男のロマン、それはロボット —<Infinite Dendrogram>—   作:クーボー

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第18話 帰還

 その後、俺はカザミさんたちとフレンド登録し、かつてウォトラ村があった更地を後にした。

 

 果樹園などは無事だったけど、人がいないから復興は時間がかかるだろう。

 無理とは言わない。人間は時間さえあれば立ち上がれる生き物だから。あと金があれば大体いける。

 

「大空飛び回ると竜に撃ち落とされるからなー、こうやって低空飛行するしかないっていうのは少し不満」

 

【ブラック・デンドロン】に乗り込み、周囲の<マスター>の驚くような目を受け止めながら飛行する。地面スレスレなわけじゃないけど、気を抜くと地面でもみじおろしになるからこの高さは少し怖い。

 

『いずれ強くなったら、自由に空を飛びたい』

 

 そうだね、アルマ。

 ちなみにアルマは突然の攻撃や事故に備えて外で待機してもらっている。墜落してもアルマの弾性でふにょん、と衝撃を緩和できるというわけだ。

 

 

 /

 

 

 わりと……速い……。Gがやばい……。

 あっ、これ全速力だとENDが追いついてなくてダメージを……やはり時代はENDかぐふっ。

 

『マスター!?』

 

 

 /

 

 

 あ、危うく自滅するとこだった。

 クッソ楽しいけど。ドチャクソ楽しいけど! 

 

『マスター、反省』

 

 ……ごめんなさい。

 

 いや、まさかEND足りなくて全速力出したらダメージ受けるとは思わなかった。そりゃあここまでリアルな世界ならそういうこともあるか……。やはり早急にENDを上げなければ。まずは【銃士】だけども。

 

「いずれ超級職にも就きたいけど……」

 

 既存のジョブ系統の超級職は大体埋まってるからなぁ。そうでなくとも後追いしてる俺が、すでにカンストしてる連中よりも先に超級職に就けるかっていう話でもあるし。

 やっぱり、複合系のジョブを見つけるしかない……のか? 

 

 ロストしてるジョブを見つけるとなるとわりと難しいぞ。それにロストしてるのは条件が厳しいとか性能が産廃とか、そういう両極端なアレしかないし。

 メルクの【禁術師(タブー・マンサー)】及び【禁忌王(キング・オブ・タブー)】も、【偽創生命 フランケンシュタイン】とのシナジーで生きてるようなもので、単品ならそこまで強くないらしいのだ。

 

「まあそもそもEND型の人口が少ないから、AGI型とかよりは競争マシだろうけど」

 

 みんなAGI型なんだもの。まあ正面からバカスカ殴られたいかと言われれば、そりゃ避けられる方に行くのも仕方ないけどさ。

 

 そもそも、俺はEND特化にしようと思っているとはいえ、普通のEND型とは大分事情が違う。

【ブラック・デンドロン】があるおかげでSTRもAGIもある程度補えるし、アルマのおかげで直接殴られずに済むし、それを前提としてビルドを組んでいるので普通の<マスター>からすればわりとおかしいジョブ構成になっている。

 

 

 それにアルマのスキルに関する特性……一度習得したスキルがどんな状況でも使えてレベルも上がるっていうのがあるせいで、現時点でもスキル数わりと多いしな。

 

 本来、爪などの状態で取得したスキルは、剣やハンマーで戦っていても使用できないしレベルが上がることはない。

 だがアルマは使用できるしレベルも上がる。何故なら、アルマはどんな武器にでもなれるから。逆説的に言えば、常時全ての武器種の効果を発揮する武器を装備しているっていう状況と言えるだろう。

 いや何言ってんだ、と思うかもしれないが、そうとしか言えないので仕方がない。

 

 そしてそのために、アルマを装備している間は『いや常識的に考えて無理だろ』っていう組み合わせでもスキルレベルは上昇する。

 アルマは武器装備欄を全て使う代わりに、アルマを使っている限りあらゆる武器のスキルレベルが、同時に、一度に上昇するのだ。まだデンドロの仕様に疎かった頃に【闘士】に就いていたからこの状態に気付くのには遅れたけど、まあ、つまりはだ。

 

 アルマと【闘士】とのコンボ、あるいはバグのおかげで、俺の保有しているスキルの数と使用できるスキルの数は、おそらくデンドロ世界でもかなり異質な数になっている。

 

 スキルレベルの合計も、ルーキーのくせにおかしいことになってるし。【闘士】だからレベルキャップは低いけどその分数が多いからね。なんの役に立つかはわからないけど。

 

 このスキルのおかげで【盾戦士】のスキルが今も使えるしね。というか一度習得したスキルはずっと使えると思った方がいい。やっぱりバグってるのか武器以外のスキルも忘れないようだし……。

 

 

「汎用性とかそれ以前にアルマやっぱおかしいよ」

 

『それを言うなら私が発現したマスターが一番おかしい』

 

 あっ、一本取られましたねコレは。

 もしかして、第一形態でパーソナル読んでる時点でアルマってバグってた……? 

 

 そんなことを【ブラック・デンドロン】を操作しながら考えつつ、俺は皇都に郊外にある<叡智の三角>のクランホームに、帰還したのだった。

 

 

 /

 

 

 アルマ、庭のお花が綺麗だねぇ……。

 

「heyヤヨイクーン、君一体なぁにしてきたのー?」

 

「その、<UBM>討伐を少々……」

 

「その結果この飛行機能が付いたと……うーん……素晴らしいね!!!」

 

 えっ、そこ? あとなんかキャラ変わってませんかねメルクさん? 

 

 あと<叡智の三角>のみんなテンション高すぎィ! 

 

 

 まず、クランホームに入った瞬間俺はメルクさんに量産型ホムンクルスをけしかけられて無理やり【ブラック・デンドロン】から引き剥がされ、その後ラボの中心にアルマと一緒に紐で縛られて座らされた。

 

 あの、これって尋問スタイルでは? もしかしなくても俺何も悪いことしてませんよね? 

 

「違うのだよヤヨイ君。そもそもここってオタクの巣窟だよ僕も含めて。そんな中にロボットで! 飛びながら! ……帰ってきたら仕組みとかの解析とかで拘束されるのは当たり前だろう?」

 

「メルクそれ違う、当たり前じゃない」

 

「いいから黙って吐きなさい。情報をゲロれゲロれ」

 

 いーーーやぁーーー! 

 えちょ待って囲むな、ホムンクルスでおしくらまんじゅうしようとするなァー!




アルマの特性、「スキルが消えない」。
管理AIも想定していなかったバグ染みた特性ですが、悪用方法はあまりないのでスプレンティダとか【獣王】に比べればまだマシだと思うの。
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