男のロマン、それはロボット —<Infinite Dendrogram>— 作:クーボー
□グランバロア洋上 【
呆れた目が痛い。
「ホント……どんな豪運なのかね、君は」
「いえーい☆」
「うわうざっ」
ピースピース、とアピールしてみたところ、カグラから腹殴りをもらった。なお俺のENDの前ではカスである。
「思ったよりこもってるなって思ってたら、まさか<UBM>と戦って倒してたとはね。まあでもおめでとう、これで今回僕ら全員が特典をゲットしたわけだ」
「これで仲間だな!」
今回ばかりは呪いに感謝せねばなるまい……それはそれとしてなんで呪いなんてものがあるのかは知らないが。
「全員揃ったから、僕らはそろそろ行くけれど。グランヴィルはどうする?」
「あ? あー……そうだな、そろそろ別れるか。俺もそろそろレベル上げしたいし」
「じゃあ、適当にフレンド登録を」
「おー」
俺ら全員とグランヴィルでフレンド登録を済ませて、お互いに握手する。
「それじゃあ……また会う日まで、よろしく。今度会ったら、戦うだけじゃなくて色々一緒にやろうぜ」
「あー、おう。そんときゃなんか仕事持ってくるよ」
「OK、じゃあ特別サービスだ」
グランヴィルが装備している、軍服ではない予備の装備品……金属製の鎧(いつものはレベル制限があるらしい)に手をかざし、《リワインド・メタル》を何回か発動。少しボロが来ていた装備を完全に修復した。
「うっわすげえ、耐久値が回復してる……これでしばらくは保つなぁ。これって超級職のスキル? 便利でいいなぁ」
「今度はきっちり金取るぞ、値段交渉はそっちにな」
「はい、クラン<MEX-F>の交渉係よー」
「勝てる気しねーから言い値で払うわ」
お互いに軽口を叩き合い、最後にハイタッチ。ひとしきり笑い合った後は、船に乗り込んで登っていくグランヴィルを見送った。
「あ、メルクー! ひとつ注意だけどー、店の場所無闇矢鱈に話すんじゃねえぞー!! マジで【妖精女王】とかの耳に入ったらブチ殺されかねないからなー!!」
「OKだよー! そっちも元気でねー!!」
「引退するまでは元気でやってるってのー!!」
そんな風に言い合いながら、俺たちはグランヴィルと別れたのだった。
え? シームレスになりすぎだって? ……別に今生の別れってわけじゃないし、それに一々感傷的になるのって……恥ずいじゃん?
「あ、メルク。そろそろ俺ログアウトするわ」
「え、急だねぇ。どうしたの?」
「いやまあ、色々と仕込みが……な?」
「……なーんか嫌な予感がするから僕らもログアウトしとく。明日集合ねー、できなさそうだったらメール送って」
「はーい」
「わかったわー」
/
むふふ……はぁいこれで仕込みができたー。
くっくっく……いやあそれにしてもたくさん種類があって参考になるね。
——媚芳、ってもんはさ。
/
用事を済ませ、削っていた睡眠時間を取り戻すためにリアルで寝てからデンドロにログインする。
……案の定まだ誰もいないか。まあまだリアル時間で朝だしなー……俺はショートスリーパーだから数時間で元気が出るが、それが世間一般の基準ではないことは理解している。
とはいえ、あと何時間くらい待てばいいのか……三倍時間はこういう時は不利だな。
「それはそれとしてアルマ、どうして君は胸を張っている?」
「進化した」
…………………………………えっ。
「第六形態に、進化した」
…………………………………………………………えっ。
アルマトゥーラ
TYPE:メイデンwithアドバンス・ウェポン・カリキュレーター
到達形態:Ⅵ
装備攻撃力:10
装備防御力:60
うっわマジだ——!?
「むふん」
「えーログアウトしてる間に進化したのー……?」
「お陰で頭痛が出なくて助かった……」
あっ……それはそうだね、ごめんね。そりゃ頭痛ないほうがいいよね、そうだよね。なんかごめんね。
「あと、スキルが増えた」
「正直もうほとんど完成されてるとは思うけど……」
それはそれとして楽しみなのでスキル欄を見てみる。
『保有スキル』
《リキッドリミット・バーストオーバー》
MPを消費することで、液体金属化した<エンブリオ>の体積を規定量を超えて増幅させる。
5kgの増幅につき100のMPを消費する。
また、増幅させた量に比例して<エンブリオ>のスキル・魔法効果を含まない硬度が低下する。
アクティブスキル
……あ、なるほどこれ、ドラグベルグとルマ・ゴーレの戦闘の時に使った裏技か!
「あの行動がこのスキルになったのか……ホント<エンブリオ>っていつも見てるんだな」
「当たり前。……でも、ちょっと残念なことがある」
「どったの?」
何やら深刻そうな顔でこちらを見る。え、何か不具合でも起きた?
「今までの進化だと、質量・硬度・熱変動耐性が上がっていた」
「そう、だね」
「……でも今回の進化で上がったのは、質量と……少しの熱変動耐性だけ」
……硬度は一切上がっていない。
でもそれならスキルのせい……いや違う、それなら第二の時もそうなるはずだ。
つまりこれは……アルマ側が、故意に硬度を、切り捨てた?
「……」
アルマは俺の、病気が嫌いだというパーソナルを歪に読み取り、そこに万能性の再現を目指して生み出されたものだ……と思っている。
だとするなら、もしやアルマは……。
「マスター、ひとつだけ。今回の進化は……マスターが、強くなるための第一歩。今までの私は中途半端だった。あのままだと、私は“最高”にはなれない」
「……」
「だからマスター、どうか私を受け入れて。次に迎える段階で、貴方は“最高”になるのだから」
俺が六を超えること断定している。それは、アルマの俺に対する信頼に他ならない。
「——もちろんだとも。俺は君を受け入れよう」
であるならば、であるならば、俺にできるのは一つだけ。
ありのままを受け入れよう……その果てに、彼女の信じたものがあるなら。
しばらくお休みをいただくかもしれません、ご承知ください……なろうの方での連載がありまして……すみません。
—情報開示—
《熱源感知眼》
発動すると、装備者の視界に入っていて、なおかつ距離が半径50m以内の一手以上の熱を持つものを赤い点として感知する。他の視界系スキルと併用可能。
また武器にも感知能力を付与する。
《耐熱装甲》
装備者及びその武器に加熱耐性を付与する。