢えずこれで良いカ。クエストもあるしオレっちはこれで失礼するヨ。この礼はまたいつかナ」
「期待して待ってるよ」
駆け出していくアルゴを見送り、ソードスキルの練習を再開した。
1万UA達成!本当にありがとうございます!
越えるまでずっとスマホを見ながらニヤニヤしてたのに越える直前に寝てしまった…。一生の不覚っ
ユウキとの絡みたっぷりでやるつもりが1話丸々出ないとは…。
両手に装備状態ではソードスキルが打てないのでこんな形になりました。
アルゴが近くまで来てたとか都合よくね?ウィンドウって任意の場所に動かせるの?とか突っ込まないでください…何も言えなくなる…
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