男のロマン、それはロボット —<Infinite Dendrogram>—   作:クーボー

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第19話 <超級>

 いやあ楽しかった! 

 とっても楽しかった! ありがとう黒三鬼さん他【操縦士】の人たち! 

 

「こ、こいつ、良い笑顔してやがる……!」

 

「っていうかアルマちゃんまだ下級なのにわりと硬いなあ!」

 

「そのくせ武器変化できるし、こっちが武器使ったら侵食してくるし!」

 

「本体もエンブリオもインチキとか反則ぅー!」

 

 はっはっは、負け犬の遠吠えが気持ちいいぜ。

 ちなみにアルマは第二形態だけどそれなりに硬いので、防御を捨てている【ブラック・デンドロン】の短所を効率よく補えるのだ。至れり尽くせりで最高だね! 

 

 ……そういえば、メルクさんどこ行った? 

 

 え? 何、自分たちは二次創作部で突然だけどヴァイオリン構えてくれ? グランマーシャルの敵役のキザな幹部のモチーフにしたいんだ? 

 もちろんいいよ、ついでに弾いてやろう。18歳の時、大学の世界コンテストで優勝した俺の腕前、見せてやる……! 

 

 

 /

 

 

 僕は今、一部の人からクソ白衣と称されている——そして実際、客観視するとクソ白衣としか言いようがない<叡智の三角>のオーナー・Mr.フランクリンの部屋にいる。

 

「……なんかすごい失礼なこと思われた気がするのだけれど、気のせいかしら?」

 

「気のせい気のせい、きっとPeut-être」

 

「ごまかす気、ないのね」

 

 取り付けられた来客用のソファーに座りつつ、本当の口調に戻ったオーナー……フランチェスカと話をする。

 彼女とはリアルでも友人で、家から出奔して趣味に生きている彼女と今も連絡が取れている数少ない友達と言えるだろう。幼馴染の腐れ縁、ってやつでもある。

 

 あ、女としてはアウトです。僕の好みはロボ娘なので。

 

「それでー? いきなり僕を呼んでどうしたのー? ヤヨイ君のこと?」

 

「彼……ヤヨイ君に関しては聞いたから、それはいいわ。模擬戦見たけれど、彼はニュータ○プか何か?」

 

「うーん否定しづらい……それと違うのは全般的に才能に溢れてるとこだけど」

 

 ついでにフランチェスカ以上のリアルブルジョワジー。今も何故か他のクランメンバーの前でヴァイオリン弾いてるけど、巷で聞くプロなんかよりよっぽど上手い。本人も楽しんでいるおかげだろうが。

 

「貴方を呼んだのは、研究の進歩の確認よ。貴方の所有してる【翠玉之開拓者(エメラルド・カーナイザー)】のマイは、研究を始めるともう他に目が入らないし」

 

「あー……あの子はなー」

 

 ガチャで当てた煌玉人(・・・・・・・・・・)で、能力も僕の<エンブリオ>にぴったりだし、いい拾い物なんだけど……なんかちょっと規格外の演算機構をアホな方向に向けてるというか……いやそれ自体が優秀な証なんだけど、なんか釈然としないというか。

 

「僕の<エンブリオ>の短所を補ってくれてるのは良いんだけど、だからというか時折化け物創り出すからねー。この前なんか逸話級<UBM>の特典素材勝手に使って古代伝説級とも殴り合えそうな、でも感情のリミッターないから一々感情の起伏が激しいっていうアホの子創ったからね……はぁ……」

 

 おかげでラボが一部破壊されている。でも悪い子じゃないから叱れば話は聞くのが救いだろうか。アホの子だからそれを改善できるかは別問題だけど。

 ちなみに物理かつ武器特化なので【クロマドーラ】との相性は最悪だった。

 

「そちらも大変ね」

 

「【機械天使(ヴァルキュリアル)】は強いけど、その分不安定だからねえ。自我封印措置も施せるけど、それだとフルパフォーマンスは期待できない。量産型と演算型ならそれで良いんだけど……そっちのパンデモニウムで創るモンスターは安定してていいよねー」

 

「その代わり、莫大なお金と素材が必要だわ」

 

 逆にこっちは元はほとんどかからない。もちろん一定の強さ以上のを創ろうと思えば相応の素材はいるが、お金はそんなにかからないのだ。

 

 あ、そうだ。思い出した。

 アイテムボックスに保管していた、中に液体と黒い球体の入っているフラスコを取り出し、ぽいっと投げる。

 

「これは?」

 

「閣下の【ゼロオーバー】の遺伝子情報」

 

「……また、とんでもないものを」

 

「この前の決闘の時、こそっと」

 

 AGI特化の量産型を1匹使って、ほんのちょっとだけちぎってきた。あとはそれを僕の<エンブリオ>で解析、遺伝子を抽出すればほれこの通り。

 

「三つあって、一つはもう使った。一個あげるよ、それ使って面白いの創ってね」

 

「いいの? 閣下、怒るわよ?」

 

「盗まれる方が悪い」

 

 それにあのガキンチョが、気づいている、あるいは気づけるわけがない。

 それに<超級>の能力は、何が起こるかわからないんだから。僕のような手札を隠蔽してる輩は、警戒して損はないよ? もう遅いけど。

 

「僕の<エンブリオ>——【偽創生命 フランケンシュタイン】は、ホムンクルスや生命体に関しては万能だ。たとえそれが悪魔だろうと、晒されてるなら奪うとも」

 

 それこそが、僕の力。

 

 着ぐるみを脱いで、【霊癒白衣 フロウブロウ】に着替える。すると簡易ステータスに表示されていたメルクの名が、変わった。

 

 ヴィクター・F・メルクリウス。

 偶然<エンブリオ>のモチーフである作製者の名を冠する僕の名は、今までこの着ぐるみ……【Q極きぐるみしりーず・ろんこんはいふぇ】で隠蔽していたものだ。

 

 僕は<超級>。

<叡智の三角>食客、オーナーの友人であるために一時的に所属している……フリーの<超級>。

 

「さすがは、【禁術師(タブー・マンサー)】を世界で最初に見つけ出し、即座に超級職に至った男、と言うべきかしら。ありがたく使わせてもらうわね」

 

「よせやい、【大教授(ギガ・プロフェッサー)】Mr.フランクリン、通称クソ白衣くん」

 

「次それで呼んだら食わせるわよ、【禁忌王(キング・オブ・タブー)】、通称“偽創天”」

 

 ホムンクルス作成特化、錬金術師派生の超級職。

 それこそが【禁忌王(キング・オブ・タブー)】、すなわち、僕である。




衝撃!
メルクは<超級>だった!

と言うわけで、オリジナル超級です。
錬金術師と言ったらホムンクルスで、疫病王とかいるなら禁忌王もいるよねと思った次第。

—情報限定開示—
【偽創生命 フランケンシュタイン】
TYPE:フォートレス・カリキュレーター
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