Sleeping Legend ~もしSAOにユウキがいたら~ 作:ジンクルタニ
早くお礼をしたくて急いで書き上げました。誤字が多いかもしれないですがよろしくお願いします。
「キリト、起きて。朝だよ」
肩を揺すられて意識が覚醒していく。ユウキの起こし方的に予想通りと言ってしまうとあれだが、リズベットはまだ救出に来れていないらしい。
「ふわぁ…おはよう」
「おはよう」
目を開けると飛び込んできたのは光。眩しさに目を細めて辺りを見回すと、どうやら氷の壁が鏡になって穴の底まで光を届けているらしいことがわかった。キラキラと光を乱反射させている壁に目を奪われていると、少し色の違う光が視界の隅に引っかかる。
光の出所は…あそこか。
それは、床に積もった雪の隙間から少しだけ顔を出している薄青い結晶。なんだか気になって寝袋から這い出てその結晶を掘りにいく。
「いきなりどうしたの?」
いきなり地面を掘り出した俺に困惑しつつもこちらの手元をのぞいてくる。
3掻き程で露わになったそれを引っ張り出す。輝きからして高品質なインゴットであり、これがクエストの目的で間違いないだろう。アイテム名を表示すると〈クリスタライトインゴット〉と表示される。しかしながらどうしてこんな所にあるのかが謎だ。
一旦情報を整理してみる。結晶を体内に溜め込んでいるという噂。ドラゴンを倒しても金属はドロップしない。大穴の底に落ちている目当ての金属…いや、
「それ、目当ての金属だよね?どうしてこんなところに?」
出てきた結論を伝えるかどうか悩む…が、ずっとモヤモヤし続けるよりも正体を知っていた方が良いだろう。
「ドラゴンがクリスタルを齧って、腹の中で精製するっていう話だっただろ?」
「だね、それで?」
「でもって腹の中にずっとあったらいつか満帆になるだろ」
「あ…うん、そうだね…」
「で、そうならない様に出てきたのがこれ」
「あ〜…うん、つまりそれって」
「ドラゴンの排泄物だ。ンコだ」
「一応そうは見えない位には綺麗だけど…う〜ん」
急にユウキが何かを考え始めた。推理が間違っていたのかと思い不安に駆られる。
「えっと…どこか変なところでもあったか?」
「あぁいや、そうじゃなくて…えーっとキリト、それで剣を作るんだよね?」
「ん?それがどうかしたのか?」
「キリトが気にしてないならそれは良いんだけど…う〜ん、後でリズには教えておこう」
後半の呟きは聞き取ることができなかったが、どうやら納得している様ではある。それ以上は気にしない事にしてストレージにインゴットをしまい込んだ。
「さて、これで後は脱出さえできればって感じだな」
「うん…ん?そういえばさ、それがあったって事はここはトイレなの?」
「流石に広すぎるし、多分巣なんだと思うぞ」
「巣…てことはさ、ドラゴン帰ってこない?」
「ん?」
「ほら、夜行性って事は朝には巣に戻ってくるでしょ」
「「…………」」
2人揃って穴の入り口を見上げると、まるでタイミングを見計らっていたかの様に黒い影が滲む様にして円の中に現れる。それはみるみると大きくなっていき、やがてその全貌が見て取れる様になる。
氷の様に白い鎧を纏った竜。ようするに昨日戦ったドラゴンが縦穴を急降下してきていた。
2人揃って後ずさるが、すぐに壁にぶつかる。
「タゲられては…なさそうだね。どっちがタゲ取りする?」
「ブレスもあるし、俺がやる」
「りょーかい!」
冷静な相棒に頼もしさを覚えつつ、背中に吊った剣を引き抜く。
そうこうしている内に竜が盛大に雪を巻き上げながら着地した。
こっちもあっちも回避するスペースが無い狭い空間。鉤爪攻撃はパリイできるから問題ないとして、問題はブレス攻撃。この狭さじゃ正面からのは弾けても壁で反射してダメージをもらいそうだし、そもそもジャンプじゃ届かない位置でブレスを吐き続けられでもしたらかなり厄介だ。
どうにか飛ばれない様にできないか…
「…っあ…まさか…」
「えっ…?えぇ!?」
剣を鞘に納め、斜め後ろにいたユウキを抱えて走り出す。
「ちょっと、どうしたのキリト!」
竜の死角に入るべく、湾曲する壁を走る。竜が首を曲げてこちらをタゲるが、4本足の動物は体の構造的にその場で回転するという行動が苦手だ。2周、3周と徐々に加速していき、竜がこちらを追いきれなくなっていく。
ここっ!
こちらが走る方向と同じでは追いつけなくなり首が逆回転する瞬間、壁を蹴って竜の背後をとる。こちらを完全に見失った竜がキョロキョロと周りを見渡しているので、見つからない様にゆっくりと近づいていき…
うまくいけ!と願いながら揺れている尻尾の先端をむんずと掴んだ瞬間、竜が甲高い叫び声をあげて翼を広げる。
ビンゴ!と喜ぶ暇もなく、竜が急上昇を始めた。
竜が飛べるのなら上まで運んで貰えば良い。
そんな目論見はこの通り。竜の尻尾に引っ張られ、左右に揺れながら凄まじいスピードで縦穴を登っていく。
「ユウキ、捕まってろよ!」
返事は無かったが、代わりに首に腕が回される。壁を照らす陽光がどんどんと明るくなっていき、あまりの眩しさに周囲が白く包まれた瞬間、俺たちは穴から飛び出していた。
細めていた目を開くと、眼下に広がる55層の全景。山や村、そして遠く離れた主街区までもが見え、朝日に照らされてキラキラと光り輝いている。
「イェーー!!」
「わぁーー!!」
思わず歓声を上げると、ユウキからも同じタイミングで歓声が上がる。
綺麗な景色に目を奪われたが、俺たちの目的は穴からの脱出。尻尾の揺れに注目し、俺たちの体が横に振れたタイミングで尻尾から手を離した。
ユウキを横抱きに抱え直し、慣性のままクルクルと宙を舞う。
腕の中にいるユウキの目は朝日を受けて輝き、口は喜びに開かれていた。そういえばここまで喜びを露わにしているユウキは片手で数えられる程しか見ていない気がする。
もっとこんな表情が観れると良いな。
そんな風に思っていると、地表が近づいてきた。
最後に1回転し、両足を広げて着地。落下の勢いは勢いは止まらず、雪を掻き分けながら滑走していく。10秒近く滑った後山頂の端でようやく止まり、抱えていたユウキを降ろす。
2人揃って大穴の方を振り向くと、こちらを見失ったドラゴンが上空をゆっくりと旋回していた。
倒そうかと思って剣に手をかけると、ユウキに服の裾を引っ張られる。
「倒す必要もないし、このまま帰ろ?」
今まで存在しないドロップアイテムのために狩られまくった竜をこれ以上狩る必要もあるまい。
「そうだな…今まで散々狩られて迷惑だったろ。アイテムの取り方が広まればお前を殺しにくる奴も居なくなるだろうし、これからはゆっくりと暮らせよ」
「そうだね…って出れたってリズベットに連絡しなきゃ!」
ユウキがリズにメッセを送っている間竜を見守っていると、1度澄んだ声で鳴いて巣穴へと戻っていった。
「リズは今55層主街区に居るって言ってたけど、集合はリズのお店でいいよね?」
「それで良いんじゃないか?」
「りょーかい。じゃあそう書いておくね」
今日はなんだか楽をしても良い様な気持ちになった。ユウキがメッセを送りきったタイミングで声をかける。
「…クリスタルで飛んじゃう?」
「うん、早く安心させてあげたいしね」
転移結晶を取り出して掲げる。
「「転移、リンダース」」
2つの光が山頂で煌めき、そして雪山に静寂が訪れた。
色ついた!やったー!!と思っていたらすぐに評価が赤くなり、うぉーー!!!ってなっていたら更に高評価をつけて頂けたので21時からランキングを更新しまくっていたら総合日間ランキングに当作品が!!!!
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前書きでも書いていた様に早くお礼がしたかったので心の温度の最後までいけませんでした。次回は短くなるかもしれません。
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第1階層攻略戦
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赤鼻のトナカイ
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黒の剣士、黒の騎士
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2人の未来へ
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心の温度