男のロマン、それはロボット —<Infinite Dendrogram>—   作:クーボー

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第3話 <双天と火>

 音は鳴らない、でも非常にかっこいいなバイク……! 

 

「リアルでも乗りたかった……!」

 

 でもなー多分貧血で事故るからなー畜生! 

 

『……マスターって、わりとテンションおかしくなるよね』

 

「多分リアルの反動だな!」

 

 リアルだと大人しくしなきゃいけなかったし、変なことして万が一真木に害が発生したら救いようがないからなあ。

 

 と、俺たちは心地いい冷たい風に吹かれながら会話する。ちなみにアルマはバイクのままで、俺が寄りかかっている形だ。

 

 ここはウォトラ村。【レムの実】に匹敵する果実を育てているという、山間の村で——くしゅっ。

 

『……マスター、防寒具』

 

「ん」

 

 マフラーと手袋、装着……! 

 

 

 /

 

 

 人間体に戻ったアルマと、村の中に集まった<マスター>、ティアンの人たちの輪に入る。ここで待機命令が出されてるらしい。

 

 今は夕方で、太陽が地に沈みかけていた。少しギリギリだったかな。

 

 他にも数人の、さっき追い越した人たちがようやく辿り着いて、息を荒げながら輪に入った。

 む、俺を恨めしげに見てやがるな。アルマ、ちょいちょい。

 

「「いえーい」」

 

「こ、こいつら……!」

 

 いやぁ煽るのは楽しいなぁ! どうだ、可愛い女の子が同じ動作してくれるのも羨ましかろう! たとえメイデンだとしても! 

 アルマも心なしか楽しそうだし、試しに二人で思いっきりドヤ顔してみせる。お、青筋が立った。

 

「おいおまえら、そんな煽るな」

 

「えぇ? だって楽しいじゃないですか煽るの。ねえアルマ」

 

「ん。マスターに嫉妬してるのが丸わかりすぎて、楽しい」

 

「こいつら揃って性格悪いぞ!?」

 

「「いえーい」」

 

 ……なんかテンションがおかしくなってるな。息をついて、落ち着ける。

 

 ……んー、この、なんだ。頑張ったんだろうけど養殖みたいに感じられるダンディな男は。違和感はないんだけど、キャラメイク特有の……なんていうか、不自然な、理想をカタチにしたような感じだ。

 こういうのがない人は基本をリアルフェイスにしていることが多い。メルクなどがその典型と言える。

 

「まあ、もう煽るのはやめときますけど。俺ヤヨイって言います。お見知り置きを」

 

「お、おう。俺ぁカザミっていうもんだ。知らねえだろうが、<双天と火>っつぅクランのリーダーやってる。今回限りだろうが、よろしく頼むぜ」

 

<双天と火>……。

<叡智の三角>の時も思ったけど、クランネームって小っ恥ずかしい名前にしないといけない決まりでもあんのか? 直接言ったらぶん殴られそうだから言わないけど。

 

「名前負け、していない?」

 

 ……なあアルマ。俺が言えたことじゃないけど、空気読むこと覚えようか。それとも俺が考えたから言ってくれてるの? そうだとしてもちょっと気まずいよ? 

 

「はは、まあ、確かになァ。俺もこいつらも、まだ第五形態だから名前負けしてるのは否定できん。

 だが、こいつぁ抱負みてえなもんだ。いずれこの名前に相応しいくらい、強くなって見せるさ」

 

 こいつら、と周囲の少年や少女、こっちは養殖味のない美人の女性を指差す。

 なるほど、抱負ってことか。それなら納得。

 

「俺はまだ第二形態だけど、早く上級になりたいな、アルマ」

 

「ん。私とマスターなら、<超級>にだってなれる」

 

 嬉しいことを言ってくれるねぇ。ま、そのつもりだけど。

 

 

 ——そのうち完全に日が暮れて、寒い夜がやってくる。

 アルマ用に買っておいたコートやマフラーを着せて、……ついでに見通しが甘かったらしい数人のマスターに余った分の防寒具を貸してやる。

 ……本当は嫌だったんだけど、アルマと一緒にぬくぬくしてたら視線がものすごい鬱陶しかったんだよ。それに風邪でも引かれて移されたらものっっすごい迷惑だしな! 

 

 そして村の門が閉められて、目の前に村長らしい若い男がやってきた。

 

「今日はお集まりいただきありがとうございます、<マスター>の皆様方。今この時を以って本日の受付は終了し、皆様には明日から収穫作業を行ってもらいます」

 

「なら俺らはどこで眠ればいいんだ?」

 

 ログアウトすれば済む話だけど、まあ、気を落ち着けたいよな。ログアウト寸前で他者接触でできなくなる可能性もあるし。

 

「あちらの家屋の中で泊まっていただきます。あ、それと、これをどうぞ」

 

 ん、ありがとう。

 これは……ああ、あの果実か。アルマにも渡されてる。

 

「名称を【ミロの実】と「MI○O?」……なぜかこの名前を聞いた方々は皆そう言うのですよね」

 

 ああ、うん……似てるね、名前。

 試しに一口かじってみる。うん、かなり美味しい。リアルでもわりと食べ慣れてる味だ。

 ……これは高級果実に慣れている的な意味であって、皮肉とかそういうのじゃないから! 

 

「ちなみに、こちらの赤い方が【レッドミロ】と言いまして、強い酒精を持ちます。一口食べれば酒の弱い方は倒れるほどなので、取り扱いにはご注意を「なにこれ美味しい」……」

 

 あ、ごめんなさい。思わず口から出ちゃった。

 いや、説明聞いてなかったわけじゃなくてね? 俺リアルでも酒には自信があるから、多分デンドロでも大丈夫だと思ったから食ってみたわけですよ。

 

 そしたら良い感じの甘さとえぐみが混じり合ってて非常に美味しかった。アルマも食べてみたら? 

 

「……きゅう」

 

 ア、アルマーッ! 

 え、俺から生まれたのに酒に弱いの!? マジでぇ!? 

 

 周囲の化け物(アホ)を見るような目を甘んじて受けながら、アルマを結晶の中に戻して……説明は、つつがなく続けられたのだった。

 

 なおアルマは10分ほどで復活した。その後もフラフラしてたけど、その度に支えてあげたらなぜか満足気になっていたので、なんだかんだ良かったのかな?




アルマとメルクとその他で露骨に対応が違う。

ちなみにヤヨイはスピリタス五本までは確実に行ける(正確な許容限界は不明)
リアルで父と飲み比べをした結果、日本酒三本くらい開けた後で父が潰れ、その勢いのままスピリタス飲み出したら五本くらいまで飲めてしまったという逸話を持つ。

虚弱だけど酒に恐ろしく強い。それが解消されたデンドロだと、多分【レッドミロ】十個くらい食っても平然としてると思われる。
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