男のロマン、それはロボット —<Infinite Dendrogram>— 作:クーボー
□<海焦活火山> 【
仕方ない……仕方ないなぁ……!
「この際無傷で倒すっつうプライドは捨ててやる……!」
どうせレジェンダリアにもいるだろ、高位回復魔法使えるやつ。要は部位欠損しなきゃどうとでもなるんだ、身体の一部が焦げたって治せるんだからやってやるよ!!
「あいつが潜ってる時間の
俺とて無為に逃げ回ってたわけじゃない、あいつを確実に仕留める方法をずっと考えていた。
「あいつを瀕死にするのはダメだ、その場合多分逃げる」
かと言って
だから俺がすべきなのは、
勝機は見えた。さりとて明るいわけでもないが、それでも掴み取ってみせる。
「俺が逃げねえぞ……!!」
思い出すのはかつての記憶。
俺はもう逃げないと誓った。ならばこそ、ここでこいつを殺すのみ!
「OK、
「——
さあ、全力で叩き潰そうかァ!!
「
『ん』
全圧縮したアルマを全て左腕に集中させる。巨大な鉄腕を作り上げて——そう、警戒しろ。この腕を見ろ、お前を殺し得る巨人の腕だ。
あいつは今、口の中に叩き込まれた神話級金属のせいで熱線が吐けない。よしんば吐けても拡散して大変なことになる。
だからアルマをどうにかするには、あいつが直接突っ込んでくるしかない。まあここに来て新手札とか見せられたら別だが——っておいおい。
「マジでやるやつがあるか、馬鹿野郎」
天井から顔を出して、口に含んだマグマをぺっぺとこちらに発射してくる。正直嫌がらせにしかなってないが、必殺スキルを使いながら圧縮している関係上以上今もゴリゴリとMPが削られているわけで、地味に有効な行動である。
っつか《キングス・ウェイト》がクソ燃費なんだよな……あれ、文面からして圧縮したら据え置きなのかと思いきや、定期的にMPが差っ引かれる。第二スキルに貯蓄したMPを使うこともできないので、ちょっと正直ガチでMPが厳しい。
一応生産系超級職なので、これでもMPが数万はある。それでも厳しいのだから、正直神話級特典武具なのに妙に性能が低い。もしかしてこれ第二スキルに全ツッパされてんじゃ……いや今はよそう。
とりあえずアイテムボックスから取り出してポーションを飲む。くそ、腹がタプタプだ。どっかに《大食い》みたいなスキルあったらいいんだけどな……。
……ん? ならそもそも俺が作ってしまえば——
「っと」
痺れを切らしたのか、ついにルマ・ゴーレが飛び出す姿勢を取る。狙いは——アルマ!
「ハ、戦闘経験少なくて助かったよ……!」
さて、それじゃあ——
俺の腕から、アルマが離れていく。俺のMPの低下が止まったことから完全にアルマのリンクが切れた——俺の掌に残したごく一部のアルマを除いて。
だがそれはやつには見えない。あいつからすれば、突然武器を手放したように見えたろう。だから硬直してしまい、それでも飛び出す寸前だったから止まれない!
「さあ、再接続だ!!」
『ん!』
そしてその瞬間に、掌のアルマの体積を一瞬で回復させて切り離したアルマに接続、《クラッキング・オブ・メタル》で支配下におく。それが消えてしまうまで、一瞬だけだがアルマは本来の体積を逸脱した質量を得る!
焦りながら突っ込んでくるルマ・ゴーレ、その勢いに合わせて、俺はアルマを展開する。
「アイアンメイデン——パチモンだがよ、楽しんでいけ」
奴はそこまで大きくない。だから今のアルマで包んでしまえば、身動きなんて取れやしない。
そして残りのアルマをドリル状に整えて——これで、終わりだ!
ドリルを回転させて、無理矢理に開かせたルマ・ゴーレの口の中に叩き込む。肉と鉄が焼ける嫌な音が鼻腔を叩き、ルマ・ゴーレの絶叫が鼓膜を震わせる。俺はそれを涼しい顔で受け止めて——そして。
「《天属性付与》——骨の髄まで痺れやがれ!!」
残りのMPの全てを雷に変換。あらゆる生命にとって致命打になり得る雷撃を、口の中から脳髄と心臓へと叩き込む。これで死ななかったら詰みだが——
俺の懸念をよそにして、ルマ・ゴーレの、その全身から力が抜けた。
「……勝った」
はぁ〜……めんどくさい相手だった……。
【<UBM>【溶蛇竜 ルマ・ゴーレ】が討伐されました】
【MVPを選出します】
【【ヤヨイ・ベルダーウッド】がMVPに選出されました】
【【ヤヨイ・ベルダーウッド】にMVP特典【溶蛇眼膜 ルマ・ゴーレ】を贈与します】
「……あ? 目?」
てっきりマグマでも発射するもんかと……ああ、俺じゃマグマ造れないからゴミになるか。
まあとりあえず出してみてっと……お?
【溶蛇眼膜 ルマ・ゴーレ】
<
溶岩を纏う蛇竜の概念を具現化した逸品。
使用者と武器に高い熱への耐性と、熱を感知する力を与える。
※譲渡売却不可アイテム・装備レベル制限なし
・装備補正
MP+[使用者の合計レベル]×5
・装備スキル
《熱源感知眼》
《耐熱装甲》
……これ、まさか。
アイテムボックスから取り出す。これ……コンタクトか。リアルでは付けたことなかったけど、まさかゲームで付けることになるとは。
ん、と……両目とも着けるがほとんど違和感はない。装備枠はアクセサリー、アルマで潰れてるから仕方ないんだろうけど……。
いや重要なのはそれじゃない。
重要なのは、これを装備した者に『熱を感知する目』を与えるということで——
「……これ、念願のアタッチメントでは?」
これを【ブラック・デンドロン】に取り付ければ……………。
「いよっしゃああああああああああああああ!!!」
手に入れた!
ありがとう呪い!
ただそれだけしか浮かばずに……時間が経ってラトラナジュが呼びにくるまで、俺はずっと、歓喜に打ち震えていたのだった。
ようやくセンサーをゲットしました。
ちなみに装備としてはカラコンみたいな感じで、着けてるとヤヨイの目に赤い光彩が追加されます。
ちなみに《耐熱装甲》は、それだけに特化しているので結構効果は高いです。アルマは圧縮するにつれて熱変動耐性が上がり、こっちは一切変化しませんが、元々の耐性に+されるので、圧縮具合にもよりますが《恒星》くらいなら結構耐えます。
なお《超新星》は現時点だと普通に蒸発する模様。
それとアルマは熱変動耐性ですが、こっちは「加熱への」耐性なので冷やされると無意味です。
コンタクトの時は探知はそれほど広くないしMP補正もわりとカスなので、これくらいはいいかなと思いました。