Sleeping Legend ~もしSAOにユウキがいたら~   作:ジンクルタニ

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遅くなってすいません。この章は完全オリジナルで書きにくかった…。
少し中途半端に終わりましたが、まとめ方わからないので強引に切ります。ご了承下さい。


打ち上げ

夕方になりユウキとアスナが決めた夕食の時間に近づいてきたので、アルゲードの市場を冷やかすのは辞めて俺とユウキが1番気に入っているレストランへと向かう。

アルゲードはとても入り組んでいる上に景色が単調。目印になるようなものもなく何度か訪れても道に迷いかねないので1度広間に出てから再び路地に入る。

 そのレストランを見つけたときにマップに付けておいたマーカーを確認しながら両サイドを塀や家で囲まれた路地を進む。15分ほど歩いていると少し場違いな、カフェのような外見の店が表れた。

 「ようアスナ」

 店の横に立っていたのはアスナ1人。

 「こんばんは、キリトくん」

 ユウキは?と思ったのを見透かされたようで質問する前にアスナが口を開いた。

 「ユウキならちょっと遅れてくるから、先に入りましょ」

 「あれ、今日はずっと一緒じゃなかったのか?」

 「最後に連れていったお店がプレイヤーがやってる服屋さんだったんだけど、ユウキが私服を持ってないって言ったら色々と作り始めてね…。もう少しで作り終わりそうだったから、あと5分も経てば来るんじゃないかしら」

 「そ、そうだったのか」

 ユウキがおしゃれとは無縁だったのはほぼ俺のせいだと思うので申し訳なさを感じつつも、着せ替え人形にされたであろうユウキに黙祷を捧げる。

 ドアを開けるとカランカランと音がなり、綺麗な内装が目に入る。

 「ありがとう」

 そのままドアを押さえていると俺の意図を察したアスナが先に店に入った。

 「こんな場所にこんな店があったのね」

 「かなり場違いだもんな」

 キョロキョロと店内を見渡しているアスナを見てユウキも同じだったなぁと思いつつ、1番奥にある4人席に座る。

 「それにしてもこんなところよく見つけたわね」

 「食への飽くなき探求心が…というのは冗談でクエストで来たんだよ。それにしてもよく1人で来れたな」

 冗談を言うと一瞬本気で呆れた目をしていたので慌てて本当の事を伝える。

 「ユウキからマップデータを貰えばそう迷うような道じゃなかったわよ」

 「そうだったか」

 2回目に行こうとしたとき、ユウキは全然違う道を進もうとしていたのだが、アスナは大丈夫だったようだ。

 「それよりもここのマップ殆ど埋まってるのね。マップデータを売ったら多くのプレイヤーに感謝されるんじゃない?」

 「結構アルゴに世話になってるしマップデータを提供してたんだけど、公開しないように頼んだ」

 「どうして?」

 「この店の場所がばれたくない」

 「あなたたち…」

 食い意地の張った問題児だと思われている気が…いや、間違いなく思われてるな。しかし、これに関しては言い訳がある。

 「あのアルゴが秘匿に賛成したくらいだぜ。それに関してはまあ、後でわかるさ」

 「アルゴさんが?あの人、売れる情報は全部売ってるんだと思ってたわ」

 確かにアルゴは情報を何でも売ってくれるイメージがあるが、情報元の要望は結構聞いてくれてる気がする。

 「自分から情報を流さないって言ってるだけだけどな。ここの店をピンポイントで指定されたら情報を売るんじゃないか?店の名前知ってるならこの店の場所もわかってるだろうから、そんな事はまず起きないと思うけど」

 「そういうことだったの。…アルゴさんが隠すレストランならかなり期待出来そうね」

 「まぁ食べてからのお楽しみってことで」

 

 そこまで言うと入り口からカランカランと音が聞こえ、誰かの入店を告げる。

 「来たみたいね。ちょっと目を瞑っていて貰っても良い?」

 「あ、あぁ」

 目を瞑っていると、席に近づいてくる足音が聞こえてくる。

 「やっほー、アスナ。さっきぶり…ってどうしたの?」

 「ユウキ、ここまで走ってきたでしょ。髪が乱れてるじゃない…これでよし!キリトくん、もう目を開けて良いわよ」

 アスナに言われて目を開けると、そこにいたユウキは今までとは全くの別人だった。

 「ど、どうかな?」

 首もとに赤いリボンが付いた白いブラウスの上に紺色の上着を重ね、下はショートパンツに黒のニーハイソックス。そして最も異なるのが髪。ショートカットだった髪は腰の辺りまで伸び、暗めの紫色に染められていた。

 ユウキの活発な感じが全面に出されつつ髪型やリボンなどで女の子らしさが見えるその装いは、ユウキにとても似合っていた。

 「似合わない…よね…」

 見とれて数秒固まっていたのを見て勘違いしたのか、少し落ち込んだ様子で首もとのリボンを弄り始めたので、慌てて言葉をかける。

 「そ、そんな事はないぞ。よく似合ってる」

 「えへへ、そう言って貰えると嬉しいな」

 一瞬で表情を変え、ニコッと笑ったユウキに俺の心臓がドキリと高鳴った。

 「注文まだだよね?早く決めちゃお!どれにしようかな~?」

 俺の横に座ると、ワクワクした様子で机に広げられたメニューを眺め始めた。

 「私、邪魔だったんじゃないかしら」

 「何か言ったか?」

 「何でもないわ。あなた達が秘密にしておきたい理由も知りたいし早く注文しましょう…ってここのメニュー、本物のカフェみたいね」

 見慣れたメニューのはずなのに、少しの間内容が頭に入ってこなかった。

 

 心を落ち着かせていると、2人共早々に注文を決めてしまったようだ。

 ユウキがハンバーグでアスナがオムライスと…なら今日はカツカレーにしようかな。

 「よし、俺も決めたぞ」

 「じゃあ店員さんを呼ぶね。注文お願いしまーす」

 ユウキが大きな声で呼ぶと、カウンターの裏から店員が出てきた。

 「ハンバーグとオムライスとカツカレー。食後にパフェと紅茶を3つお願いします」

 「かしこまりました」

 ペコリとお辞儀をしてカウンターへと戻っていった店員を見届けた後アスナが口を開いた。

 「パフェがこのお店を隠しておきたい理由なの?」

 「そうとも言えるしそうじゃないとも言える」

 「どうゆうこと?」

 アスナが首をかしげたところでユウキが変わって答える。

 「パフェ自体は限定品っていう訳じゃいなんだけどすっごく美味しいんだよ。値段もそこまで高くないし、毎日食べたいくらいには」

 「それは楽しみね。でもそれだけだったら隠す必要は無いんじゃない?」

 「このお店、少し狭いでしょ。お客さんがいっぱい来て入れなくなったら嫌だなって」

 店内には4人席が2つとカウンター席が4つしかなく最高で12人までしか入れないし、カフェは客の滞在時間が比較的長い。

 客が増えると確実に混むだろう。

 「ここってアクセスが良い訳じゃないし、そんなに人が来るかしら?」

 「食ベ始めればわかる」

 そんな話をしていたら丁度料理が運ばれてきた。

 「それじゃあ、県内事件の解決及び指輪事件の真犯人逮捕を祝して…かんぱーい!」

 「「かんぱーい」」

 いつの間にかユウキが注いでいた水で乾杯し、打ち上げが始まった。

 

 始めにアスナがオムライスを口にし、目の色を変えた。

 「これ、むこうの味とほとんど変わらないわね…」

 「でしょ?ボクも初めて食べたときビックリしちゃった」

 でも、それだけじゃない?と怪訝そうにしているアスナに気づかず、ユウキはハンバーグをぱくりと食べ、美味しそうに笑顔を浮かべる。

 「わかっただろ?隠しておきたい理由が」

 そう言いながらユウキの方をちらっと見ると、アスナは何が言いたいのかわかったようだ。

 「これはアルゴさんも隠すのに賛成するでしょうね」

 ユウキが食事するときはいつも嬉しそうなのだが、現実の世界での味に思い入れがあるのかここでは一段と嬉しそうに食べる。

 たくさん客が来るかはわからなかったが、向こうと同じ味の食事ができるだけで少なくとも一時的には話題になるだろう。流石のアルゴもこの笑顔を曇らせる可能性がある中で情報を売る気は無くなったようだった。

 ユウキが教えてあげようと強く推してくるので紹介したのだが、前もって釘を刺す形になってしまったことに本人は気付いていない。

 食事をした後こっそり「あの笑顔は反則だロ…」と文句を言われたが返す言葉もなかった。




アンケート回答ありがとうございました。ここで重大発表なんですが私、男なんですよ(多分皆気づいてる)。
男が書く女目線って気持ち悪くない?って不安になったのでユウキ視点について尋ねました。忌避感が無さそうで良かったです。
嫁じゃないアスナって書きにくい…キャラぶれる…。
ユウキの格好については「ユウキ 私服」で調べるとそれっぽいのが出てきます。参考までに
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