男のロマン、それはロボット —<Infinite Dendrogram>— 作:クーボー
管理AI『J』さんの独白
【天界空破 ラッダリト】
最終到達レベル:41
討伐MVP:【
<エンブリオ>:【装甲乙女 アルマトゥーラ】
MVP特典:伝説級【天界飛翔 ラッダリト】
眼前に表示されたソレを前にして、管理AI4号……性質が悪いと称される悪魔とも人とも似つかぬ男・ジャバウォックは、しきりに眼鏡を指でかちゃりと上げていた。
「素晴らしい。他者との協力によって防壁を突破するための足がかりとし、足りない火力を他で補いつつ作戦立案もこなす……やはり私の見込んだ通りの<マスター>だった。
■■■■■を投下した甲斐もあったというもの」
元々、【天界空破 ラッダリト】は、それなりの力を持つエレメンタルモンスターだった。
大気を汚されることに殺意を抱き、生物に対する理不尽な怒りを根底とするモンスターで、ちょうどヤヨイの進行経路とぶつかり合い戦闘するだろうと確信していたからこそ<UBM>としたモンスターだった。
無論<UBM>にするにも充分な能力を持っていたのが前提ではあるが。
「そして手に入れた報酬も、彼からすれば格別なものとなった」
大空を飛び回るための力。特典武具。
ソレを吸収し、新たな外部機構を手に入れた【ブラック・デンドロン】は、彼が<超級>に至るための確実な一歩となるだろう。
それに、彼の才能であれば、内部時間で1年もかからずに至る可能性は高い。
「次はどの<UBM>がいいだろうか。すでに<超級>であるヴィクター・F・メルクリウスが共にいる以上、彼に特典武具を持っていかれるのは避けたいが」
彼も<超級>の中では有望株だ。生命創造に特化した<エンブリオ>とジョブのシナジーで、広域制圧型の中では飛び抜けた対応力と殲滅力、制圧力を有する。……それでも彼の軍勢で超級職を複数独占するのはやめてほしいが。
なお、似たタイプの<超級>には【大教授】もいるが……彼は<超級>の中でも特殊かつデタラメな部類なので比べられるものではない。
「しかし【鉄人】とはな。また扱いづらいものを」
【鉄人】は……まあ、
魔力効率を改善させ、スキルのクールタイムを減少させ、その他様々な便利効果を持つスキルとともにENDのみを引き上げる珍しい部類のジョブ。
しかしそのジョブが判明していた頃にはすでにフラグマンの地竜/天竜型動力炉を利用した兵器が全盛を迎えており、そしてMPがほとんど上がらないために魔法職にも就けず、近接でもHPが上がらないために魔法で焼き殺されたりする。
正直強いジョブとは言えず、完全にロストしている上に三つの下級職をカンストし、スキルを育てなければいけないために<マスター>で就いている人物は存在しなかった。
一応超級職に至れば恐ろしいほど利便性に特化したスキルと、数ある最終奥義の中でも最高クラスの効果とデメリットを持つファイナルブロウ、そしてEND一点特化というある種END版【破壊王】とでも言うべきものとなり、ENDが常軌を逸した値になったりもするが……正直、そこまで行くのは苦行である。
しかし今、ジャバウォックが目をかけている人物が引かれあったかのように就いた。超級職も空位であり、……もしかしたら彼ならば、そのジョブの真価を引き出すことができるかもしれない。
「とりあえず、<UBM>を吟味しておくか」
彼に試練としてぶつけるものなら、特典武具化した後も彼の力となれるようなものが良い。
カルディナなどに在る<UBM>のリストを眺めながら……ジャバウォックは、己の仕事に戻るのだった。