男のロマン、それはロボット —<Infinite Dendrogram>—   作:クーボー

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第9話 エンカウント・カウントダウン

 □首都ヴァンデルヘイム中央広場 【盾戦士】ヤヨイ・ベルダーウッド

 

「降ったなあ」

 

 ひとしきり降った後は雲も晴れ、現在の空模様は晴天そのもの。あのまま降り続けてたらどうなってたことかと思ったりしたが、数時間くらいはアルマと話していたらあっという間だった。初めての経験である。

 

 その後足早に転職を済ませ、俺たちはまた中央広場に戻ってきていた。

 

「さて、それじゃあさっきまでの予定通りだ。<オルトウテナ平原>を通って<コレッタル森林>に直行、レベル上げを再開。今日中に25は目指そう」

 

「早急?」

 

「早急ってわけじゃないが、できるだけ早くしたい」

 

「ん」

 

 そう言うと、アルマは何も言わずに変形し——バイクのような姿になる。

 どうやら俺が歩くよりもこっちのようが速いから乗れ、と言いたいらしい。

 

「わかったわかった、よっと」

 

 金属で作られたシートにまたがる。バイクになんざ乗ったことないが、まあ、アルマが運転してくれるようだし身を任せていよう。

 

 周囲の<マスター>の視線を受けつつ、俺たちは<コレッタル森林>へと——うおおう、エンジンとかないのにはっやいなあ! 

 

『ふふん』

 

 /

 

 ヤヨイたちが、<コレッタル森林>へと向かっている最中。

 ソレは、己が使命を果たすため、ただただ延々と地上に向けて突き進んでいた。

 

 なれど、ソレには——【クロマドーラ】は、人型である以上に武装が存在しない。土を掘るのも、長きに渡って積み固まり、凝固した土を掘らなければならないため、作業は難航していた。

 

 ——《物質吸収(マテリアルアブソーブ)》、物質吸収量が一定量に到達

 ——吸収した物質を、武装に転化

 ——開始

 

【クロマドーラ】の腕を、なにか、茶色いものが覆っていく。

 それが周囲を囲む『土』であることに気づくものは誰もおらず……土を掘り返す速度が、段々と上昇していく。

 

『土』を吸収し、腕に掘り起こすための武装として転化しているのだ。

 

 ——化身反応、増大

 ——掘進速度を加速

 

 雨が晴れたことにより、<オルトウテナ平原>に訪れる<マスター>の……<エンブリオ>の数が増えていく。

 かつて文明を滅ぼした化け物たち、“化身”。その劣化反応が、大して優秀でもない【クロマドーラ】の感知レーダーにもはっきりと複数感知している。

 それは明らかに異常なことで、その化身の一体である“武装の化身”を葬るために生まれた【クロマドーラ】にとっても、機械の身でありながら如何ともしがたい感情が渦巻いていた。

 

 ——上昇、開始

 ——化身を滅ぼし、人々に安寧をもたらすために

 

 /

 

「いやおまえ万能すぎない……?」

 

『マスターから生まれたのだから当然。というか、マスターにも銃の才能があったから私もカタチがわかった』

 

 ブーメランですねえアッハッハ。いや逆説?

 どっちにしろ、俺、天才すぎ……? 

 

 まあそれはともかく、現在俺は<コレッタル森林>にて銃を使って狩りをしている。

 ジョブ的には盾を使うのが正しいんだろうが、銃が使えることがわかった以上使うわな。かっこいいもん。

 

「ちなみにどんなのにも変身できる?」

 

『大体はいける。でも、あんまり複雑なやつはマスターが学ぶことが必要』

 

 ってことは、リアルで設計図見ればいいのか。父さんの持ってるコレクションを、見せてもらうのもいいかもしれない。

 

 ん、発見。引き金を引いて数発弾丸を打ち込み——減ったMPを見て顔をしかめた。アルマの減った体積分を回復するために、俺のMPを使っているのだ。

 

「やっぱりMP消費が馬鹿にならないか。MPを上げられるジョブにも就かなきゃな」

 

『【銃士】?』

 

「ん、それもね」

 

 銃状態から長剣に戻し、脚に装着したローラーで【バグイーター】に急接近。

 相手が俺に気づく前に首を切り落とし、返す刀で蔦を切った。

 

「俺のAGIが低いから、これも大分効果的だな」

 

『体積の関係上、大剣じゃできないけど』

 

「……やっぱり色々と制約は多いか」

 

 そう美味い話はない、ってことだね。形態が上がればそれも解決できるかもしれないが、あと一週間もすれば進化するだろう。多分。

 

「さ、いっぱい狩るぞぅ! ……あ、【尿意】」

 

『台無し』

 

 ごめんなさい。

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