男のロマン、それはロボット —<Infinite Dendrogram>— 作:クーボー
□【
……アイテムボックス良し。
……装備良し。
……【ブラック・デンドロン】良し。
「マスター、そっちの確認は?」
「ああ、大丈夫だ。そっちは?」
「ん、問題ない。全部きちんとある」
アルマには金属類の管理をお願いしていた。本人の気質とか、能力とか、そこら辺の好みから、俺が持つ金属が盗まれていたりしないかと何度も確認している。
かくいう俺も、なんだかんだ言って何度も確認作業してるんだけどね。
「忘れたら取りに帰るの面倒だからなー……リアルだと忘れ物とか縁がなかったけど、こっちでしないとも限らないし」
俺も今じゃ、リアルには遠く及ばないものの小金持ちと言っていい部類である。だからこそ警戒は怠らない、それに忘れ物以外にも、この世界はスリが怖い。いくら盗難対策を施していても盗られる時は取られるのだ。
「グランバロアには、金属はない。だから、持っていく?」
「そういうことだ」
あっちに行ったら狩りを入念に行おう。っていうか【金工王】の方がいつのまにかレベル高いし……せめてレベルが極端に上がりづらくなる500まではどっちも上げておきたい。
そこまで育てれば必殺スキルのMP消費を鑑みても、上空からの一斉掃射で敵を殲滅できるだろう。レベル上げの効率も少しは上がる……と、いいなあ……。
「あとはあっちで、もしかしたら回収した船をコーティングするかもしれないってさ。だから金属は多めにな」
「ん」
まあ、大破して沈んでるらしいから、骨組み回収したらまるごと置換する必要があるだろうけど。そこら辺はマイさんとメルクが調整するとして、だ。
「……というか、グランバロア、どうやって行くの?」
「マイさんの組んだ木製の船」
……おい待てそんな目で見るんじゃない。きちんと説明するから。
「もちろんただの船じゃない。改変兵器とかを存分に利用した、極めて浮力が高い木でできてる。それにホムンクルスの推進力も追加されるから、わりと早く着くと思うぞ」
移動式セーブポイントも組み込んである(どうやらラボに取り付けられていたのを外したらしい)ので、ログインしたら海にドボンって事態も起きない。
ちなみにオアシスの家にも組み込んであるのだが、そっちはラトラナジュ所有だ。商売の一環で手に入れたらしい。
「ん、疑問解消」
「そりゃ良かった」
アルマってわりとズボラだから少し心配だったんだけど、その様子なら心配なさそうだな。
……俺から生まれたアルマがズボラってことは、もしかしたら俺もズボラなのかもしれないと今気付いたが、とりあえず考えないようにした。
/
「本当なら、もう少しで屋敷が完成するんだけど……まあ、それは後のお楽しみってやつかしら」
少し残念そうにしたラトラナジュの言葉に、頭を下げる。
「悪かった。本当ならそれを済ませてから行くはずなのに」
「いえ、別にいいのよ。わりとヤヨイ君とメルクって行き当たりばったりだし、このまま披露したところでそこまで良い反応は期待できなさそうだし。どうせなら遠征の帰りにバーっと披露するわ」
耳が痛え……。
そのまま平謝りしつつ、詳しい予定を練る。どうせなら、ということで業者に追加で資金を出し、最高の結果を出すように求めたり、とりあえず砂花はドラグノマドに予定があるらしいのでそれ用の部屋を借りるなど、色々と忙しかった。
そうして詳しい予定を煮詰めて行って——俺たちのグランバロアからアルター経由でカルディナ、カルディナからレジェンダリアの道行きの予定は、こんな感じになった。
まず、アルターまで直行便で数日。砂漠地帯はメルクのホムンクルスで速攻で突っ切る。同時進行でメルクのホムンクルスが王城に行き、上空通過の許可を取る。
そのあとは各自購入した天竜種に乗る(それに必要な《騎乗》スキルはちょうどいいアクセサリーを全員が入手。カグラも大道芸で上と繋がりができたようで、その縁で購入した。俺は空飛ぶけども)。襲ってきたモンスター及び<マスター>は撃墜する。必要時間数日でアルター王国を通過して海上へ。
本当ならアルターにも行きたかったんだけど、それは後回しにした。
そのあとはマイさんが生やした木で造った船に乗り、ホムンクルスによる人力で海上を直行。襲ってきたモンスターは上空から俺が、海上からメルクが殲滅。
その勢いのままグランバロアを構成する大艦隊の一つに入国、沈没した船を俺やメルクが引き上げる。
あとはアルターで数日休んでカルディナに帰還。「数日休んで」の部分は実はまったく考えていないので、その場のノリとテンションでなくなったり長くなったりする。
んで、そのあとはカルディナで砂花を拾いつつレジェンダリアへ。船を改修して完成。
……めちゃくちゃ詰めまくったが実行可能な程度だ。少しもったいないと思わなくもないが、まあ、それは飛行船手に入れてからでいいだろう。
「そういえば、もしも事故で誰か死んだらどうするの?」
「そうならないように俺が空飛んで護衛するんだ。ホムンクルスもいるし、なんとかなるさ」
最近はカグラも家族を言いくるめてゲームする時間を充分以上に確保してるし、多分大丈夫。
煮詰めた予定を紙に書き写し、暗記して複写して全員に飛ばす。メルクもカグラも用意できているようだから、すぐにでも出発できるはずだ。
そう思いつつ、視界に表示された【尿意】のアナウンスにそこまで熱中してたかと苦笑して、俺はデンドロからログアウトした。
——数時間後。
「さ、行こうか……グランバロア」
「だな。みんな、準備はOK?」
「いけるよー」
「OK」
よし。
それじゃあ出発……まずは砂漠を突っ切るぞ!
そう号令をかけて、ドラグノマドを出て砂漠を征く。
——グランバロアに、見果てぬ世界の夢を賭けて。
ここで一旦この章は切ります。
いえ、区切りがいいってのもあるんですが、多分次の章が想定通りだと30話超えるんですよね。
それと、ライブ感で書いてた弊害で基礎プロットが爆散しました。元々グランバロアとかレジェンダリア行く予定なかったんだよオラァン!
(実はこの章とスリッドテンタクルとか、もっと言うとメルクとラトラナジュの存在とか最初期はホント考えてなかったです)
……というわけでして、グランバロアとレジェンダリアの捏造設定他諸々をこの機会に整理しようと思ってます。
なので少し更新が空くかもしれません。その時はご了承のほどよろしくお願いいたします。