男のロマン、それはロボット —<Infinite Dendrogram>— 作:クーボー
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【禁忌王】ヴィクター・F・メルクリウス、【金工王】ヤヨイ・ベルダーウッド、【魅売】ラトラナジュの三人の超級職が作製した砂花の肉体——
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猿型<UBM>、【
その分、というか条件特化型だったエクト・ゴーの身体能力がそれほどでもなかったために、レベル0の現段階では一般人の数倍程度の力しか持っていない。
しかしメルクの《メイド・オブ・ヴァルキュリアル》のスキルによってジョブに就くことができるために、ステータス補正を除けば<マスター>とほぼ同格の存在になれるのだ。
そして俺が造った金属製の骨格。
様々な金属を合金とし、俺がそれに奥義で保護を施したことで、神話級金属には及ばないものの極めて近い硬度とそれに見合わぬ軽さを持つ謎金属の骨格と化している。
当然導電性も持つため、増幅させた電気を全身に容易く流動させることもできる。俺は能力を知らなかったけど、だからメルクは俺に頼んだんだな。骨操作の能力でも組み込むのかと思ってた。
まあそれはいいとして、だ。
ラトラナジュが何をしたかと言うと、ズバリ心臓代わりになる巨大な宝石の精製である。
メルクのスキルは、心臓などを含めて造形を完了すると自動的に魂が宿り、目覚めてしまうらしい。
だから心臓を宝石にすることで、造形を完了しても目覚めないようにした。だから猿王の魂が宿ることができたのだ。
それだけでなく、心臓を直に潰しに来る相手の意表を突けるし、エンチャントでさらに肉体の力を高められる。その代わりに砂花のアクセサリー欄が一つ潰れたけど、まあ必要な犠牲ってことで。
そしてそれを振るうのは、竜王相手で人間相手は鈍っているとはいえ高い技量を誇る砂花。それも今から修練すればいつか竜王と相争った技量を、人間相手に活かせるかもしれない。
現に今も、外の砂漠でビリビリやってる。
「……むぅ」
バリバリバリバリ、と明らかに人体が立ててはいけない音を雷とともに発生させる。もう電気とかそれ以上になんかヤベーやつなんだけど、視覚的には面白いから別にいっか。
ちなみになんでここでやってるのかと言うと、メルクのラボの中でやらかしたら爆発するからだ。なんでもニトロに起爆してボーンらしい……っていうかなんてもん置いてんだ。
「能力の調子はどう?」
「それなりに、慣れた。……だが、やはり、違和感がある」
ふむふむ。カキカキと手帳に書き込みながら、眼前でビリビリとやり続ける砂花を見やる。
本来この役割はカグラとかがやるはずなんだけど、今日は鍛錬でデンドロにはいない。もうちょっとでログインするらしいから、その時は砂花係をバトンタッチする予定だ。
「つってもジョブはな……カタログ見せるしかないけど」
俺みたいにロストジョブ見つけるのはほとんど無理だし。メルクもメルクで頭おかしいことしてジョブ取ってたから……カグラもカグラで神系だし、あれこれまともに参考になるのがラトラナジュしかいないぞ?
「……なるほど。ジョブ、というのは難しいのだな」
「まあ、最初のうちは下級職埋めてステータス上げることに専念しよう。肉体性能からして初っ端から<エンブリオ>の補正受けてるようなもんだしさ」
「ならばそうしよう。あとでその、カタログ、というものを見せてくれ」
「りょーかい」
お、カグラがログインしてきた。
「カグラー、俺ラトラナジュに呼ばれてるからこうたーい」
「いや、それが僕も、砂花も呼ばれてるみたい」
ってことは……全員集合? 珍しいな、ラトラナジュが全員呼ぶなんて。そういうのは大概俺やメルクがやってるし……ん、ってことはもしや。
「悪巧み、かな?」
俺らが必死こいて神話級を相手にしている間にやっていたという悪巧み。
さてさてさーて、ラトラナジュ……君のオシゴトの本領、見させてもらおうか。
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とは、言ったものの。
「へぇ……オアシスの利権を取ったのか。中々良い仕事するじゃあないか」
「この広さ……所有してる山を思い出すね……」
「あっ、そういえばこの二人リアルお金持ちだったわ」
どうやら思っていた反応と違うらしく、少し落ち込むラトラナジュ。いや、これでも結構感心してるし驚いてるんだよ。
「……ここは」
そして、かつてここを根城にしていたという砂猿種の王——の魂を持つ砂花は、見覚えがあるのだろう風景に目を見開き、両手とついでに尻尾をわなわなと震えさせていた。
「モンスターの巣だったから、水が汚染されていたのも考えていたんだけど……そんなこと全然なくてね、助かったわ」
「……当たり前だ。水は乾燥地帯に棲まうボクらにとっても弱点……数百年前にまだただのモンスターだった頃のボクが見つけ、住処にすると同時に配下にも水は汚すなと叩き込んでおいた。糞尿も水から離れた場所で処理していたし……これで綺麗でなくばどうなる」
やっぱ<UBM>ってのはなる前から頭が良いんだな……それが巡り巡って俺たちの得になるってのはだいぶ皮肉だけど。
「まあ、さすがに他の汚れはどうにもならないから、今はそういうのを仕事にしてる方たちを雇って掃除してもらってるわ。結構、というかかなり広いしね」
「……このオアシス、かなり悪用できるな」
地理的にも、ドラグノマドはアテにならないが、コルタナとも遠すぎず近すぎずで地理的にも良い。コルタナで溢れ出た商人らにテナントを貸し出したり、色々とできるだろう。
あとは黄河帝国とかから来た商人の一時的な露店……あるいは<マスター>の休憩場所とか。
「けど、それも権利証取られちゃ世話ないが……」
「もちろん、盗難対策を施したアイテムボックスを数十個用意してその中にカモフラージュをかけた上でしまってるわ。どことは言えないけど、取られる可能性は限りなく低いから安心してちょうだい」
なら取られやしないか。上々。
……ただ怖いのが、メルク曰くカルディナの<超級>は双王が目覚めることを知っていたらしいのだ。
そんなことを知ることができるのは、このカルディナの議長……“未来視”の異名を持つラ・プラス・ファンタズマだけ。そして、それを予見していながらなぜこのオアシスの利権を取ることを許したか、だ。
コトが起こる前にさっさと買い取ってしまったり、国の力で国営化してしまえばいい。なのに何故、ラトラナジュにそれを許したのか。
それはラトラナジュも懸念だったらしく、この状況が想定されていないはずがないと言う。
「お爺様方から聞いたんだけれど、その議長、本当に化け物らしくてね。メルクの力で圧力をかけてもらったとはいえ、それでもそれで止まるような女なのかしら」
「ラトラナジュは止まるか?」
「うーん……限界ギリギリまで考えるけど、動くと思うわ。すでにカルディナは大国の中で随一の<超級>を確保してる、モロに広域制圧型でカルディナの<超級>と相性が悪いメルクを一人敵に回しても、こんな土地を手放す理由はないはずよ」
ま、そりゃそうか。多分俺も同じ立場だったら同じことをするだろう。
……だからこそ、例の議長の動向が読めないのだが。まさか名前だけ継いだ次代ってわけでもあるまいし……あるいはラトラナジュ以上の政治的権力を持つ大物が複数、動こうとした議長を抑えたのかもしれないけど。
ほら、例のお爺様方……とか?
「それはともかく、今は素直にここが手に入ったことを喜ぼうよ。大丈夫、もしなんかやられたらホムンクルスで議会爆破するから」
あぁ……コイツそういえば
「……それもそうね。それじゃあヤヨイ君、カグラ君、砂花君、それにメルク。ちゃっちゃと決めちゃうわよ」
「何を……って、確かに」
そりゃあここをホームタウン化するならそうするわな。セーブポイントはないけども……まあセーブポイントが管理AIによるものなら、ここが発展すればいずれ付けられるかもしれないけどね。
「家の形とか、大きさとか……お金ならたんまりあるわ、色目を付けずに作っちゃうわよ」
「あ、なら僕和式がいいなー」
「なら俺洋式で」
「……マスターが言うなら洋式」
「僕も洋式でー」
「なんでも構わない。寝られればな」
「私は洋式……あー」
カグラ……。
「……僕妥協しないよ?」
「ならば戦争だ」
——結局、和式と洋式を組み合わせた和洋折衷の家に決まった。
建築家のティアンと<マスター>が超特急で作るらしい……手抜き工事とかされたら思わず
うごご……少しモチベーションが……。
感想、あるいは評価が来ればめちゃくちゃ湧くんだけどな(チラッチラッ)
……というか突然来なくなったから何かしたのか不安になりました。お気に入りとかは剥がれてないけど、遠慮しなくていいのよ……?