Sleeping Legend ~もしSAOにユウキがいたら~   作:ジンクルタニ

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 書きあげられたので投稿します。
 どこで改行すればいいのかわからなかったので少し読みずらいかもしれません。


ビーター

俺の指示でエギル達のパーティーが盾や武器でガードしてダメージを極力抑えて戦い、他のパーティーが回復するのを待つ。たまにユウキが攻撃しているがダメージは微々たるものだ。

 なかなか復帰してこないところを見るときっとディアベルの死がかなりの衝撃を与えたのだろう。

 何十回と繰り返しボスの攻撃を受けさせていると、集中が切れた1人のプレイヤーが足をとられてよろめいてしまう。転倒する前に立て直すことができたものの足がついたのはボスの真後ろ。

 

 ボスが囲まれた事を認識し、前衛のパーティーを一撃で総崩れにした旋車のモーションに入る。次にあれをくらったらレイドが壊滅するだろう。

 残りのHPは7割程度で前回には程遠いが、やるしかない!

 走りながら構えをとると剣が緑色に光り出す。

 跳んだボスを追い、片手剣単発突進ソードスキル、ソニックリープで空中へと飛び出す。

 「届けぇぇぇぇ!」

 ボスの腹にクリティカルヒットが入り、ソードスキルがキャンセルされた。

 

 転がって受け身をとり転倒状態にならないようにし、周りを確認する。まだレイドごと立て直すのは無理そうだ。けれどエギル達のパーティーにはもう負担をかけられないだろう。

 ボスの体力は…数ドットしか残っていない。これなら!

 「ユウキ!アスナ!最後の一撃を一緒に頼む!」

 「オッケー!」

 「わかった」

 「行くぞ!」

 ユウキとアスナが後ろに控えたのを感じるとボスに向かって走りだす。

 ボスもこちらを認識し、刀を降り下ろして来るがソードスキルで弾き返す。硬直しているうちに二人が前に飛び出した。

 ユウキが走り抜けながらホリゾンタルで切り裂き、アスナがリニアーでボスを仰け反らせる。

 仰け反ったボスに向かって止めを指すためにソードスキルを発動する。

 

 剣はボスの体を右上から切り裂き、左下へと抜けた。ボスの体力は…後1ドット残して止まった。ダメージが足りないと悟ったのかボスの顔が笑ったような気がする。

 俺はその笑みに対して、獰猛な笑みを返す。実はこのソードスキルはここで終わりじゃない。剣が慣性を無視して跳ね上がる。片手剣2連擊ソードスキル、バーチカルアーク。

 「うおぉぉぉぉぉ!」

 咆哮をあげてボスの体を左下から右上へと切り裂く。衝撃で空中に浮かされたボスの体が段々と薄くなり、バァンと音をたててポリゴン片へと変わる。

 

 昭明が消え、congratulationsという文字がボス部屋の中央に浮かんだが動けないでいた。

 手が触れたかと思うと上げっぱなしになっていた腕が下げられる。ふと触れられた方を見てみるとユウキの姿がある。

 「もう終わったよ、キリト」

 その一言でボスが倒された事が現実味を帯びる。

 あちこちから歓声が上がり、中にはこちらを讃える様なものもあった。その人混みの中からエギルが現れ

 「congratulations、この勝利はあんたのものだ」

 と称賛してくれた。アスナもフードを深く被っていて分かりにくいが口許が緩んでいる様に見える。

 

 そんな先勝ムードを切り裂く、1つの声が上がる。

 「何で、何でディアベルさんを見殺しにしたんだ!」

 困惑して何も言えない。

 「だってそうだろ!あいつは初めて見るはずのボスの攻撃を知っていた!それをディアベルさんに伝えてれば死なずに済んだんだ!」

 続けざまに別の人がキンキン声で叫ぶ。

 「俺、知ってる!こいつβテスターだ!ボスの攻撃も知ってて黙ってたんだ!」

 その一言で部屋中に不穏な空気が流れた。

 「こいつがβテスターなら攻略本と同じ事しか知らないはずだろ」

 エギルが反論するが、男は気にも止め無い。

 「鼠もグルだ!βテスターが本当の事を教えるなんてこと有るわけ無かったんだ!他にも居るんだろ!出てこいよ!」

 「おい、あんたなぁ」

 

 ディアベルが元βテスターでラストアタックボーナスをゲットしようとしたから死んだと説明するのは簡単だ。しかし、それではディアベルが望んだ結末にはならないだろう。出しっぱなしになっていたウィンドウに写されたアイテムを見つめ、あることを思い付く。

 もしかしたらもうギルドやパーティーに入れてもらえなくなるかもしれない。もしそうなったら生存率が一気に下がってしまうだろう。だけど俺がやるしかない。

 

 「ふはははは、ははははは」

 全員の視線がこちらを向いたのを感じる。怖がるな、堂々と胸を張りゆっくりと歩け。

 そうして最初に叫んだ奴の前までくる。

 こっちを睨み付てくるがここで怯んだら駄目だ。悟られないように大きくゆっくりと息を吸い、小馬鹿にしている様な表情を作る。

 「βテスター?あんな低レベルな奴らと一緒にしないで欲しいな」

 目の前の奴がポカンとした顔をした。ここで一気にたたみかける。

 「βテストの連中に何人ゲーマーがいたと思ってる?実際殆どはレベリングのやり方も知らない初心者ばっかりだったよ。お前らの方がまだましなくらいさ。そんな連中の中で俺は誰も到達したことの無い層まで登った。ボスの攻撃を知っていたのもそこで見たからだ。それ以外にも色々知ってるぜ、それこそ情報屋なんて比べ物にならないくらいな」

 「何だよ!そんなんβテスターじゃねぇチーターだ!」

 

 その一言を皮切りにどんどん罵声を浴びせられる。気にしたら敗けだ。不遜な表情を崩さないように聞いているとあるプレイヤーがβのチーター、つまりビーターだ!と叫んだのが聞こえた。

 「ビーターか、良いなその呼び名。」

 ここでラストアタックボーナスであるコートオブミッドナイトを羽織る。

 見るからにレアアイテムだと分かったのだろう周りが息を飲むのを感じる。

 「そうだ、俺はビーターだ。これからはたかがテスターごときと一緒にしないでくれ」

 なんとか笑い声をあげながら全員の前を通りすぎる。

 次の層に続く階段の前で振り返り、最後の煽りを入れる。

 「次の層の転移門は俺がアクティベートしておいてやる。初見のモンスターに殺される覚悟が有る奴だけついてこい」

 階段を昇り、次の層に続く扉を開けると正面にテラスが有り、草原が眼下に見えた。

 

 少しの間なら眺めていてもバチは当たらないだろう。ぼーっとしていると階段から足音が聞こえて来た。

 「うわぁ、きれいな景色だね」

 振り返って顔を見たらさっきの決意が揺らぐ気がして景色を眺めながら返事をする。

 「ついてくるなって言ったと思うんだけどな」

 「殺される覚悟が有るなら良いって言ってたよ」

 「…そうだったな」

 視界の端でユウキが隣で景色を眺め始めたのがわかった。

 

 「ねぇキリト、伝言が有るんだ」

 「誰からだ?」

 「キバオウさんがね、今回は助けてもろたけど、じぶんのやり方は認められん。わいはわいのやり方でクリアを目指す。ってさ」

 真似をしているのだろうが正直あんまり似ていなくて吹き出してしまう。

 「もう、何笑ってるのさ。後エギルさんが次のボス戦もよろしくなって」

 決意が鈍る前に動くべきだろう。

 「伝言ありがとな。じゃあそろそろ俺は行くよ」

 階段の方へ歩きだそうとした時、

 「待って!」

 「何だ?」

 呼び止められたことで少し胸が弾む。一緒に来てくれるんじゃないかと期待している自分に気が付いた。

 「最後にアスナから」

 そんな訳ないか…。どうせ一緒には行かないって断らなきゃいけないしな。

 そうわかっているにもかかわらず悲しい気持ちはなかなか収まらない。どうやらユウキと駆け回った1ヶ月が自分の思っていたよりも楽しかった様だ。

 

 

 

 

 「ユウキをしっかりと守りなよって」

 後ろを振り返るとこっちを見つめ、いたずらが成功した子供のように笑っているユウキと目が合った。

 

 「ボクも行くよ」

 「…っ駄目だ、ビーターだと思われるぞ」

 「実はね、本当はここで別れるつもりだったんだよ」

 その言葉に少し傷付く。

 「だったら何で…」

 「ああ、違うんだよ。キリトと一緒に居たのが嫌だったとかじゃなくて…ボクと一緒に居るといつか後悔するから。…ボクも、キリトも」

 そう言ってうつむいた顔はとても悲しげだった。

 「それは…「でもね」」

 どういう意味だと続けようとしたが遮られる。

 「始まりの街で一緒に来た人が死んじゃったとき、ボクを1人にしないでここまで連れてきてくれたのに…キリトが孤立しちゃう原因にボクが含まれてるから」

 「ユウキは何も悪くないだろ」

 「ボクはあの時キリトが情報を独占なんかしてないって主張出来た筈なんだ。攻略会議の時だって…。でも、怖くて出来なかった」

 「しょうがないさ」

 「しょうがなくなんて無いよ。キリトが必死に怖いのを隠してみんなの前であんな演技をしたのに、ボクは…」

 「演技じゃないさ。それに怖がってなんて…」

 「キリトの手、震えてたよ」

 「…!ばれてたか」

 「今度はボクがキリトを1人にしないよ」

 「無理について来なくても良いんだぞ。自慢じゃないがソロプレイには慣れてるんでね」

 「最初の日にやられかけてたじゃん」

 「そ、それは意図的にPKされかけたせいで…」

 「嫌な話だけどもう二度とされないなんて保障は無いんだよ。キリトがいつのまにか死んじゃってたら自分が許せないと思う。…それに、キリトと冒険したのはやっぱり楽しかったから。ボクが一緒に行きたいんだ」

 

 そこまで言われたらもう断れる訳が無かった。

 「ありがとな。…これからもよろしく」

 パーティー申請の画面を出すとユウキがにっこりと笑う。

 「こっちこそ!」

 自分のでない体力ゲージが視界の左上に表示された。

 これからもきっと楽しくなる予感がした。




 ユウキならこう動くかなぁってのを考えて書いてるんですけど皆さんのイメージと少しずれてるかもしれないです。
 これから段々とマザロザ編での性格に近づけて行こうと思っています。
 現状でのユウキはあまり人と仲良くならないように行動しつつも、死んでしまいそうな人や死んでも構わないと思っている人には積極的にかかわろうとします。
 一人では生存率が低いことはわかるのでキリトに対してはビーターの悪評が無くなるまでは一緒に行動をして、いつか別れて野良でパーティーを組んで攻略しようと思っています。
 思ったよりも長くなって区切ってよかったと感じる今日この頃。
 一区切りついたので意見や感想、評価などをいただけると幸いです。
 すいませんが来週は更新できないです。
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