男のロマン、それはロボット —<Infinite Dendrogram>—   作:クーボー

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第3話 決闘について

 □【鉄人王(キング・オブ・アイアン)】ヤヨイ・ベルダーウッド

 

 グランバロアの決闘は、他の国と異なる点が二つある。

 それは、先に述べた通り、外に出れば元通りになる決闘用の《結界》が存在しないこと。つまり死んだら死ぬ。言葉としておかしいかもしれないが、他の決闘が「死んでも死なない」ので、こうとしか表現できないだろう。

 

 次に、死んだら死ぬために普通の決闘は採用されず……グランバロアの決闘は、船に乗って戦うものであること。なので他の国とは違い、ランキングの対象となる船長以外にも船員を用意する必要がある。

 

 他にも殺害禁止とかのルールはあるけど、大まかに言えばそこらへんが他の決闘との違いだ。あとは勝利条件が敵の船の破壊だったり、内部にあるフラッグの強奪だったりする。

 

 で、このグランバロア式の決闘を知ったプレイヤーは思った。

 ——これ、ぼっちじゃ無理じゃね? と。

 

 だってそうだろう。船員が必要なんだから、もしもソロプレイヤーが船長として出たくても、ティアンの人は有限なんだ。船員が足りなくて決闘に出れない……なんて、そんなのあまりにも、MMOとして不適切だ。

 だから一定の……裏方作業が好きだったりするプレイヤーと、決闘がしたくて船員向きだけど船長を務められるプレイヤーがいない団体と、船員がいない船長であるプレイヤーが手を組んで、一つの組合を作り上げた。

 

 それが、クラン《臨時船員貸出組合》。通称「船員ギルド」。

 多種多様な<エンブリオ>と、サポートメンバーとして存在する大量のティアンを抱え込んだ、グランバロアでも屈指のサポートクランである。

 

 

 /

 

 

「んで、ここが船員ギルドの拠点ってわけね」

 

 わいわいがやがやと賑わう、決闘場の近辺に存在する大衆酒場。ここが船員ギルドの拠点らしい……なんで正式な家とか借りないのかって言うと、人数が多過ぎて幹部格だけでもホームが足りないのと、あと純粋にクランマスターの趣味らしい。ドラ◯エかよ。

 

「おじゃましまーっす」

 

「ん」

 

 酒場の扉を開けて中に入る。……おおう、酒精の匂い。これ未成年者どうなんの? 

 内部はまあ、一般的な酒場だ。ただ中にいる面々がお見合いみたいに船員を募集してる……へぇ、海流操作の<エンブリオ>とかもあんのか。面白そう。

 

「らっしゃーい」

 

「よろっす。とりあえずなんかお酒ちょうだい」

 

「おいおい、早速か。ま、いいけどよ」

 

 ふふふ、金ならたんまりとある……カウンターに座ると、目の前に定番の盃が出てくる。アルマは飲めないので適当にミルクを頼み、俺は取っ手を掴んで一気に飲み干した。お、結構美味いな。

 

「おうおう、いい飲みっぷりだね」

 

「あんがと。んで、あんたがクランマスター?」

 

「うんにゃ、俺はただの幹部さ。クラマスは二階で書類仕事」

 

「なるほど。もう一杯、今度はお高いやつを」

 

「はいよ」

 

 ごくごくごく。うーん、美味いけど酒精が物足りない!! 

 

「なんかスピリタスとかなーい?」

 

「見た目綺麗なのにずいぶんな飲兵衛だな」

 

「はっは、褒めるな褒めるな。なんか酒のつまみー」

 

 いやー、やはりこういう店はいいね。リアルだと許されないからついつい気分上がっちゃう。

 

「マスター、私も何か食べたい」

 

「んー……なんかお菓子とかあるかな」

 

「ウィスキー入りチョコとかならあるぞ」

 

 へぇ、この店そういうのも置いてんだ。

 

「ならそれで」

 

 なお一個食べて大層気に入ったようで、軽い酒精のお酒にまで手を出し始めた。あんま強い酒精じゃなけりゃ大丈夫なのかな? 昔【レッドミロ】を食べてぶっ倒れた時を思い出す。

 まあそんなわけで、一時間くらい酒を飲んだりつまみを食べたりして、雰囲気に馴染むように努めた。俺とて意味もなく酒飲んだりしないのだ。

 

 と、また新たに酒を頼むと、隣に大柄な男が並んだ。

 

「さっきから見てたけど、よく飲むなぁあんた」

 

「ま、それなりには。そっちは?」

 

 そう訊くと、男はマスターに酒を頼んだ。しかもかなり酒精が強いやつを。

 

「俺も、それなりにはな」

 

「なるほど。……ちなみに今、船員募集してるんだけど」

 

 そう言うと、彼は、軽く笑った。

 

「呑み勝負で俺に勝てたら、考えてやるよ」

 

「OK。で、そっちのお仲間さんは?」

 

「おいおい、俺らまで相手取るつもりか? そりゃ無謀ってもんじゃねえのか、にいちゃんよ」

 

 彼の仲間である男たちは、そう言ってニヤニヤと笑う。俺はそれを横目に、ぐびりと酒を呑み込んだ。

 

「悪いけど」

 

 首元を緩める。久方ぶりに、本気を出すか。

 

「その言葉、そんまま返させてもらうぞ。俺、底なしだから——勝てるだなんて思うなよ」

 

 ルールは単純、相手を潰した方が勝ち。

 

 いざ、尋常に——勝負!! 

 

 

「……またマスターがアホなこと始めた」

 

 

 /

 

 

 使い酒は酒精が90近い化け物として、まず最初に名乗り出たのは、下っ端と思わしき男。

 

「へへっ、後悔すんなよぉ!」

 

 と、随分強気だった。その自信通り、二杯目までは互角だ。しかし三杯に行く頃には意識が朦朧とし、四に行ったら潰れた。

 

「やるじゃねえか。次は俺だァ!」

 

 次に出た大柄な男は、二杯でダウン。

 ついでにこの辺りで小瓶くらいの酒を頼み、俺だけ酒精を濃くしている。

 

「そろそろ酔いが回ってきたんじゃねえか? 無理すんなよ〜?」

 

 そう嘲るように言われたので、とりあえず潰した。

 次に相手も潰した。

 

 ——あと同じような感じだっったので以下ダイジェストォ!! 

 

「やるじゃねえかぐえー」

 

「いいね好きだぜごえー」

 

「こいつウワバミぐべぇー」

 

 世紀末モヒカンかな? 

 

 

 /

 

 

「勝利……!」

 

「わー」

 

 アルマの心無い歓声が響く。

 まさにこの場は死屍累々、俺に負けた奴らが気絶して床を舐めている。みんな泡吹いてまるで死んでいるようで、その中に立つ俺の姿を見た酒場の客たちは、皆ドン引きしていた……。

 

 

 …………いや俺ただ船員探しにきただけなんだけどなんでこうなってんの?? 

 

「マスター、アホ」

 

 うるせぇやい。




ヤヨイ「俺に呑む勝負で勝つなど百年早い……具体的に言えばあと十人くらい連れて来いやァ!」
リアルだと健康志向なので(健康志向はスピ◯タス原液飲まないというツッコミは置いといて)発揮する機会のない技能でしたが、デンドロにおいては最強。
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