Sleeping Legend ~もしSAOにユウキがいたら~   作:ジンクルタニ

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記念すべき?30話目にして中途半端かつ盛大に投稿を遅らせる奴がいるらしい。


夜景

アスナと夕食をとってから5日後。今日は56層にある火山エリアへと足を運んでいた。目の前ではユウキが剣を2本握り、体が黒曜石でできたゴーレムと戦っている。

 最前線を離れここに来たのはユウキが二刀流の特訓をしたいと言い出したからだが、ここを選んだのにはちゃんと理由がある。

 1つ目はこのゴーレム。打撃以外の攻撃への耐性がものすごく高い代わりに動きが遅め。そのため二刀流で放つ高威力のソードスキルを数発耐えてくれ、もしユウキが失敗したとしてもカバーがしやすかった。

 2つ目はここの不人気さ。暑すぎるせいで地形ダメージが発生し、タンク職等のアジリティの低いプレイヤーは地形ダメージが発生するエリアを通る度に頻繁に回復しなくてはならない。一方軽装備のプレイヤーではどうかと言うと、ゴーレムを素早く倒すには攻撃力が足りず、1戦辺りの地形ダメージがかさんでしまいこれまた頻繁に回復が必要となる。

 となると囲んで一気に倒したいが、ゴーレムの大きさはせいぜい2メートル。武器を振り回しがちな打撃武器では味方が邪魔になるといったようにとにかく戦いにくいのだ。

 モブのレベルが高いわけでも無いため苦労に見合った経験値も貰えず、殆ど人の来ない過疎ダンジョンとなったのだった。

 

 「やぁっ!」

 ユウキが気合いと共に剣を振るう。打撃以外の攻撃が通らないと言ってもそれは適正レベルでの話。1,2発目はレベル差もありゴーレムの体力をいい感じに削っていたのだが、ゴーレムの反撃が始まるとそれを避けるのに意識を割くためか目に見えてダメージが減っていた。

 振り回される腕を屈んで避け、膝のバネを使った両手での切り上げ。右手側の剣はしっかりとゴーレムを捉え大きなダメージとなったが、左手側の剣には力が殆ど入っておらずゴーレムに当たって弾かれてしまった。上に振り抜かれた右手と下に弾かれた左手。敵の前で両手を広げ、隙だらけとなったユウキにゴーレムの腕が振り下ろされ…

 「ここまでにしとくか」

 るまえにソードスキルを放ち残りの体力を消し飛ばす。

 「ありがとー、キリト。うぅ…うまくいかないや」

 「段々うまくなってるって。ソードスキル無しで8割削ったの初めてだろ?」

 「そうだけどさぁ…。キリト、倒してたじゃん」

 それは昨日の事。なかなかゴーレムを倒せず行き詰まった時、ユウキにやってみてと言われたので休憩にもなると思い剣を2本持ってみた。すると片手剣による擬似的な二刀流の練習の成果が出たのか善戦。ユウキよりもSTRを高く振っているのもあり、20体目程で体力を削りきれたのだった。

 その後、俺の動きを真似し始めたユウキは確かにDPSが増えたのだが、さっきみたいな隙を見せることも増えてしまったように思える。

 あっさりとという訳ではなかったのだが、出来てしまったことは事実。非常に気まずいので話を逸らしにかかる。

 「今でもソードスキル主体にできれば最前線でも使えるんじゃないか?」

 「…できないの知ってるくせに」

 「ああ、…確かに流石にその剣と同格ってなるとなぁ」

 じとっと睨み付けてくるユウキをみて話の逸らし方に失敗したと思いつつも、ソードスキル主体で立ち回る方法が無いか考える。

 二刀流のソードスキルは極めて強力だが装備している2本の剣に攻撃力の差がある時、弱い方の耐久値が削られてしまうといったデメリットがあった。

 ユウキが装備している剣はアニールブレードから始まり、歴代の武器を真材として引き継いできた物。今使っている剣はその中でも特別で、出来上がった時点で無数の戦闘を経験した武器と似たような輝きを放っていた。

 この剣と同格かそれ以上の武器となると、未だに装備できずストレージに眠っているエリュシデータ位しか思い付かない。

 「また出てきたぞ」

 索敵スキルに反応が有ったため再び話を逸らしにかかる。ユウキも本気で非難してたわけではないらしく、切り替えて再び切りかかっていった。

 

 2分後、そこにはポリゴン片となって消えていくゴーレムとうなだれているユウキが居た。

 「またダメだったぁ…」

 「今日はここまでにしておこうぜ。そろそろ戻らないと日が落ちるし」

 「もうちょっとで何かがわかりそうなんだけどなぁ。ねぇ、あの場所で一泊するのはダメ…かな?」

 ユウキの言うあの場所とはこのダンジョンの行き止まり。火口湖の湖面よりも少し高いところにある、黒曜石で出来た体育館程ある大きな空間。初めて来たときは一風変わった様子に期待をしたのだが、一通り探ってみても宝箱はおろか動くものが何一つないただただ殺風景なエリアだった。それがわかってからはモンスターの湧かないいわゆるセーフエリアとして使っている。

 ちなみに眼下に広がる火口湖は風がないため鏡のように風景をそのまま写して綺麗なのだが、入るとダメージを受けるトラップだったのは相当質が悪いと思う。

 「確かにここのところ2日で敵mobは見てないけどな…」

 どうにも何かありそうな場所に長居する気にはなれないが、この階層の敵なら問題無いとも思う。恐らくだが階層ボスとまではいかなくともフィールドボスなら1人で対処できるだろう。

 悩んでいる俺を見て、ユウキも無茶を言ったと思ったのだろう。

 「ごめんごめん。じゃあ帰ろっか」

 明るく気にしていないように振る舞っているが、1年以上近くにいたらそれが本音じゃないこともわかる。

 それに彼女がわがままを言ったことは今まで1度もない。初めて聞く相棒のわがままが特訓のためというのもどうかと思うが、できるだけ叶えてあげたいと思った。

 ダンジョンの出口の方へ歩いていこうとしたユウキの肩手を乗せ呼び止める。

 「わかった。その代わり明後日1日休みを取るぞ」

 「ありがとう、キリト!」

 振り返ったユウキは嬉しそうに笑っていたが、その目が焦りを告げていた。

 「ゆっくりでもいいんだぞ、二刀流が無くても今のところ攻略はどうにかなってるんだからな」

 気づかれてないとでも思っていたのだろうか。ユウキがはっと顔をあげて目を見開く。

 「あはは…ばれちゃってたかぁ」

 困ったようにポリポリと頭をかいて、それから下を向いた。

 「…うん、そうだね」

 そう告げるユウキが顔をあげていないことに嫌な予感がしていたのだった。

 

 「っこれで!とどめだぁぁぁ!」

 大きく振り抜かれた右手の剣がゴーレムを切り裂き、ポリゴン片へと変える。

 「やった~!やったよ、キリト!」

 ダンジョンで1泊することを決めてから2時間後、ようやくユウキが1体目のゴーレムを倒すことに成功した。

 「おめでとう、ユウキ」

 右手をあげ、ユウキとハイタッチを決める。

 「ありがとう!よーし、感覚を忘れないうちにもういっちょいくよー!」

 「夜の見張りもあるから程々にな」

 「はーい」

 テンションが上がりすぎて失敗しても大丈夫なように剣を抜いて軽く構えるのだった。

 そこから10回ほど戦闘したが倒せた回数は3。さらに連続でゴーレムを倒せた回数は1回も無いため実践で使うには不安定さが怖い。

 今日のところはここまでにして引き上げ、泊まる予定の場所に向かうことにした。

 

 洞窟の中は溶岩で明るく照らされていたのだが、夜となった今黒曜石のみでできた空間は飲み込まれそうなほど真っ暗。松明で照らされた範囲以外何も見えないため壁づたいにゆっくりと奥に進んでいく。横穴が開いている場所が見えると、そこだけは月光が射し込み少し明るかった。

 「あそこならギリギリ戦闘もできそうか。しっかし、まさかここまで暗いとはな」

 「ここまで暗いと何かいても気づけなそうだよね」

 「索敵に反応ないし大丈夫だろ。それよりも早く夜営の準備して飯にしようぜ」

 「ごめんね、遅くまで付き合わせちゃって。その代わりっていったらなんだけど夕飯はボクに任せて!」

 そんな話をしているうちに横穴についたのだが、少し前を歩いていたユウキが横穴の外をみた瞬間に動きを止めた。

 不思議に思って後ろから覗き込むと、ユウキが足を止めた理由がわかった。

 夜空一面に輝く星。それが湖に反射することで、まるで星の海に飛び込んだかのような光景が広がっていたのだ。

 ユウキと並んでその景色を眺める。

 「うわぁ~。綺麗だね」

 「何にもないと思ってたけど、まさか観光スポットだったとはな」

 「昼でも綺麗だったよ?たぶん他にも似たような景色があったから印象に残らなかっただけで」

 「ああ、そう言われれば確か20層あたりに湖がたくさんある場所があったっけか」

 「昼はあっちの方が綺麗だけど夜は断然こっちだね。星空をこうやって眺めるのなんていつぶりだろうなぁ」

 キラキラした瞳で景色を眺めているユウキの邪魔をしてはいけないと思い、こっそりと離れて夕食の準備をする。ユウキが動き出したのはスープが煮立ち、ハーブのいい臭いを漂わせ始めた時だった。




やりたいことや書きたいことが途中で2転3転して色々と酷いことになっている気がする今日この頃。
更新遅くてすみませんでした。
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