男のロマン、それはロボット —<Infinite Dendrogram>—   作:クーボー

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第8話 模索と、■■

 □2044年日本 真木 正弥

 

 デンドロからログアウトした後の、いつも通りの部屋の中。

 すでに周囲は真っ暗で、デンドロ内も深夜である。

 

「ううん……」

 

 そんな中で、俺は目の前に表示されている数多の銃器。それらを眺め、どれもピンと来ずに唸った。

 

 この前の模擬戦で掴んだもの。それを結実させるために色々と調べてはいるのだけれど……。

 

「銃器じゃないのか?」

 

 なら、魔法? でも俺は魔法系スキルなんてひとつも覚えてないぞ。

 ……いや、雷が引っかかったのだから、それも視野に入れるのもいいかもしれない。

 

「……」

 

 ただただ無言で考える。

 俺自身のひらめきを信じ、脳内で浮かんだピースを組み立てて、着々と答えに近づいていく。

 

「……」

 

 雷……電磁波……鉄……? 

 

 

 ……ああ、なるほど。そういうことか。理解したぞ。

 

「でもまあ、試すのは後になりそうだけど」

 

 実験のために天属性の【ジェム】でも買わないといけないな。

 

 そう思いつつ、俺はデンドロwikiを見て、自分に知識を溜め込んでいくのだった。

 

 うーん、立派な廃人だね。

 あ、食事が運ばれてきた。今日は……うん、オーダー通りのおにぎりだ。

 

 はぐ。

 もぐ……美味しい。やっぱりうちのシェフはカザミさんにも劣らないぞぅ。

 

 

 /

 

 

 HELLO WORLD(こんにちは世界!)! 

 

『……マスター、テンション高い』

 

 リアルで大人しくしてる反動だからしょうがない。

 

 ふむ……よし、他に<マスター>はいないな。カザミさんとかは仕事があるだろうし、結構早めにログアウトしているようだ。

 まあ1日18時間ログインとかやってる俺が言えたことじゃないけれど、好都合ではある。

 

 小屋の中でアルマを紋章から呼び出して、膝の上に乗せる。

 

「ん、ぴったり」

 

「それなら良かった。

 ……で、要件なんだけど……こんな形になれる?」

 

 アルマは少し考えた後で、ぐにょぐにょを全身を試行錯誤しながら整形していき……俺の望む形になった。その上大きさも【ブラック・デンドロン】基準で、俺の理想通りの形になった。

 

「……完璧(Perfect)だ、アルマ」

 

感謝の極み(Thank you from the heart)……マスター、ネタが古い』

 

 いや、返せることに驚きだよ。それも俺から見たの? 

 

 

 ——それを構えて、引き金を引く。

 弾丸(アルマ)が装填されていないので発射はされていないけれど……ゲームゆえのファンタジー性で、おそらくは再現できるだろう。

 

 超兵器。

 かつて実験され、実用性が皆無ということで計画が凍結した神の杖(ロッズ・フロム・ゴット)。それと同等で……しかその実用性は高い。

 

 アルマの遠距離火力を補う方法。

 

 すなわち……レールガン。

 

 

 /

 

 

 レールガンは、まあ、簡単に言ってしまえば物体を電磁加速させて発射する兵器である。

 

 原型そのものは2010年代後半には完成しているが、それから30年ほど経った現在でも小型化には成功していない。発射時の反動と電力を補うことが難しいからだ。

 

 しかし、今俺がいるのはデンドロ。ゲームの世界。

【ブラック・デンドロン】という高い膂力を持つロボットと、変幻自在の造形を可能とするアルマがいればどうにかできる方法はある。今のアルマでも、【ブラック・デンドロン】規格の砲身と弾丸になっても足場固定などに使える体積は残っているし。

 

 そして【ジェム】を始めとする天属性の……雷を発生させるアイテムがあれば、無尽蔵の電力を確保したのと同じこと。

 金は要るだろうが、それでも遠距離火力を補うことは可能なはず。

 

 ……その分の金で《クリムゾン・スフィア》とかの【ジェム】買えよってのは禁句な! というか俺がロボットに乗り込んでいる関係上、ロボットから出て投げるような行為は時間の無駄だし。

 

 つまりそんな感じで、この前思いついたものを俺なりに形にしたのがこれだ。

 カザミさんが電撃を使っていたから思いついたんだろうな。感謝しなければいけない。

 

「どんどん進化していけば、もっと上手いやり方もあるかもしれないけどな」

 

「……」

 

「ん、どうしたアルマ」

 

 なぜか突然黙り込んだアルマ(すでに人間体に戻っている)の頭を撫でると……アルマが泣きそうな目でこちらを見た。

 

 

「あたまいたい」

 

「……えぇ?」

 

 

 あの、そんな目で見られても……え、俺子供の看病方法とか知らない……。

 

「もんしょーにもどる……いたい……」

 

「あ、えーっと……お大事に?」

 

「あたまなでて……」

 

 あ、はい。なでなで。

 

 アルマが紋章に戻ると、周囲に一気に静けさが満ちる。

 

 ……もうやることないし、ログアウトして寝ようか。

 次の日早く起きればいいだろう。

 

 そう思いつつ、紋章を撫でて……俺はログアウトしたのだった。

 

 

 /

 

 

 次の日。

 

「進化した」

 

「……えぇ」

 

「マジ」

 

 ……もしかして頭痛いのが進化の予兆なの? 

 それ辛くない? 大丈夫?




進化のスパン早くない?
という人もいると思いますが……ぶっちゃけ1日18時間ログインとかやってたらこんくらいの速度で進化すると思います。

それにヤヨイとアルマは恐ろしい速度でレベリングしておりますので、まあ上級進化でもないし早めにやったるか、と思いすませた感じです。
汎用性に長けている分、戦闘はわりと地味ですし……必殺スキルのお披露目ができる上級第四形態くらいまでは第一から第二までのヒロイックな感じはないんじゃないかな、と思います。
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