男のロマン、それはロボット —<Infinite Dendrogram>— 作:クーボー
□首都ヴァンデルヘイム中央広場 【盾戦士】ヤヨイ・ベルダーウッド
「降ったなあ」
ひとしきり降った後は雲も晴れ、現在の空模様は晴天そのもの。あのまま降り続けてたらどうなってたことかと思ったりしたが、数時間くらいはアルマと話していたらあっという間だった。初めての経験である。
その後足早に転職を済ませ、俺たちはまた中央広場に戻ってきていた。
「さて、それじゃあさっきまでの予定通りだ。<オルトウテナ平原>を通って<コレッタル森林>に直行、レベル上げを再開。今日中に25は目指そう」
「早急?」
「早急ってわけじゃないが、できるだけ早くしたい」
「ん」
そう言うと、アルマは何も言わずに変形し——バイクのような姿になる。
どうやら俺が歩くよりもこっちのようが速いから乗れ、と言いたいらしい。
「わかったわかった、よっと」
金属で作られたシートにまたがる。バイクになんざ乗ったことないが、まあ、アルマが運転してくれるようだし身を任せていよう。
周囲の<マスター>の視線を受けつつ、俺たちは<コレッタル森林>へと——うおおう、エンジンとかないのにはっやいなあ!
『ふふん』
/
ヤヨイたちが、<コレッタル森林>へと向かっている最中。
ソレは、己が使命を果たすため、ただただ延々と地上に向けて突き進んでいた。
なれど、ソレには——【クロマドーラ】は、人型である以上に武装が存在しない。土を掘るのも、長きに渡って積み固まり、凝固した土を掘らなければならないため、作業は難航していた。
——《
——吸収した物質を、武装に転化
——開始
【クロマドーラ】の腕を、なにか、茶色いものが覆っていく。
それが周囲を囲む『土』であることに気づくものは誰もおらず……土を掘り返す速度が、段々と上昇していく。
『土』を吸収し、腕に掘り起こすための武装として転化しているのだ。
——化身反応、増大
——掘進速度を加速
雨が晴れたことにより、<オルトウテナ平原>に訪れる<マスター>の……<エンブリオ>の数が増えていく。
かつて文明を滅ぼした化け物たち、“化身”。その劣化反応が、大して優秀でもない【クロマドーラ】の感知レーダーにもはっきりと複数感知している。
それは明らかに異常なことで、その化身の一体である“武装の化身”を葬るために生まれた【クロマドーラ】にとっても、機械の身でありながら如何ともしがたい感情が渦巻いていた。
——上昇、開始
——化身を滅ぼし、人々に安寧をもたらすために
/
「いやおまえ万能すぎない……?」
『マスターから生まれたのだから当然。というか、マスターにも銃の才能があったから私もカタチがわかった』
ブーメランですねえアッハッハ。いや逆説?
どっちにしろ、俺、天才すぎ……?
まあそれはともかく、現在俺は<コレッタル森林>にて銃を使って狩りをしている。
ジョブ的には盾を使うのが正しいんだろうが、銃が使えることがわかった以上使うわな。かっこいいもん。
「ちなみにどんなのにも変身できる?」
『大体はいける。でも、あんまり複雑なやつはマスターが学ぶことが必要』
ってことは、リアルで設計図見ればいいのか。父さんの持ってるコレクションを、見せてもらうのもいいかもしれない。
ん、発見。引き金を引いて数発弾丸を打ち込み——減ったMPを見て顔をしかめた。アルマの減った体積分を回復するために、俺のMPを使っているのだ。
「やっぱりMP消費が馬鹿にならないか。MPを上げられるジョブにも就かなきゃな」
『【銃士】?』
「ん、それもね」
銃状態から長剣に戻し、脚に装着したローラーで【バグイーター】に急接近。
相手が俺に気づく前に首を切り落とし、返す刀で蔦を切った。
「俺のAGIが低いから、これも大分効果的だな」
『体積の関係上、大剣じゃできないけど』
「……やっぱり色々と制約は多いか」
そう美味い話はない、ってことだね。形態が上がればそれも解決できるかもしれないが、あと一週間もすれば進化するだろう。多分。
「さ、いっぱい狩るぞぅ! ……あ、【尿意】」
『台無し』
ごめんなさい。