男のロマン、それはロボット —<Infinite Dendrogram>—   作:クーボー

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第19話 <超級>の力(色んな意味で)

 うう、ひでぇや。

 なんで1時間もひたすら情報ゲロらされたんだ……まあその代わりとして<マジンギア>の効率の良い動かし方とか教えてもらったからトントン……トントン? とにかくトントンなのだ、そう思わないとやってられないよ。

 

「マスター、膝枕する?」

 

「うん、今やると独り身の人に殺されそうだからやめようか」

 

<叡智の三角>、わりと社会の闇に溢れてるからな……。六徹だぜアヘへとかやってたのを見たときは狂気を感じたぜ。大丈夫? エナドリ強行軍で脳がイカれてない? あとその状態でどうして《エアリアル・フライヤー》の解析にまで手を出すの……? 

 

 あと会社教えてくれれば引き抜きますよ俺は。

 

「さらっとグレーゾーンを……ちょっと黒いマスターもかっこいい」

 

「うちのシステム系、層が薄いんだ」

 

 というか聞いてる限りクッソブラックだし、聞いててわりと心配になるんだよ。

 大丈夫、SNKグループは大手ホワイトです。毎日定時に帰れるアットホームな職場です。上層部も腐敗してません。腐敗してたら俺かお父様が潰すから。

 

「あはは、さすがリアルブルジョワジー君。その調子で学生に対する奨学金も融通してくれないかなァ……はぁ」

 

 あっ、メルクも闇が溢れていた。っていうか聞く限りメルクって言葉の端々から貧乏っぽいのが感じ取れるんだよね。聞く限り家族がクソな大学院生らしいけど。

 ……前に酒飲んだ勢いで愚痴ってた「頑張ってバイトして貯めた金を両親に見栄だけの調度品に使われた」っていう話は、その、めちゃくちゃ悲惨でした。冗談抜きに。

 

「メルクさんってリアルでどこに住んでるんです?」

 

「リアルバレ上等だよコンチクショー……出身はイギリスだけど大学院通ってるからアメリカだね。家族も何故か越してきて……金使われたり……家事、したり」

 

「無理に思い出さないでいいです!」

 

 やべえ地雷踏んだ、メルクの目が死んでる! この人の場合嫌味とか苦労話とかじゃなくて純粋に苦しんでるから何も言えないんだよなぁ! 

 つかやっぱこの人話聞いてる限りリアルでも相当頭良いし優秀だよ、ただ貴族気質をまだ引きずってる両親に苦しめられてるだけで。

 

「うう、彼女欲しいよぅ……ヤヨイ君みたいに可愛い女の子とイチャイチャしたいよぅ……フランチェスカとAR・I・KAは論外だけどおっぱい大きくて身長の高い美人と一緒に暮らしたいなぁ……」

 

 おいこの人の闇やばいぞ、どんどん溢れてくる。

 

 あとフランチェスカって誰よ、もしかしてフランクリンさんのリアルネーム? なんだか聞いちゃいけないことを聞いてしまったような気がするぞぅ。

 あの人男みたいな口調で喋ってるけどふとした仕草が女だからバレバレなんだよなぁ……。それメルクに言ったら「君の観察眼ヤバいねえ」とか苦笑いされたけど。

 

「……メルクさん、卒業したら言ってください。良い就職先紹介しますから」

 

「ヤ、ヤヨイ君……やっぱり持つべきものは友達だね……!」

 

 任せといてください、俺のコネとツテを総動員してメルクさんを成功者にしてあげましょう……! 

 

 

 ……………あれ、なんの話してたんだっけ? 

 

 ……アルマ、その残念な男を見るような目をやめて。わりと精神に来るから! 

 

 

 /

 

 

 そんな感じでアホやりながら、メルクと途中参加したフランクリンさんも入って《エアリアル・フライヤー》の解析を行ったのだが。

 

「我々……【ブラック・デンドロン】解析隊は……なんの成果も、得られませんでした……!」

 

「ネタが古いねぇ」

 

「もう30年くらい前のだろ」

 

「あー、あの鎧担当が作者に愛されてたやつか……キュンキュンするね、歪な愛による萎縮で」

 

 ドデカいモンスターの殴り合いも好きなのでもちろん嗜んでるけど、アレはひどかった。なんてったって作者の愛を一身に受けたキャラが死にたくても死ねないんだもん……アレは生き地獄よ。

 

「でも発想として得られるものはあったからねぇ、ヤヨイ君には感謝だよ」

 

「いえ、いつも面白い実験させてもらってる身としては、これくらいのことならおやすいご用ですよ」

 

 前の【すいんぐすとろんぐ】もそうだったけど、みんなでワチャワチャしながら遊ぶのがめちゃくそ楽しんだよ……。クランには所属できないけどね。再三言ってるけど、多分所属したらフランクリンさん殺しそうになるし。

 

 そもそも旅に出たくて燃料源を求めてたのに……何が起こってこうなったんだろうな、コレ。

 

「まあ、それはともかく。メルク、準備できたんだよねぇ? だったらもう行けるんじゃない?」

 

「うん。ドライフの中枢にアポ取ったから問題ナッシングー」

 

 着ぐるみを着てまた変な語尾になったメルクさんは、そう言って、俺の目の前に紙を差し出してきた。

 

 ……なにこれ? 

 

 

「ウォトラ村の『所有権』。10億リルとホムンクルス派遣での復興を約束したら快く譲ってくれましたー。ちなみに所有権は僕とヤヨイ君で二分してるから色々と都合効くよー」

 

 

 ………。

 

 ………………。

 

 …………………………ヤバいな、<超級>。

 もっと言うと——<超級>の資金力!




次回2章ラスト。
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