男のロマン、それはロボット —<Infinite Dendrogram>— 作:クーボー
□■???
「フム……」
管理AIが一体、<UBM>担当ジャバウォックは、普段は無言で作業を行う彼にしては珍しいことに、眼前に表示されたウィンドウをわざわざ掴み、読み込んでいた。
【骸収機兵 クロマドーラ】
最終到達レベル:37
討伐MVP:【
<エンブリオ>:【装甲乙女 アルマトゥーラ】
MVP特典:古代伝説級【骸収機人 クロマドーラ】
彼がチュートリアルを担当した、一人のルーキーだ。
ジャバウォックは顎をさすり、何を思ったのか戦闘ログを開く。
そこには、ヤヨイが【クロマドーラ】の打破に至るまでの経緯が事細かに記されていた。
■■■機能により、膨大な数の進化パターンからヤヨイの分析結果を読み取り、結果的に【クロマドーラ】に対する完全メタ的な能力が芽生えたこと。
彼の<エンブリオ>である【装甲乙女 アルマトゥーラ】が、■■■機能以外でも【クロマドーラ】に相性が非常に良かったこと。
奇跡的要因の上で、彼らの意思と能力によって得た勝利。
まさしくジャバウォックの求める
「元々、【クロマドーラ】は大概の近接職には絶対的な強さを誇る。それを【盾戦士】で撃破したとは」
そして、【クロマドーラ】が<マジンギア>以外の武器を吸収していなかったことも救いだろう。もし強力な武器を吸収されていれば、ヤヨイでは初撃を耐えられず死亡していた確率が非常に高いからだ。
「それもまた運、か」
【クロマドーラ】は、規定値を満たしているのが前提とはいえジャバウォックの趣味によって色々と改造されていた。生前ではない。死後に彼の趣味に合うように改造したものなのだ。
普通の特典武具にはあり得ない、「改造可能」にして「改名可能」なその機構。
その能力に己が半身を垣間見たジャバウォックによって付け足された、
同僚からは「ワァタクシをたおぉすべくつくぅられた兵器を改造するぅとは、とんだ嫌ぁがらせでぇすね」と皮肉を言われたが……いつも彼から被っている被害を鑑みればこれくらい別にいいだろうとジャバウォックが考えたのも無理はない。
ぶっちゃけ
そしてそれを、自らがチュートリアルを担当した<マスター>が素晴らしい活躍の末撃破し、彼の趣味に沿う特典武具まで出現している。
非常に喜ばしいことだ、と考えた瞬間……チェシャやハンプティダンプティの言っていた行動の意味に、気付いた。
「……そうか。これが、“目をかける”、“期待する”、ということか」
こうして、彼にとっては初めてなことに——そしてデンドロ世界では傍迷惑なことに。
管理AI4号・<UBM>担当ジャバウォックは……自らが目にかける、端的に言えば期待を寄せる対象を得た。
ヤヨイ君の今後の災難が確定しました。南無三!