男のロマン、それはロボット —<Infinite Dendrogram>—   作:クーボー

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第25話 くりあー!

 □<海焦活火山> 【鉄人王(キング・オブ・アイアン)】ヤヨイ・ベルダーウッド

 

 仕方ない……仕方ないなぁ……!

 

「この際無傷で倒すっつうプライドは捨ててやる……!」

 

 どうせレジェンダリアにもいるだろ、高位回復魔法使えるやつ。要は部位欠損しなきゃどうとでもなるんだ、身体の一部が焦げたって治せるんだからやってやるよ!!

 

「あいつが潜ってる時間の平均(average)は30秒」

 

 俺とて無為に逃げ回ってたわけじゃない、あいつを確実に仕留める方法をずっと考えていた。

 

「あいつを瀕死にするのはダメだ、その場合多分逃げる」

 

 かと言って消極的(passive)だとあいつが落ち着いて逃げる。この火山はあいつのホームグラウンド、じわじわと攻めても何度だって仕切り返される。

 だから俺がすべきなのは、積極的(active)に攻撃してあいつの怒りを煽り、そしてあいつが隙を晒した一瞬に逃す間もなく叩き潰すこと。

 

 勝機は見えた。さりとて明るいわけでもないが、それでも掴み取ってみせる。

 

「俺が逃げねえぞ……!!」

 

 思い出すのはかつての記憶。

 俺はもう逃げないと誓った。ならばこそ、ここでこいつを殺すのみ!

 

「OK、汝栄光を望むのならば(Si vis honor, )——」

 

「——戦いに備えよ(para bellum)!!」

 

 さあ、全力で叩き潰そうかァ!!

 

いつか(双王劇)の再演だ——ありったけを持ってきやがれ」

 

『ん』

 

 全圧縮したアルマを全て左腕に集中させる。巨大な鉄腕を作り上げて——そう、警戒しろ。この腕を見ろ、お前を殺し得る巨人の腕だ。

 

 あいつは今、口の中に叩き込まれた神話級金属のせいで熱線が吐けない。よしんば吐けても拡散して大変なことになる。

 だからアルマをどうにかするには、あいつが直接突っ込んでくるしかない。まあここに来て新手札とか見せられたら別だが——っておいおい。

 

「マジでやるやつがあるか、馬鹿野郎」

 

 天井から顔を出して、口に含んだマグマをぺっぺとこちらに発射してくる。正直嫌がらせにしかなってないが、必殺スキルを使いながら圧縮している関係上以上今もゴリゴリとMPが削られているわけで、地味に有効な行動である。

 っつか《キングス・ウェイト》がクソ燃費なんだよな……あれ、文面からして圧縮したら据え置きなのかと思いきや、定期的にMPが差っ引かれる。第二スキルに貯蓄したMPを使うこともできないので、ちょっと正直ガチでMPが厳しい。

 

 一応生産系超級職なので、これでもMPが数万はある。それでも厳しいのだから、正直神話級特典武具なのに妙に性能が低い。もしかしてこれ第二スキルに全ツッパされてんじゃ……いや今はよそう。

 

 とりあえずアイテムボックスから取り出してポーションを飲む。くそ、腹がタプタプだ。どっかに《大食い》みたいなスキルあったらいいんだけどな……。

 ……ん? ならそもそも俺が作ってしまえば——

 

「っと」

 

 痺れを切らしたのか、ついにルマ・ゴーレが飛び出す姿勢を取る。狙いは——アルマ!

 

「ハ、戦闘経験少なくて助かったよ……!」

 

 さて、それじゃあ——分離(・・)だ。

 

 俺の腕から、アルマが離れていく。俺のMPの低下が止まったことから完全にアルマのリンクが切れた——俺の掌に残したごく一部のアルマを除いて。

 だがそれはやつには見えない。あいつからすれば、突然武器を手放したように見えたろう。だから硬直してしまい、それでも飛び出す寸前だったから止まれない!

 

「さあ、再接続だ!!」

 

『ん!』

 

 そしてその瞬間に、掌のアルマの体積を一瞬で回復させて切り離したアルマに接続、《クラッキング・オブ・メタル》で支配下におく。それが消えてしまうまで、一瞬だけだがアルマは本来の体積を逸脱した質量を得る!

 

 焦りながら突っ込んでくるルマ・ゴーレ、その勢いに合わせて、俺はアルマを展開する。

 

「アイアンメイデン——パチモンだがよ、楽しんでいけ」

 

 奴はそこまで大きくない。だから今のアルマで包んでしまえば、身動きなんて取れやしない。

 そして残りのアルマをドリル状に整えて——これで、終わりだ!

 

 ドリルを回転させて、無理矢理に開かせたルマ・ゴーレの口の中に叩き込む。肉と鉄が焼ける嫌な音が鼻腔を叩き、ルマ・ゴーレの絶叫が鼓膜を震わせる。俺はそれを涼しい顔で受け止めて——そして。

 

「《天属性付与》——骨の髄まで痺れやがれ!!」

 

 残りのMPの全てを雷に変換。あらゆる生命にとって致命打になり得る雷撃を、口の中から脳髄と心臓へと叩き込む。これで死ななかったら詰みだが——

 

 俺の懸念をよそにして、ルマ・ゴーレの、その全身から力が抜けた。

 

「……勝った」

 

 はぁ〜……めんどくさい相手だった……。

 

 

【<UBM>【溶蛇竜 ルマ・ゴーレ】が討伐されました】

【MVPを選出します】

【【ヤヨイ・ベルダーウッド】がMVPに選出されました】

【【ヤヨイ・ベルダーウッド】にMVP特典【溶蛇眼膜 ルマ・ゴーレ】を贈与します】

 

 

「……あ? 目?」

 

 てっきりマグマでも発射するもんかと……ああ、俺じゃマグマ造れないからゴミになるか。

 まあとりあえず出してみてっと……お?

 

 

【溶蛇眼膜 ルマ・ゴーレ】

逸話級特典武具(エピソードアームズ)

 溶岩を纏う蛇竜の概念を具現化した逸品。

 使用者と武器に高い熱への耐性と、熱を感知する力を与える。

※譲渡売却不可アイテム・装備レベル制限なし

 

 ・装備補正

 MP+[使用者の合計レベル]×5

 

 ・装備スキル

《熱源感知眼》

《耐熱装甲》

 

 

 ……これ、まさか。

 

 アイテムボックスから取り出す。これ……コンタクトか。リアルでは付けたことなかったけど、まさかゲームで付けることになるとは。

 

 ん、と……両目とも着けるがほとんど違和感はない。装備枠はアクセサリー、アルマで潰れてるから仕方ないんだろうけど……。

 

 いや重要なのはそれじゃない。

 重要なのは、これを装備した者に『熱を感知する目』を与えるということで——

 

「……これ、念願のアタッチメントでは?」

 

 これを【ブラック・デンドロン】に取り付ければ……………。

 

 

「いよっしゃああああああああああああああ!!!」

 

 

 手に入れた!

 ありがとう呪い!

 

 ただそれだけしか浮かばずに……時間が経ってラトラナジュが呼びにくるまで、俺はずっと、歓喜に打ち震えていたのだった。




ようやくセンサーをゲットしました。
ちなみに装備としてはカラコンみたいな感じで、着けてるとヤヨイの目に赤い光彩が追加されます。

ちなみに《耐熱装甲》は、それだけに特化しているので結構効果は高いです。アルマは圧縮するにつれて熱変動耐性が上がり、こっちは一切変化しませんが、元々の耐性に+されるので、圧縮具合にもよりますが《恒星》くらいなら結構耐えます。
なお《超新星》は現時点だと普通に蒸発する模様。

それとアルマは熱変動耐性ですが、こっちは「加熱への」耐性なので冷やされると無意味です。

コンタクトの時は探知はそれほど広くないしMP補正もわりとカスなので、これくらいはいいかなと思いました。
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