男のロマン、それはロボット —<Infinite Dendrogram>—   作:クーボー

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第2章 天界征くは翠の秘石、宝玉砕くは鉄風雷火
第1話 行こうよウォトラ村


 □<叡智の三角>本部 【操縦士】ヤヨイ・ベルダーウッド

 

 あの【クロマドーラ】事件から、デンドロ内時間で一週間程度経った。

 もうあの事件のことは忘れられかけており、俺を見る視線も減った。まあルーキーがそこら辺のボスを優に超える化け物を倒し、その特典武具を得たのだから嫉妬の視線はわりと多いが、まあ、リアルでも慣れているので無視している。

 

 それで、件の【ブラック・デンドロン】を、普段の狩りでも乗ってみてわかったことがある。

 

 

 こいつ、バイオ燃料で燃費良いように見せかけて燃費めっちゃ悪いぞ……! 

 

「まさか普通の麦放り込んだらすーぐ動けなくなるとは」

 

 多分、<UBM>だった頃は、周囲の物質をエネルギーに変換できたから長時間起動できたんだろう。あと特典武具化しても内蔵魔力があったのでしばらくは自由に動かせた。

 しかし特典武具になって造形とスキルにリソース全ツッパした結果、周辺物質を取り込めなくなったために燃費が悪化したのだ。

 

 うーん……こいつわりと癖が強いぞ。【レムの実】に関しても王国と皇国の関係が悪化している現在そんなに手に入るわけでもないし……それにだ、この調子で食われてたら俺の資金が底をつく! 

 

「一応普通の魔力変換装置もあるんだけどー、効率は良くないし、それにヤヨイ君まだMPそんなないでしょー? そんなんじゃ動かないよこの食いしん坊はー」

 

 着ぐるみに戻ったメルクさんが、コンコンと【ブラック・デンドロン】を叩く。どうやら着ぐるみが心地いいそうで、あの白衣は本気モード時にしか着ないそうだ。

 ……なんかものっすごい空気が緩むなコレ。

 

「んー……【生贄】にでも就くか?」

 

「……MPを補うためだろうけど、どうやって戦闘を——ああ、まあ、アルマちゃんがいるなら大丈夫か」

 

「ふふん」

 

【生贄】は、一切の戦闘行動ができない代わりにMPが大きく伸びる。

 けどその制約が働くのは就いた本人のみ。すなわち【従魔師】などはテイムモンスターに戦わせればいいし、俺の場合は俺が装備しなくとも行動が可能なアルマに運んでもらいながら戦ってもらえばいい。

 

 ここら辺のモンスターを倒しまくれば、カンストもそう遠くはないだろう。

 かつてのような無茶なレベリングはしていないが、それ以前に俺は一日の大半をデンドロで過ごしている。そのためレベリングに割ける時間は多いし、<叡智の三角>の機体テストに付き合っていてもわりと時間は残る。

 

 ……楽しかったなー、【絶対粉砕マッスィーン・すいんぐすとろんぐ】のテストプレイは。アホな名前に違わず投石に全振りしたアホな機体だったけど、わいわい遊ぶのはものすごい楽しかった。クランに所属するのはできないけど、こうやって遊ぶのには最適だね。

 

「僕みたいな<超級>なら、金なんていくらでも稼げるけどー、ヤヨイ君まだルーキーの範疇だもんねー。そりゃ金欠にもなるかー」

 

「でも、私がいるから大分マシ」

 

「アルマちゃんがいたら他の武器なんていらないよねー」

 

 なにせ武器購入費用諸々全てなくなるのだから素晴らしい。さらに移動の脚にもなる! 

 

「やはりアルマは最高の<エンブリオ>では……?」

 

「ふふん!」

 

「最高かどうかはともかく、多段変形型の<エンブリオ>の弱点を上手く補う、言うなれば自己造形型の<エンブリオ>だよねー。僕の【フランケンシュタイン】も色々と多機能型だけど、ホムンクルス一本だから改造の幅もあるしコストも安いしー、やっぱ基礎があれば色々と楽ー」

 

 メルクの<エンブリオ>——【偽創生命 フランケンシュタイン】は、<超級エンブリオ>に達しただけあってカタログスペックだけでも意味不明な出力を誇る。

 さらにその上、メルクの【禁忌王】というホムンクルス特化の超級職とのシナジーも凄まじく、少しの時間さえあれば【魔将軍】もぶち殺せるというのだから驚きだ。

 

「さすがに“最強”をどうにかするのは難しいけどー、べへ……“物理最強”は嫌がらせありならわりと時間稼げるよー」とは本人の弁だ。

 その“物理最強”がどれだけ強いのかは知らないけど、きっと化け物なんだろね、うん。

 まぁ、詳しいラボの内容は「ひ、み、つ」とはぐらかされたんだけどね。

 

 さてそんなこんなで色々と話しているが……【ブラック・デンドロン】をまともに動かすには、【レムの実】に匹敵するバイオ燃料が必要ってことは変わってない。

 

 どうしようかと悩んでいると、メルクからこんな提案がなされた。

 

「確か……ウォトラ村だったっけ。【レムの実】と同じくらい美味しい果実を作ってる山間の村。風がよく吹いて気持ちいいらしいし、収穫の時期だから手伝えば優先的に買えたりもらえたりするらしいよー。行ってくればー?」

 

「へぇ」

 

 それは……確かに、いいかもしれない。息抜きにも最適だろうし、山間に立てたリアルの別荘にも最近行ってないしなぁ。

 

 それで収穫を手伝えばいいのなら簡単だ。

 

 よし。

 

「行こうか、アルマ。目指すはウォトラ村だ!」

 

「ん!」

 

【クエスト【収穫──ウォトラ村 難易度:()】が発生しました】

【クエスト詳細はクエスト画面をご確認ください】

 

 目的は、【ブラック・デンドロン】の燃料を得ること。

 目指すは山間の村、ウォトラ村。

 QUEST START!




たまに主人公が英語喋るのは小学校生活のほぼ全てを海外で過ごしているからです。
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