男のロマン、それはロボット —<Infinite Dendrogram>— 作:クーボー
昼までに合計100個くらい取れましたー、いえーい。
……いやね、手分けして採取したら効率がめっちゃ上がってさ。危険とか言いつつも単独行動ばんざーい。
「どんくらい差し引かれるのか知らんけど、ま、こんだけ取ればあの食いしん坊も満足してくれるだろ」
「同意」
そろそろロボット動かしたい欲が出てきて……あと普通に戦いたいなぁ。こういうまったりしたのもいいけどさ。
それにモンスターも出ないし、少し暇だな。
そこまで考えた時、あることに気づく。
……そういえばこの村にはわりとマスターがいるし、外面積も広い。
村人と果樹園傷つけなければ……大丈夫だよなぁ?
「ククク……!」
久方ぶりに血が騒いできたぜ!
ちなみに、果実は25個差し引かれた。ヒュー太っ腹ぁー!
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「あ? 模擬戦?」
「そう、模擬戦」
突然、目の前の年若い美男子にそう言われたので、ほんの少し困ってしまう。
俺はカザミ。このデンドロ世界ではそう名乗っていて、
元々こもっとの勧めでやり始めたデンドロだったが、これがなかなか楽しいもので、仕事の合間に暇を見つけてはログインしているほどハマってしまっていた。
一年半前は興味もなかったんだがなァ……ホテルから独立して、店も良い感じで落ち着いてきたのもあるんだろうけどよ。
「そりゃまあ、やってもいいが。パイ焼くのは夜だし」
「お、ノリ良いのは好きですよー。あ、あと上級だからって手加減とかは無用でお願いしますね。本気でやらないと模擬戦の意味ないので」
そして、場所は少し離れた村外で、HPが五割削れたら負け、というルールをあれよあれよと決められる。
な、なんだこいつ、押しとコミュ力が半端ねえ……! リアルでもこういう仕事してんのかと思うくらい迷いがない。それに悪印象を抱かないのは、多分、本人に悪意とかがないからだろうな。
……あと昨日から見てるわりとアホな所業のせいでもあるか。自分の<エンブリオ>に果実食わせてバタンキューさせるとか見たことねえぞ。
場所を移動して、他人に迷惑のかからない村外へと移動する。他の<マスター>も興味があるらしく着いてきて、昼休みのちょっとしたイベントになりそうだ。
お互い定位置について、カザンヌがカウントを開始する。
ま、軽く相手してやるかな。俺の<エンブリオ>はわりと強い——
「さてさてそれでは、ごかいちょー!」
——ぞ?
………………。
……………………なんか目の前に黒いロボットが出現したんだけど、この時俺はどう反応すれば良いんだろうか。
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ふっふっふ、驚いてやがるな。良い反応をありがとう!
【ブラック・デンドロン】をアイテムボックスから放出し、ぽんぽんと叩いて調子を確認する。ついでに一個【ミロの実】を《バイオマス・ファーネス》で燃料に変換して——よし、このくらいあれば1時間は動くかな。
やっぱり《バイオマス・ファーネス》は、美味しさというかそれに込められたリソースを分解して自己燃料にしているようだ。それなら麦で全然動かないことも納得であるし、食いしん坊だってのにも説明がつく。
そして今手に入れた【ミロの実】で単純計算で75時間の稼働が可能なわけだが、これリアルタイムに直すと一日とちょっとしかないのだ。多分、というか絶対そんなんじゃ足りない。
この間の【クロマドーラ】みたいな突発的に現れるボスモンスターは、戦闘に1時間かかることもザラらしいし、今回のでしばらく凌げるだろうけど、定期的に仕入れる方法を探さないといけないな。
「アルマ」
「ん」
どろり、と《リキッドメタルモード》で金属スライムへと変化するアルマ。俺は【ブラック・デンドロン】に乗り込んで、アルマが全身に行き渡るのを確認する。
『こっちは準備できましたので、そっちも準備お願いしまーす』
「……おーう」
なんか思考を破棄したような声の後。
カザミさんの周囲に光の粒子が渦巻いて……それが彼の元に収束する。
あれは……黄色い手甲と、緑の脚甲?
「俺の<エンブリオ>は、【屏風四甲 フウジンライジン】。
一応言っとくが——わりと強いぜ?」
そう言って——ふわり、と宙に浮く。
見れば脚甲に風が渦巻き、手甲に静かに——けれど黄色い雷が帯電している。
……ああ、なるほど。大体わかった。
飛行を可能とする<エンブリオ>ってことか。
……。
………………これ、対空攻撃手段のない俺にどうしろと?
『頑張るしかない』
まあ、そうするしかないけどねぇ!?
—情報限定開示—
【屏風四甲 フウジンライジン】
到達段階:Ⅴ
TYPE:ギア・ウェポン