男のロマン、それはロボット —<Infinite Dendrogram>—   作:クーボー

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第11話 出航準備(全員行くとは言ってない)

 □【鉄人王(キング・オブ・アイアン)】ヤヨイ・ベルダーウッド

 

 カルディナを出るとなれば、それこそ面倒な手続きと準備が必要になる。そこら辺はメルクとラトラナジュの担当だから任せるとして、俺は俺で資材の買い込みの仕事がある。

 そういえば、やっと【ブラック・デンドロン】も蘇った。従ってステータス補正も戻ってきたんだけど……。

 

「おお【ブラック・デンドロン】……やはり素晴らしいねこのカタチは……」

 

 なんか俺以上にメルクが撫で回してて気持ち悪いです。

 いやお前交渉だろうがよ……なんで嬉々として整備してんだよ。

 

「別に出国届けだから僕じゃなくてもいいし。せっかくだからグレイ付けてラトラナジュ単独で交渉してもらうことにしたんだー」

 

「グレイ……あー、確か長男だったっけ」

 

 グレイ・オッドソンジュ。メルクが有する埒外戦力その一。

 なんでも超兵器と<UBM>由来の身体能力を組み込んだ(特殊能力はリソース不足で無理だったらしい)<超級>に匹敵するホムンクルスらしいんだけど……見たことないんだよね、俺。

 

「グレイ暇さえあれば寝てるか訓練用のホムンクルスぶん殴ってるからねー、というか立入禁止区域に部屋があるから出会わないのも無理ないと思うよー」

 

「うーん、コミュ障かな?」

 

「ガラは悪いね」

 

 マジで? 少し煽ってみようかな、クソ面白そう。

 

「ま、それはともかく……どんな感じ? 特典武具だから不備はないと思うけど」

 

「うん、<叡智の三角>(みんな)の施した武装は……セットされてたグレネードとかは除いて全部無事だ。特典素材みたいな感じなのかな、ただ少し手足の噛み合わせが甘いね……僕がなんだかんだ調整したけど、やっぱり最初の調整に左右されちゃうみたい」

 

 みんなの仕事わりと雑だからねー、と苦笑い。どうも<叡智の三角>、発想力と応用力と技術力に優れてても、基礎的な面だと経験値の差で詰めが甘いみたいだな。

 こういう時そういう粗が補える技術者がいるといいんだけど……そういうのはドライフの政変の時に外部に流出したらしいし、まあ詰めてくしかないか。

 

「っていうかさ、前々から思ってたんだけどなんでカルディナでドライフ軍にしかないはずの<マジンギア>の部品が売ってるんですかねえ……」

 

「カルディナだし……どうせあくどい手段で輸入したんでしょ。まあそれで今僕らが助かってるわけだから見ないふり見ないふりー、ってね……はい完了、これで0.1mの隙間をぶち抜いてくるような相手でもいない限り大丈夫でしょ」

 

 そう言われるとぶち抜いてきそうな相手がいそうで怖いわー……いやまあ実戦ではアルマで全身を覆う以上、その心配はないんだけども。

 

 まあそれはいいとして……うーん。

 

「……やっぱりなんか物足りないよな」

 

「だよねぇ……」

 

 具体的にはスーパーロボットに付き物なセンサーとかがない。便利機能は色々あるけど、俺とアルマの目を介してしか敵を発見できないってのは微妙な感じ。

 

 俺の目に関するスキル……《鑑定眼》、《看破》、《暗視》、《遠視》、《透視》は全て、【鉄人王】の奥義によってレベル10に達している。それに人間には不可能な視界を持つアルマのおかげで、俺が騎乗するロボットは基本的に敵を見逃すことはない。

 

 ただ、一つ思うのだ。それって俺のスキルが凄いだけで、機体そのものに意味なくない? と。

 それに俺にも『そもそも見えないもの』はどうしようもないし。センスの危険感知で少しは対応できるとはいえ、さすがに<UBM>レベルには通用しないだろう。

 

 だから俺は今、自発的に特典武具を欲している。

 物欲センサー……死に晒せぇ! 

 

「そういうのを獲得できるのって、虫とか蛇とか?」

 

「まあ多分そこら辺かー」

 

 わりとデンドロってなんでもアリだから、変なモンスターがそういうの持ってても驚かないけど。

 

「ま、特典武具ってそんなにポンポン手に入るもんじゃな、」

 

 そう言った瞬間、メルクの顔が不自然に歪む。なんていうか、このタイミングぅー? みたいな。

 

「どったの」

 

「……レベリングと試運転も兼ねて、空に数千くらいの量産型ホムンクルスを解放してたんだけど」

 

 ……嫌な予感。っていうかそもそもそんな大勢解放するなよ、カラスかよ。

 

「……今、多分怪鳥種の<UBM>を、ヤっちゃったらしい」

 

「……」

 

 ……説得力なーい! 

 

 目の前に取り出された、怪鳥種の完全遺骸。

 それを無情を思うような目つきで見るメルクの顔は、何故かとても印象に残った。

 

 

 /

 

 

 と、まあそんな感じで、俺たちはグランバロアに行く準備を進めた。

 ただ、ちょっと想定外のことがあって……。

 

「……行かない?」

 

「と、言うより……行けない」

 

 少し申し訳なさそうにした砂花が、自分はカルディナに残ると主張したのだ。当然譲る気はないようで、しっかりとこちらを見据えてくる。

 ……しゃあないなあ。

 ちょっと困ってるカグラに目寄せ。意図を察したカグラとお互いに苦笑して、砂花の頭を撫でた。

 

「朝、毎日どっか行ってるけど……もしかしてそれ絡み?」

 

「……」

 

 ぺこり。

 薄々察していたりする。超級職が取れないから消極的になってたはずの【曲芸師】を取ったり、毎日どこかへ出かけていたり。多分、まぁ……そうなんだろう。

 

 俺にとって師匠ってのは、この世界ではいなかった。カグラにとっても師匠は馴染みのないものだ、カグラの才覚が異常で、かつ完成されていたから。

 だから、師匠、あるいは先生がいる感覚はわからない。でも、わからずとも心情の理解はできる。

 

「……仕方ない。砂花も身体能力で言えばそれなりだし、能力も含めれば問題ないだろ」

 

「そうだね。少し心配だけど……まあ、僕なら危険かどうかわかるから大丈夫か」

 

「……ならば」

 

 うん、まあ、少し残念だけども。

 

「メルク、スケジュール変更。グランバロア行った後、カルディナに一旦戻るぞ」

 

「OK、クランマスター」

 

 気取った返事。少しムカついたけど、かっこいいから良し。

 ……ああ、そういえばクランネームか。

 

「そういえば、クランネーム作ってきたけど……聞く?」

 

「「「聞く!」」」

 

 お、おう、アルマも凄い勢いで……わかったから待て待て。

 

「今日からこのクランの名前は——《MEX-F(メクシフ)》だ」

 

 作り直しは効かんぞ、だってクッソ面倒だったんだからな! 

 

「……いいじゃない」

 

「うん、いいと思う」

 

「ん!」

 

「わからんがいいのではないだろうか」

 

 ……よし、好感触だな。

 あとはラトラナジュだけど……今は忙しそうだし、後にしておこう!




名前の由来は……うん、こじつけ。

猿のラテン語の頭文字のM
竜殺しの異名持ってる戦闘機の「スーパーフォートレス」をEXFに解釈
そのあとメルクのフランケンシュタインのfと被せてメクシフ。

ラトラナジュもどっかでMが頭文字の宝石って意味の言葉か神か見たからそれで(途中で疲れて思考停止した)
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