男のロマン、それはロボット —<Infinite Dendrogram>—   作:クーボー

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第17話 改名・改造

「お、おぉぉぉう……!」

 

 なんて、なんて素晴らしいんだ! この素晴らしい再現度! そして文句ない性能!

 これで【クロマドーラ】に乗ったら映えるだろうなあ色々と!

 

「マスター……かっこいい……!」

 

「んー、キャラメイク味がない自然なイケメンだから似合うなあ。……え? ってことはリアルにこのイケメンいるの? 世の中不公平すぎない?」

 

 リアルだと痩せこけてるからここまでじゃないと思うぞ。まあ高校生の頃は一回か二回(大人数に見られても羞恥心を抱かないように)読者モデルやったから自信はあるけどね!

 

「いえーい!」

 

「マスターのテンション高い」

 

「ヤヨイ君ってわりと子供っぽいというか……バカだよねえ」

 

 バカ……だと……!?

 

 そんな、そんなこと言われたの初めてだぞ……! バカ、なんて……そんな……この俺が……!

 

「マスターのテンションが高いまま下がってる……」

 

「うーん、テンションの乱高下が激しい」

 

「そんな……アイビーリーグを卒業したこの俺が……!」

 

「え? アイビーリーグのどこ?」

 

「P大」

 

 真木は基本アイビーリーグかヒドゥンアイビーを卒業することを求められる。まあどうしてもやりたいことがあるならば別だが、真木である以上一族の繁栄が至上目的と言っていい。

 ……あぁ、そういえば俺が退院したのを記念して一族総会があるんだったか。ちゃんと出ないと……。銀三郎さんに要望伝えて、あとは外部から神条院とかを招いて踊ってもらうのもいいかもしれない。

 

「あー、そっちかー。僕Hの方」

 

「え? マジで?」

 

 アイビーリーグってそんなポンポン入った人いるところだったっけ。

 

「っと、話が逸れすぎた。とりあえず【クロマドーラ】をそっちに預けるってことでいいんですね?」

 

「んー、特典武具って譲渡不可だからその場にはいてほしいかなー。それにロボットの練習したいでしょ?」

 

「あ、はい。ありがとうございます。……アルマ口にパスタを突っ込もうとするな」

 

 いつのまにか頼んでいたイカスミパスタを口に突っ込まれそうになったので、口を開いて迎え入れる。

 うーん、微妙。イカスミパスタって調理難しいんだよねえ。

 

 俺が食ったのを確認すると、無表情でパスタを巻いて食べ始める。変な食癖と言うけれど、これってこっちじゃ一般的なのか?

 

「あ、そうだ」

 

 これは言っておかなくちゃ。

 

「【クロマドーラ】、改名可能ですよ」

 

「……まぁじでぇ!?」

 

 うわこわっ。

 

 

 /

 

 

 その後、<叡智の三角>の……多分共有ラボに連れて行かれた。

 そこには嬉々として待ち構えていた<叡智の三角>メンバーがいて、【クロマドーラ】に10人ほど、そして、俺の方に5人ほどの人数が割かれた。

 

「これが【クロマドーラ】 ……ロボット型の特典武具」

 

「<マジンギア>吸収しまくってたからかな、こうなったの」

 

「メルクさんによるとあの人ロボット大好きっぽいから、それもあるんじゃね?」

 

「あヤバいバラしたい」

 

 おいこら最後のやつ。……ま、いいや。

 

「【クロマドーラ】は好きに弄っていいですよー、改名も可能なのでめちゃくちゃかっこいい改造してくださいねー」

 

「所有者からの許可キタァ!」

 

「おっしゃそんじゃ形整えようぜ、言っちゃ悪いが【クロマドーラ】見た目ダサいし!」

 

「悪く言えばダサく、良く言えば無骨。まあこれも味があるけど、やっぱり好きにやっていいならねぇ……!」

 

「アルマちゃんが覆う予定なら色々とやれるかな?」

 

 あっちはあっちで楽しそうだし、俺もやるか。

 とりあえず【クロマドーラ】の装備を解除して、と。

 

「それじゃあやろうかぁ、ヤヨイくぅん……!」

 

「大丈夫大丈夫、君ならきぃぃっとできるからさぁぁぁ……」

 

「さあ乗ってみよう、動かしてみようロボットをぉ……!」

 

「ひえっ」

 

 わりとガチの悲鳴が漏れた。いや怖い、怖いよこの人たち! なんか俺を目の前にした商社マンみたいな雰囲気出してる!

 

「の、乗ります、乗ります乗りますから! だから無理矢理抑え込もうとしないでぇ!」

 

「おっふ特殊性癖に目覚めそう」

 

「大丈夫? 変態の国(レジェンダリア)行く?」

 

「女っぽい長身美男子……ユーゴー君との…… CP……!」

 

 ……ここは変態の巣窟か!?

 あとレジェンダリアってどんな国だよおい!

 

 

 /

 

 

 まあそんな感じで、最初ははちゃめちゃだったのものの、技術者としてはこの人たちは非常に優秀だった。

 トライアンドエラーの繰り返しで造ってきたさまざまな機械や、このデンドロ世界で唯一技術的ブレイクスルーを成し遂げた彼らの執念と努力。それらをまとめ上げる熱意。

 そしてその結晶である<マジンギア>は、非常に良いものだ。

 

「よっと」

 

【クロマドーラ】が<マジンギア>を多数吸収していた影響か、操作方法はどちらも同じ。慣れてしまえば造作もない。現に今も<叡智の三角>所属と思しきパイロットに同じ機体で勝負しているけれど、7:3で勝ってるし。

 ……これは【操縦士】も取らないとダメかな。

 

「ねえ、<マジンギア>の操作ってこんな簡単だったっけ」

 

「いや、わりと難しいはず……なんだけど、おかしいな。この人、<マジンギア>に触れてまだ1時間も経ってないはずなのに、なんで黒三鬼に模擬戦闘で勝ってるんだ……? ってかなんで【操縦士】に勝てるの?」

 

「あー、もしやこの人リアルジーニアス……?」

 

 どうも、リアルジーニアスです!

 しめやかに爆発四散! サヨナラ!

 

『ぐおおおおおああああああ!』

 

「黒三鬼が死んだー!」

 

「このひとでなし!」

 

「え、もしかしてテンションファイターと理論型のハイブリッド……? バケモノ?」

 

 スゴイシツレイだね!

 

 

 その後、戦績が勝率七割で安定した頃。

 黒三鬼さんが黄昏ているのを鼻で笑い、他の面々に挨拶して【クロマドーラ】を改造している場所に向かったのだが……。

 

「ヒャッハー大・改・造!」

 

「自動修復機能サマサマだぜイェ!」

 

「カラーリングはブラック! 俺も武羅苦shineだぜ!」

 

『あははははははははははっっ!』

 

「……なにこれ」

 

 ちょっとドン引きである。

 

「ん、マスター。終わった?」

 

「こっちはね。……アルマ、何があったの?」

 

「ん」

 

 アルマ曰く、【クロマドーラ】は非常に改造しがいのある機体らしい。

 馬力は低く、機動力はあるが体躯が小さい。けれど造形再現とスキルにリソースを振っているからか、あるいは俺がメルクさんという技術者とツテを持っていたからか、【クロマドーラ】はまた特殊な機能を持っていた。

 

 それすなわち——改造による、機体スペックの向上。

 オプションパーツの取り付けや直接の改造など、外部干渉によって性能を上昇させられる非常に稀有な性質だ。取り付けたものは《アームズアブソーブ》の効果に入るのか、自動修復機能での自力修繕が可能。

 

 そしてここにいるのは、<マジンギア>という人型ロボットを生み出したデンドロ最高峰の技術者たち。

 彼らの手にかかれば——精々量産型よりも少しスペックが高い程度でしかなかった【クロマドーラ】を、オーダーメイドレベルにまで改造することが可能らしい。

 

 とは言っても、【クロマドーラ】が造られたのは先々期文明という今よりもはるかに高度な文明があった時代。

 操作方法は現代にアジャストされているものの、内部機構は非常に複雑で、<マジンギア>の技術体系とは全く別物であるため、改造にも時間がかかる。

 そしてアルマによる外部装甲や、それ他諸々の要因があって改造は至難の業であるという。

 

 けれどそんなもので諦められるならば、デンドロ世界に<マジンギア>は存在していない。

 むしろ先々期文明の産物を、誰に憚ることなく解析できることから絶好の機会なのだそうだ。

 

「武装吸収は難しいけど、バイオ燃料ならエモートできるかもしれないしね。彼らにとってアレは宝の山だ。……もちろん、僕にとってもね。

 バイオ燃料があれば、僕の【機械天使(ヴァルキュリアル)】も次の段階に進めるんだ」

 

 と、メルクさんがそう言う。【機械天使(ヴァルキュリアル)】がなんなのかはわからなかったが、多分メルクさんの<エンブリオ>、あるいはメルクさんが開発しているものなんだろう。

 俺はアルマの頭を撫でながら、彼らの作業風景を眺めるのだった。

 

 

 ——デンドロ内時間で一週間、リアルでは二日と少し。

 彼らの不断の努力と、あとエナドリからの強行軍の結果。

 

【クロマドーラ】は、生まれ変わった。




多分これのせいで<マジンギア>の世代がもう一世代進む。

後書きでアンケート……というか、助けを求めております。
お暇な方は回答お願いします。クロマドーラの名前に関することです。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=217750&uid=214066
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